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『ルーマン フルートと通奏低音のためのソナタ集 第1集』

BIS SACD2105 SACD hybrid(5.0 surround/stereo) classical


ユーハン・ヘルミク・ルーマン Johan Helmich Roman はストックホルム生まれ。歌手で後に宮廷楽団のヴァイオリニストになった父、ユーハン・ルーマン Johan Roman(?–1720)から最初の音楽教育を受け、1711年に宮廷楽団のヴァイオリニストに正式に就任しました。1715年にロンドンに渡り、「音楽のメトロポリス」の豊かな音楽生活を享受、ヘンデルのオーケストラでは第2ヴァイオリン奏者を務めました。スウェーデンがカール十二世の治下、リヴォニアをめぐるロシアとの戦い、いわゆる大北方戦争(1700–1721)に敗れ、「平和」の時代が始まった1721年、ルーマンは帰国の命令を受け、宮廷の副楽士長に就任。1727年からは楽士長を務め、スウェーデンの音楽がデューベン一家の「古い」音楽から「新しい」音楽に移行する時代を代表する音楽家として活躍しました。フルートと通奏低音のためのソナタ(Sonate a flavto traverso, violine e cembalo da Roman, Svedese)(BeRI.201–212)はルーマンが出版した唯一の作品(作品群)です。1727年ストックホルム。出版譜の前書きには「saggi giouanili(若い時代の作品)」と記され、楽士長に取り立ててもらった感謝の印として、戦死したカール十二世を継いで王位に就いたウルリカ・エレオノーラ女王 Queen Ulrika Eleonora(1688–1741 在位 1718–1720)に献呈されました。「作曲技法と様式的要素の結びつきの素晴らしさ。フルートソナタでは、複雑な感情表現の文脈が、ヴィラネッラやピーヴァといったイタリア世俗音楽の形式、あるいは、タランテッラ同然の楽章と対照を見せる」(ダン・ラウリン)。ダン・ラウリン Dan Laurin と夫人のアンナ・パラディーゾ Anna Paradiso を中心とする「良質のワインと食事と音楽を分かち合う」音楽家たちのアンサンブル、J・S・バッハ、C・P・E・バッハとテレマンのソナタを演奏した『父と子と名付け親』(CD1895)のパラディーゾ・ムジカーレ Paradiso Musicale による録音では、全12曲の曲集から、「ルーマンのモダンなスタイルの好例」というニ長調の第2番を含む最初の5曲が、トラヴェルソに代わりリコーダーで演奏されます。「著しくイタリア的な性格の作品だと考え、イタリア様式の通奏低音で演奏することにした」。編成は、第1番と第5番がリコーダー、チェロ、バロックギターとチェンバロ、第4番がリコーダー、チェロとチェンバロ、第2番と第3番がリコーダーとチェンバロ。録音セッションは、ストックホルムに近いストックスンドの聖ペテロ教会で行われ、パラディーゾ・ムジカーレの音楽が陰影に富む音色とともに捉えられ、「複雑な感情表現」を伝えます。かつてスウェーデン宮廷に響いた雅な音楽が「今」に息づく。興趣あふれるアルバムです。

ユーハン・ヘルミク・ルーマン(1694–1758)
 フルートと通奏低音のためのソナタ集 第1集
 ソナタ第1番 ト長調 BeRI.201 ソナタ第2番 ニ長調 BeRI.202
 ソナタ第3番 ハ短調 BeRI.203 ソナタ第4番 ト長調 BeRI.204
 ソナタ第5番 ホ短調 BeRI.205
  パラディーゾ・ムジカーレ
   ダン・ラウリン(リコーダー) アンナ・パラディーゾ(チェンバロ)
   マッツ・オロフソン(チェロ) ユーナス・ヌードベリ(バロックギター)

Instrumentarium
Dan Laurin: Voice flute、Alto recorder E-flat(Sonata III)by Frederick G. Morgan, Daylesford, Australia
Anna Paradiso: Neapolitan harpsichord after Onofrio Guarracino by Masao Kimura, Japan, 2012
Mats Ofofsson: Cello by Johann Öhberg the elder, Stockholm C.1765. Bow by René Groppe
Jonas Nordberg: Baroque guitar by Hendrik Hasenfuss 2004

録音 2013年10月、12月(第3番) 聖ペテロ教会(ストックスンド、スウェーデン)
制作・録音 トゥーレ・ブリンクマン

価格 ¥2,650(本体価格)

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『生と愛を歌う聖歌集(Sacred Songs of Life & Love)』

Pentatone PTC5186530 SACD hybrid (Multichannel/stereo) contemporary/classical


サウスダコタ合唱団 South Dakota Chorale は、アメリカ中西部のグレートプレーンズ(大平原)の州サウスダコタのスーフォールズに2009年に創設されたプロフェッショナルのアンサンブルです。芸術監督のブライアン・A・シュミット Brian A. Schmidt は、ノースカロライナ州のデューク大学チャペルの聖歌隊などの指揮者を務め、アメリカを代表する合唱指揮者のひとりに挙げられる合唱指揮者です。『生と愛を歌う聖歌集』はサウスダコタ合唱団のセカンドアルバム。バルト三国、スカンディナヴィアとスイスの作曲家による「もっとも美しい現代合唱作品」から選ばれた「宗教歌」が歌われます。エストニア生まれ、アルヴォ・ペルト Arvo Pärt の『新約聖書』『ルカによる福音書』による《マニフィカト》と《主よ、今こそあなたは》、そして、ベルリンのRIAS室内合唱団の委嘱で作曲した《マニフィカトの7つのアンティフォナ》。ノルウェー・ソリスト合唱団の委嘱作、デンマークの哲学者キアケゴー(キルケゴール)の著作から採ったテクストの英訳で歌われるニューステット Knut Nystedt の《キアケゴーの祈り》から2曲。リトアニアのアルギルダス・マルティナイティス Algirdas Martinaitis とラトビアのエリクス・エシェンヴァルズ Ēriks Ešenvalds の作品も「生を歌う」聖歌です。「愛」の歌は2つ。スウェーデンのスヴェン=ダーヴィド・サンドストレム Sven-David Sandström の《4つの愛の歌》とスイスのイヴォ・アントニーニ Ivo Antognini の《わたしはシャロンのばら》は、いずれも『旧約聖書』『雅歌(ソロモンの雅歌)』がテクストです。サウスダコタは、スー族をはじめとする原住民と白人の間で激しい戦いが行われた暗い歴史をもちながら、今は、4人の大統領の顔を彫刻したラシュモア山の名を冠した国立公園をはじめとする観光地に恵まれ、内外の観光客が多く訪れる州として知られます。州最大の都市スーフォールズは、人口が15万。「アメリカ最良の小都市(Best Little City in America)」のニックネームで呼ばれています。アルバム『生と愛を歌う聖歌集』は、市の名所のひとつ、カトリックの聖ヨセフ大聖堂(セント・ジョーセフ大聖堂)で録音セッションが行われました。ネオルネサンス様式の大聖堂は、最初は木造の教会として作られ、1915年から1919年にかけて石灰石による建築が行われました。なんどか修復が行われ、2011年に最後の内装が完成しています。この大聖堂は音響のよさが知られ、聖歌隊のコンサートのほか、スーフォールズを本拠とするサウスダコタ合唱団 South Dakota Chorale のコンサート会場のひとつとしても使われています。セッションの制作は、サウスダコタ合唱団の最初のアルバム『天国には(In Paradisum)』などの録音により2013年グラミー賞の最優秀プロデューサーに選ばれたブラントン・アルスポー Blanton Alspaugh が担当しました。「Pentatone クオリティ」の録音。TVシリーズ化されたローラ・インガルス・ワイルダーの『大草原の小さな家』(原作『インガルス一家の物語』)をイメージしてしまうサウスダコタの今の「文化」に触れることができるアルバムです。芸術監督のシュミットは、2015年の秋、国際指揮者交換プログラムのアメリカ代表としてスウェーデンで客演指揮することが決まっています。

『生と愛を歌う聖歌集(Sacred Songs of Life & Love)』
アルヴォ・ペルト(1935–)
 マニフィカト(Magnificat)(1989)
 聖母マリアよ喜べ(Bogoróditse Djévo)
 マニフィカトの7つのアンティフォナ
 (Sieben magnificat Antiphonen)(1991)
  おお叡智よ(O Weistheit) おおアドナイ(わが主)よ(O Adonai)
  おおエッサイの根より出でし若枝よ(O Sproß aus Isis Wurzel)
  おおダヴィデの鍵よ(O Schlüssel Davids)
  おお暁の星よ(O Morgenstern)
  おお、すべての民の王よ(O König aller Völker)
  おおインマヌエルよ(O Immanuel)
アルギルダス・マルティナイティス(1950–) アレルヤ(Alleluia)(1996)
クヌート・ニューステット(1915–)
 《キアケゴーの祈り(Prayers of Kierkegaard)》 Op.157(1999)から
  第3曲 偉大なり、おお神よ!(Great are you, o God!)
  第6曲 天におられる父よ!あなたは、まず私たちを愛してくださいました!
  (Father in heaven! You loved us first!)
スヴェン=ダーヴィド・サンドストレム(1942–)
 4つの愛の歌(Four Songs of Love)(2009)
  どうかあの方が、その口のくちづけをもって(Let Him Kiss Me)
  夜が明け、影が闇にまぎれる前に(Until the Daybreak)
  北風よ、目覚めよ(Awake, O North Wind)
  あの人が左の腕を(His Left Hand)
イヴォ・アントニーニ(1963–)
 わたしはシャロンのばら(I am the rose of Sharon)(2010)
エリクス・エシェンヴァルズ(1977–)
 おお救いの生贄(O salutaris hostia)(2009)
アルヴォ・ペルト(1935–) 主よ、今こそあなたは(Nunc dimittis)(2001)
 サウスダコタ合唱団 ブライアン・A・シュミット(指揮)

録音 2014年1月 聖ヨセフ大聖堂(スーフォールズ、サウスダコタ州、アメリカ合衆国)
制作 ブラントン・アルスポー
録音 ジェシー・ブレイマン

価格 ¥2,550(本体価格)

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『メンデルスゾーン ピアノと管弦楽のための作品全集』

Danacord DACOCD734-736 3CD's+Bonus CD classical


オレク・マルシェフ Oleg Marshev(1961–)は、旧ソ連、アゼルバイジャン共和国のバクー(バキュ)生まれ。モスクワ音楽院でミハイル・ヴォスクレセンスキーに学び、1988年にディプロマを取得、ロシア・ピアニズムの伝統を継ぐ音楽家のひとりです。ソ連の崩壊後、デンマークのレーベル Danacord Records と契約を結び、プロコフィエフのソナタ全曲録音から始まり、エミール・フォン・ザウアーのソロ・ピアノ曲全曲、シューベルト、リストのソロ曲、ルビンシテイン、ラフマニノフ、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチ、シューマンの協奏曲など、30を超えるアルバムを録音。ヴィンディングやエミール・ハートマンなどデンマークのロマンティック・ピアノ協奏曲シリーズの録音にも参加しています。

マルシェフが南ユラン交響楽団と共演するメンデルスゾーン。このアルバムには、優れたピアニストとして知られ《無言歌集》の8巻などソロ・ピアノのための作品を数多く残したメンデルスゾーンがピアノとオーケストラのために書いた作品10曲がすべて収められました。「森の伝説」とでもいった気分の第2楽章アンダンテをもったト短調のピアノ協奏曲第1番。心を誘う旋律の醸し出す詩情と色彩的なオーケストレーションが特徴的なニ短調の協奏曲第2番。メンデルスゾーンが十代に書いた弦楽オーケストラ共演のイ短調協奏曲。「華麗な」を曲名にもったロンドとカプリッチョ。彼の遺作となったホ短調の協奏曲(第3番)は、第1楽章と第2楽章のソロ・パートのスケッチ、第1楽章冒頭のオーケストレーション、終楽章の素案を基にマルチェッロ・ブファリーニ Marcello Bufalini が再構成した2006年の版による演奏です。「信じられないほど素晴らしいピアノ書法で書かれた、魅力、輝かしさ、優雅さ、戯れ、旋律の美しさにあふれた音楽を演奏できる」と、マルシェフが心待ちにしていたプロジェクトです。

2台のピアノのための協奏曲はイ短調協奏曲と同じ十代の作品です。コペンハーゲンの王立音楽アカデミーの上級ソロイスト・クラスで学んだアネ・メテ・ステーア Anne Mette Stæhe の共演。変イ長調はマルシェフが、ホ長調はステーアが第1ピアノを弾いています。ヴァイオリン、ピアノと管弦楽のための協奏曲は、ブルガリア生まれ、1997年から南ユラン交響楽団のコンサートマスターを務めるルメン・ルカノフ Rumen Lukanov(1968–)がヴァイオリンのソロを弾いています。

南ユラン交響楽団 Sønderjyllands Symfoniorkester は、対外的には「南デンマーク・フィルハーモニック」の名称を使っています。ユラン(ユトランド)半島の最南にあるセナボー Sønderborg の地域オーケストラ。団員数は65名。人口70万の南デンマークの各地で、教会コンサート、学校コンサート、夏のロックコンサートなど、年間150回を超すコンサートを開催し、ユラン・オペラの南デンマーク・ツアーではオーケストラピットに入ります。2010年からはオランダの指揮者ダーヴィト・ポーセリン(ダーヴィド・ポルセリン) David Porcelijn(1947–)が首席指揮者を務めています。「心をこめて演奏する私たちの音楽が、聴いている人たちに届くように」をモットーとするアンサンブル。「芸術に奉仕する」が信条のマルシェフとともに歓びにあふれた音楽を聴かせます。

ドイツ・ロマンティシズムが「若葉」の香りを漂わせていた時代に生まれた音楽。「いたるところで演奏される(ubiquitous)」ホ短調のヴァイオリン協奏曲に「疲れて」しまっている耳に、メンデルスゾーンの一連のピアノと管弦楽のための音楽はとても新鮮に聞こえるでしょう。

ピアノとオーケストラをコンサートバランスに捉えた録音は、ベテランのクラウス・ビューリト Claus Byrith。メンデルスゾーン(Kontrapunkt 32105)やゲーゼ(32077)の三重奏曲を録音したコペンハーゲン三重奏団のピアニスト、モーテン・モーウンセン Morten Mogensen が制作と編集を担当しました。

フェリクス・メンデルスゾーン(1809–1847)
 ピアノと管弦楽のための作品全集
 ピアノ協奏曲第1番 ト短調 Op.25/MWV.O7(1831)
 セレナードとアレグロ・ジョコーゾ ロ短調 Op.43/MWV.O12(1838)
 ピアノ協奏曲第2番 ニ短調 Op.40MWV.O11(1837)
 華麗なロンド 変ホ長調 Op.29/MWV.O10(1834)
 華麗なカプリッチョ ロ短調 Op.22/MWV.O8(1832)
 ピアノと弦楽オーケストラのための協奏曲 イ短調 MWV.O2(1822)
 ピアノ協奏曲第3番 ホ短調 MWV.O13(1844)
 (マルチェッロ・ブファリーニ 再構成)
 2台のピアノと管弦楽のための協奏曲 変イ長調 MWV.O6(1824)*
 2台のピアノと管弦楽のための協奏曲 ホ長調 MWV.O5(1823)*
 ヴァイオリン、ピアノと管弦楽のための協奏曲 ニ短調 MWV.O4(1823)†
 (CD4 bonus)
  オレク・マルシェフ(ピアノ) アネ・メテ・ステーア(ピアノ)*
  ルメン・ルカノフ(ヴァイオリン)†
  南ユラン交響楽団(南デンマーク・フィルハーモニック)
  ダーヴィト・ポーセリン(指揮)

録音 2011年8月8日–13日、2012年5月7日–12日、14日 アルシオン(スナボー、デンマーク)
制作・編集 モーテン・モーウンセン
録音 クラウス・ビューリト

価格 ¥7,350(本体価格)

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『ユーセフ・マッティン・クラウス アリアと序曲』

Naxos 8.572865 classical


「ストックホルムのコスモポリタン」。ユーセフ・マッティン・クラウス(ヨーゼフ・マルティン・クラウス) Joseph Martin Kraus は南ドイツの生まれ。学生仲間のカール・ストリンドベリの帰国に合わせスウェーデンを訪れ、数年苦労した後、1781年6月、ウルリクスダールの城で私的に上演された歌劇《プロセルピナ》が、才能ある芸術家を見抜く鋭い眼で知られた国王グスタフ三世に認められ宮廷音楽家に登用。1792年3月、国王が暗殺され、4月13日に行われた葬送の音楽を書いた後、みずからも病死するまで、器楽曲から声楽曲まで、広いジャンルの音楽を作曲しました。古典、疾風怒濤、初期ロマンティシズム。その多様、多彩な音楽は時代を超えて輝き、クラウスはバロック期のルーマンとともにスウェーデン音楽史の里程標とみなされる存在になりました。Naxos レーベルは、これまで、シンフォニア、ヴァイリンソナタ、歌曲など、クラウスの作品を体系的に紹介してきました。新しいアルバムでは、クラウスが劇場のために書いた音楽から「序曲」と、演奏会用のアリアが特集されます。録音に起用されたのはフィンランドの音楽家たち。アーポ・ハッキネン Aapo Häkkinen(1976-)指揮のヘルシンキ・バロック管弦楽団は、F・X・ドゥセックとF・X・リヒターのシンフォニア(Naxos)の録音が好評のピリオド楽器アンサンブル。グリーグの歌曲(BIS)で知られるメゾソプラノのモニカ・グループ Monica Groop(1958-)は、クイケン指揮の《フィガロの結婚》でケルビーノ、《コジ・ファン・トゥッテ》でドラベッラ役を歌うなど、古典時代の作品もレパートリーとしています。クリスマスに歌われた《小さな神を抱く聖母を見ると》など6曲が世界初録音です。

ユーセフ・マッティン・クラウス(1756-1792) アリアと序曲
 歌劇《プロセルピナ(Proserpin)》 VB19 ― 序曲
 アリア《無邪気に見つめるあなたは(Du i hvars oskuldsfulla blick)》
  VB30 *
 アリア《あなたは恐れていますか(Ma tu tremi)》 VB63 *
 アリア《あなたを愛することをやめるなんて(Ch’io mai vi possa)》
  VB59 *
 カンタータ《国王の誕生日のために
 (Zum Geburtstag des Königs Gustav III)》 VB41 ― 序曲
 《小さな神を抱く聖母を見ると(Parvum quando cerno Deum)》
  VB5 *
 《冒険者(Äfventyraren)》 VB32 ― 序曲 *
 アリア《時代の荒廃は(Du temps, qui détruit tout)》 VB58
 レチタティーヴォとアリア《聞いてくれ、行かないでくれ
 (Sentimi, non partir!)》 VB55
 《グスタフ三世のための葬送カンタータ
 (Konung Gustav III Begravningskantat)》 VB42 ― 序曲
 アリア《お聞きください、心の痛みを訴えるわたしのため息を
 (Hör mina ömma suckar klaga)》 VB26 *
  モニカ・グループ(メゾソプラノ)
  ヘルシンキ・バロック管弦楽団 アーポ・ハッキネン(指揮)

録音 2013年6月10日–12日 セッロ・ホール(エスポー、フィンランド)

価格 ¥1,100(本体価格)

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『Shine』

ACT Music ACT9573-2 jazz


スウェーデンのピアニスト、カールソン(1970–)のトリオ、ヤコブ・カールソン・トリオ Jacob Karlzon 3 の ACT Music 第2作がリリースされます。ACT Music デビューした2012年の『More』(ACT9533-2)で示した道を「もう一歩先に進みたかった」というアルバム。「ポップミュージックの作り方をもっと応用し、それぞれの曲の性格を際立たせるため、アルバム全体の調和や一貫したスタイルは見失うことなく、さらに大きな美意識でまとめる。作曲も演奏も、イメージしたことをより明確に、より徹底させる」というコンセプトでセッションが行われ、カールソンはピアノだけでなくキーボードとシンセサイザー、そしてプログラミングを担当しました。《Shine(輝け)》に始まり《A Thousand Conclusions(たくさんの結論)》に終わるプログラムの8曲はカールソンが作曲し、唯一のスタンダードナンバー、アイルランドのロックバンド U2 の《I Still Haven't Found What I'm Looking for》がカールソンのピアノソロによる「傷つきやすく、心が痛むくらい美しい」インプロヴィゼーションでトラック3に収められています。『Heat』(Caprice CAP21809)から参加するハンス・アンデション Hans Andersson のベース。ユーナス・ホルゲションに代わり、イスタンブール生まれのロベルト・メフメット・イキズ Robert Mehmet Ikiz(1979–)がドラマーとして加わりました。「輝いている(shining)」が、カールソンのもっとも新しい「作品」のモットーです。

ヤコブ・カールソン・トリオ ― Shine
 Shine(Karlzon) Bubbles(Karlzon)
 I Still Haven't found What I'm Looking for
 (Clayton/Evans/Hewson/Mullen)
 Outsourced(Karlzon) Metropolis(Karlzon)
 Inner Hills(Karlzon) One More Day(Karlzon)
 Screening Self(Karlzon)
 A Thousand Conclusions(Karlzon)
  ヤコブ・カールソン・トリオ
   ヤコブ・カールソン(ピアノ、キーボード、シンセサイザー、
    プログラミング)
   ハンス・アンデション(ベース)
   ロベルト・メフメット・イキズ(ドラムズ)

録音 2014年3月 ニレント・スタジオ(ヨーテボリ、スウェーデン)
制作 ヤコブ・カールソン、ラーシュ・ニルソン
録音 ラーシュ・ニルソン

価格 ¥2,600(本体価格)

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『ラモー クラヴサン・ソロ曲全集』

Simax PSC1345 2CD’s classical


ノルウェーのチェンバロ奏者、ケルンの音楽大学の教授を務めるシェティル・ハウグサン Ketil Haugsand は、今日の「アーリーミュージック」を代表する音楽家のひとりに挙げられます。アムステルダム音楽院でレオンハルトに師事、1975年に「最優秀賞(Prix d’Excellence)」を得て卒業しました。パリとブルージュの国際コンペティションを経て、ソロイスト、室内楽奏者、ノルウェー・バロック管弦楽団とアルテ・レアル・アンサンブルの指揮者として、ヨーロッパとアメリカのコンサートとフェスティヴァルで演奏しています。J・S・バッハの《イギリス組曲》(PSC1329)に次ぐ録音はジャン=フィリップ・ラモー Jean-Philippe Rameau のクラヴサン曲。〈前奏曲〉から〈メヌエット〉、「フランス舞踊組曲」に倣った10曲の《クラヴサン曲集 第1巻(Premier Livre de Pièces de Clavecin)》(第1組曲)。〈アルマンド〉から〈村娘(La villageoise)〉と〈ロンドーのメヌエット〉までの「第2組曲」と〈やさしい訴え(Les tendres plaintes)〉から〈足の不自由な女(La boiteuse)〉の「第3組曲」の《クラヴサン曲集(Pièces de Clavecin)》((正式名『Pièces de Clavecin avec une Méthode pour la Mécanique des Doigts(クラヴサン曲集と運指法)』)。〈アルマンド〉から〈ガヴォット〉と〈6つの変奏(6 doubles)〉の「第4組曲」と〈トリコテ(Les tricotets)〉から〈エジプトの女(L’Egyptienne)〉の「第5組曲」の《新クラヴサン組曲(Nouvelles suites de pièces de clavecin)》(正式名『Nouvelles suites de pièces de clavecin avec des remarques sur les différents genres de la Musique』)。クラヴサンを「通奏低音」ではなく独立した声部として扱った《コンセール形式のクラヴサン曲集(Pièces de clavecin en concert)》から、ラモーがソロ曲に編曲した4曲。1747年ごろ作曲された、ラモーの最後のクラヴサン曲とされる《王太子妃》。《優雅なインドの国々》のソロ編曲版と、バルバトルの作品とされてきた《Les petits marteaux de M. Rameau》を除く、ラモーのクラヴサン・ソロ曲の全集です。ハウグサンは、ゆったりしたテンポを中心に、ひとつひとつの曲と対話するような雰囲気でラモーを演奏。『クラヴサン曲集』の代表的録音のひとつ、バロック時代の振付を参考にしながらラモーの作品を優雅で溌剌とした音楽として示したクリストフ・ルセの録音(L’Oiseau-Lyre)とは趣きも思考も異なるものの、同じように洞察の深い、「楽興」にみちた音楽を聴かせます。ケルンのドイツ放送室内楽ホールで行われたセッションに使われた楽器は、ハウグサン自作の後期フランドル・タイプの2段鍵盤チェンバロ。フォルクレ父子の『クラヴサン曲集に編曲されたヴィオール曲集』(PSC1317)と同じ楽器です。ドイツ放送(Deutschlandfunk)との共同制作。フランスの偉大な作曲家の没後250年を記念するアルバムです。

ジャン=フィリップ・ラモー(1683–1764) クラヴサン・ソロ曲全集
 クラヴサン曲集 第1巻(Premier Livre de Pièces de Clavecin)(1706)
 クラヴサン曲集(Pièces de Clavecin)(1724)
 新クラヴサン組曲(Nouvelles suites de pièces de clavecin)(1728)
 コンセール形式のクラヴサン曲集(Pièces de clavecin en concert)
 (1741)(クラヴサン・ソロ版)
  リヴリ(La Livri) 軽はずみ(L’Agaçante)
  内気(La Timide) おしゃべり(L’Indiscrète)
 王太子妃(La Dauphine)(c.1747)
  シェティル・ハウグサン(チェンバロ)
 [楽器 シェティル・ハウグサン製作(1971年)後期フランドル・タイプの2段鍵盤チェンバロ]

録音 2011年5月16日–20日 ドイツ放送(DLF)室内楽ホール(ケルン)
制作 フランソワ・エケール
録音 クリストフ・リーゼベルク

価格 ¥4,800(本体価格)

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『エルガー 交響曲第1番』

BIS SACD1939 SACD hybrid(5.0 surround/stereo) classical


王立ストックホルム・フィルハーモニック管弦楽団と2008/09年のシーズンから首席指揮者を務めるサカリ・オラモ Sakari Oramo (1965–) によるエルガーの管弦楽作品集。先にリリースされた交響曲第2番と《ため息》《悲歌》(SACD1879)は、フランスの雑誌「ディアパソン」が "5 Diapasons"(5つ星)を与え、イギリスのメディアも「ラルゲットの素晴らしい音楽は楽しく、スケルツォは曲調にふさわしく荒々しく恐ろしい。そして、すべてをあきらめ、なつかしむような輝きのうちに幕を閉じる」("Sunday Times")「明確な個性をしっかり表しながら、巧みに歩調を整え、深いところで作品と誠実に向き合い、第2交響曲の広大な世界を渡っていく」("The Gramophone")と評価しています。

エルガーの第2集は交響曲第1番と《コケイン》の2曲です。エルガーだけでなく近代イギリス音楽を代表する作品のひとつに挙げられる第1番の交響曲は、最初のスケッチが1904年とされ、1907年から1908年にかけて作曲されました。1908年12月3日、マンチェスターのハレ交響楽団により初演。指揮は、ブラームスの交響曲第3番とワーグナーの《指輪》を初演したドイツのハンス・リヒターです。この作品を献呈されたリヒターは、12月7日にクイーンズホールで行われたロンドン交響楽団によるロンドン初演も指揮、エルガーの第1番に対して同時代の音楽家として最大級の敬意を表したと言われます。第1楽章〈アンダンテ.ノビルメンテ・エ・センプリーチェ ― アレグロ〉、第2楽章〈アレグロ・モルト〉、第3楽章〈アダージョ〉、第4楽章〈レント ― アレグロ〉。第1楽章の序奏部に示される「モットー」主題は、作品全体を通じて姿を忍ばせた後、終楽章の「グランディオーゾ(ポコ・ラルガメンテ)」のコーダで勝ち誇った姿を現します。

「最初の偉大なイギリスの交響曲」。この作品には、BBC放送や『ペンギン・ガイド』が高く評価するエイドリアン・ボールト(1977年)とヴァーノン・ハンドリー(1979年)がロンドン・フィルハーモニックを指揮した録音のほか、イギリス音楽を重要なレパートリーとするアメリカの指揮者レナード・スラトキンが同じロンドン・フィルハーモニックを指揮した演奏(1989年/1991年)といった、それぞれに特色ある音楽を聴かせる演奏があります。近年エルガーの作品と積極的に取り組み、最初のアルバムですばらしい音楽を聴かせたオラモの演奏は、「大英帝国の輝ける日々を懐かしむ」のではなく「輝かしい今を生きる」という新鮮な気分にみちています。演奏技術と感性をあわせもつストックホルムのオーケストラは、オラモの意図を正しく受けとめ、抑制をきかせながら、力強く壮大、優美な響きの音楽に表現しています。終楽章のコーダの透明感のある輝かしい金管楽器に代表されるように、各セクションの楽器の響きの美しさは際立った魅力です。こうした演奏を聴くにつけ、ストックホルム・フィルハーモニックとサカリ・オラモは、今日、もっとも気品のある音楽を聴かせるアンサンブルのひとつだという思いを強くします。

演奏会序曲《コケイン》は交響曲第1番の7年前に初演された作品です。「ロンドンの下町で(In London Town)」の別名をもち、エドワード時代のロンドンとロンドンっ子を生き生きと色彩的に描き、「わが多くの友人たち、英国のオーケストラのメンバーたちへ(to my many friends, the members of British orchestras)」献呈されています。この曲では、木管楽器がそれぞれにユーモラスなメロディとパッセージを演奏します。フルートのトップを担当したのは、交響曲でトップを吹いた首席奏者のアンドレアス・アリーン Andreas Alin に代わり、副首席奏者のヤン・ベンクトソン Jan Bengtson です。

2曲の録音セッションは、フィルハーモニックが本拠を置く、長い歴史を誇るストックホルム・コンサートホールで行われました。プロデュースのハンス・キプファー Hans Kipfer とマリオン・シュヴェーベル Marion Schwebel、エンジニアリングのトゥーレ・ブリンクマン Thore Brunkmann。BIS のスタッフが、ストックホルム・フィルハーモニックとオラモの音楽を鮮やかな、響きの美しい音に捉えています。

エドワード・エルガー(1857–1934)
 交響曲第1番 変イ長調 Op.55(1908)
 演奏会序曲《コケイン(Cockaigne)》 Op.40(1901)
  王立ストックホルム・フィルハーモニック管弦楽団
  サカリ・オラモ(指揮)

録音 2012年5月(交響曲)、2013年11月(コケイン) ストックホルム・コンサートホール
制作 ハンス・キプファー(交響曲)、マリオン・シュヴェーベル(コケイン)
録音 トゥーレ・ブリンクマン

価格 ¥2,650(本体価格)

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『ラーション 管弦楽作品集 第1集』

cpo 777 671-2 SACD hybrid(multichannel/stereo) classical


ラーシュ=エーリク・ラーション Lars-Erik Larsson。20世紀スウェーデンの作曲家の中で、人々の心と感情に直接訴えかけることにかけて、他に並ぶものがいない存在といわれます。1908年、スコーネ地方、ルンドとマルメの間に位置するオーカープ生まれ。マルメでオーケルベリに学び、ヴェクシェーで「ジュニア・オルガニスト」のディプロマを取得。ヘンニング・マンケルについてピアノを学んだ1925年には最初のピアノの小品を作曲しています。この年、ストックホルムの国立音楽アカデミーに入学、作曲をエルンスト・エッルベリに、指揮をオラッリョ・モラーレスに学びました。アカデミーに在学中に交響曲第1番を作曲。1929年4月27日に行われた学生コンサートでみずから指揮して初演しました。1929年から翌年にかけて、ウィーンのアルバン・ベルクに作曲を、ライプツィヒのフリッツ・ロイターに音楽形式を学びます。帰国後は、ストックホルムのオペラでレペティトゥール、メルメとルンドで音楽教師を務めながら作曲活動を行い、1932年にはスウェーデンの作曲家としては初めて「十二音技法」による作品を手がけました。その1作、弦楽オーケストラのための《シンフォニエッタ》(Op.10)が、1934年、フィレンツェで開催された ISCM(国際現代音楽協会)で演奏され、ラーションは国際的な注目を集めます。スウェーデン放送局の指揮者、作曲家、プロデューサーなど、多方面に活躍。第二次世界大戦中の1940年には、抒情組曲(カンタータ)《変装した神》がラジオ放送され、ノルウェーとデンマークにも届いたこの音楽は、ドイツ軍占領下にあった人々を勇気づけたとされ、ラーションの代表作のひとつになりました。

ラーションの管弦楽のための作品。交響曲第1番は、とりわけシベリウスを思わせるページももち、典型的北欧スタイルとみなされる一作です。「(第1楽章は)明るく楽天的な気分……抒情的な部分は、ロマンティックにやさしく、雰囲気が感じられる……おなじ音調の序奏にはじまる第2楽章〈アダージョ〉……生気にみち、挑戦的な気分の主部と『歌』と呼びたいようなトリオをもつ〈スケルツォ〉……エネルギッシュな〈終曲〉」(レッナールト・ヘードヴァル)。シェイクスピアの『冬物語』のための劇付随音楽として作曲した22曲から選んだ組曲《冬物語》には「シェイクスピアの劇への4つのスケッチ風小品(Fyra vinjetter till Shakespeares skådespel)」の副題がつけられました。〈シチリアーナ(Siciliana)〉〈間奏曲(Intermezzo)〉〈田園詩(Pasotoral)〉〈エピローグ(Epilog)〉。〈シチリアーナ〉の主題のひとつは、このあと、《田園組曲》の〈ロマンス〉にも使われます。小編成の管弦楽で演奏される小品《田園詩(牧歌)》も、劇『貞節」のための付随音楽が原曲です。1949年の《管弦楽のための音楽》は、マルメ・コンサートホール基金の25周年を記念して作曲されました。「旋律らしい旋律」は示されず、ゆったりと、有機的に展開する構造的な音楽です。1967年の《抒情的幻想曲》は、《田園組曲》の姉妹作ともみなされる、素朴で美しい音楽です。

ヘルシングボリ交響楽団はラーションの交響曲第1番を1989年にドイツのハンス=ペーター・フランクの指揮で録音しています(BIS CD426)。アンドルー・マンゼ Andrew Manze(1965–)は、イギリスのヴァイオリニストで指揮者。2006年からヘルシングボリ交響楽団の首席指揮者を務めています。2011年1月、ヘルシングボリ・コンサートホールでの録音。制作は、Danacord のディーリアス作品集のレッナールト・デーン Lennart Dehn。カール・ニルセンの「木管のための室内楽作品全集」(cpo 777 872-2)のトゥルビョーン・サミュエルソン Torbjörn Samuelson が録音エンジニアリングを担当しました。演奏、録音とも優れた、北欧音楽のレパートリーにとって大切なアルバムになりそうです。

ラーシュ=エーリク・ラーション(1908–1986) 管弦楽作品集 第1集
 交響曲第1番 ニ長調 Op.2(1927–28)
 冬物語(En vintersaga)Op.18(1937–38)
 (シェイクスピアの劇への4つのスケッチ風小品)
 管弦楽のための音楽(Musik för orkester)Op.40(1949)
 田園詩(Pastoral)(1937)(小管弦楽のための)
 (劇付随音楽『貞節(Kyskhet)』から)
 抒情的幻想曲(Lyrisk fantasi)Op.54(1967)(小管弦楽のための)
  ヘルシングボリ交響楽団 アンドルー・マンゼ(指揮)

録音 2011年1月24日–28日 ヘルシングボリ・コンサートホール(スウェーデン)
制作 レッナールト・デーン
録音 トゥルビョーン・サミュエルソン

価格 ¥3,200(本体価格)

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『モーツァルト 5つのヴァイオリン協奏曲』

Swedish Society Discofil SCD1158 2CD's for price of 1.5 classical


スウェーデンを代表するヴァイオリニストのひとり、スパルフ Nils-Erik Sparf(1952–)。ドロットニングホルム・バロックアンサンブルやウプサラ・チェンバーソロイスツで演奏、チェンバーソロイスツのメンバーによるブラームスの弦楽五重奏曲(DAPHNE1045)やヘーレンスタムとのデュオによるバッハの「ヴァイオリンとギターのためのソナタ」(Proprius PRCD2056)の他、BIS をはじめとするレーベルの多くの録音で知られます。ウプサラ室内管弦楽団は「ウプランドの音楽(Musik i Uppland)」の団体のひとつです。郡の音楽基金の支援を受けながら、コンサート活動を行っています。スパルフ、ベルント・リュセル、クララ・ヘルグレンがコンサートマスター。アンソニー・ホルステッドの指揮で録音したルーマンの《ドロットニングホルムの音楽》(Naxos 8.553733)は、スカンディナヴィアを中心に人気を集め、2002年のゴールドディスクを受賞しました。モーツァルトのヴァイオリン協奏曲。新しい研究により、1773年4月14日、モーツァルトが17歳のときに作曲したことが確定したという変ロ長調の第1番。終楽章がフランス風に〈ロンドー〉と名づけられた第2番。1775年9月12日、ザルツブルクで書かれ、独奏ヴァイオリンとオーケストラがまるで戯れるように対話する第3番。同じ年の10月に作曲され、当時ストラスブールで流行っていた歌のメロディを引用したという終曲〈ロンドー〉が華やかな第4番。フランス、ハンガリー、トルコとめまぐるしく気分の変化する〈ロンド:テンポ・ディ・メヌエット〉の第5番イ長調は、モーツァルト19歳の1775年12月20日の作品。2013年にウプサラのコンサート&議会ホール(Uppsala Konsert & Kongress)で録音されたこのアルバムには、モーツァルト真筆の5曲が収録されています。確かな技術と様式感をもったウプサラの音楽家たちと、即興の気分にあふれたスパルフのヴァイオリンが、モーツァルト青春時代のもっとも美しい果実を瑞々しく香らせます。ビョーン・イェーヴェルト Björn Gäfvert の担当するチェンバロの通奏低音を加えた演奏です。

W・A・モーツァルト(1756–1791) ヴァイオリン協奏曲全集
 ヴァイオリン協奏曲第1番 変ロ長調 K.207
 ヴァイオリン協奏曲第2番 ニ長調 K.211
 ヴァイオリン協奏曲第3番 ト長調 K.216
 ヴァイオリン協奏曲第4番 ニ長調 K.218
 ヴァイオリン協奏曲第5番 イ長調 K.219《トルコ風》
  ニルス=エーリク・スパルフ(ヴァイオリン、コンサートマスター)
  ウプサラ室内管弦楽団

録音 2013年3月4日–7日、9月29日、10月3日 ウプサラ・コンサート&議会ホール(ウプサラ、スウェーデン)
制作 グンナル・アンデション
録音 トゥルビョーン・サミュエルソン

価格 ¥3,300(本体価格)

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シベリウス 交響曲全集 - BBCフィルハーモニック』

Chandos CHAN10809 3CD's for price of 2 classical


ヨン・ストゥールゴールズ John Storgårds(1963–)はヘルシンキ生まれ。シベリウス・アカデミーでヴァイオリンを学び、アヴァンティ!室内管弦楽団をはじめとするオーケストラのヴァイオリン奏者を経験した後、アカデミーに戻りヨルマ・パヌラとエリ・クラスの下で指揮法を修めました。ラップランド室内管弦楽団の芸術監督、ヘルシンキ・フィルハーモニック管弦楽団の首席客演指揮者、タンペレ・フィルハーモニックの首席指揮者を経て、2008年からヘルシンキ・フィルハーモニックの首席指揮者の地位にあります。彼が2012年1月から首席客演指揮者を務めるBBCフィルハーモニックを指揮したシベリウスの交響曲全集には、7つの交響曲とともに、ヘルシンキ大学図書館所蔵のシベリウス後期(1930年から1957年)の手稿譜群に含まれる「断片」が3つ、演奏されています("HUL" は "Helsinki University Library" の略)。この断片(演奏時間合計2分37秒)を手稿譜から写したのは、ヘルシンキ音楽院とシベリウス・アカデミーで音楽理論と音楽史を教え、Breitkopf & Härtel の出版プロジェクト、シベリウス作品全集(Jean Sibelius Werke)の編集長を2006年から務めるティモ・ヴィルタネン Timo Virtanen(1965–)です。彼が執筆したライナーノーツの最後の部分が「第8交響曲と3つの後期の断片」にあてられ、「第8交響曲の楽譜がない以上、この断片が(計画された)作品のものだったのかどうかは、知ることができない。一方で、1930年代からその後の時代にかけて第8交響曲以外の管弦楽作品が計画されていたということも知らない」と、シベリウスがアイノラの暖炉で楽譜を燃やしてしまったとされる「交響曲第8番」の「部分」の可能性も示唆しています。3枚のCDと52ページのブックレットを紙製のクラムシェル・ボックスに収めたセット。アデレード交響楽団をアルヴォ・ヴォルメルが指揮した演奏(ABC Classics 476 3943)とともに、フィンランド以外のオーケストラによるシベリウス交響曲全集の代表的録音に挙げられるでしょう。このアルバムの録音は、BBC の音響部門に所属し、近年は Proms のサウンド・スーパヴァイザーを務めるスティーヴン・リンカー Stephen Rinker が担当しました。いわゆる "Chandos Sound" とは異なる響きの録音です。

ジャン・シベリウス(1865–1957) 交響曲全集
 交響曲第1番 ホ短調 Op.39 交響曲第4番 イ短調 Op.63
 3つの後期の断片(ティモ・ヴィルタネン 校訂)
 (HUL1325, HUL1326/9, HUL1297/2)
 交響曲第2番 ニ長調 Op.43 交響曲第5番 変ホ長調 Op.82
 交響曲第3番 ハ長調 Op.52 交響曲第6番 ニ短調 Op.104
 交響曲第7番 ハ長調 Op.105
  BBCフィルハーモニック ヨン・ストゥールゴールズ(指揮)

録音 2012年9月5日(第3番)、10月23日(第6番)、24日(第7番)、2013年6月10日(第4番)、14日(第5番)、18日(第1番)、19日–20日(第2番)、12月11日(断片) メディアシティUK(サルフォード、イギリス)
制作 ブライアン・ピジョン、マイク・ジョージ
録音 スティーヴン・リンカー

価格 ¥4,300(本体価格)

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『フックス、ブラームス クラリネット五重奏曲』

CAvi Music 4260085533008 classical


ハノーファー生まれ、2008年にミュンヘンで行われた国際ARD音楽コンペティションで第1位、オーディエンス賞、特別賞を獲得し、2010年からシュトゥットガルト放送交響楽団(SWR)の首席クラリネット奏者を務めるセバスティアン・マンツ Sebastian Manz(1986–)が、同世代のアンサンブル、デンマーク弦楽四重奏団 Den Danske Strygekvartet/The Danish String Quartet と共演してブラームスとフックスのクラリネット五重奏曲を録音しました。デンマーク弦楽四重奏団はコペンハーゲンの王立音楽アカデミーで教えるティム・フレゼリクセンが2001年に創設。2004年にデンマーク放送(DR)P2 の室内楽コンペティションで第1位に選ばれてからは、デンマーク各地のコンサートとフェスティヴァルに出演、2006年にはデンマーク放送のアーティスト・イン・レジデンスとしてカール・ニルセンの弦楽四重奏曲(dacapo 6.220521, 6.220522)を録音しています。ルーネ・トンスゴー・サーアンセン Rune Tonsgaard Sørensen(1983–)、コペンハーゲン・フィルハーモニック管弦楽団のコンサートマスターを務めるフレゼリク・ウーラン Frederik Øland(1984–)、アスビャアン・ヌアゴー Asbjørn Nørgaard(1984–)、2008年から加わったノルウェーのチェリスト、フレードリク・スコイエン・シェーリン Fredrik Schøyen Sjölin(1982–)がメンバーです。

ロベルト・フックス Robert Fuchs(1847–1927)はオーストリアの作曲家、音楽教師。1875年からウィーン音楽院の音楽理論の教授を務め、マーラー、ヴォルフ、ツェムリンスキ、コルンゴルト、フィンランドのメラルティンとマデトヤをはじめとする音楽家たちを育てたことで知られます。1890年、ベルリンからウィーンに赴いたシベリウスも彼から私的にレッスンを受け、とりわけ作曲技法と技巧を重視したフックスからは学ぶことがあったといわれ、作曲に取り組み始めていた《クッレルヴォ》の第1楽章のスケッチをフックスに見せています(アンドリュー・バーネット『Sibelius』 Yale University Press p.68)。このアルバムで演奏されるフックスのクラリネット五重奏曲は1917年の作品です。〈アレグロ・モルト・モデラート〉〈アレグロ・スケルツァンド〉〈アンダンテ・ソステヌート〉〈アレグレット・グラツィオーゾ〉の4楽章。マンツは、チェリストのゲオルク・オイエンを通じて2006年にこの曲に出会っています。「ロマンティシズムへのノスタルジックな想いを強く感じていた20世紀初頭の特定の作曲家にみられる類いの、もったいぶった、重苦しい、ブラームスの模倣でしかない曲かと思っていたら、実に良質な音楽なので、びっくりした……和声を中心に思いがけない贈り物のつまった……変化に富み、独創性にみちた」と、マンツは、この作品についてライナーノートで語っています。マンツとデンマーク弦楽四重奏団は2011年にこの作品への取り組みを始め、「ハイデルベルクの春」フェスティヴァルでブラームスの五重奏曲と合わせて演奏。「感情の面でも音楽の面でもすべてがうまくいった」(マンツ)ことを受け、CDのための録音が行われました。

デンマーク弦楽四重奏団にとっては、2012年にミュンヘンで録音したハイドンの《ひばり》とブラームスの四重奏曲第2番(4260085532643)につづく録音です。

ロベルト・フックス(1847–1927)
 クラリネット五重奏曲 変ホ長調 Op.102
ヨハネス・ブラームス (1833–1897)
 クラリネット五重奏曲 ロ短調 Op.115
  セバスティアン・マンツ(クラリネット)
  デンマーク弦楽四重奏団
   ルーネ・トンスゴー・サーアンセン(第1ヴァイオリン)
   フレゼリク・ウーラン(第2ヴァイオリン)
   アスビャアン・ヌアゴー(ヴィオラ)
   フレードリク・スコイエン・シェーリン(チェロ)

録音 2013年4月、5月 バイエルン放送(BR)ミュンヘン・スタジオ
制作 トルステン・シュライアー
録音 ペーター・ウルバン

価格 ¥2,600(本体価格)

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