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『光(Lux)』

BIS SACD2243 SACD hybrid(5.0 surround/stereo) traditional/contemporary


スウェーデンのニッケルハルパ(キー付きフィドル)は、4本の弦と12本の共鳴弦と鍵盤をもち、澄んでいながら温もりの感じられる、よく響く個性的な音色が特徴的な民俗楽器です。この楽器は、20世紀の中頃に廃れかけたことがあるものの、復活を果たし、若い世代の奏者たちがさまざまなジャンルの音楽に使うようになっています。エミリア・アムペル Emilia Amper(1981–)は、そうしたミュージシャンのひとり。スウェーデン南東部のトルソスで育ち、10歳のころニッケルハルパを弾き始めています。トロンハイムのノルウェー工科自然科学大学(NTNU)で音楽学と作曲を学び、ストックホルムの王立音楽大学、シベリウス・アカデミー、南デンマーク音楽演劇アカデミー、オーレ・ブル・アカデミーで民俗音楽を修めました。2010年には、ニッケルハルパの国際チャンピオンに選ばれ、彼女の作曲したニッケルハルパと弦楽オーケストラのための民謡組曲《Abrégé(短縮)》を収めたトロンハイム・ソロイスツのアルバム『民謡の調子で』(2L068SABD)がグラミー賞にノミネートされました。 

『光(Lux)』は、2012年の『魔法の鳥(Trollfågeln)』(SACD2013)に次ぐ彼女のソロアルバム第2作です。前作と同様、彼女のオリジナル作品と伝承曲の編曲を組み合わせたプログラム構成がとられました。「すべての女性音楽家に捧げる」《戯れるピューマ》、クリスマスに先立つ「光の女神」ルシアの祭に際して作詞、作曲した「世界が外国人嫌い、不寛容、他人への冷たさに覆われる」《暗黒の時代の光》、親友の自転車事故から学んだ「ヘルメットは必ずかぶりましょう」という教訓を音楽にした《ヨハンナの自転車乗り》、瞑想しながら即興していて湧いてきたメロディがヴォカリーズの歌になった「輝く光の音楽」《光》、第一次世界大戦兵士の追悼式のために作曲した《トルーマン》、グループ「バザール」を率いたイラン出身のハープ奏者、アシタ・ハミディを偲んで書いた《バタフライ・バザール》。「私の歌はすべて、日常の生活、人々や土地や文化や運命との出会い、感情と思考といったものから生まれたエピソードだったり物語だったり……」。それぞれの曲は、ミュージシャン全員の合奏、小アンサンブル、彼女のソロで演奏され、「4つのニッケルハルパのため」に彼女が編曲した《スヴェン・ドゥーナトのポルスカ》は、彼女がソプラノとテノールのニッケルハルパのパートも弾き、多重録音されました。2016年3月、ストックホルムのスウェーデン放送第2スタジオで行われたセッションの録音です。 

トラッドミュージックの中心地のひとつ、ウップランドには、このアルバムでパーカッションを担当しているフレードリク・イッレ Fredrik Gille と同じ苗字をもち、民俗音楽の伝統を受け継ぎ、あるいはニッケルハルパの製作に携わっている人たちが今も多く住んでいるといいます。「今を生きる」アムペルの音楽を聴きながら、かの地に思いを馳せてみる……。

『光(Lux)』 
エミリア・アムペル(1981–)(作曲・編曲) 
 Spelpuma(戯れるピューマ)(Emilia Amper) 
 Halling etter Bråta Per(ブロータ・ペールのハリング)(Trad.) 
 Ljus i mörkrets tid(暗黒の時代の光)(Emilia Amper) 
 Johanna's bike ride(ヨハンナの自転車乗り)(Emilia Amper) 
 Den melancoliska pollonessen(メランコリックなポロネーズ)(Trad.) 
 Lux(光)(Emilia Amper) 
 Elden(火)(Emilia Amper) 
 Polska efter Sven Donat(スヴェン・ドゥーナトのポルスカ)(Trad.) 
 Näckens polska från gamla tider(昔のの水の精のポルスカ)(Trad.) 
 Trueman(トルーマン)(Emilia Amper) 
 Sälen(アザラシ)(Emilia Amper) 
 Butterfly bazaar(バタフライ・バザール)(Emilia Amper) 
  エミリア・アムペル(ニッケルハルパ、ヴォーカル)
  ブリジット・マーズデン(ヴァイオリン) 
  エンマ・アールベリ・エーク(5弦ヴァイオリン) 
  アンデシュ・ローヴベリ(チェロ、バッキングヴォーカル) 
  ウッレ・リンデル(ベース、バッキングヴォーカル)
  ダン・スヴェンソン(パーカッション、ヴォーカル) 
  フレードリク・イッレ(パーカッション)

録音 2016年3月 スウェーデン放送(SR)第2スタジオ(ストックホルム、スウェーデン) 
制作 エミリア・アムペル、トゥーレ・ブリンクマン 
録音 トゥーレ・ブリンクマン
 
価格 ¥2,650(本体価格) 

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『モンラード・ヨハンセン 室内楽のための作品』

Simax PSC1334 classical


モンラード・ヨハンセン David Morad Johansen は、グリーグ後のノルウェーで「偉大なるエドヴァルド」とは異なる音楽語法と表現をとりながら「真のノルウェー」を示す、独自の道を探ったひとりです。ゲイル・トヴェイトの室内楽作品集『旅日記から』(PSC1222)を制作したフラガリア・ヴェスカ Fragaria Vesca によるモンラード・ヨハンセンの室内楽作品。ヴァイオリンソナタは彼がこのジャンルで手がけた唯一の作品です。作曲家アルフ・フールムからドビュッシーとラヴェルの音楽を教えられ、特定の和声を一貫して使うことを学ぶためピアノの小品を数多く書くようにという助言を受けた翌年、1913年の冬から秋にかけて作曲されました。ふたつの「アレグロ」楽章に挟まれる第2楽章〈アレグロ・クワジ・アンダンテ〉の「悲しい気分」に、彼が生まれ育ったノルランドへの想いが反映されていると言われます。アメリカ原住民のモホーク族の戦士ハイアワサを題材にしたフルダ・ガルボルグ Hulda Garborg の抒情劇『大いなる平和』のための付随音楽は、「インディアンの愛の歌」「インディアン戦士の行進」「太陽の歌」の副題をもつ3曲をはじめ、5つの前奏曲から構成されています。1925年、ノルウェー劇場の委嘱により作曲されながら上演が行われず、混声合唱のために編曲された《インディアンの愛の歌》をのぞき、楽譜も出版されませんでした。 

《ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための四重奏曲》は、第二次世界大戦後、モンラード・ヨハンセンが、ドイツの占領に協力したクヴィスリングの国民連合の党員だったことから反逆罪に問われ、イレブ収容所で「贖罪の日々」を送っていたころ、音楽理論に関する著作を読み、ヘンデルとレーガーのフーガ、J・S・バッハの《平均律クラヴィーア曲集》、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の研究に没頭しながら、作曲が進められた作品です。〈アレグロ・ヴィヴァーチェ〉〈アンダンテ・ソステヌート〉〈プレスト・ノン・トロッポ〉〈ヴィヴァーチェ〉。「作曲の苦闘」をカモフラージュするかのように「ハ長調」で書かれています。この曲は、1950年4月、内輪で演奏され、1953年5月、オスロで公式に初演されました。二十世紀ノルウェー室内楽レパートリーの「隠れた宝石」とされる作品です。 

《フルート、2つのヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための五重奏曲》は、モンラード・ヨハンセンがかつて設立に尽力し初代事務局長を務めたノルウェー作曲家協会の50周年記念のために作曲されました。〈グラーヴェ〉〈アレグレット・スケルツァンド-ヴィヴァーチェ〉、そして「パッサカリア」による〈ラルゴ〉。この作品の後、弦楽四重奏曲で作曲家人生に終止符を打つことになる彼が、さらに深い音楽表現の追求を止めなかったことを示す作品です。 

フラガリア・ヴェスカ Fragaria Vesca は、2006年、トール・ヨハン・ボーエン Tor Johan Bøen が中心となってオスロで結成されました。バロックから現代まで、さまざまな時代と様式の作品を「当時の様式」に沿った楽器で演奏、作品によって楽器編成を変えるスタイルを採っています。この録音に参加したアリソン・レイナー Alison Raynor はオーストラリア、ベネディクト・ロワイエ Bénédicte Royer とオレリエンヌ・ブローネ Aurélienne Brauner はフランス、セシーリエ・ヘッセルベルグ・ローケン Cecilie Hesselberg Løken はノルウェーのプレーヤー。ピアノの吉田早苗は、桐朋学園大学で学んだ後、ノルウェーに渡り、バラット=ドゥーエ音楽学校のイジー・フリンカ、スタヴァンゲル大学のホーコン・アウストボーに師事。研究を終え帰国までの数年間、オスロを拠点にソリスト、室内楽奏者、伴奏者としての経験を積んでいます。録音セッションは、2015年7月、響きの良さで知られるオスロのソフィエンベルグ教会で行われ、ベテランのアルネ・アクセルベルグ Arne Akselberg がエンジニアリングを担当しました。ノルウェー国立図書館所蔵の手稿譜による『大いなる平和』の音楽と、ボーエンが作曲者のスケッチを参照しながら校訂、編集した《ピアノ四重奏曲》は初録音です。 

ダーヴィド・モンラード・ヨハンセン(1888–1974) 室内楽作品集 
 ピアノ四重奏曲 ハ長調 Op.26(1947–48)* 
 ヴァイオリンソナタ Op.3(1913)* 
 『大いなる平和』への劇付随音楽(1925)
 (2つのヴァイオリン、チェロとピアノのための) 
  第1幕への前奏曲
  第2幕への前奏曲「インディアンの愛の歌(Indiansk kjærlighetssang)」 
  第3幕への前奏曲「インディアン戦士の行進(Indiansk krigsmarsj)」 
  第4幕への前奏曲 第5幕への前奏曲「太陽の歌(Solsong)」 
 フルート五重奏曲 Op.35(1967) 
  フラガリア・ヴェスカ 
   トール・ヨハン・ボーエン(ヴァイオリン)*
   アリソン・レイナー(ヴァイオリン) 
   ベネディクト・ロワイエ(ヴィオラ)
   オレリエンヌ・ブローネ(チェロ) 
   セシーリエ・ヘッセルベルグ・ローケン(フルート)
   吉田早苗(ピアノ) 

[Piano: Steinway D.274, 1983 New York, restored in 2010, Steinway & Sons, Hamburg] 

録音 2015年7月17日–18日、27日–30日 ソフィエンベルグ教会(オスロ、ノルウェー) 
制作 スティーヴン・フロスト 
録音 アルネ・アクセルベルグ
 
価格 ¥2,450(本体価格) 

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イギリス弦楽音楽のお気に入り』

Alba ABCD387 SACD hybrid(5.1 multichannel/stereo) classical


オストロボスニア室内管弦楽団は、フィンランドと北欧を代表する弦楽オーケストラのひとつ。2013年、創設者ユハ・カンガスの後を継いでサカリ・オラモ Sakari Oramo(1965–)が首席指揮者に就任。最初に録音したC・P・E・バッハの《6つのシンフォニア》(ABCD374)が BBC Music Magazine の2015年度最優秀クラシカル・アルバム賞にノミネートされるなど、このアンサンブルは新しいステージへの一歩を踏み出しました。セカンド・アルバムは、イギリス音楽によるプログラム。ブリテンが、師ブリッジの《3つの牧歌》の第2曲〈アレグレット・ポコ・レント〉の旋律を主題に、ブリッジの性格を映したとされる〈アダージョ〉と〈古典的ブレ〉と〈フーガ〉、「ロッシーニまがい」の〈イタリア風アリア〉、多調の〈ウィンナワルツ〉など10の変奏を書いた《フランク・ブリッジの主題による変奏曲》。エルガーが1892年に作曲、晩年の作曲者自身が「もっとも気に入りの」と語ることになるという《セレナード》。静かな詩情が時を超えて愛されているフィンジの《ロマンス》。ブリッジが、18世紀イギリスのバラード《横丁のサリー》と19世紀に流行った《熟したサクランボ》を「洒落た一楽章のアンコール曲に変えた」(リチャード・ブラトビ)《2つの古いイギリスの歌》。サカリ・オラモとオストロボスニアの音楽家たちの「お気に入り」の音楽を、先のアルバムの録音を担当したイギリスのエンジニア、サイモン・フォックス=ガール Simon Fox-Gál が、瑞々しい響きに収めています。

『イギリス弦楽音楽のお気に入り(Favourite English Strings)』
ベンジャミン・ブリテン(1913–1976)
 フランク・ブリッジの主題による変奏曲
 (Variations on a theme by Frank Bridge ) Op.10(1937)
エドワード・エルガー(1857–1934)
 セレナード(Serenade) Op.20(弦楽のための)(1892)
ジェラルド・フィンジ(1901–1958)
 ロマンス(Romance) Op.11
 (弦楽オーケストラのための)(1928)
フランク・ブリッジ(1879–1941)
 3つの牧歌(3 Idylls)(弦楽四重奏のための)(1907)
  - アレグレット・ポコ・レント
 2つの古いイギリスの歌(Two old English songs)
 (弦楽アンサンブルのための)(1916)
  横丁のサリー(Sally in our alley)
  熟したサクランボ(Cherry ripe)
  オストロボスニア室内管弦楽団 サカリ・オラモ(指揮) 

録音 2014年11月24日–27日 スネルマン・ホール(コッコラ、フィンランド)
制作・録音 サイモン・フォックス=ガール 

価格 ¥2,300(本体価格)

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『モーツァルト 3つのヴァイオリン協奏曲』

Naxos 8.573513 classical


ヘンニング・クラッゲルード Henning Kraggerud(1973–)は、現代ノルウェーとスカンディナヴィアを代表するヴァイオリニスト、芸術家のひとり。オスロ・フィルハーモニックをはじめとするオーケストラにソリストとして客演、トルルス・モルクやホーヴァル・ギムセ、あるいはスティーヴン・コヴァセヴィッチたちと室内楽で共演し、国際的な評価を高めるとともに、彼が師事したカミラ・ウィックスをしのばせる、感受性豊かで率直な音楽が、広く愛されています。ディスコグラフィも、リーソール音楽祭の弦楽オーケストラと共演したスヴェンセンの《ロマンス》(Simax PSC1097)に始まり、グリーグのソナタ(Naxos 8.553904)、シンディングとシベリウスの協奏曲(8.557266)、シンディングのヴァイオリンとピアノのための作品(8.572254/8.572255)、イザイの《6つのソナタ》(PSC1293)、『ムンク』(PSC1322)、ジャズ・ピアニストのブッゲ・ヴェセルトフトとのデュオ『最後の春』(ACT9526-2)……。「作曲家」クラッゲルードの「24の後奏曲」をアークティック・フィルハーモニックと演奏した《分点(Equinox)》(PSC1348)とゲスト参加のアルバム『岩の翼の下に』(2L119SACD)が、最近リリースされました。最新のアルバムは、弦楽三重奏のための《ディヴェルティメント 変ホ長調》(8.572258)とクラリネット協奏曲と五重奏曲の「ヴィオラ」編曲版(PSC1290)につづく、モーツァルト。「モーツァルト青春時代のもっとも瑞々しい果実」ヴィオリン協奏曲の第3番、第4番、そして「トルコ風」のニックネームをもつ第5番です。かつてアイオナ・ブラウンが芸術監督を務めたノルウェー室内管弦楽団が共演。3つの曲の第1楽章と第2楽章で演奏されるカデンツァは、クラッゲルードの作曲です。2015年1月、オスロ・フィヨルドを見守る要塞、アーケシュフース城の教会で行われたセッションで録音されました。《ディヴェルティメント》とイザイの室内作品(8.570977)のショーン・ルイス Sean Lewis が制作を担当しています。 

[追記] アルバムのブックレットにはキース・アンダソンのライナーノートにつづき、クラッゲルードが寄せた一文が掲載されています。「……以前コンペティションの審査員を務めた時のことを思い出す。同僚の審査員が言うには、ふたりの奏者が技術面で優劣つけがたいことがあるときに限り、音楽的に優れた方を選ぶべきだ、と。……若いプレーヤーが自分たち自身の声を見つけるよう、教える立場にある私たちが励まし助けないとしたら、世界はどうなるだろう。音楽との語らいや情熱よりも規則に従うことが評価される世界を私たちは望むだろうか……」。 

W・A・モーツァルト(1756–1791)
 ヴァイオリン協奏曲第3番 ト長調 K.216
 ヴァイオリン協奏曲第4番 ニ長調 K.218
 ヴァイオリン協奏曲第5番 イ長調 K.219 
  ヘンニング・クラッゲルード(ヴァイオリン)
  ノルウェー室内管弦楽団 

 [カデンツァ ヘンニング・クラッゲルード] 

録音 2015年1月27日–29日 アーケシュフース城教会(オスロ、ノルウェー)
制作・編集 ショーン・ルイス
録音 マイク・ハッチ 

価格 ¥1,100(本体価格)

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『川(The River)』

Alba ABCD385 SACD hybrid(5.1 multichannel/stereo) classical


セリム・パルムグレン Selim Palmgren は1878年生まれ。ヘルシンキ音楽学校でシベリウスの師でもあるマルティン・ヴェゲリウスに作曲を学びました。「『カレヴァラ』に基づく音詩をシベリウス自身の指揮で聞き、見る……忘れがたい体験……『カレヴァラ』はシベリウスの手に委ね、私は何か他のことを考えよう……」。パルムグレンは、ピアニストとしても知られ、5つのピアノ協奏曲と約350のピアノ曲、男声合唱を中心とする200曲以上の合唱曲、歌劇《ダニエル・ユート》などを作曲、その多くがフィンランド・ロマンティシズムの大切なレパートリーとして記憶されています。フィンランドのピアニスト、シベリウスのピアノ曲やラフマニノフのピアノ協奏曲第2番と第3番の録音で知られ、作曲家でもあるヘンリ・シーグフリードソン Henri Sigfridsson(1974–)のパルムグレン・アルバム。ピアノ協奏曲第1番は1904年の作曲。南オストロボスニアの旋律による序奏とマーチ風の音楽、ゆっくり流れる中間部、スケルツォ風のフィナーレから構成される一楽章の短い作品です。第2番の協奏曲は、パルムグレンが生まれ育ったポリ市を流れるコケマキ川をインスピレーションに作曲され、「人生の流れ」を重ねる《川》の副題がつけられました。序奏、2つのカデンツァ、賛歌のフィナーレをもつ「急緩急」の単一楽章の音楽。主題のひとつにスウェーデンの民謡が使われています。第3番《メタモルフォーゼ》は、合唱指揮者クレメッティによるオストロボスニア敬虔主義者の旋律と9つの変奏曲による作品です。シューマン、リスト、グリーグ、ブゾーニ、ロシア・ロマンティシズムとりわけラフマニノフの伝統に沿いながら印象主義の色彩をいち早く取り入れたパルムグレンのピアノ音楽の魅力が3つの協奏曲に美しく示されます。シーグフリードソンとポリのオーケストラは、それぞれの曲の特徴を明確に示しながら、瑞々しくのびやかな音楽を展開していきます。指揮者のセーデルブロム Jan Söderblom がヴァイオリンを担当した《ヴァイオリンとピアノのための小品》は、フィンランドの民謡に基づく〈カンツォネッタ〉や「祈り」の〈プレギエラ〉など、1921年から翌年にかけて作曲された小曲集です。

川(The River) - パルムグレン、ピアノ協奏曲
セリム・パルムグレン(1878–1951)
 ピアノ協奏曲第2番 Op.33 《川(Virta)》(1912–13)
 ピアノ協奏曲第1番 ト短調 Op.13(1904)
 ピアノ協奏曲第3番 Op.41 《メタモルフォーゼ(Metamorphoses)》
 (1916)
 ヴァイオリンとピアノのための小品 Op.78(1921–22)
  前奏曲(Prelude) ユモレスク(Humoresque)
  カンツォネッタ(Canzonetta) フィドル弾き(The Fiddler)
  フィンランド・ロマンス(Finnish Romance)
  東洋風セレナード(Oriental Serenade) プレギエラ(Preghiera)
  ヘンリ・シーグフリードソン(ピアノ) ポリ・シンフォニエッタ
  ヤン・セーデルブロム(ヴァイオリン、指揮) 

録音 2014年9月11日–12日 プロムナードホール(ポリ、フィンランド)
制作・録音 サイモン・フォックス=ガール 

価格 ¥2,300(本体価格)

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『マリータ・ソルベルグ』

Simax PSC1336 classical


ノルウェーのソプラノ歌手、マリータ・ソルベルグ Marita Sølberg(1976–)。オスロの国立オペラ大学(現、オスロ国立芸術大学)とノルウェー国立音楽アカデミーに学び、2006年から2008年までシュトゥットガルト州立歌劇場で歌い、2008年、ノルウェー国立歌劇場に首席アーティストとして入団しました。2012年上演の新しいプロダクションによる《ラ・ボエーム》でミミ役を歌いノルウェー音楽批評家賞を受賞、同じ役で初めてウィーン国立歌劇場の舞台に立ちました。ハイドンの《天地創造》やブラームスの《ドイツ・レクイエム》などのコンサートに客演、マルク・ミンコスフキとルーヴル宮音楽隊がヨーロッパ・ツアーで演奏したバッハの《マタイ受難曲》に参加しました。オーレ・クリスチャン・ルードとベルゲン・フィルハーモニック管弦楽団が行ったグリーグの音楽によるイプセンの劇『ペール・ギュント』(BIS SA1441/42)でソールヴェイの歌とセリフを担当、〈ソールヴェイの歌〉は2010年のノーベル平和賞授与式でも歌っています。初めてのソロ・アルバム。かつてフランス映画『ディーバ』のリサイタル・シーンで歌われた《ラ・ワリー》のアリア「私は遠いところに行きましょう(さようなら、ふるさとの家よ)」で幕を開け、シュトラウスの《ダナエの愛》の間奏曲とダナエの歌で閉じる「リサイタル」スタイルで制作されました。国立歌劇場で歌ったミミ、ジュリエッタ、ネッダ、フェニーチェ劇場でも演じた《フィガロの結婚》の伯爵夫人……プッチーニやモーツァルトたちの「ヒロイン」を演じ、美しく瑞々しい声で「ドラマ」を歌う。そのソルベルグの歌にノルウェー国立歌劇場のオーケストラが、デリケートに優しく寄り添います。指揮者のジョン・フィオーレ John Fiore(1960–)はニューヨーク生まれ。メトロポリタンをはじめ各国のオペラハウスに客演、デュッセルドルフのライン・ドイツ・オペラを経て、2009年から2016年までノルウェー国立歌劇場の音楽監督を務めました。「ノルウェー・オペラ」の設立に情熱を傾けた往年のソプラノ歌手に因む「フラグスタ1番地」のオスロ・オペラハウスで行われた録音セッション。ベテラン・エンジニアのアルネ・アクセルベルグが録音を担当、ソルベルグの歌とオーケストラを、「オペラ」舞台をイメージさせるバランスで収録しています。

マリータ・ソルベルグ(Marita Sølberg)
アルフレード・カタラーニ(1854–1893)
 歌劇《ラ・ワリー》
 - 私は遠いところに行きましょう(Ebben? Ne andrò lontana)
W・A・モーツァルト(1756–1791)
 歌劇《フィガロの結婚》
 - 楽しい思い出はどこへ(Dove sono)
  愛の神よ照覧あれ(Porge amor)
シャルル・グノー(1818–1893)
 歌劇《ロメオとジュリエット》
 - 私は夢に生きたい(Ah! Je veux vivre)
ジョルジュ・ビゼー(1838–1875)
 歌劇《真珠採り》- 夜の闇にただひとり…いつかのような暗い夜に
 (Me voilà seule dans la nuit…Comme autrefois dans la nuit
  sombre)
ルッジェーロ・レオンカヴァッロ(1857–1919)
 歌劇《道化師》- 大空を晴れやかに(Qual fiamma avea)
ジャコモ・プッチーニ(1858–1924)
 歌劇《トゥーランドット》
 - お聞きください王子さま(Signore, ascolta)
  氷のような姫君の心を(Tu che di gel sei cinta)
 歌劇《ラ・ボエーム》- 私の名はミミ(Sì, mi chiamano Mimi)
ヴィンチェンツォ・ベッリーニ(1801–1835)
 歌劇《カプレーティ家とモンテッキ家》
 - ああ、いくたびあなたのために天に祈ったことか
 (Oh! quante volte, oh! volte)
セルゲイ・ラフマニノフ(1873–1943)
 歌劇《フランチェスカ・ダ・リミニ》
 - おお、泣かないでください、私のパオロ
 (O, ne riday, moy Paolo)
アントニーン・ドヴォルジャーク(1841–1904)
 歌劇《ルサルカ》
 - 月に寄せる歌「空の深みのお月さま」
ジュゼッペ・ヴェルディ(1813–1901)
 歌劇《オテロ》- アヴェ・マリア(Ave Maria, piena di grazia)
リヒャルト・シュトラウス(1864–1949)
 歌劇《ダナエの愛》- 間奏曲
  あなたのそばで安らぎに包まれ
  (Wie umgibst du mich mit Frieden)
  マリータ・ソルベルグ(ソプラノ)
  ノルウェー国立歌劇場管弦楽団 ジョン・フィオーレ(指揮)

録音 2013年10月、2014年1月、4月 オスロ・オペラハウス(オスロ)
制作 ヨルン・ペーデシェン
録音 アルネ・アクセルベルグ

価格 ¥2,450(本体価格)

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