ウェブサイトで過去に紹介した Our Select をのぞく北欧と北欧以外のディスクをピックアップして掲載するページです。

 『2017』
BIS SACD 2418 SACD hybrid (5.0 surround/stereo) contemporary/classical

 
『2017 - クリスチャン・リンドベリ 管弦楽のための作品集』
クリスチャン・リンドベリ(1958–)
 ウロンゴンの波(The Waves of Wollongong)(2006–09)
 (9本のトロンボーンと管弦楽のための)*
 リヴァプールの子守歌(Liverpool Lullabies)(2015–16)
 (トロンボーン、打楽器と管弦楽のための)**
 2017(管弦楽のための)
  アントワープ交響楽団
  クリスチャン・リンドベリ(指揮、トロンボーン **)
  ニュー・トロンボーン・コレクティヴ *
   アレクサンデル・フェルベーク(アルト・トロンボーン)
   アレックス・ガルシア(アルト・トロンボーン) 
   ダニ・キエレス・カスカント(アルト・トロンボーン)
   セバスティアン・ケムネル(テナー・トロンボーン)
   ホセ・ルナ・アグード(テナー・トロンボーン)
   バネッサ・バイレーン(テナー・トロンボーン)
   ブラント・アッテマ(バス・トロンボーン)
   マルク・ボーンストラ(バス・トロンボーン)
   ロエル・アーフォンズ(バス・トロンボーン)
  エヴェリン・グレニー(打楽器)**
  
録音 2018年9月 エリザベートホール(アントワープ、ベルギー)
制作 ロバート・サフ
録音 シュテファン・レー

 
スウェーデンのトロンボーン奏者、クリスチャン・リンドベリ Christian Lindberg は、近年、「作曲家」として注目されることが多くなり、各国のオーケストラやプレーヤーから委嘱される音楽の作曲に意欲的に取り組んでいると言います。彼がアントワープ交響楽団を指揮して2018年に録音した新しいアルバムでは、10年以内に作曲された3つの管弦楽曲が演奏されます。《ウロンゴンの波》は、オランダの若いプレーヤーたちが2001年に結成した「ニュー・トロンボーン・コレクティヴ」と共演するための作品としてロッテルダム・フィルハーモニックから委嘱を受け、作曲されました。作曲のヒントとなったのは、オーストラリア南東部沿岸の都市ウロンゴンで実際に目にした、ニュージーランドのホークス・ベイからタスマン海を越えて押し寄せる波。その大小さまざまな波の姿をニュー・トロンボーン・コレクティヴの9本のトロンボーンに変える音楽が生まれます。「祝いの花火」に終わる音楽をリンドベリは、BIS Records の CEO、フォン・バールに献呈しました。
 
《リヴァプールの子守歌》は、デイムの称号を授かった打楽器奏者エヴェリン・グレニー Evelyn Glennie とリンドベリ自身のトロンボーンの「二重協奏曲」として指揮者ジョン・ラボックから依頼を受けた作品です。クリスチャンが6歳の時、ビートルズの大ファンだった母親が子守歌に歌ってくれた歌の「胚芽」をベースに作曲。名高い音楽祭のひとつ「チェルトナム・フェスティヴァル」で、グレニーとリンドベリが、ラボックのオーケストラ、セント・ジョンズ・スミス・スクエア管弦楽団と共演して初演しました。
 
《2017》は、2013年、フランダース・フィルハーモニック(現、アントワープ交響楽団)のヘールト・リームとハンス・フェルブークトからストラヴィンスキーの《春の祭典》をモデルにした同規模の管弦楽曲について打診され、さまざまな状況から作曲が延び延びになってしまっていた作品です。作曲のきっかけは、2016年11月のアメリカ大統領選挙だったと言います。「世界が、突然ひっくりかえり……2016年11月8日から2017年1月1日までの間、あまりのショックに心理的に麻痺してしまった」。そして「2017年」の最初の日にアイデアが浮かび、一年かけて作品を完成させます。〈The World Upside Down(ひっくりかえった世界)〉〈Lonely Creatures(孤独な生き物)〉〈Fake News(フェイクニュース)〉〈Inner Soul(内なる魂)〉〈The Bragger(自慢屋)〉〈Reflection(内省)〉〈Train from Hell(地獄発の列車)〉の7曲で構成した約33分の作品。アメリカ、MSNBC のテレビ番組のキャスターを務めるジャーナリストのレイチェル・マドウ(マドー)に献呈されました。 
 
価格 2,915円(税込価格)(本体価格 2,650円)

 『You Should Have Told Me(言ってくれればよかったのに)』
Prophone PCD 204 jazz

 
『You Should Have Told Me(言ってくれればよかったのに)』
 You Should Have Told Me(Bobby Barnes/Redd Evans/Lewis Bellin)
 Once Upon a Summertime(Michel Legrand/Eddie Barclay)*
 You’ve Got a Friend in Me(Randy Newman)
 Just Squeeze Me(Duke Ellington/Lee Gaines)
 Too Young(Sidney Lippman/Sylvia Dee)
 The Thrill Is Gone(Ray Henderson/Lew Brown)*
 ‘Deed I Do(Fred Rose/Walter Hirsch)
 Blackbird(John Lennon/Paul McCartney)
 I Get Along without You Very Well
 (Hoagy Carmichael/Jane Brown Thompson)*
  エレン・アンデション(ヴォーカル)
  ヨエル・リュサリデス(ピアノ)
  アントン・フォシュベリ(ギター)
  ニクラス・フェーンクヴィスト(ベース)
  ユーハン・ローヴクランツ・ラムジー(ドラム)
  ペーテル・アスプルンド(トランペット)
  ユハンナ・ターヴェリーン(ヴァイオリン)*
  ニーナ・ソーデルベリ(ヴァイオリン)*
  イェニー・アウスティンソン(ヴィオラ)*
  フローリアン・エーペルディング(チェロ)*
 
録音 2019年6月 ニレント・スタジオ(コッレレード、スウェーデン)
制作 アントン・フォシュベリ、エレン・アンデション
ミクシング ポール・スヴェンレ

 
スウェーデンのヴォーカリスト、エレン・アンデション Ellen Andeersson(1991–)は、2016年にデビュー・アルバム『I’ll Be Seeing You』(PCD165)を発表。デンマーク最古の音楽雑誌『GAFFA』から「ダイアナ・クロールの1993年のデビュー・アルバム以来、もっとも注目すべき、将来を期待させるデビュー作」と評され、2017年、ジャズ雑誌『OrkesterJunalen』の主宰するスウェーデンでもっとも栄誉あるジャズ・アウォードのひとつ「ゴールデン・ディスク(Gyllene Skivan)」に選ばれました。
 
Prophone レーベルのアルバム第2作。ドリス・デイが1946年に録音した『You Should Have Told Me(言ってくれればよかったのに)』をアルバム・タイトルにとり、前作と同じようにスタンダート・ナンバーを9曲歌っています。ブロッサム・ディアリー、トニー・ベネット、モニカ・セッテルルンド、バーブラ・ストライサンドたちが歌ったミシェル・ルグランの《Once Upon a Summertime》。ランディ・ニューマンが『トイ・ストーリー』の主題歌として作詞、作曲した《You’ve Got a Friend in Me》(邦題《君はともだち》)。デューク・エリントンとリー・ゲインズの《Just Squeeze Me》(きつく抱いてもいいけど、本気じゃなきゃいや)。ナット・キング・コールが歌ってミリオンセラーを果たし、ダニー・オズモンドのレコードも国際的にヒットしたシドニー・リップマンとシルヴィア・ディーの《Too Young》。瑞々しかった恋の終わりを歌う《The Thrill Is Gone》は、1931年のブロードウェイ・ミュージカルから生まれたナンバーです。ダイアナ・クロール(クラール)が『パリ・ライヴ』で歌った《‘Deed I Do》。黒人女性を「黒い鳥」になぞらえたと言われるビートルズの《ブラックバード》。チェット・ベイカーの歌で親しまれているホーギー・カーマイケルの《I Get Along without You Very Well》。
 
セッションに参加したミュージシャンは、前作の「カルテット」のアントン・フォシュベリ Anton Forsberg、『Dreamers』(PCD178)『A Better Place』(PCD200)のヨエル・リュサリデス Joel Lyssarides とニクラス・フェーンクヴィスト Niklas Fernqvist、『All My Septembers』(PCD205)のペーテル・アスプルンド Peter Asplund とユーハン・ローヴクランツ・ラムジー Johan Löfcrantz Ramsay。いくつかの曲は、ユハンナ・ターヴェリーン Johanna Tafvelin たちの弦楽四重奏を加えて演奏されています。 
 
価格 2,365円(税込価格)(本体価格 2,150円)

『プロコフィエフ 3つの交響曲』
BIS SACD 2174 SACD hybrid (5.0 surround/stereo) classical 

 
セルゲイ・プロコフィエフ(1891–1953)
 交響曲第1番 ニ長調 Op.25《古典交響曲》(1916–17)
 交響曲第2番 ニ短調 Op.40(1924–25)
 交響曲第3番 ハ短調 Op.44(1928)
  ベルゲン・フィルハーモニック管弦楽団 アンドルー・リットン(指揮)
 
録音 2015年5月(第1番)。2017年8月、9月 グリーグホール(ベルゲン、ノルウェー)
制作 ロバート・サフ
録音 マリオン・シュヴェーベル(第1番)、ファビアン・フランク(第2番・第3番)

 
ベルゲン・フィルハーモニック管弦楽団とアンドルー・リットンは、プロコフィエフの交響曲を第6番(BIS SA1994)、第5番(BIS SA 2124)、第4番と第7番(BIS SA 2134)と録音してきました。シリーズの最後、第1番から第3番までの3曲を収めたディスクがリリースされます。
 
第1番の交響曲は、プロコフィエフが26歳の時の作品です。《古典交響曲》の副題がつけられ、「ハイドンがこの時代に生きていたら使っただろう」というスタイルで作曲。1918年、サンクトペテルブルクで初演されました。1924年から1925年にかけてパリで作曲された第2番は、ベートーヴェンの最後のソナタ(Op.111)に倣い、荒々しい短調の楽章と変奏曲の楽章の2つの楽章で書かれています。
 
第3番は、オペラ《炎の天使》を素材に使って書かれた交響曲です。悪魔憑きを背景にした恋物語として作曲されたこのオペラは、ベルリン国立歌劇場の1927年から1928年のシーズンに演奏される予定だったものの実現せず、全5幕のうち第2幕だけが、1928年6月、クーセヴィツキーが指揮して演奏会形式で演奏されました。交響曲は、和音の衝突から始まる〈モデラート〉、瞑想的な〈アンダンテ〉、最初の2つの楽章の要素をより軽いテクスチュアの音楽とした〈アレグロ・アジタート - アレグレット〉、暴力的な和声の音楽が「カタルシス」を生む〈アンダンテ・モッソ -アレグロ・モデラート〉の4楽章で構成。1928年に作曲され、1929年5月、ピエール・モントゥーが指揮してパリで初演されました。 
 
ベルゲンのオーケストラとリットンの演奏は、管弦楽のクリアなテクスチュアと美しい響きに大きな特色があり、第1番から第3番まで、プロコフィエフの「オーケストラ」音楽をゆったりと楽しむことができます。ロバート・サフのプロダクション。「86分33秒」と長時間収録されたディスクです。
 
価格 2,915円(税込価格)(本体価格 2,650円)

『Eskapist(現実逃避者)』
BelAir Classiques BAC 576 (Blu-ray video)/BAC 176 (DVD-video) contemporary/classical  

 
アレクサンデル・エークマン(1984–)/ミケール・カールソン(1975–)
 Eskapist(現実逃避者)
  オスカル・サロモンソン(逃避者) ダリア・イワノフ(コーンヘッド)
  サラ・ジェーン・メドリー(コーンヘッド)
  ヨンナ・サヴィオヤ(木の女王)
  アントン・ヴァルドバウエル(Du och jag/You and Me、年長逃避者)
  エミリ・スラウスキ(Du och jag/You and Me)
  ヨアキム・アーデベリ(年長逃避者)
  ジェローム・マルシャン(年長逃避者) 山口真有美(年長逃避者)
  佐々晴香(Classical Pas de Deux)
  アディリジャン・アブドゥレヘマン(Classical Pas de Deux)
  アリーナ・ラゴアス(赤い帽子の女)
  エーリク・ヴァルグレーン(チェロ)
  王立スウェーデン・バレエ ニコラ・ル・リシュ(芸術監督)
 
原案・振付・装置・照明 アレクサンデル・エークマン
音楽 ミーケル・カールソン
衣装 ヘンリク・ヴィブスコフ
映像制作 グザヴィエ・デュボワ
映像監督 トミー・パスカル
 
収録 2019年4月13日 王立スウェーデン歌劇場(ストックホルム)
 
Bonus: アレクサンデル・エークマン、インタビュー(英語、字幕なし)
 
[Blu-ray: 16:9 1080i PCM 2.0/DTS-HD MA5.1/DVD: 16:9 NTSC PCM 2.0/DTS 5.1 DVD9 スウェーデン語 字幕:フランス語、英語 88分(バレエ)16分(ボーナス)]

 
「白日夢、現実からの逃避、想像力…あなたは逃避者ですか? そうだとしたら、どんな時に? 私たちは、時折、白日夢を見て、音楽を聴いて、映画を観て、あるいは、新たな現実をでっち上げるといったことによって現実から目をそらします。劇場にいるあなたは、ちょっとの間、あなた自身の逃避者の心が決して見ることのなかった世界を訪れることになるでしょう」(王立スウェーデン・オペラ)。スウェーデン王立バレエが2019年に初演したアレクサンデル・エークマンのバレエ《Eskapist(現実逃避者)》は、「見たことも聞いたこともなければ、考えもしなかったことでいっぱい」の舞台が、驚きと喜びをもって迎えられ、大きな話題を呼びました。
 
この作品を振付したアレクサンデル・エークマン(アレクサンダー・エクマン) Alexander Ekman(1984–)は、バレエ振付のフロントランナーのひとり。ストックホルムの王立スウェーデン・バレエで学び、バレエ・ダンサー、振付師として活動しています。彼が振付を担当した作品は、王立スウェーデン・バレエ、ノルウェー国立バレエ、モンテ・カルロ・バレエ、ボストン・バレエ、ゼンパオーパー・バレエ、オランダ・ダンスシアターで上演され、シェイクスピアの戯曲を自由に解釈、人間の世界と超自然的存在の王国の境界をかぎりなく薄くした世界を描いた2015年初演の《真夏の夜の夢》(BAC541/BAC141)は、多くの賛辞を獲得しました。『現実逃避者』は、前作と同じくミーケル・カールソンとのコラボレーションから生まれた作品です。作曲家ミーケル・カールソン(マイケル・カールソン) Mikael Karlsson(1975–)は、スウェーデンのハルムスダード生まれ。アーロン・コープランド音楽学校でクラシカル音楽作曲の修士号を取得、ニューヨーク・シティに住み、ビデオゲーム、テレビと映画のドキュメンタリー作品、バレエの分野を中心に作曲活動を行っています。
 
価格 3,740円(税込価格)(Blu-ray/DVD)(本体価格 3,400円)
 

 

『North』
Prophone PCD 238 jazz

 
『North』
 Islands of the North(Anders Hagberg) Inga(Anders Hagberg)
 Avenue Junot(Anders Hagberg) North(Anders Hagberg)
 Four Three(Anders Hagberg) Melodic Modes(Anders Hagberg)
 Giðða(Anders Hagberg) Silent Ways(Anders Hagberg)
 Children(Anders Hagberg)
  アンデシュ・ハーグベリ(フルート)
  ユハンネス・ルンドベリ(ベース)
  ヨーナ・トイヴァネン(ピアノ)
  ヘルゲ・アンドレーアス・ノルバッケン(パーカッション)
 
録音 2020年2月
制作 アンデシュ・ハーグベリ 

 
アンデシュ・ハーグベリ Anders Hagberg(1958–)は、スウェーデンの音楽家。ヨーテボリ大学の音楽学部で学び、フルートとサクソフォーンのプレーヤー、作曲家、音楽教師として主にジャズとワールドミュージックの分野で活動しています。バス・フルート、コントラバス・フルートなど多種のフルート、ソプラノサックス、ピアノ、打楽器をひとりで演奏するアルバム『Trust(信頼)』(PCD 176)を2018年にリリース、視覚芸術とコラボレートして作曲した音楽を素材にしたインプロヴィゼーションが注目されました。
 
新しいアルバム『North』は、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの最北部に暮らすサーミの人たちと文化からアイデアとインスピレーション得て作られました。2020年2月の後半に2日間行われたセッションには、ベーシストのユハンネス・ルンドベリ Johannes Lundberg、ピアニストのヨーナ・トイヴァネン Joona Toivanen、パーカッション奏者のヘルゲ・アンドレーアス・ノルバッケン Helge Andreas Norbakken が参加。ひと握りの曲からセッションが始まり、4人のプレーヤーのコラボレーションが進むうちに霊感のようなものに触発された直感的な音楽の流れをつかむことができた、とハーグベリは語っています。かつて共演したことのあるサーミのヨイク歌手、インガ・ユーソ Inga Juuso に捧げる《Inga》など9曲は、ハーグベリが作曲。『Trust』の世界にも通じる「北」の気分と寂寞感の漂う「音風景」が綴られていきます。
 
価格 2,365円(税込価格)(本体価格 2,150円)

『展覧会(Exhibition) 』
Grong Musikkproduksjon GMP 09-17N classical

 
モデスト・ムソルグスキー(1839–1881)(マイケル・アレン 編曲)
 組曲《展覧会の絵(Pictures at an Exhibition)》
クロード・ドビュッシー(1862–1918)(クリス・モワット 編曲)
 マスク(Masques)
J・S・バッハ(1685–1750)(クリス・モワット 編曲)
 ブランデンブルク協奏曲第3番 ト長調 BWV1048
  ノルウェー・ブラス・エクスポ
   スチャン・アイレットセン(トランペット)(OF)
   ブリンヤル・コルベルグスルード(トランペット)(SON)
   オーディン・ハーゲン(トランペット)(SSO)
   ユーナス・ハトラ(トランペット)(OF)
   インゲル・ベッセルードハーゲン(ホルン)(OF)
   ヤン・オラヴ・マッティンセン(ホルン)(OF)
   ペッテル・ヴィンロート(トロンボーン)(KORK)
   トールビョルン・ロンモー(トロンボーン)(OF)
   グレーテ・トーンハイム(トロンボーン)
   アイリク・A・デヴォル(バストロンボーン)(OF)
   スヴェッレ・S・オルスルード(ユーフォニアム)(FSMK)
   フローデ・アムンセン(テューバ)(OF)
   ヘミング・ヴァレビョルグ(打楽器)(OF)
   ヨン・クラーヴェネス(打楽器)(KNMM)
   アイヴィン・シリエホルム(打楽器)
 モッテン・シェルレルプ・ヴェンスベルグ(指揮)
 
録音 2009年1月24日–25日 ビグドイ教会(オスロ)
制作・録音 アスゲイル・グロング

 
「ノルウェー・ブラス・エクスポ Norwegian Brass Expo」は、ノルウェーのトップクラスの金管楽器奏者が集まって2007年に創設したアンサンブルです。オスロ・フィルハーモニック管弦楽団(OF)、スタヴァンゲル交響楽団(SSO)、ノルウェー放送管弦楽団(KORK)、ノルウェー軍音楽隊(FSMK)、王立ノルウェー海軍音楽隊(KNMM)、スウェーデンのノルショーピング交響楽団(SON)のプレーヤーとフリーランスのミュージシャンで構成、最高レベルの金管アンサンブル音楽を聴かせることをめざして活動しています。『展覧会』は、彼らのデビュー・アルバムです。ムソルグスキーのピアノ曲《展覧会の絵》は、コロラド州の「ボールダー・ブラス」で音楽監督、首席編曲者、テューバ奏者を務め、金管五重奏と金管アンサンブルのために250を超す編曲を手がけてきたマイケル・アレン Michael Allen の編曲を演奏。ドビューシーの《マスク》とバッハの《ブランデンブルク協奏曲第3番》を編曲したクリス・モワット Chris Mowat は、フィリップ・ジョーンズ・ブラスアンサンブルとロンドン・ブラスのアレンジャーとして知られます。指揮者のモッテン・シェルレルプ・ヴェンスベルグ Morten Schjelderup Wensberg は、ノルウェー国立音楽大学で指揮を学び、2006年の第3回ヨルマ・パヌラ国際指揮コンペティションで優勝しました。
 
ホルスト、グレンジャー、フロラン・シュミットの「ウィンド・オーケストラ」作品を演奏したノルウェー軍音楽隊のアルバム(Simax PSC1208)がカタログから外れてしまったこともあって、このノルウェー・ブラス・エクスポのアルバムは、「ウィンド・ミュージック」というより「音楽」を楽しみたいという音楽ファン、そして、プレーヤーにとって貴重な一枚です。
 
[現在お取り扱いできません]

『エコロジーの交響曲』
Sterling CDM 3004-2 CDR classical 

 
トゥルビョーン・イーヴァン・ルンドクヴィスト(1920–2000)
 交響曲第3番《シンフォニア・ドロローザ(Sinfonia dolorosa)》(1976)*
 交響曲第4番《シンフォニア・エコロジカ(Sinfonia ecologica)》(1984–85)(初稿)**
  ヨーテボリ交響楽団
  トゥルビョーン・イーヴァン・ルンドクヴィスト(指揮)*
  シクステン・エールリング(指揮)**
 
録音 1982年9月18日(第3番)、1985年10月3日(第4番) ヨーテボリ・コンサートホール(スウェーデン)(ライヴ)
制作 ウルフ=ボリエ・ベリ
録音 レーナ・サミュエルソン(第3番)、ミーケル・ベリエク(第4番)

 
Sterling Records の「モダン」シリーズ。20世紀スウェーデンの交響曲作家のひとり、ルンドクヴィストのCDになかった交響曲が2曲、ライヴ録音でリリースされます。トゥルビョーン・イーヴァン・ルンドクヴィスト Torbjörn Iwan Lundquist(1920–2000)は、ストックホルムのセーデルマルムで育ち、ストックホルムの王立音楽大学に進むものの、時代遅れの教育内容に嫌気がさして中退。ウプサラ大学で音楽史を専攻、ピアノをユングヴェ・フリュークト、歌と合唱指揮をヒューゴ・ハンマルストレム、対位法をハンス・レイグラフ、作曲をダーグ・ヴィレーンと、自身で選んだ音楽家たちに師事しました。完成した8曲の交響曲の他、管弦楽曲と協奏曲、室内楽曲、歌曲、合唱曲、オペラ、映画と劇場とラジオ番組の音楽、子供のための音楽、モニカ・セッテルルンドやヤン・ユーハンソンといったジャズ・ミュージシャンのための曲と、幅広く手がけました。1986年、スウェーデンのパルメ首相暗殺事件の翌日に作曲を始めた交響曲第7番 《人間性 - ダーグ・ハマーショルド追悼》(Caprice CAP21419)が代表作のひとつに挙げられ、ミケール・リンが初演した《風景》(Caprice CAP21403)も各国のテューバ奏者がレパートリーとしています。
 
交響曲第3番《シンフォニア・ドロローザ》(悲しみの交響曲)は、ルンドクヴィストが交響曲作家として認められるきっかけとなった作品です。1970年夏、夫人のマウドを病気で亡くし、山歩きをしている時にアイデアが浮かび、1971年にヤムトランドで作曲に取り掛かり、1975年、ブーヒュースレーンのサルトー島で完成させました。「ひと気のない山の景色……山歩きをする者は、選んだ道に歩みを進める……孤独なさすらい人……嵐……シンコペーションのリズムと歌うメロディ……嘆きの歌……追憶」。一貫性のある3つの部分で構成された単一楽章の作品です。1976年9月14日、ヤーノシュ・フュルスト指揮のマルメ交響楽団が初演。マウド夫人に献呈されました。
 
ヨーテボリ交響楽団の50周年記念の委嘱作として書かれた交響曲第4番は、ルンドクヴィストが深い関心を寄せる環境と環境破壊という問題への想いを語った作品です。副題の《シンフォニア・エコロジカ》(エコロジーの交響曲)は、この作品が政治的メッセージととられることを避けるため、初演に際して撤回。1986年の改訂稿からも削除されました。三管編成、ティンパニ、14の打楽器、2台のハープ、ピアノとチェレスタ。「激しく(Furioso)……感情をこめて、ロマンティックに(Espressivo e romantico)……」と進む単一楽章の作品。ルンドクヴィストは、リズムの扱いの巧みな指揮者のシクステン・エールリング Sixten Ehrling(1918–2005)を念頭に置き、ジャズの影響をうかがわせる音楽も含む多様なスタイルで書き上げています。ヨーテボリ交響楽団とエールリングに献呈。1985年10月3日、ヨーテボリ・コンサートホールで初演。そのコンサートのライヴ録音です。
 
価格 2,695円(税込価格)(本体価格 2,450円)
 

高品質メディア(Sony DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-Rによるリリースです。

『北欧の春(Nordic Spring)』
Simax PSC 1264 classical 

 
『北欧の春(Nordic Spring) - 弦楽オーケストラのための北欧の音楽』
エドヴァルド・グリーグ(1843–1907)
 組曲《ホルベアの時代から(Fra Holbergs tid)》 Op.40
クット・アッテルベリ(1887–1974)
 組曲第3番 嬰ハ短調 Op.19–1
 (ヴァイオリン、ヴィオラと弦楽オーケストラのための)
ヨハン・スヴェンセン(1840–1911)
 ロマンス(Romance) ト長調 Op.26(ヴァイオリンと管弦楽のための)
カール・ニルセン(1865–1931)
 小組曲(Lille suite) FS6 Op.1(弦楽のための)
エドヴァルド・ブレイン(1887–1957)
 セレナード(Serenade)(1947)(ヴィオラと管弦楽のための)
ジャン・シベリウス(1865–1957)
 悲しいワルツ(Valse triste) Op.44–1
  ノルウェー室内管弦楽団 テリエ・トンネセン(ヴァイオリン、リーダー)
  ラーシュ・アンデシュ・トムテル(ヴィオラ)
 
録音 2012年10月1日–5日、2013年2月26日 ロンメダーレン教会(バールム、ノルウェー)
制作 クシシュトフ・ドラーブ
録音 アルネ・アクセルベルグ

 
ノルウェー室内管弦楽団 Norwegian Chamber Orchestra/Den norske kammerorkester(NCO)が創設されたのは1977年。オスロ・フィルハーモニックのメンバーをはじめ、ノルウェーの優れたプレーヤーが集まった非常設のこのプロジェクト・オーケストラは、アイオナ・ブラウンやライフ・オーヴェ・アンスネスといった歴代の芸術監督やリーダーとともに経験を積み、35年を経た今、ノルウェーと北欧、そして世界のクラシカル音楽シーンを彩る室内管弦楽団のひとつに成長しました。現在の芸術監督は、ノルウェーを代表するヴァイオリニストのひとり、オスロ・フィルハーモニックのコンサートマスターを務めるテリエ・トンネセン Terje Tønnesen(1955–)。1972年にデビューした後、1977年に初めてこの室内オーケストラの芸術監督に指名されました。
 
ノルウェー室内管弦楽団とトンネセンの最新アルバム『北欧の春』。躍動する春、やさしく語り合う春、物思いに耽る春……。アルバム最初のグリーグの組曲《ホルベアの時代から》は、彼らが1979年に録音した最初の演奏が今もひとつのスタンダードとされる作品です。スウェーデンのアッテルベリ Kurt Atterberg(1887–1974)の代表作に挙げられる《組曲第3番》、スヴェンセン Johan Svendsen(1840–1911) の優美な《ロマンス》、「交響曲作家」カール・ニルセン Carl Nielsen(1865–1931)がチャーミングな表情を見せる《小組曲》、シベリウス Jean Sibelius(1865–1957)の《悲しいワルツ》。これら世界各地の弦楽オーケストラのスタンダード・レパートリーとなった、「われわれの知る最良の北欧の弦楽作品」(トンネセン)に、エドヴァルド・ブレイン Edvard Bræin(1887–1957)の書いたメロディックでメランコリックな気分の《セレナード》が合わせて演奏されます。エドヴァルド・ブレインは、オルガニスト、音楽教師、指揮者、作曲家としてクリスチャンサンの音楽活動に貢献し、みずから収集した地域の民謡を出版したことでも知られます。彼の子が、有名な管弦楽曲《外海へむけて》を作曲したエドヴァルド・フリフレート・ブレイン Edvard Fliflet Bræin(1924–1976)です。この《セレナード》とアッテルベリの《組曲》では、現代を代表するヴィオラ奏者のひとり、ラーシュ・アンデシュ・トムテル Lars Anders Tomter(1959–)がヴィオラ・ソロを弾いています。録音セッションは、バールムのロンメダーレン教会で行われ、ベテランのアルネ・アクセルベルグ Arne Akselberg が録音エンジニアリングを担当しました。
 
価格 2,750円(税込価格)(本体価格 2,500円)

『自由の歌(Song of Freedom)』
LadyBird LBCD 0034 classical 

 
『自由の歌(Song of Freedom)- アルヴェーン合唱作品集』
ヒューゴ・アルヴェーン(1872–1960)
 オクスベリ行進曲(Oxbergmarschen)(編曲) 子守歌(Vaggvisa)
 レークサンドの真夏の歌(Midsommarlåt i Leksand)
 リム、リム、リーマ(Limu, limu, lima)(編曲)
 ふたりだけの牧場で(Uti vår hage)(編曲) 夕べ(Aftonen)
 自由の歌(Frihetssång) まぬけども(Trindskallar)(編曲)
 かわいい水車屋の娘インガ(Inga liten kvarnpiga)(編曲)
 ペーデル氏と小さなシェシュティン(Herr Peder och liten Kerstin)(編曲)
 蝶々(Papillon)
 空にある星のように(Som stjärnan uppå himmelen)(編曲)
 五月(Maj) 気分(Stämning) スウェーデンの旗(Sveriges flagga)
 喜びの花(Glädjens blomster)(編曲)
 アンデシュは元気のいい作男(Anders han var en hurtiger dräng)(編曲)
 コサックの子守歌(Kosackvaggvisa)
 さあお聞き、若いドーラよ(Och hör du unga Dora)(編曲)
 泥棒と呼んでやる(Tjuv och tjuv det ska du heta)(編曲)
 ダーラナの歌(Dalvisa)(編曲) クリスマスの歌(Julsång)
 おお、わたしは嘆くまい(Å inte vill jag sörja)(編曲)
 娘は踊りの輪に入る(Och jungfrun hon går i ringen)(1941)
  グスタフ・ショークヴィスト室内合唱団
  グスタフ・ショークヴィスト(指揮)
  アンニカ・エリーアソン・フリック(ソプラノ)
 
録音 1999年4月–5月 フィラデルフィア教会(ストックホルム、スウェーデン)
制作 イア・アルフーシアンデル
録音 ベッティル・アルヴィング

 
作曲家ヒューゴ・アルヴェーン Hugo Alfvén は、指揮者としても活躍、ウプサラの男声合唱団「オルフェイ・ドレンガル」や混声の「シリヤン合唱団」をはじめとするグループを指揮しました。アルヴェーンが彼の合唱団のために作曲あるいは編曲した作品は、広く歌われ、「歌の国スウェーデン」を象徴する美しい作品として各国の合唱団のレパートリーとして定着しています。このアルバムには、アルヴェーンが男声合唱のために書いた曲を混声合唱のために作り直した作品やスウェーデン民謡の編曲を含む、彼が残した主要な合唱作品が24曲収められました。グスタフ・ショークヴィスト室内合唱団は、1994年、ストックホルム王立音楽大学の OB を中心に結成されたアンサンブルです。バリトン歌手のホーカン・ハーゲゴード、ギタリストのマッツ・ベリストレム、ジャズピアニストで作曲家のニルス・リンドベリたちとのコラボレーションでも知られ、多くのツアーとCD録音を行ってきました。指揮者のグスタフ・ショークヴィスト Gustaf Sjökvist(1943–)は、王立音楽大学でエーリク・エーリクソンに学び、教会音楽縁演奏と指揮の学位を取得。シクステン・エールリングとカール・ミュンヒンガーに管弦楽の指揮を学んでいます。
 
価格 2,365円(税込価格)(本体価格 2,150円)

『マデトヤ 管弦楽作品集』
Ondine ODE 1212–2 classical 

 
レーヴィ・マデトヤ(1887–1947) 管弦楽作品集
 交響詩《クッレルヴォ(Kullervo)》 Op.15 交響曲第2番 Op.35
 交響組曲(Sinfonien sarja) Op.4 ― エレジー(悲歌)(Elegia)
  ヘルシンキ・フィルハーモニック管弦楽団
  ヨン・ストゥールゴールズ(指揮)
 
録音 2012年5月29日–30日 ヘルシンキ・ミュージックセンター
制作 セッポ・シーララ
録音 エンノ・マエメツ

 
レーヴィ・マデトヤ Leevi Madetoja(1887–1947) は、エルッキ・メラルティンとともにシベリウス後の世代でもっとも重要な管弦楽作家とみなされています。オストロボスニアの生まれ。1908年から1910年にかけてヘルシンキのシベリウスの下で学び、1910年9月26日に行われた自作のコンサートで成功を収めました。その年、友人のトイヴォ・クーラにつよく勧められてパリに赴き、望んでいたヴァンサン・ダンディに師事することはダンディの病気のために叶わなかったものの、「画家たちの約束の地」の空気に触れることは若い作曲家の音楽に大きな影響を与えることとなりました。マデトヤの管弦楽作品は、大きく2つに分類されます。ひとつは哀調に満ちた感傷的なフィンランドのスタイル、もうひとつは、交響曲第3番と《コメディ序曲》に代表される、優雅で洗練された、フランスを感じさせるスタイルです。Ondine のこのアルバムに収録された作品は3曲とも最初のスタイルに属する作品です。
 
交響詩《クッレルヴォ》は、シベリウスやカヤヌスの作品と同様、叙事詩集『カレヴァラ』の悲劇的物語にインスピレーションを得て作曲されました。音詩とも演奏会序曲とも呼ばれる約14分の演奏時間のこの曲は、声楽曲をのぞき、マデトヤが唯一『カレヴァラ』に題材を求めた作品です。交響曲第2番は、マデトヤの3曲の交響曲のうちもっとも長い、壮大で力強い作品です。切れ目なく演奏される〈アレグロ・モデラート〉と〈アンダンテ〉、スケルツォの性格をもった〈アレグロ・ノン・トロッポ〉、高揚から沈黙に至る〈アンダンティーノ〉の4楽章。ロシアからの独立とそれにともなう内戦を背景に作曲され、弟が赤衛軍に殺され、親友クーラを銃撃で失った1918年に作品が完成します。弦楽だけで演奏される〈エレジー〉は、1910年の《交響組曲》の第1曲です。他の3曲に先だって作曲され、単独でも演奏されています。プレーヤーの世代交替もあって、シベリウスの《森の精》(ODE 1147–2)とコルンゴルトの《空騒ぎ》(ODE 1191–2D)など、素晴らしい録音のつづくヘルシンキ・フィルハーモニックと首席指揮者のヨン・ストゥールゴールズ John Storgårds(1963–)の演奏。交響曲第1番と第3番もリリースされる予定です。
 
価格 2,640円(税込価格)(本体価格 2,400円)

『Veni Veni Emmanuel(来たれ、エマヌエル)』
Prophone PCD 250 jazz 

 
『Veni Veni Emmanuel(来たれ、エマヌエル)』
 Medeltida Mariavisa/Medieval Mary’s Song(中世のマリアの歌)
 (Traditional Swedish melody from Småland)
 O, du saliga, o du heliga/Swedish hymn No.127
 (おお、なんじ至福の、なんじ神聖な)
 (Italian hymn from the the 1700’s) 
 O Holy Night/O Helga Natt(クリスマスの歌「聖らに星すむ今宵」)(Adolphe Adam) 
 Personnent Hodie(この日ひととなり)(Traditional German melody from 1360)
 Veni Veni Emmanuel(来たれ、エマヌエル)(Medieval hymn)
 Karl-Bertil Jonssons julafton/Karl Bertil Jonsson’s Christmas Eve
 (カール=ベッティルのクリスマスイブ)(Gunnar Svensson)
 Julpolska/Christmas Polska(クリスマスのポルスカ)(Johanna Ölander)
 Stjärnagossar/Star Boys(星の少年たち)(Svante Henryson/Lennart Simonsson)
 Gläd dig du Kristi brud(なんじキリストの花嫁よ喜べ)(Jacob Regnart)
 Es ist ein Ros entsprungen/Det är en ros utsprungen(エッサイの根より)
 (Traditional German melody from 1400s)
  トリオ X・オブ・スウェーデン
   ペール・V・ユーハンソン(ベース)
   レッナールト・シモンソン(ピアノ)
   ヨアキム・エークベリ(ドラム)
 
録音 2020年4月 ウプサラ・コンサート&コングレス(ウプサラ、スウェーデン)
制作 Trio X of Sweden
録音・ミクシング ハンス・スルテ・ノリーン
マスタリング マッティン・イーゲルストレム

 
即興ジャズ・グループ「トリオ X・オブ・スウェーデン(Trio X of Sweden)」は、2002年、北欧最古の大学を中心として栄えてきたウプサラに創設されました。ペール・V・ユーハンソン Per V. Johansson のベース、レッナールト・シモンソン Lennart Simonsson のピアノ、ヨアキム・エークベリ Joachim Ekberg のドラム。ウプサラと周辺地域の音楽文化を支援する「ウップランドの音楽(Musik i Uppland)」のグループとして活動しています。『Träumerei(トロイメライ)』(2012)『Atonement(つぐない)』(2017)につづく Prophone の新作『Veni Veni Emmanuel(来たれ、エマヌエル)』。彼らが2003年に作った『In dulci jubilo(甘き喜びのうちに)』(Agnas Musikproduktioner AM 013)以来の「クリスマス・アルバム」です。スモーランド伝承の《中世のマリアの歌》、18世紀イタリアの賛美歌による、『スウェーデン讃美歌集』の《おお、なんじ至福の、なんじ神聖な》、フランスのアダンが作曲、各国で親しまれている《クリスマスの歌「聖らに星すむ今宵」》、グンナル・スヴェンソンが短編アニメ映画の主題歌として1975年に作った《カール=ベッティルのクリスマスイブ》、レッナールト・シモンソンがスヴァンテ・ヘンリソンと共作、クリスマスに先立って行われるルシア祭の「星の少年たち」を歌う《星の少年たち》、聖母マリアを賛美する中世ドイツの単旋聖歌《エッサイの根より(一輪のバラが咲いた)》。前作とは違った曲目によるプログラムが組まれました。
 
価格 2,365円(税込価格)(本体価格 2,150円)

『Agents are Forever(諜報員は永遠に) - スパイ映画の音楽』
Euro Arts 20 67777 (CD)/20 67774 (Blu-ray) film music/classical

 
『Agents are Forever(諜報員は永遠に) - スパイ映画の音楽』
 映画『007 ドクター・ノオ』
  - ジェームズ・ボンドのテーマ(ジョン・バリー/モンティ・ノーマン 曲)
 映画『国際諜報局(The Icress File)』テーマ(ジョン・バリー 曲)
 映画『ブリッジ・オブ・スパイ(Bridges of Spies)』
  - Sunlit Silence(トマス・ニューマン 曲)
 映画『キングスマン(Kingsman: The Secret Service)』
  - フィナーレ(ヘンリー・ジャックマン 曲)
 映画『ピンク・パンサー』- テーマ(ヘンリー・マンシーニ 曲)
 映画『ディック・トレイシー(Dick Tracy)』
  - Sooner or Later(スティーヴン・ソンドハイム 作詞・作曲)
 映画『シャーロック・ホームズ』
  - シャーロック組曲(デイヴィッド・アーノルド/マイケル・プライス 曲)
 映画『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』
  - Solomon Lane(ジョー・クレーマー 曲)
 映画『ミッション:インポッシブル』
  - 組曲(『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』
  - A Man, A Plan, A Code, Dubai/
  『ミッション:インポッシブル 3』- メインテーマ)
  (マイケル・ジャッキーノ/ラロ・シフリン 曲)
 ドラマ『ホームランド』- メインテーマ(ショーン・キャラリー 曲)
 映画『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』
  - Closing in(ジョン・ウィリアムズ 曲)
 映画『ミュンヘン』- 平和への祈り(A Prayer for Peace)(ジョン・ウィリアムズ 曲)
 映画『女王陛下の007』(ジョン・バリー 曲)
 映画『007 ロシアより愛をこめて』(ライオネル・バート/マット・モンロー 作詞・作曲)
 映画『007 タイアモンドは永遠に』(ジョン・バリー 曲)
 映画『007は二度死ぬ』- Mountains and Sunsets(ジョン・バリー 曲)
 映画『007 サンダーボール作戦』(ジョン・バリー 曲)
 映画『007 ゴールドフィンガー』(ジョン・バリー 曲)
 映画『007 ゴールデンアイ』(ボノ/ジ・エッジ 作詞・作曲)
 映画『007 スカイフォール』(アデル/ポール・エプワース 作詞・作曲)
 映画『007 死ぬのは奴らだ』(ポール&リンダ・マッカートニー 作詞・作曲)
  デンマーク国立交響楽団 ハンス・エーク(指揮)
  キャロライン・ヘンダーソン(ヴォーカル)
 
収録 2020年 DR(デンマーク放送)コンサートホール(コペンハーゲン)(ライヴ)
録音制作 ラース・C・ブルーン
録音 オシアン・ライマー

 
ヨーロッパで大人気だというデンマーク国立交響楽団の「ガラコンサート」シリーズ。『Agents are Forever(諜報員は永遠に)』と題したアルバムは、SF映画の音楽で構成した『GALAXYMPHONY』(20 65211(CD)/20 65214(Blu-ray))と似た趣向で公演が行われた「スパイ映画の音楽」のコンサートのライヴ録音です。『007』シリーズとトム・クルーズの『ミッション:インポッシブル』シリーズの音楽、ヘンリー・マンシーニが書いた『ピンク・パンサー』のテーマ、サックスをフィーチャーしたジョン・ウィリアムズの『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』の〈Closing in〉、同じくウィリアムズが『ミュンヘン』のために書いた「抒情的」な〈平和への祈り〉。ウォーレン・ベイティの『ディック・トレイシー』からは、スティーヴン・ソンドハイムが作詞作曲、映画の中でマドンナが歌った〈Sooner or Later〉が取り上げられています。クラシカル音楽、ジャズ、ポップ、フォークの出会うところで指揮者と編曲者として活動するスウェーデンの音楽家、ハンス・エーク Hank Ek(1964–)の指揮。コンサートにはデンマークの「国民的シンガー」キャロライン・ヘンダーソン Caroline Henderson も登場、会場を沸かせました。このコンサートのライヴは、16台のカメラで収録された「16:9 Full HD」の映像を収めた Blu-ray のディスクもリリースされます。演奏曲目と演奏時間は、CDと同じ「85分」。音声は「PCM stereo/DTS-HD MA5.1」で収められています(Region All)。
 
価格 3,355円(税込価格)(本体価格 3,050円)(CD)/4,950円(税込価格)(本体価格 4,500円)(Blu-ray)

『アッテルベリ 管弦楽作品集 第4集』
Chandos CHAN 10894 classical

 
クット・アッテルベリ(1887–1974)
 交響曲第3番 ニ長調 Op.10 《西海岸の描画(Västkustbilder)》(1914–16)
 歌劇《ファーナル(Fanal)》  Op.35(1932)
  - 3つの夜想曲(Tre nocturner)
 ヴィットリオーゾ(Vittorioso) Op.58(1962)(管弦楽のための)
  ヨーテボリ交響楽団 ネーメ・ヤルヴィ(指揮)
 
録音 1997年11月20日(交響曲)(ライヴ)、2015年1月19日–21日 ヨーテボリ・コンサートホール(ヨーテボリ、スウェーデン)
制作 ウルバン・ヘッグルンド(交響曲)、レッナールト・デーン
録音 ミケール・ベリエク(交響曲)、トゥールビョーン・サミュエルソン

 
ヨーテボリ交響楽団によるアッテルベリのシリーズ。彼の代表作のひとつ、第3番の交響曲がリリースされます。
 
アッテルベリ Kurt Atterberg の交響曲第3番は、海峡の向こうにデンマークのユラン半島を望むスウェーデンの西海岸、荒涼とした自然のひろがる一帯の景観からインスピレーションを得て作曲された作品です。3楽章で構成され、それぞれの楽章について作曲者が語った言葉が残されています。
 
第1楽章〈かげろう(Soldis)〉「リート形式のこの楽章は、太陽に照らされた静かな海辺の一日の雰囲気を描いている。海面にかげろうが揺れ、距離感がない。海は凪いでいるが、波のうねりがある」。第2楽章〈あらし(Storm)〉「”対称”ソナタ形式で組み立てた。第1主題、第2主題、展開部、第2主題、第1主題、コーダの順。第1主題、展開部、コーダで、外海の島を襲う激しい嵐の印象を再現し、第2主題で、穏やかなフィヨルドの水面を眺めた時の感情をとらえようとした。沖にひろがる、暗く不吉な海の轟はかすかにしか聞こえない」。第3楽章〈夏の夜(Sommarnatt)〉「静かな夕べ、波だけがゆっくりと動いている。海と陸の果てしない光景。夢のような色彩に目を奪われる。真夜中ちかく、景色は色を失い、静けさにつつまれる。ゆっくりと夜風が吹きはじめた。北東の空が鮮やかな色になってくる。風がさわやかだ。峰に壮大な太陽が昇り、空の色が寒色から暖色に変わってゆく」。 《西海岸の描画》の副題をもち、20世紀スウェーデンを代表する「海の交響曲」のひとつに数えられています。
 
ユシー・ビョーリングが主役を歌い、1934年、ストックホルムで初演された歌劇《ファーナル》の《3つの夜想曲》-〈刑吏小屋への逃走(Flykten till bödelskojan)〉〈夢、刑場への行進(Drömmen, tåget till avrättsplatsen)〉〈目覚め(Uppvaknandet)〉。交響曲第7番の第4楽章として構想された、管弦楽のための《ヴィットリオーゾ》。どちらも初録音の作品です。
 
価格 2,585円(税込価格)(本体価格 2,350円)

『英雄の生涯・死と変容』
Farao B 108092 classical

 
リヒャルト・シュトラウス(1864–1949)
 交響詩《英雄の生涯(Ein Heldenleben)》 Op.40
 交響詩《死と変容(Tod und Verklärung)》 Op.24
  ヨーテボリ交響楽団 ケント・ナガノ(指揮)
 
録音 2016年2月15日–20日(英雄の生涯)、6月9日–11日(死と変容) ヨーテボリ・コンサートホール(ヨーテボリ、スウェーデン)
制作 フェリクス・ガーゲルレ、アンドレーアス・ツェンメラー

 
スウェーデンのヨーテボリ交響楽団と2013年/2014年のシーズンから首席客演指揮者と芸術顧問を務めるケント・ナガノ Kent Nagano(1951–)のリヒャルト・シュトラウスのシリーズ。作曲者の生誕150周年を記念して企画され、「アルプスの壮大な姿と人間の内面のエネルギーを感じさせる圧倒的な表現力」と評された《アルプス交響曲》(B 108091)につづき、2曲の交響詩を収めたアルバムがリリースされます。みずからを「英雄」に見立て、「英雄」「英雄の敵」「英雄の伴侶」「英雄の戦場」「英雄の業績」「英雄の隠遁と完成」の6つの部分に描いた、シュトラウスの最後の交響詩《英雄の生涯》。1888年から1889年にかけて、交響詩《ドン・ファン》の直後にシュトラウスが作曲した、死に行く者の想いの内に展開する過ぎし日々と来たるべき世界の姿を描いた《死と変容》。ヨーテボリ交響楽団がシュトラウス作品を演奏する歴史は古く、1905年から1906年のシーズンにヴィルヘルム・ステーンハンマルが交響詩《ドン・ファン》を50回指揮、首席指揮者に就任した後、1908年に交響詩《マクベス》、1913年に《死と変容》、オペラ《グントラム》序曲、《ティル・オイレンシュピーゲル》を演奏。その後もセルジュ・コミッシオーナ、シクステン・エールリング、シャルル・デュトワ、ネーメ・ヤルヴィといった指揮者たちが積極的にコンサートの演目に取り上げてきました。豊かなオペラ経験をもち、2015年/2016年のシーズンからハンブルク州立歌劇場の音楽監督を務めるケント・ナガノ。さまざまなスタイルの音楽を優美に、繊細なグラデーションのうちに表現するヨーテボリのオーケストラ。「シュトラウス」に必要な要素をそなえた演奏です。 
 
価格 2,585円(税込価格)(本体価格 2,350円)

『ベリ・ソンマルアンサンブル(Bergs sommarensemble)』
Bluebell ABCD 3008 classical

 
ラーシュ=エーリク・ラーション(1908–1987)
 小セレナード(Liten serenad) Op.12(1934)(弦楽オーケストラのための)
ジェラルド・フィンジ(1901–1956)
 エクローグ(牧歌詩)(Eclogue) Op.10
 (ピアノと弦楽オーケストラのための)*
アルフレート・シュニトケ(1935–1998)
 ヴァイオリンと室内オーケストラのためのソナタ(1968)**
ヴィルヘルム・ペッテション=ベリエル(1867–1942)
(オーロフ・リンドグレーン(1934–2018)編曲)
 ロマンス(Romans) ニ短調(1915)
 (ヴァイオリンと弦楽オーケストラのための)†
カール・ニルセン(1865–1931)
 小組曲(Lille suite) FS6(Op.1)(1888 rev.1889)(弦楽のための)
  ベンクト・フォシュベリ(ピアノ *、チェンバロ **)
  モーシェ・ベン=ドゥール(ヴィオラ)†
  ベリ・ソンマルアンサンブル
  カール=ウーヴェ・マンベリ(指揮、ヴァイオリン **/†)
 
録音 1999年7月29日–31日 オーヴィケン新教会(オーヴィケン、ヤムトランド、スウェーデン)
録音 クリステル・エークルンド

 
ベリ・ソンマルアンサンブル(ベリ・サマーアンサンブル)(Bergs sommarensemble)は、スウェーデンのヤムトランドの弦楽オーケストラです。この地方で生まれスウェーデン各地のオーケストラで演奏する音楽家たちが夏季休暇で帰省する7月、自分たちの楽しみのために始めた活動が、いつの間にか伝統として定着しました。7月の最後の週には地区の教会でコンサートが行われ、ゲストとして招かれる著名なソリストの音楽も人々を楽しませています。
 
『ベリ・ソンマルアンサンブル』は、1999年夏のコンサートのプログラムをセッション収録したアルバムです。スウェーデンの人たちの「心」にもっとも近い作曲家と言われるラーション Lars-Erik Larsson が、彼の「アイドル」だったモーツァルトが得意としたセレナードやディヴェルティメントを真似て作曲した《小セレナード》。イギリスの作曲家フィンジ Gerald Finzi の《エクローグ》は、ピアノ協奏曲の緩徐楽章とするため、羊飼いの対話を起源とする古代詩の形式に基づいて作曲された作品です。フィンジが亡くなった1956年に単独の作品として出版され、「セヴァーン川の温かい夏の夕べの哀愁をおびた音楽」が親しまれています。アンサンブルのリーダーを務めるヴァイオリニストのカール=ウーヴェ・マンベリ Karl-Ove Mannberg(1934–)の長年の友人、ピアニストのベンクト・フォシュベリ Bengt Forsberg(1952–)のソロによる演奏です。
 
シュニトケ Alfred Schnittke の《ヴァイオリンと室内オーケストラのためのソナタ》は、マルク・ルボツキーがフィンランドのユヴァスキュラのフェスティヴァルで演奏するために作曲した《ソナタ》を基に、「アレグレット・スケルツァンド - アレグロ」の第4楽章を追加、チェンバロを含む室内オーケストラのために編曲した作品です。ペッテション=ベリエル Wilhelm Peterson-Berger の《ロマンス》は、ヴァイオリンと管弦楽のための作品をオーロフ・リンドグレーン Olof Lindgren が弦楽オーケストラ用に編曲した版が演奏されます。カール・ニルセン Carl Nielsen の《小組曲》は、チボリ公園のホールで初めて演奏され、大成功を収めました。「北欧ロマンティシズム」の〈前奏曲(Præludium)〉、ワルツの〈間奏曲(Intermezzo)〉、アンダンテとアレグロの「バッコスの行列」(カール・ニルセン)の〈終曲(Finale)〉の3曲。もっとも愛され、もっとも演奏される「Op.1」のひとつと言われる作品です。
 
価格 2,365円(税込価格)(本体価格 2,150円)

『ELA』
Prophone PCD 141 jazz

 
『ELA』
 Summertime(George Gershwin) Ela é Carioca(Tom Jobim)
 You've Changed(Bill Carey/Carl Fischer)
 Lover Man(Jimmy Davis/Roger Ramirez/James Sherman)
 Södermalm(B. Wigardt/T. Swanerud)
 A Time for Love(Johnny Mandel)
 It Might as Well Be Spring(Richard Rodgers)
 What Are You Doing the Rest of Your Life?
 (Alan Bergman/Marilyn Bergman/Michel Legrand)
 Do Nothin' til You Hear from Me(Duke Ellington)
 Chega de saudade(Tom Jobim)
 Waltz for Malin(Aders Färdal)
 How Long Has This Been Going On?(Ira Gershwin/George Gershwin) 
 Corcovado(Tom Jobim)
  ルチアーノ・モセッティ(ハーモニカ、トランペット)
  アンデシュ・フェーダール(ギター)
  友人たち
   イサベラ・ルンドグレーン(ヴォーカル)
   クレース・ヤンソン(ヴォーカル)
   マグヌス・リンドグレーン(アルトフルート)
   カール・オッリエ(ピアノ)
   ベンクト・リンドクヴィスト(キーボード)
   アンデシュ・ユーンソン(ベース)
   マグヌス・ペーション(パーカッション)
 
録音 2012年6月–9月 OAL スタジオ(ソレントゥナ、スウェーデン)
制作 アンデシュ・フェーダール
録音 レッナールト・ストレーム

 
ルチアーノ・モセッティ Luciano Mosetti とアンデシュ・フェーダール Anders Färdal が共演を始めてから、もうじき20年になります。『ELA』は、ふたりにとって初めてのジョイント・アルバムです。アメリカのエバグリーン・ジョビン(アントニオ・カルロス・ジョビン) Tom Jobim(Antônio Carlos Jobim)のブラジル・リズムのジャズ、スウェーデンのバラード、そしてフェーダールのオリジナル曲《Waltz for Malin(マーリンのワルツ)》といった変化に富んだプログラムを組み、ヴォーカルのイサベラ・ルンドグレーン Isabella Lundgren クレース・ヤンソン Claes Janson、人気プレーヤー、マグヌス・リンドグレン Magnus Lindgren をはじめとする「友人たち」が加わったトリオ、カルテット、クインテットで演奏しています。ガーシュウィンの《サマータイム》からジョビンの《コルコヴァード》まで、ただただ「至福の時」。
 
価格 2,585円(税込価格)(本体価格 2,350円)

『ラーション 弦楽四重奏のための音楽』
Daphne Records DAPHNE 1035 classical

 
ラーシュ=エーリク・ラーション(1908–1986) 
 晩秋の葉(Senhöstblad) Op.20(1940)
 弦楽四重奏曲第1番 Op.31(1944)
 弦楽四重奏曲第2番 Op.44
 《セレナード風の四重奏曲(Quartetto alla serenata)》(1955)
 弦楽四重奏曲第3番 Op.65(1975)
  ステーンハンマル四重奏団
   ペーテル・オーロフフソン(ヴァイオリン)
   ペール・オーマン(ヴァイオリン)
   トニー・バウアー(ヴィオラ)
   マッツ・オーロフソン(チェロ)
 
録音 2008年9月13日–14日、8月11日、5月17日–18日 スウェーデン放送(ストックホルム) 第2スタジオ、第3スタジオ、第9スタジオ
制作 ビョーン・ウッデーン
録音 ビョーン・ウッデーン、ビョーン・ヌレーン

 
ラーシュ=エーリク・ラーション Lars-Erik Larsson(1908–1986)は、《田園組曲》や《姿を変えた神》といった作品を作り、スウェーデンの人々にもっとも愛されている作曲家のひとりです。ステーンハンマル四重奏団によるアルバムでは、彼が完成させた弦楽四重奏のための作品が4曲、演奏されます。
 
《晩秋の葉》は、ラーションが指揮者、作曲家、音楽プロデューサーとしてスウェーデン放送に勤めていた時期の作品です。1938年、ウーラ・ハンソン Ola Hansson(1860–1925)の詩集『晩秋の葉(Senhöstblad)』を朗読する番組が制作されることになり、ラーションが作曲を担当。九月の静かな日から秋が冬に変わるころまでを描写する詩をつなぐための短い楽章が6曲書かれました。「アレグロ・モデラート」(第1曲)「アレグレット」(第2曲)「アンダンテ・ソステヌート」(第3曲)「アンダンティーノ-アレグロ・モデラート-アンダンティーノ」(第4曲)「アレグロ」(第5曲)「アダージョ」(第6曲)。ネオクラシカルなスタイルで書かれた、秋の気分と静かな抒情を漂わせる音楽です。ラーションは、このうち4曲(第6曲、第1曲、第3曲、第5曲)を《仲のいい小品(Intima miniatyrer)》(Op.20)として出版。この曲集は、1940年、ストックホルムの音楽協会「フィルシンゲン Fylkingen」のコンサートで初演されました。このアルバムでは、ステーンハンマル四重奏団が発見した第2曲と第4曲を加えた、オリジナルの姿に復元した版が、初めて演奏されています。
 
《弦楽四重奏曲第1番》は、その4年後に作られました。「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、《姿を変えた神》を思わせる旋律をもつ「アダージョ」、「モルト・ヴィヴァーチェ」の3楽章の作品です。ラーションが《12の小協奏曲》の作曲を始めた1955年、フィルシンゲンの委嘱で作曲され、《セレナード風の四重奏曲》の副題がつけられた《第2番》。《弦楽四重奏曲第3番》は、彼の手がけた最後の重要作とされる作品です。第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アレグレット-プレスト-アレグレット」、そして、「穏やか、瞑想的、だが真剣になりすぎることはない。どことなくフーゴ・ヴォルフを思わせる和声。ハイドンの《皇帝》四重奏曲(Op.76-3)の第2楽章をかすかに思い起こさせる主題をもつ」(カッレ・フリードネル)「ラルゴ」の楽章で曲を閉じます。
 
ステーンハンマル四重奏団 Stenhamarkvartetten は、オーケストラで演奏するプレーヤーによるアンサンブルです。第1ヴァイオリンのペーテル・オーロフソン Peter Olofsson とチェロのマッツ・オーロフソン Mats Olofsson は、イェヴレ交響楽団のセクション首席奏者。第2ヴァイオリンのペール・オーマン Per Öman は、スウェーデン放送交響楽団の第2ヴァイオリン首席奏者。彼は、ベールヴァルドの弦楽四重奏曲全集(BIS CD 759)を録音したイグドラシル四重奏団にも参加していました。ヴィオラのトニー・バウアー Tony Bauer もスウェーデン放送交響楽団のメンバーです。ステーンハンマル四重奏団は、弦楽四重奏のスタンダード曲のほか、演奏機会の少ないスウェーデンの作品も重要なレパートリーとし、スウェーデンの作曲家に新作の委嘱も行っています。彼らの最初の「ポートレート・アルバム」となるこのディスクは、リュセル四重奏団が録音したフェーンストレム(DAPHNE 1009)、ヴィレーン(DAPHNE 1021)とともに、20世紀スウェーデンの弦楽四重奏曲を楽しむために欠かせない一枚です。
 
価格 2,695円(税込価格)(本体価格 2,450円)

『レクイエム』
nosag CD 093 contemporary/classical

 
スティーヴ・ドブロゴス(1956-)
 レクイエム(Requiem)(2001)
 (ソプラノ、混声合唱、弦楽と管楽器のための)
 テ・デウム(Te Deum)(2002)(混声合唱と弦楽のための)
  ハンナ・ホルゲション(ソプラノ) 聖ヤコブ室内合唱団
  王立スウェーデン歌劇場管弦楽団 ギャリー・グレイデン(指揮)
 
録音 2004年3月19日–21日 聖ヤコブ教会(ストックホルム)
制作 ステラン・サグヴィーク
録音 オルヴィング・ヘッレブルー

 
スティーヴ・ドブロゴス Steve Dobrogosz(1956-)はアメリカ、ペンシルヴェニア州ベルフォンの生まれ。ノースカロライナの州都ローリーで過ごした少年時代にクラシカル・ピアノを学び、1978年に王立ストックホルム音楽大学に入学してからは、ポップ・ミュージック、ジャズ、クラシカルと幅広いジャンルにわたる演奏を経験していきました。とりわけジャズ・ピアニストとしての評判が高く、在学中からジャズシーンで活発な活動を始め、ソングライターとしてさまざまなスタイルの曲を書くようになりました。
 
ドブロゴスが最初に注目を集めたのは、1982年にノルウェーの歌手、ラドカ・トネフ Radka Toneff と共演した『Fairy Tales(おとぎ話)』(Odin NJ 4003-2)です。このアルバムを批評したヨーテボリ・ポステン紙は、メロディの美しさと洗練されたハーモニーを理由に、ドブロゴスをガーシュウィンやコール・ポーターに匹敵するソングライターとまで呼びました。このアルバムはヴォーカルとピアノのジャズの古典的録音に数えられ、彼の初期を代表するアルバムとされています。
 
ドブロゴスは、1990年代から本格的にクラシカル音楽の作曲を始め、ポートレートアルバム(Phono Suecia PSCD 107)に収録された《ミサ曲(Mass)》(1992) などの作品を発表していきました。《レクイエム》は、2001年に作曲された作品です。ラテン語の「死者のためのミサ曲」の典礼から《レクイエム(Requiem)》《オスティアス(Hostias)》《アニュス・デイ(Agnus Dei)》《ルクス・エテルナ(Lux Aexterna)》《リベラ・メ(Libera Me)》 の5章をテクストにとり、ソプラノ、混声合唱、弦楽合奏5部、管楽器(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットとホルン)がそれぞれ2本の編成のために書かれています。ジャズ・ミュージシャン固有の和声感覚による音楽が、際立ってユニークな作品です。2001年、ストックホルム、ドブロゴスと同じアメリカの出身、王立ストックホルム音楽大学でエーリク・エーリクソンに指揮を学んだギャリー・グレイデン Gary Graden(1955–)をはじめとする、このアルバムの演奏者たちにより初演されました。
 
2002年の《テ・デウム》は、混声合唱と弦楽オーケストラのために書かれた作品です。イェヴレ交響楽団のコーラスとオーケストラが初演。「主への感謝の賛歌」を率直に歌った美しい音楽です。
 
価格 2,695円(税込価格)(本体価格 2,450円)
 

『Feathers』
Prophone PCD 053 jazz

 
『Feathers』
 Butterfly(Steve Dobrogosz)
 Never Let Me Go(Jay Livingston/Ray Evans)
 The Look of Love(Burt Bacharach/Hal David)
 Love Makes You Suffer(Steve Dobrogosz)
 Both Sides, Now(Joni Mitchell)
 My Hands(Jeanette Lindström/Steve Dobrogosz)
 Almost Blue(Elvis Costello) Like Water(Jeanette Lindström)
 Moon River(Henry Mancini/Johnny Mercer)
 To Whom It May Concern(Steve Dobrogosz/Marshall Glover) 
 Future Window(Steve Dobrogosz/Marshall Glover)
 You Are There(Johnny Mandel/David Fishberg)
 Deep Space(Rickie Lee Jones)
  シャネット・リンドストレム(ヴォーカル)
  スティーヴ・ドブロゴス(ピアノ)
 
録音 1999年10月18日19日 スウェーデン放送第9スタジオ(ストックホルム)
制作 シャネット・リンドストレム、スティーヴ・ドブロゴス
録音 オーケ・リントン

 
シャネット・リンドストレム Jeanette Lindström は、スウェーデンでもっとも人気のあるジャズ・ヴォーカリストのひとり。スティーヴ・ドブロゴス Steve Dobrogosz は、ジャズ、ポップ・ミュージック、クラシカルと幅広いジャンルで活動するストックホルム在住のアメリカのミュージシャン。このふたりが「デュオ」で作った『Feathers』は、2000年にリリースされたアルバムです。バート・バカラックとハル・デイヴィッドの《The Look of Love(恋の面影)》、ジョニ・ミッチェルの《Both Sides, Now(青春の光と影)》、ヘンリー・マンシーニとジョニー・マーサーの《ムーンリバー》といったスタンダード・ナンバーと、リンドストレムとドブロゴスのオリジナル曲によるプログラムです。「そのとき一匹の蝶が、私の枕にとまり、夢のなかへ入ってきた……」と歌う、ドブロゴス作詞作曲の《Butterfly》から、「ほかの誰にも見えない星」や「ほかの誰にも聞こえない、歌えないブルース」を歌に作ったリッキー・リー・ジョーンズの《Deep Space》まで、静かに流れる、やさしい時間。「エバーグリーン」と呼びたいアルバムです。
 
価格 2,365円(税込価格)(本体価格 2,150円) 

『Change Is Gonna Come(変化はやってくる)』
Alba ABCD 313 SACD hybrid (5.0 multichanel/stereo)  contemporary/classical

 
『Change Is Gonna Come(変化はやってくる)』
ヨアヒム・ベルンハルト・ハーゲン(1720–1787)(ペトリ・クメラ 編曲)
 ロカテッリの主題による変奏曲(Variazioni per il Liuto del Sigr: Locatelli)
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685–1750)(ペトリ・クメラ 編曲)
 シャコンヌ(Ciaccona)(《無伴奏パルティータ第2番》 BWV1004 から)
フェルナンド・ソル(1778–1839)
 幻想曲第2番(Fantasia No.2) Op.7
ニコラス・モー(1935–2009)
 ミュージック・オブ・メモリー(Music of Memory)
ロッタ・ヴェンナコスキ(1970–)
 Balai(刷毛)(2009)
ジョン・ダウランド(1563–1626)
 別れ(Farewell)
  ペトリ・クメラ(ギター)
 
[楽器 George Lowden(2008)]
 
録音 2010年3月24日 セント・ピーター教会(エヴァクリーチ、サマセット、イギリス)
制作・録音 サイモン・フォックス=ガール

 
ペトリ・クメラ Petri Kumela(1974–)は、フィンランドでもっとも多才のギタリストのひとりとして活躍しています。コンサートの他、C・P・E・バッハのトランスクリプションを演奏したアルバム(ABCD244)で国際的にも知られるようになりました。『変化はやってくる』のタイトルをつけたアルバムでは、16世紀から今日まで、それぞれの世紀を代表するギターのための変奏曲を演奏しています。「『主題と変奏』という主題による変奏」。クメラが、LUSES(フィンランド音楽推進基金)の助成を得てロッタ・ヴェンナコスキ Lotta Wennäkoski(1970–)に委嘱した、主題を自由に変化させていく《Balai》(フランス語で「刷毛、箒」)をさらっている時、「変化」というアイデアが浮かび、それが少しずつアルバムの姿になっていったと言います。ヨアヒム・ベルンハルト・ハーゲンの《ロカテッリの主題による変奏曲》とバッハの《シャコンヌ》は、クメラ自身が編曲。ひとつの時代から次の時代へ、さまざまに変化するスタイルと多様なハーモニーの景色を示してゆきます。
 
 
価格 2,530円(税込価格)(本体価格 2,300円)