ウェブサイトで過去に紹介した北欧と北欧以外のディスクからピックアップして掲載するページです。
『Spes - 希望』
2L 2L110SABD Pure Audio Blu-ray + SACD hybrid (5.1 surround/stereo) contemporary/traditional/classical
フローデ・フェルハイム(1959–)
サンクトゥス(Aejlies)
エリクス・エシェンヴァルズ(1977–)
慈しみと愛のあるところ(Ubi Caritas et amor)
ミア・マカロフ(1970–)
希望(Spes)
フローデ・フェルハイム(1959–)
キリエ(Kyrie)
エバ・ウガルデ(1973–)
ミゼレレ(Miserere)
松下功(1951–)
ハレルヤ、新しい歌を主に向かって歌え(Alleluia, Canate Domino)
フローデ・フェルハイム(1959–)
白鳥(Njoktje)
クヌート・ニューステット(1915–2014)
マリアの歌(Mary’s Song)
フランツ・クサヴァー・ビーブル(1906–2001)
アヴェ・マリア(Ave Maria)
フローデ・フェルハイム(1959–)
われらに平和をお与えください(Dona nobis pacem)
キム・アンドレ・アルネセン(1980–)
たとえ口を閉ざしていようと(Even when he is silent)
フローデ・フェルハイム(1959–)
ヴェリィ(Vuelie)
カントゥス トーヴェ・ラムロ=ユースタ(指揮)
フローデ・フェルハイム(ヨイク、シンセサイザー)
スノッレ・ビェルク(打楽器)
録音 2014年5月、11月 ウラニエンボルグ教会(オスロ、ノルウェー)
制作・バランスエンジニアリング モッテン・リンドベルグ
録音エンジニアリング ビアトリス・ヨハンネセン
[DXD(24bit/352.8kHz)録音]
[Blu-ray: 5.1 DTS-HD MA(24bit/192kHz), 9.1 Auro-3D(24bit/96kHz), 2.0 LPCM (24bit/192kHz), mShuttle: FLAC 96kHz + MP3 Region ABC]
[SACD hybrid(5.1 surround DSD/2.0 stereo DSD)]
北欧の北極圏、サーミ地方の伝統音楽がヨーロッパの宗教音楽と出会ったら、どんなことが起きるだろうか……。ノルウェーの女声合唱団カントゥス Cantus の新しいアルバムは、そうした問いへの答えのひとつとして制作されました。プロジェクトには、ディズニーのアニメーション映画『アナと雪の女王』のオープニングでカントゥスの歌う《ヴェリィ》を作曲した、サーミの伝統と文化を今に伝える音楽家のひとり、ノルウェーのフローデ・フェルハイム(フィェルハイム) Frode Fjellheim が参加し、ヨイク歌唱とシンセサイザーを担当しています。「希望。人々のうちにあって、人々を結ぶもの」。“Spes” ––ラテン語の「希望」 ––がアルバムタイトルに採られました。
タイトル曲の《希望》は、作詞家、作曲家、編曲者として活躍するフィンランドのミア・マカロフ Mia Makorff の作品です。『旧約聖書』の『コレヘトの言葉(伝道の書)』8章の第1節・第8節「『人の知恵は顔に光を与え、固い顔も和らげる』……人は霊を支配できない……」と、サーミの芸術家ニルス=アスラク・ヴァルケアパー Nils-Aslak Valkeapää(1943–2001)の「私は霊に支配されている。だが、私は生きている……」の詩が対比されます。ラトビアのエリクス・エシェンヴァルズ Ēriks Ešenvalds の《慈しみと愛のあるところ》、スペインのエバ・ウガルデ Eva Ugalde の《ミゼレレ》、『詩編』149番による松下功の《ハレルヤ、新しい歌を主に向かって歌え》。ドイツの作曲家ビーブル Franz Xaver Bieblの《アヴェ・マリア》は、1964年、『お告げの祈り(Angelus)』と『アヴェ・マリア』をテクストとした男声合唱曲です。演奏旅行でドイツを訪れたコーネル大学グリークラブがアメリカで初演し、アメリカのシャンティクリアやスウェーデンのスヴァンホルム・シンガーズといった各国のアンサンブルもレパートリーに加え、広く知られるようになりました。女声合唱と混声合唱のための版は、作曲者自身による編曲です。
2014年に亡くなったノルウェーの作曲家ニューステット Knut Nystedt は、ノルウェー・ソリスト合唱団とスコラ・カントールムを創設し、合唱指揮者としても活躍しました。《マリアの歌》は、顕現の神秘と神の御業の力を詠んだ、イギリス生まれのクリスチャン詩人、ルシー・ショー Luci Shaw(1928–)の詩による作品です。ニーダロス大聖堂少女合唱団のために《マニフィカト》(2L106SABD)を書いたアルネセン Kim André Arnesen もノルウェーの作曲家。「たとえ輝いていなくても、私は太陽を信じる……たとえ口を閉ざしていようと、私は神を信じる」。第二次世界大戦が終わった後、ナチスの強制収容所の壁に刻まれているのが見つかったという詩がテクストです。
フェルハイムの《白鳥》は、このプロジェクトのための委嘱による作品です。1911年にスウェーデンのビョルクフィェレットでクリスティーナ・ユーハンソン Kristina Johansson が歌い、カール・ティレーン Karl Tirén が採譜したヨイクを基に作曲されました。プログラムの最後、『アナと雪の女王』の《ヴェリィ》は、改訂版が歌われます。
1986年の創設以来カントゥスを指導してきたトーヴェ・ラムロ=ユースタ Tove Ramlo-Ystad の指揮。フェルハイムの曲では、彼のシンセサイザーとスノッレ・ビェルク Snorre Bjerck の演奏する打楽器がサーミの人たちのシャーマンを囲む精霊信仰をイメージさせます。
価格 4,675円(税込価格)(本体価格 4,250円)
Pure Audio Blu-ray ディスクと SACD ハイブリッドディスクをセットにしたアルバムです。Pure Audio Blu–ray ディスクにはインデックスを除き映像は収録されていません。SACD ハイブリッドディスクはSACDブレーヤーとCDプレーヤーで再生できますが、Pure Audio Blu-ray ディスクはCDやDVDのプレーヤーでは再生できないので、Blu–ray プレーヤーもしくは Blu–ray 対応のPCをお使いください。
『光(Lux)』
2L 2L 150SABD Pure Audio Blu-ray + SACD hybrid (5.1 surround/stereo) contemporary/classical
ストーレ・クライベルグ(1958–)
愛に寄せる賛歌(Hymn to Love)(少女合唱と弦楽オーケストラのための)
アンドルー・スミス(1970–)
レクイエム(Requiem)(少女合唱、サクソフォーンとオルガンのための)*
ストーレ・クライベルグ(1958–)
光(The Light)(少女合唱、弦楽オーケストラとオルガンのための)**
ニーダロス大聖堂少女合唱団
トロンハイム・ソロイスツ アニタ・ブレーヴィク(指揮)
トリグヴェ・サイム(サクソフォーン)*
ストーレ・ストールロッケン(オルガン)*
ペトラ・ビョルクハウグ(オルガン)**
録音 2017年10月、2018年5月 ニーダロス大聖堂(トロンハイム、ノルウェー)
制作・バランスエンジニアリング モッテン・リンドベルグ
録音エンジニアリング ビアトリス・ヨハンネセン
[DXD(24bit/352.8kHz)録音]
[Blu-ray: 5.1 DTS-HD MA(24bit/192kHz), 7.1.4. Dolby Atmos(48kHz), 2.0 LPCM (24bit/192kHz), 7.1.4. Auro-3D(96kHz), mShuttle: MP3 and MQA Region ABC]
[SACD hybrid(5.1 surround DSD/2.0 stereo DSD)/CD 2.0 stereo(16bit/44.1kHz)/MQA-CD]
ニーダロス大聖堂少女合唱団 Nidarosdomens jentekor は、聖オラヴが礎を築いた町トロンハイムの大聖堂に1992年に創設されました。「わたしたち少女合唱団の使命の中心にあるのは、能力を試されるような脆い人生の局面で生きる技を身につけていくことです。帰属することを学び、見られ包まれていると感じることを学び、友情を築くことを学ぶ」。合唱団はこれまで、ヌールハイム、オーラ・ヤイロ、ボブ・チルコット、キム・アンドレ・アルネセンをはじめとする作曲家に作品を委嘱してきました。創設25周年を迎える作品に選ばれたのは「レクイエム」。イギリス生まれ、オルガニストと作曲家としてノルウェーで活動するアンドルー・スミス Andrew Smith(1970–)に作曲を依頼、少女合唱に管楽器の即興とオルガンを加えた作品が作られました。アルバム『光』は、この《レクイエム》と、その「エコー」ともいえるクライベルグの2つの作品で構成されています。
アンドルー・スミスの《レクイエム》は、カトリックの典礼文をベースに『聖書』の「子供」に関する部分をテクストに使い、グレゴリオ聖歌からインスピレーションを得た素材で作曲されました。〈入祭唱(Introitus)〉、オルガン・ソロの〈祈り(Precatio)〉、〈キリエ(Kyrie)〉、わが子イエスの死を嘆くマリアを歌う〈彼女は泣いている(Prorans ploravit)〉、〈若い殉教者たちへの賛歌(Hymnum canentes martyrum)〉、王ヘロデの命令で殺されたラマの子供たちを悼むラケルの歌〈ラマの声(Vox in Rama)〉、〈主は羊飼い(Dominus pascit me)〉〈サンクトゥス(Sanctus)〉〈天国には(In paradisum)〉。ECM レーベルの録音で知られるジャズ・プレーヤー、作曲家でもあるトリグヴェ・サイム Trygve Seim(1971–)がサックスの即興、ジャズ・ミュージシャンのストーレ・ストールロッケン Ståle Storløkken(1969–)がオルガンを弾いています。
ストーレ・クライベルグ Ståle Kleiberg(1958–)の《愛に寄せる賛歌》は、『新約聖書』の「コリントの信徒への手紙 I』(13章1節–13節)をテクストとする「信仰と希望と愛」の音楽です。「たとえ、人々の異言、天使たちの異言を語ろうとも、愛がなければ、わたしは騒がしいどら、やかましいシンバル……」(新共同訳)。大聖堂のオルガニスト、ペトラ・ビョルクハウグ Petra Bjørkhaug(1964–)が共演する《光》は、ノルウェーの抒情詩人、作家、心理学者、ヘルゲ・トルヴン Helge Torvund(1951–)の言葉「The light you need exists/Lyset du treng finst(あなたの必要とする光は存在する)」をテクストに歌われます。この2曲は、2011年7月22日にオスロとウトヤ島で起きた「ノルウェー連続テロ事件」で命を落とした若者たちを追悼するために作曲されました。
全作品を指揮する芸術監督、指揮者のアニタ・ブレーヴィク Anita Brevik(1964–)は、1992年の創設から合唱団に関わり、2018年、ノルウェー国王功労褒章 Kongens Fortjenstmedalje を授与されました。2015年の第58回グラミー賞の最優秀サラウンドサウンド・アルバムにノミネートされたトロンハイム・ソロイスツ TrondheimSolistene 共演の『マニフィカト』(2L106SABD)と同じモッテン・リンドベルグ Morten Lindberg の制作。ニーダロス大聖堂でのセッション録音です。
価格 4,675円(税込価格)(本体価格 4,250円)
Pure Audio Blu-ray ディスクと SACD ハイブリッドディスクをセットにしたアルバムです。Pure Audio Blu–ray ディスクにはインデックスを除き映像は収録されていません。SACD ハイブリッドディスクはSACDブレーヤーとCDプレーヤーで再生できますが、Pure Audio Blu-ray ディスクはCDやDVDのプレーヤーでは再生できないので、Blu–ray プレーヤーもしくは Blu–ray 対応のPCをお使いください。SACD ディスクの CD 層は MQA-CD 仕様になっており、MQA デコーダーを搭載した機器を使用すればハイレゾ・スペックの音を聴くことができます。
『拝謁(Audiens)』
2L 2L 61SACD SACD hybrid (5.0 surround/stereo) contemporary/classical
エリック・ウィテカー(1970-)
Leonardo Dreams of His Flying Machine
(レオナルドは飛行機を作る夢を見る)
トルビョルン・デュールード(1974-)
もうじき彼女はバラ園で友に口づけをする
(Snart kysser hun sin venn i rosenhagen)
ビョルン・モッテン・クリストフェシェン(1976-)
A Just-finishing Candle(燃え尽きようとするろうそく)
モーテン・ローリゼン(1943-)
あなたのことを切実に思うと(Se Per Havervi, Oime)
ビョルン・モッテン・クリストフェシェン(1976-)
拝謁-教皇というものは実際いつも楽なものでもない
(Audiens - det er ikke alltid like lett å være pave)
(6声のヴォーカルアンサンブルと混声合唱のための)
ビョルン・モッテン・クリストフェシェン(1976-)
この家の主は(Etablisementets vært)
エリック・ウィテカー(1970-)
Water Night(水の夜)
カーリン・レーンクヴィスト(1958-)
牧場のむこうに行きさえすれば(Bar du går över markerna)
ビョルン・モッテン・クリストフェシェン(1976-)
再生(Gjenfødelsen)(混声合唱とヴィオラのための)
スコラ・カントールム トゥーネ・ビアンカ・ダール(指揮)
ノルディック・ヴォイセズ アーレ・サンバッケン(ヴィオラ)
録音 2008年6月、10月、2009年1月 リス教会(オスロ、ノルウェー)
制作 モッテン・リンドベルグ、ヴォルフガング・プラッゲ
録音 ハンス・ペーテル・ロランジュ
「白夜の音楽とは何だろう……音の新しい世界へ……」作曲家、指揮者のクヌート・ニューステット Kunt Nystedt(1915-)が1964年、オスロ大学音楽学部に創設し、常に時代の先端を行く音楽を探ってきた室内合唱団スコラ・カントールム Schola Cantorum が、ノルウェー、北欧とアメリカの世俗合唱曲をプログラムとするアルバムを録音しました。指揮者のトゥーネ・ビアンカ・ダール Tone Bianca Dahl は、ノルウェー音楽アカデミーで合唱指揮法の准教授を務め、2002年からスコラ・カントールムを指揮しています。
このアルバムで4つの作品が歌われるビョルン・モッテン・クリストフェシェン Bjørn Morten Christophersen(1976-)はスコラ・カントールムのメンバーです。作曲家としても活躍、ノルウェー放送(NRK)のシリーズ『Kodenavn Hunter(コードネームはハンター)』をはじめとするテレビと映画のための音楽を多数作曲してきました。アルバムタイトルになった《拝謁-教皇というものは実際いつも楽なものではない》は、ノルウェーの作家、詩人、グルー・ダーレ Gro Dahle(1962-)の詩による小曲集。スコラ・カントールムと六声のヴォーカルアンサンブル、ノルディック・ヴォイセズ Nordic Voices を念頭に置いて作曲されました。《A Just-finishing Candle(燃え尽きようとするろうそく)》は、ペルシャ語文学史上最大の神秘主義詩人とされるジェラールッディーン・ルーミー Jelaluddin Rumi(1207-1273)の詩を、《この家の主は》と《再生》は画家エドヴァルド・ムンク Edvard Munch(1863-1944) の書いた詩をそれぞれテクストにしています。《再生》のヴィオラは、オスロ・フィルハーモニック管弦楽団の奏者でオスロ弦楽四重奏団のメンバーでもあるアーレ・サンバッケン Are Sandbakken(1967-)が担当しました。
「最後の審判の予言者は逢い引きに向かう娘の姿を見て……」。抒情詩人、インゲル・ハーゲルプ Inger Hagerup(1905-1985)の詩『もうじき彼女はバラ園で友に口づけをする』はノルウェーのトルビョルン・デュールード Torbjørn Dyrud(1974-)の手で、そして、ブー・ベリマン Bo Bergman(1869-1967)の詩『牧場を越えて行きさえすれば』はスウェーデンのカーリン・レーンクヴィスト Karin Rehnqvist(1958-)の手で、ともに素敵な小品に作られました。
アメリカの作曲家ふたり、エリック・ウィテカー Eric Whitacre(1970-)とモーテン・ローリゼン Morten Lauridsen(1943-)は、このところ日本でも人気が高まってきました。ウィテカーは2曲。彼の友人チャールズ・アンソニー・シルヴェストリ Charles Anthony Silvestri(1965-)がレオナルド・ダ・ヴィンチのノートに残る文章を交え、レオナルドの空を飛ぶ夢を3節の詩にまとめた《Leonardo Dreams of His Flying Machine》と、ウィテカーの名が国際的に知られるきっかけとなった《Water Night》。《おお、大いなる神秘(O Magnum Mysterium)》(2L 26SACD)で親しまれているローリゼンの曲は、初期の曲集《マドリガル集:イタリア・ルネサンスの詩による6つの『火の歌』(Madrigali: Six 'Fire Songs' on Italian Renaissance Poems)》からモンテヴェルディの《マドリガル曲集第1巻》にテクストを求めた《あなたのことを切実に思うと(Se Per Havervi, Oime)》が選ばれました。
アルバムの録音セッションはオスロのリス教会で行われました。作曲家のプラッゲ Wolfgang Plagge(1960-) もプロデュースに参加。"ドキュメンタリー" ではなく "リアリズム" をめざした録音に2Lスタッフの見識とセンスが示されます。
価格 3,630円(税込価格)(本体価格 3,300円)
『妖精王の娘』
Dacapo 8.226035 classical
ニルス・W・ゲーゼ(1817–1890)
バラード(カンタータ) 《妖精王の娘(Elverskud/Erlkönigs Tochter)》 Op.30(1851–54)
(ソプラノ、メゾソプラノ、バリトン、混声合唱と管弦楽のための)
5つの歌(Fünf Gesänge)Op.13(1846)(アカペラ混声合唱のための)
騎士フリューリング(Ritter Frühling) 睡蓮(Die Wasserrose)
朝の散策(Morgenwanderung) 秋に(Im Herbst)
森で(Im Wald)
ゾフィー・ユンカー(ソプラノ)
イヴォンネ・フックス(メゾソプラノ)
ヨハンネス・ヴァイセル(バリトン)
デンマーク国立ヴォーカルアンサンブル
コンチェルト・コペンハーゲン
ラース・ウルリク・モーテンセン(指揮)
録音 2017年2月24日–25日 デンマーク放送(DR)コンサートホール
制作 プレーベン・イーヴァン
録音 ミケル・ニューマン
ニルス・W・ゲーゼ Niels Wilhelm Gade(1817–1890)がデンマークの民話に基づいて作曲したバラード(カンタータ)《妖精王の娘》は、インスピレーションに満ち、彼が手がけた「カンタータ」の最高傑作というだけでなく、「デンマーク黄金時代の音楽」の傑出した作品のひとつとして「国民遺産」と呼ばれています。「領主オーロフは、婚礼の前夜、最後の招待客たちの到着前にひと乗りしたいと思い、母の警告に耳を貸さず、妖精の丘に馬を走らせる。霧のかかる丘に入ると、妖精の娘たちが彼を踊りの輪に誘う。現れた妖精王の娘から言い寄られ、オーロフは拒絶。馬を駆り帰途につくものの、途中で生き絶えてしまう」。「若者が夜、妖精の丘に近づくと危険だ」と合唱が歌う「プロローグ」「エピローグ」と3つの部分で構成された作品です。1851年から1854年にかけて作曲。1854年3月30日にコペンハーゲンで初演され、翌年の春、ドイツ語による版がエルベルフェルト、ライプツィヒ、ハンブルクで演奏されました。その後、英語、フランス語のテクストも作られ、デンマークとヨーロッパ大陸を離れ各国で演奏されています。ベルギーのソプラノ歌手ゾフィー・ユンカー Sophie Junker、ドイツ系スウェーデンのメゾソプラノ歌手イヴォンネ・フックス Ivonne Fuchs、ノルウェーのバリトン歌手ヨハンネス・ヴァイセル Johannes Weisser、デンマーク国立ヴォーカルアンサンブル、コンチェルト・コペンハーゲン(CoCo)、ラース・ウルリク・モーテンセン Lars Ulrik Mortensen の指揮。1855年にライプツィヒで出版されたオリジナル演奏譜のドイツ語歌詞を歌った初めての録音です。
アカペラ混声合唱のための《5つの歌》は、ゲーゼがライプツィヒで学んでいたころ、ドイツ語の詩をテクストに作曲されました。「春」の季節を、われわれを冬から救ってくれる騎馬の英雄に例えた〈騎士フリューリング(Ritter Frühling)〉。「超自然」のロマンティックな象徴〈睡蓮(Die Wasserrose)〉。夜明けの自然とひとつになることを呼びかける〈朝の散策(Morgenwanderung)〉。北欧の民謡のほの暗い雰囲気をソプラノのソロが明るい気分に導く〈秋に(Im Herbst)〉。ドイツ・ロマンティシズムの象徴とされる「狩りと森」を歌った〈森で(Im Wald)〉。《妖精王の娘》(1864年版)と同様、デンマーク音楽編集センターと王立デンマーク図書館が新たに改訂、出版した「ゲーゼ・エディション」による世界初録音です。
価格 2,585円(税込価格)(本体価格 2,350円)
『クーラウ、マリング ピアノ四重奏曲』
Dacapo 6.220591 SACD hybrid (Multichannel/stereo) classical
フリードリク・クーラウ(1786–1832)
ピアノ四重奏曲第3番 ト短調 Op.108
オト・マリング(1848–1915)
ピアノ四重奏曲 ハ短調 Op.80
コペンハーゲン・ピアノ四重奏団
ベネディクテ・ダムゴー(ヴァイオリン)
クリスティーナ・フィアロヴァ(ヴィオラ)
エーダム・スタズニキ(アダム・シュタートニキ)(チェロ)
ネール・タイルマン(ピアノ)
録音 2015年2月16日–19日(クーラウ)、2016年9月27日–29日、30日(マリング) 王立デンマーク音楽アカデミー、コンサートホール(コペンハーゲン)
制作 ティム・フレゼリクセン、メテ・ドゥーウ
「デンマーク文化の黄金時代」を彩ったひとり、フリードリク・クーラウ Friedrich Kuhlau の音楽。第1番と第2番(6.220596)に続き第3番のピアノ四重奏曲が、コペンハーゲン・ピアノ四重奏団の演奏でリリースされます。第3番ト短調は、ロシアの商人、J・M・ヴィトコフスキーの委嘱を受け、1828年秋、《妖精の丘》の書き終わった後、短期間で完成されました。ファンファーレ風の主題と優美で伸びやかな主題による〈アレグロ・コン・モルト・フオコ〉、溌剌としたスケルツォと「レントラー」のトリオの〈アレグロ・アッサイ〉、素朴な主題による「抒情」の変奏曲〈アダージョ〉、ソナタ=ロンド形式の〈アレグロ・ポコ・アジタート〉。1829年秋、コペンハーゲンの宮廷ワイン商人クリスチャン・ヴォーゲペータセンがイグナーツ・モシェレスのために開催した音楽の夕べでクーラウがピアノを弾き、初演しています。
もう一曲のピアノ四重奏曲を作曲したオト・マリング Otto Malling は、「黄金時代」を継ぐ19世紀後期に作曲家、オルガニスト、ピアニスト、指揮者として活躍しました。ニルス・W・ゲーゼの主導する「旧守的体制」の「音楽協会」に対抗して、C・F・E・ホーネマン、ヤコブ・ファブリーシュスとともに「コンサート協会」を設立。サン=サーンス、グノー、ドリーブ、マスネのフランス音楽を含む「今日」の音楽の紹介に努めました。ゲーゼとJ・P・E・ハートマンの死後、音楽アカデミーの教授、学長、大聖堂のオルガニストといった仕事を引き継ぎ、デンマーク音楽の新しい時代に貢献しました。ピアノ協奏曲ハ短調とピアノ三重奏曲イ短調(8.224114)、オルガンのための《聖パウロ》と《十字架上の最後の7つの言葉》(8.224023)が、Dacapo レーベルからリリースされています。ピアノ四重奏曲ハ短調は、北欧ナショナル・ロマンティシズムのスタイルにフランス音楽のハーモニーの色彩も加えた音楽。〈アレグロ - プレスト - ラルゴ〉、ノルウェーの「ハリング」のリズムを取り入れた「スケルツォ」、たそがれ時の「夜想曲」、「アレグロ・コン・フオコ」の「終曲」の4楽章で構成されています。
コペンハーゲン・ピアノ四重奏団。デンマーク生まれのベネディクテ・ダムゴー Benedikte Damgaard とネール・ブラスムネス・タイルマン Neel Bramsnæs Teilmann(1984–)、チェコ、ブルノ生まれのクリスティーナ・フィアロヴァ Kristina Fialova(1987–)、ベルリン生まれ、王立デンマーク音楽アカデミーでモーテン・ソイテンのソリスト・クラスとティム・フレゼリクセン教授とイェンス・エルヴェケーアの室内楽クラスに学んだアダム・シュタートニキ(エーダム・スタズニキ) Adam Stadnicki(1986–)。前作に続き、ティム・フレゼリクセン Tim Frederiksen とメテ・ドゥーウ Mette Due が共同で制作にあたりました。
価格 2,475円(税込価格)(本体価格 2,250円)
『フィニ・ヘンリケス ピアノ曲集』
Dacapo 8.226150 classical
フィニ・ヘンリケス(1867–1940)
格言(Aphorismer) Op.6 - 第4曲 愛している(Jeg elsker)
絵本(Billedbogen)(1899)
ABC 人形の子守歌(Dukkens vuggevise)
めくら鬼(Blindebuk) 夕べの祈り(Aftenbøk)
人形の踊り(Dukke-dans) 小さな兵隊(Den lille soldat)
母さんの膝で(På moders skød) 休み時間(Frikvarteret)
ボール(Bolden) 「まったくほんとう」("Det er virkelig sandt!")
お招き遊び(Kommer fremmede)
ムチと手綱で(Med pisk og tømme) 学校から(Fra skole)
くるくる回す人(Snurrebassen) 郷愁(Hjemve)
小さな騎手(Den lille jockey) 小妖精の踊り(Nissernes dans)
眠れる森の美女(Tornerose) 泣く子(Det grædende barn)
鬼ごっこ(Tagfat)
メロディ・プロフィール(シルエット)(Melodiske profiler) Op.38(1911)
蔦(Vedbend) 悲しみのワルツ(Sorgens vals)
夏の気分(Sommerstemning) 雄やぎ(Gedebuk)
憂鬱(Vemod) 子供のうたた寝(Barneblund) 切望(Udve)
鶏が告げる夜明け(Hønsemorgen) 優雅(Gratie)
スプリンター(Jurtigløberen) いじめる人(Drillepind)
学者ぶる人(Pedanten) 愛のワルツ(Kærlighedsvals)
死亡記事(Nekrolog) 田舎の冗談(Landlig skæmt)
フラッパー(Backfisch) 晩夏(Eftersommer)
過ぎてしまった(Forbi) 断念(Resignation)
エロティック(Erotik) Op.15(1896)
メロディ(Melodie) 愛のワルツ(Valse d'amour)
蝶々(Papillon) 小さいロマンス(Petite romance)
流行り歌(Chanson populaire)
クリスティーナ・ビャアケー(ピアノ)
録音 2018年6月24日–26日 デンマーク国立音楽アカデミー(南デンマーク音楽院)コンサートホール「オデオン」(オーゼンセ、デンマーク)
制作・録音 モーテン・モーウンセン
世紀の変わり目を控えた19世紀最後の20年、1860年代に生まれた世代の作曲家たちがデンマーク音楽に新しい風を吹かせました。特に、ルイ・グラス(1864–1936)、カール・ニルセン(1865–1931)、フィニ・ヘンリケス Fini Henriques(1867–1940)の3人は、それぞれ異なる方法と語法で器楽作品の分野にスタイルの革新をもたらし、その後のデンマーク音楽の方向を示したと言われています。フィニ・ヘンリケスは、1867年、フレゼリクスベアに生まれました。7歳の時、母の手伝いを受け、最初のピアノ小品集を作曲。8歳からヴァイオリンを学び始めました。ニルス・W・ゲーゼの助言により王立デンマーク音楽アカデミーには進まず、ヴァルデマー・トフテにヴァイオリン、王立デンマーク管弦楽団の指揮者を務めていたヨハン・スヴェンセンに音楽理論を学んだ後、1888年から1891年にかけてベルリンの王立プロイセン音楽大学でヴォルデマール・バルギールとヨーゼフ・ヨアヒムの指導を受けました。
ヘンリケスは、幅広いジャンルに作曲。歌劇《白内障の外科医(Stærstikkeren)》やバレエ《人魚姫(Den lille havfrue)》といった劇場音楽、オーボエと弦楽のための組曲、弦楽四重奏曲 イ短調、ヴァイオリンソナタ ト短調などが主要作品とされています。ピアノ曲は、子供のための曲集《絵本》《小さな水彩画》《子供の詩》《メロディ・アルバム》《親指トム》に106曲、大人のための《格言》《6つのピアノの小品》《詩》《エロティック》《性格的小品》《メロディ・プロフィール(シルエット)》に55曲が収められました。
クリスティーナ・ビャアケー Christina Bjørkøe(1970–)は、コペンハーゲン生まれのピアニスト。テレーセ・コペル、ジュリアード音楽院のシーモア・リプキン、王立デンマーク音楽アカデミーのアネ・ウーランに学びました。ベートーヴェンの《ディアベッリ変奏曲》(Danacord DACOCD747)、ホルムボーのヴァイオリンとピアノの作品集(8.226063)など、ソロと室内楽を中心に録音も多く、カール・ニルセンのピアノ作品全集(cpo 777 413-2)で2009年のデンマーク音楽賞の最優秀ソロ録音賞を受けています。
価格 2,585円(税込価格)(本体価格 2,350円)
『ウォルトマン、コルンゴルトを弾く』
Daphne DAPHNE 1032 classical
エーリヒ・コルンゴルト(1897–1957)
ヴァイオリンソナタ ト長調 Op.6
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35
ポール・ウォルトマン(ヴァイオリン)
ベンクト・フォシュベリ(ピアノ)
スウェーデン放送交響楽団 ダーヴィド・ビョークマン(指揮)
録音 2007年11月12日 スウェーデン放送(ストックホルム) 第2スタジオ(ソナタ)、2006年5月24日 ベールヴァルドホール(ストックホルム)(ライヴ)
制作 トビアス・リングボリ(ソナタ)、シンシア・セッテルクヴィスト
録音 ビョーン・ウッデーン(ソナタ)、ユーハン・ヒュットネス
成熟した技巧、創意のある旋律、深い情感をたたえた音楽。15歳のコルンゴルトが書いたヴァイオリンソナタ。ハリウッド映画のために書いた音楽を素材に、後期ロマンティシズムの香りにみちたヴァイオリン協奏曲。このコルンゴルトの2作品をスウェーデン系カナダのヴァイオリニスト、ウォルトマンが弾きました。
ポール・ウォルトマン Paul Waltman はストックホルム生まれ。インゲ・ブーストレムとカール=ウーヴェ・マンベリの下でヴァイオリン演奏を学び、ソロイスト・ディプロマ取得後、スウェーデン各地のオーケストラと共演しました。2000年からスウェーデン放送交響楽団のメンバー。室内楽の演奏ではベンクト・フォシュベリ Bengt Forsberg(1952–) やフランシスカ・スクーグらと共演しています。この録音では2つの楽器、1735年の「Pietro Antonio dalla Costa in Treviso」(ソナタ)と、「Ex-Crafoord」として知られる1709年製ストラディヴァリウスを弾いています。
スウェーデンを代表するピアニストのひとり、フォシュベリ。ロマンティシズム時代の音楽は彼の主要なレパートリーです。コルンゴルトは特にお気に入りの作曲家。メッツォソプラノ歌手のフォン・オッターと共演したコルンゴルト・プログラムによるコンサートとCD録音は、広く人気を集めてきました。
スウェーデン放送交響楽団を指揮するダーヴィド・ビョークマン David Björkman(1973–)はヨーテボリ交響楽団、ノルランドオペラ交響楽団、スウェーデン放送交響楽団でヴァイオリンを弾いた後、指揮に転向。ヨルマ・パヌラ、エサ=ペッカ・サロネン、シクステン・エールリングに師事しました。2006年4月、ミッコ・フランクの代役として急きょ、スウェーデン放送交響楽団を指揮。エレーヌ・グリモーと共演したベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番とショスタコーヴィチの交響曲第12番の演奏は成功を収め、ビョークマンは一躍注目を集めます。音楽の息づかいと自然な高揚感を大切にするタイプの指揮者と思われます。ウォルトマンと共演したコルンゴルトの協奏曲は「競争」ではなく「協奏」。コルンゴルトの音楽が、輝かしく、また、親しみのある表情を見せます。ベールヴァルドホールでのライヴ。ブラヴォーの声と拍手がそのまま収録されています。
価格 2,695円(税込価格)(本体価格 2,450円)
『ヴォカリーズ(Vocalise) - チェロのための小品集』
Daphne DAPHNE 1024 classical
セルゲイ・ラフマニノフ(1873–1943)(レナード・ローズ 編曲)
ヴォカリーズ(Vocalise) Op.34 no.14
ピョートル・チャイコフスキー(1840–1893)
(マリア・シュヴァンベルガー 改訂)
カプリッチョ風小品(Pezzo capriccioso) Op.62
ヴィルヘルム・ペッテション=ベリエル(1867–1942)
ばらに寄せて(Till rosorna) Op.16 no.4
エーヴェット・トーブ(1890–1976)(マッツ・ベリストレム 編曲)
夜想曲(Nocturne)(チェロとギターのための)
イサーク・アルベニス(1860–1909)(ヴェルナー・トマス=ミフネ 編曲)
スペイン組曲 Op.47(2つのチェロのための)
- アストゥリアス(Asturias)(伝説)
キューバ(Cuba)(カプリッチョ)
セビーリャ(Sevilla)(セビリャナス)
セルゲイ・プロコフィエフ(1891–1953)
(グレゴル・ピアティゴルスキー 編曲)
行進曲(March) Op.65 no.10(チェロ独奏のための)
ガブリエル・フォーレ(1845–1924)(マッツ・ベリストレム 編曲)
シチリアーナ(シシリエンヌ)(Sicilienne) Op.80 no.3
(チェロとギターのための)
子守歌(Berceuse) Op.16(チェロとギターのための)
ガブリエル・フォーレ(1845–1924)(パブロ・カザルス 編曲)
夢のあとに(Aprés-un-rêve) Op.7 no.1
マッツ・ロンディン(チェロ) スタファン・シェーヤ(ピアノ)
マッツ・ベリストレム(ギター)
ヤン=エーリク・グスタフソン(チェロ)
録音 1994年8月12日–14日 スウェーデン放送第3スタジオ
制作 ビョーン・ウッデーン
録音 ビョーン・ノレーン
現代スウェーデンのピアノ三重奏曲を集めた『Tribute』(DAPHNE 1015)とベートーヴェン、ラヴェル、ショスタコーヴィチのピアノ三重奏曲(DAPHNE 1016)を録音した「トリオ・マッツ」のチェリスト、マッツ・ロンディン Mats Rondin(1960–2014)が主役のアルバム。ギターのマッツ・ベリストレム Mats Bergström、ピアノのスタファン・シェーヤ Staffan Scheja、チェロのヤン=エーリク・グスタフソン Jan–Erik Gustafsson と、音楽仲間たちが集まったセッションで録音されました。
ロンディンは、王立ストックホルム音楽大学でグンナル・ノッルビュー、スウェーデン放送音楽学校でエアリング・ブレンダール・ベンクトソンとフランス・ヘルメション、ロンドンでウイリアム・プリースに学び、ソリストとしてスカンディナヴィアとヨーロッパのオーケストラと共演。マルメ交響楽団とスウェーデン放送交響楽団の首席チェロ奏者を務めました。スウェーデン放送交響楽団の首席指揮者だったエサ=ペッカ・サロネンは、ロンディンの「集中力の高い、洗練された、鋭い味わいのセンス」の音楽性を讃え、彼の世代を代表する国際レベルのチェリストのひとりと語っています。
ラフマニノフの《ヴォカリーズ》、ペッテション=ベリエルの《フローセの花》の〈ばらに寄せて〉、シンガーソングライターのエーヴェット・トーブの《夜想曲》、カザルスの編曲したフォーレの《夢のあとに》。衒いもなく、聴き手に媚びもせず、ひたすら作品に共感を寄せ、みずからの心に問う。遅れた紅葉も始まり、ほどなく木々の葉は舗道に散る。秋になり、冬がくる。北の国の人たちは、ふたたび訪れる春を待つ……。そうした季節のためのアルバムです。
価格 2,695円(税込価格)(本体価格 2,450円)
『イシドル(Isidor)』
Prophone PCD 101 jazz
『イシドル(Isidor)』
Secrets Scanian Suite(OpenFields The Valley
Sounds of the Sound Hopeful Isidor Suite Psalmen
Rondin Rave Inner Secrets
ラーシュ・ダニエルソン(ベース、プログラミング)
リスベト・ディアス(パーカッション)
ケンネト・ヨンソン(ソプラノサックス)
ヤコブ・カールソン(ピアノ)
アンデシュ・シェルベリ(ドラムズ)
ヨハンネス・ルンドベリ(ベース)
セシーリエ・ノアビュー(ヴォーカル)
イェスペル・ヌーデンストレム(キーボード)
マイク・スターン(ギター)
イシドル室内管弦楽団 マッツ・ロンディン(チェロ、指揮)
南スウェーデンのスコーネ地方で毎年、チェリストのマッツ・ロンディン Mats Rondin の主宰するイシドル・クッレ・ミュージックフェスティヴァル Isidor Kulle Music Festival が開催されてきました。ロンディンの友人を中心にさまざまなスタイルのトップレベル・ミュージシャンが参加。1500人から2500人の聴衆にジャンルを超えた音楽を楽しむ機会を提供してきました。ところが、このフェスティヴァルの行われる地域を風力発電地帯化する計画がもちあがり、その風車の騒音のせいでフェスティヴァルが開催できなくなることが危惧されています。このフェスティヴァルとイシドル室内管弦楽団のために委嘱、編曲された作品集。ヤコブ・カールソン Jacob Karlzon やセシーリエ・ノアビュー Cæcilie Norby をはじめとする素晴らしい顔ぶれです。
価格 2,365円(税込価格)(本体価格 2,150円)
『カール・ニルセン 3つの協奏曲』
Daphne DAPHNE 1056 classical
カール・ニルセン(1865–1931)
ヴァイオリン協奏曲 FS61(Op.33)(1911)*
フルート協奏曲 FS119(1926)**
クラリネット協奏曲 FS129(Op.57)(1928)***
マーリン・ブルーマン(ヴァイオリン)*
アンデシュ・ユーンヘル(フルート)**
アンドレーアス・スンデーン(クラリネット)***
スウェーデン放送交響楽団
ジョアナ・カルネイロ(指揮)*/***
フィリップ・フォン・シュタイネッカー(指揮)**
録音 2015年10月22日–23日 *、11月4日–5日 **、12月10日–11日 *** ベールヴァルドホール(ストックホルム)(ライヴ録音)
制作 キャリー・ブーデルマン */***、ヤン・B・ラーション **
録音 ホーカン・ショークヴィスト
2015年秋、ストックホルムのベールヴァルドホールで行われたコンサート、スウェーデン放送交響楽団のトップ奏者が将来を期待される若い指揮者と共演するカール・ニルセンの3つのソロ協奏曲が演奏されました。「引き締まった音楽と、人当たり良く、上っ面ではない華やかさ、という矛盾する要素を巧みに一体化した」ヴァイオリン協奏曲。「人間の特質を深い詩人の心で洞察した、円熟したユーモアのある」フルート協奏曲。「愛すべき」フルート協奏曲を献呈されたホルガー・ギルバト=イェスパセンと同じデンマーク木管五重奏団のクラリネット奏者、「やや怒りっぽい音楽家」オーウ・オクセンヴァズのためにニルセンが書いた「深い内容」の協奏曲。3曲は今日、それぞれの楽器のプレーヤーたちのレパートリーとして定着しています。
ヴァイオリン協奏曲のソロを弾くマーリン・ブルーマン Malin Broman(1975–)は、スウェーデン放送交響楽団の第1コンサートマスターを務め、ソリスト、室内楽奏者、「ムシカ・ヴィテ」の芸術監督として活動。2019年のシーズンからオストロボスニア室内管弦楽団の芸術監督に就くことが決まりました。フルートのアンデシュ・ユーンヘル Anders Jonhäll(1966–)は、スウェーデン放送交響楽団とヨーテボリ交響楽団のソロ奏者を務め、「Gageegoo!(ガギーゴー!)」をはじめとする現代音楽のアンサンブルに参加しています。クラリネットのアンドレーアス・スンデーン Andreas Sundén は、ノルウェー国立音楽アカデミーのハンス・クリスチャン・ブレインたちに学び、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席を経て、ソロ奏者としてスウェーデン放送交響楽団に加わりました。
ポルトガル交響楽団の首席指揮者、ジョアナ・カルネイロ Joana Carneiro(1976–)、ドイツのフィリップ・フォン・シュタインネッカー Philip von Steinæcker(1972–)、イリヤ・ムーシンに学んだ、スロヴァキアのユライ・ヴァルチュハ Jurai Valčuha(1976–)の指揮。10月、11月、12月のコンサートのライヴ録音です。
[廃盤]
『トルミス 男声合唱のための作品集』
Toccata Classics TOCC 0073 classical
ヴェルヨ・トルミス(1930-2017)
原生の歌(Pärimaalase lauluke/An Aboriginal song)(1981)
二重献呈 - ディプティク
(Kaksikpühendus - Diptühhon/Double Dedication - Diptych)(1983)
歌を歌いたい(Ühtte laulu tahaks laulda/I'd like to Sing a Song)
星(Tähed/Stars)
横風(Tõmbtuul/Crosswind)(1993)
われらの影(Meie varjud/Our Shadows)(1969)
サンポの鋳造(Sampo cuditur/Forging the Sampo)(1997)
司教と異教徒(Piispa ja /The Bishop and the Pagan)(1992)
大波の魔術(Incantatio maris aestuosi/Incantation for a Stormy Sea)(1996)
男たちの歌(Meestelaulud/Men's Songs)(1964-65)
- 男たちの歌(Meeste laul/Men's Song)
共寝の歌(Ehalkäimise-laul/Bundling Song)
婚約訪問の歌(Kosjalaul/Betrothal Visit Song)
トルコ戦争の歌(Türgi sõja laul/Song of the Turkish War)
踊りの歌(Tantsulaul/Dancing Song)
鉄への呪い(Raua needmine/Curse upon Iron)(1972)
スヴァンホルム・シンガーズ
ソフィア・セーデルベリ・エーベルハード(指揮)
ヴェルヨ・トルミス(シャーマンドラム、鉄床)
スタファン・エングストレム(丸太太鼓、カウンターテナー)
エミール・ユーハニソン(テノール)
スタファン・リンドベリ(テノール)
ユーハンネス・ミドグレン(テノール)
ユーハン・スターンビ(バス)
マッティン・ステルヴァンデル(口笛)
エーリク・エミールソン(バス)
録音 2006年10月9日-11日、11月6日、8日 ロンマ教会(ロンマ、スコーネ)
制作 アンドレーアス・ニルソン、ソフィア・セーデルベリ・エーベルハード
録音 アンドレーアス・ニルソン
20世紀エストニアを代表する作曲家のひとり、ヴェルヨ・トルミス Veljo Tormis(1930-2017)は、膨大な数の合唱曲を手がけ、現代の作曲技法を応用することにより、エストニア伝統の歌唱法のもつ強い力とエネルギーを新しい音楽表現に再構築しました。スウェーデンと北欧を代表する男声室内合唱団「スヴァンホルム・シンガーズ Svanholm Singers」のトルミス作品集は、2003年の来日公演で歌った《司教と異教徒》と《大波の魔術》など、彼の代表的作品によるプログラムが組まれました。高い技術と洗練で知られるスヴァンホルム・シンガーズが指揮者ソフィア・セーデルベリ・エーベルハード Sofia Söderberg Eberhard とともにトルミス作品の芸術性を鮮やかに浮き彫りにしていきます。《サンポの鋳造》と《鉄への呪い》の男声合唱版は、これが初めての録音。スコーネのロンマ教会で行われた録音セッションにはトルミスも参加し、《原生の歌》《鉄への呪い》でシャーマンドラムを、《サンポの鋳造》では鉄床を叩いています。
価格 2,750円(税込価格)(本体価格 2,500円)
『父と子の作曲家、ピアノと管弦楽のための作品集』
Simax PSC 1234 nordic edition classical
ダーヴィド・モンラード・ヨハンセン(1888–1974)
ピアノ協奏曲 変ホ長調 Op.29(1954)
交響詩《パン(Pan)》 Op.22(1939)
ヨハン・クヴァンダール(1919–1999)
ピアノ協奏曲 Op.85(1998)
ホーヴァル・ギムセ(ピアノ)
オスロ・フィルハーモニック管弦楽団
クリスチャン・エッゲン(指揮)
オーレ・クリスチャン・ルード(指揮)
録音 2005年8月10日–12日、2007年5月15日–16日 オスロ・コンサートホール
制作 ヨルン・ペーデシェン
録音 ジェフ・マイルズ
20世紀ノルウェーを代表する父子作曲家。ノルウェー音楽の伝統と新しい潮流の融合に成功した父ダーヴィド・モンラード・ヨハンセン David Monrad Johansen(1888–1974)。父から離れたところで芸術表現を評価されることを望み、父方の姓を名乗らなかった息子、ヨハン・クヴァンダール Johan Kvandal(1919–1999)。モンラード・ヨハンセンの《ピアノ協奏曲》はエネルギッシュな音楽が特徴の、ピアニストに高い技巧の求められる作品です。交響詩《パン》は、ノーベル賞作家クヌート・ハムスン Knut Hamsun(1859–1952)の80歳誕生日記念のためにノルウェー放送局から委嘱を受け、作曲されました。題材となったハムスンの小説『パン(Pan)』は、森の小屋に住む元軍人の狩人と、商人の娘の恋の顛末を語り、文明と自然の対立を表現した作品とされます。グリーグ以来のノルウェー音楽に印象主義の色彩を加えた音楽。モンラード・ヨハンセンの国際的にもっともよく知られた作品です。
クヴァンダールの《ピアノ協奏曲》は彼の最後の作品。リズミカルな推進力のある最初の楽章は、小さな動機にノルウェー的要素が感じられ、クヴァンダールがゲイル・トヴェイトに学んだことが思い起こされます。簡潔なトッカータで音楽を締めくくることはホーヴァル・ギムセ Håvard Gimse(1966–)の提案で実現しました。ギムセは初演のソリストを務めただけでなく、彼の貢献がなければクヴァンダールが作品を完成させることはできなかったと言われています。クリスチャン・エッゲン Christian Eggen(1957–)とオーレクリスチャン・ルード Ole Kristian Ruud(1958–)がオスロ・フィルハーモニックを指揮。豊かで鮮やかな音質の録音はジェフ・マイルズの担当です。
価格 2,750円(税込価格)(本体価格 2,500円)
『アルヴェ・テレフセン、オーレ・ブルを弾く』
Simax PSC 1312 classical
オーレ・ブル(1810–1880) 夜想曲(Nocturne) Op.2(1842)
セーテルの娘の日曜日(Sæterjentens Søndag)
(ヨハン・スヴェンセン 編曲)
セーテル訪問(Et sæterbesøg)(1848–49)
アダージョ・レリジョーゾ(母の祈り)
(Adagio religioso "En Moders Bøn")(1834)
《ポラッカ・ゲッリエラ(Polacca guerriera)》(1835) から
(ハーラル・ハイデ、アルヴェ・テレフセン 編曲)
アダージョ・ソステヌート(Adagio sostenuto)(1840–41)
アジアーコ・クバーノ(Agiaco Cubano)(1844)
- 大行進曲(Grand Marche)(ラグナル・セーデルリン 編曲)
カンタービレ・ドロローゾとロンド・ジョコーゾ
(Cantabile doloroso e Rondo giocoso)(1837)
孤独の時に(メランコリー)(I ensomme stunde "La Mélancolie")
(ヨハン・ハルヴォシェン 編曲)
エドヴァルド・グリーグ(1843–1907)
ガヴォット(Gavotte) メヌエット(Menuet)
オーレ・ブル(1810–1880)
アジアーコ・クバーノ(Agiaco Cubano)(1844)
- アンダンテ・マエストーゾ(Andante maestoso)
シーグリの歌(Sigrids sang)(断片 1849)
舟歌(Barcarolle)(1833–35)(ウーラ・リンゲ 編曲)
スコットランド幻想曲(Scotch Fantasy)
アンダンテ・カンタービレ(Andante cantabile)
(アルヴィド・オールスネス 編曲)
カンタービレ(1842年フレドリクスヴェルンのコンサート回想)
(Cantabile - Reminicens fra Concerten i Fredriksværn 1842)
孤独の時に(I ensomme stunde)(1863)
アルヴェ・テレフセン(ヴァイオリン)
トロンハイム交響楽団 アイヴィン・オードラン(指揮)
ホーヴァル・ギムセ(ピアノ) [Simax PSC 1261]
ヴァイオリンのヴィルトオーゾとして人気を集めたオーレ・ブル Ole Bull(1810–1880)の生誕200年を記念するディスク。ノルウェーとスウェーデンの連合解消100年を記念して2005年にリリースされたテレフセン Arve Tellefsen(1936–)のアルバム『ノルウェー音楽のパイオニア、オーレ・ブル』(PSC1261)からグリーグの《十字軍兵士シーグル》の〈力くらべの場で〉がカットされ、ブルとグリーグが共演したことが記録に残る《ガヴォット》と《メヌエット》が新たに追加されました。アンナル・フォレソーがノルウェー放送管弦楽団と共演したヴァイオリンと管弦楽のための作品集(2L 2L 067SABD)とともにオーレ・ブルの音楽の代表的なアルバムです。
価格 2,750円(税込価格)(本体価格 2,500円)
『ベーストリップ(Bass Trip) - コントラバスのための現代作品集』
Simax PSC 1288 contemporary/classical
テッポ・ハウタ=アホ(1941–)
カデンツァ(Kadenza)(1969 rev.1985)
(コントラバス・ソロのための)
アルヴォ・ペルト(1935–)(ダン・ステュッフェ 編曲)
鏡の中の鏡(Spiegel im Spiegel)(1978)
(コントラバスとピアノのための)
ポール・ラムジエ(1937–)
夢の動物園 III(Zoo of Dreams III)
《サハラの降雨林(Sahara Rainforest)》
(コントラバスとチェロのための)
ヨン・オイヴィン・ネス(1968–)
突風(Gust)(2005)(コントラバスとヴィオラのための)
マリオ・ラヴィスタ(1943–)
Dusk(薄暮)(1980)(コントラバス・ソロのための)
ヘンリク・ヘルステニウス(1963–)
夕影(Ombra della sera)(2004)(コントラバスと打楽器のための) [Aurora ACD5047]
ラーシュ・ペッテル・ハーゲン(1975–)
讃歌(Hymn)(コントラバス・ソロのための)
シュテファン・シェーファー(1963–)
L'adieu(別れ)(コントラバスとピアノのための)
ペーテリス・ヴァスクス(1947–)
ベーストリップ(Bass Trip)(2003)(コントラバスと声のための)
ダン・ステュッフェ(コントラバス)
ゴンサロ・モレーノ(ピアノ)
オイスタイン・ビルケラン(チェロ)
カスリーン・ブロック(ヴィオラ)
ハンス=クリスチャン・ショス・ソーレンセン(打楽器)
スサンナ・ヴァルムロード(声)
録音 2007年6月、9月、12月 ノルウェー音楽大学リンデマンホール(オスロ)
制作 エーリク・ガルド・アムンセン
録音 アウドゥン・ストリーペ
ダン・ステュッフェ Dan Styffe。ノルウェー・オペラ管弦楽団の首席ダブルベース奏者から現在、オスロ・フィルハーモニックのソロ奏者を共同で務めています。ヨーラン・ニューベリ、クヌート・ギュトレルに学び、ゲーリー・カーのアシスタントとしても働きました。ユン・イサン、ヘンツェ、グバイドゥーリナらの曲を集めた『Double Bass』(PSC 1157)、ピアソラ、ペーシェン、シェルシ、クセナキスらの作品による『Revisited』(PSC 1252) につづくソロ・アルバム第3作。新しいアルバムもフィンランド、ドイツ、アメリカ、ノルウェー、メキシコ、ラトヴィアといったさまざまな国籍の作曲家たちの新しい作品で構成されました。ヨン・オイヴィン・ネス Jon Øivind Ness(1968–)、ヘンリク・ヘルステニウス Henrik Hellstenius(1963–)、ラーシュ・ペッテル・ハーゲン Lars Petter Hagen(1975–)の「実際には存在しない巨大なハルダンゲルフィドルのため」の《讃歌》。いずれもステュッフェの委嘱により作曲されました。コンペティションの課題曲に採用されることの多いハウタ=アホ Teppo Hauta–Aho(1941–)の《カデンツァ》、ヴァスクス Peteris Vasks(1947–)の《ベーストリップ》。ともにミュンヘンの ARD コンペティションの委嘱で作曲されました。「ステュッフェは音の探求に集中。通常の音の組み立ての中から、誰もが思ってもいなかった色彩とニュアンスを引き出した」(ゲーリー・カー)。コントラバスという楽器のファンと音楽を愛する人たち、ともに魅力を感じることのできるアルバムです。
価格 2,750円(税込価格)(本体価格 2,500円)
『異国の鳥たち(Oiseaux Exotiques)』
Aurora ACD5057 contemporary/wind band music/classical
オリヴィエ・メシアン(1908–1992)
異国の鳥たち(Oiseaux exotiques)(1955–56)
トシュタイン・オーゴール=ニルセン(1964–)
ウィンズ・オブ・チェンジズ(Winds of Changes)(2002)
(小ウィンドアンサンブルのための)
アイヴィン・ビューエネ(1973–)
トポグラフィックス(Topographics)(2002)(バンドのための)
ホーコン・アウストボー(ピアノ)
アイリク・ラウデ(打楽器)
ノルウェー軍西部音楽隊 ペーテル・シルヴァイ(指揮)
録音 2006年5月、2008年5月(メシアン) NRKホルダラン・スタジオ(ベルゲン、ノルウェー)
制作 マトシュタイン・オーゴール=ニルセン、グンナル・ヘルライフ・ニルセン
録音 グンナル・ヘルライフ・ニルセン
ノルウェー軍西部音楽隊 Forsvarets Musikkorps Vestlandet(FMKV)は216年の歴史を誇り、2009年に陸軍から海軍に移管されました。『Bad News from the Desert(砂漠から届いた悪い知らせ)』(ACD 5053)に次ぐアルバム。メシアンが世界各地で聴いた鳥の歌を素材にした《異国の鳥たち》と、ノルウェーの作品が2曲、演奏されます。
トシュタイン・オーゴール=ニルセン Torstein Aagaard–Nilsen(1964–)の《ウィンズ・オブ・チェンジズ》(変化する木管楽器)は、《大ウィンドアンサンブルのための協奏曲 – ペンタグラム》(2001)を木管楽器(ウィンズ) の小アンサンブル(オーボエ、4本のクラリネット、バスクラリネット、テナーサックス、バリトンサックス、ダブルベース)のために改作した作品です。〈儀式(Rituale)〉〈ヨブの嘆き(Jobs Klage)〉〈遊戯(Spill)〉〈終結(Konklusjon)〉の4楽章から構成されます。
アイヴィン・ビューエネ Eivind Buene(1973–)の《トポグラフィックス》 は、ピアノと打楽器のソロがアンサンブルが絡み合い、いろいろな風景を多彩に描いていく音楽です。ピアニストのホーコン・アウストボー Håkon Austbø(1948–)は、30年以上に渡るオランダ生活に終止符を打ち、祖国ノルウェーでさらに意欲的な活動をしています。メシアンのピアノ作品全集(Naxos)とドビュッシーのソロ・ピアノ作品全集(Simax)の録音で知られます。打楽器奏者のアイリク・ラウデ Eirik Raude(1973–)は、オスロ・フィルハーモニックで演奏した後、ソロ活動に入り、ビデオアート、現代バレエ、劇場のステージといったさまざまなジャンルのアートとの共同作業を行っています。
「軍楽隊」から連想される「ネガティヴ」なイメージを払拭する豊かな響きをもち、音楽の内面性を追求するノルウェー軍西部音楽隊を2001年から2004にかけて芸術リーダーを務めたペーテル・シルヴァイ Peter Szilvay(1971–)が指揮しています。
価格 2,750円(税込価格)(本体価格 2,500円)
『ルトスワフスキ 管弦楽作品集 第2集』
Ondine ODE 1332-2 classical
ヴィトルト・ルトスワフスキ(1913–1994)
交響曲第3番(1983) 交響曲第2番(1967)
フィンランド放送交響楽団 ハンヌ・リントゥ(指揮)
録音 2018年11月26日–30日 ヘルシンキ・ミュージックセンター(フィンランド)
ハンヌ・リントゥ Hannu Lintu(1967–)とフィンランド放送交響楽団によるルトスワフスキの管弦楽作品。交響曲第1番と第4番、《ヴェネツィアのゲーム》を収録した第1集(ODE 1320-2)につづくアルバムがリリースされます。交響曲第2番は、スターリンの死後、「新しい音楽」が次々とポーランドで紹介され、国外でもルトスワフスキの名声が高まった時期、1965年から1967年にかけて作曲されました。ルトスワフスが《ヴェネツィアのゲーム》で実践した、個々の楽器のパートが厳密に書かれながら、管理された「偶然」の要素を使いながら正確な対等関係に体系づけられるという「管理された偶然性」の技法による、2楽章の作品です。第3番の交響曲は、3管の木管楽器、4管の金管楽器、ティンパニ、多種類の打楽器、チェレスタ、4手のピアノ、2台のハープの大編成のために書かれ、充分に成熟した「管理された偶然性」も使われた作品です。1973年、シカゴ交響楽団の委嘱で作曲が始められ、1983年9月29日、ゲオルク・ショルティの指揮で初演されました。
価格 2,585円(税込価格)(本体価格 2,350円)
『燃えさしのそばに(Áššogáttis)』
Caprice CAP 21801 traditional/pop music
『燃えさしのそばに(Áššogáttis)』
Áššogáttis(燃えさしのそばに) Árvas(アウルヴァスのツンドラ)
Liekkas(温もり) Irene(イレーネ) Davádat(西へ吹く風)
Váralas(危険) Sámi eatnan duoddarlid(サーミランドの開けたツンドラ)
Vuolvojávrri(ヴオルヴォヤウヴリの湖)
Golle Máze(黄金色のマウゼ) Dulla lulla(ねんねんころり)
Vássán áiggit(過ぎ去りし時代)
ソフィア・ヤンノック(ヴォーカル)
ペーテル・ティッカネン・トリオ
ペーテル・ティッカネン(ピアノ)
トビアス・ヘレーン(ベース)
ユーハン・エングルンド(ドラムズ)
録音 2007年8月、2008年春 スウェーデン
サーミの歌手ソフィア・ヤンノック Sofia Jannok。1982年、スウェーデン、サプミ地方の都市エリバレに生まれ、11歳から歌を始めました。サーミの音楽に深く根差しながら、ジャズ、ポップミュージック、バラードと幅広いジャンルの音楽で彩った彼女の新しい歌は、スカンディナヴィアを中心に人気を集めています。数年前から共演することの多くなったペーテル・ティッカネン Peter Tikkanen のトリオがこの録音にも参加しています。
価格 2,695円(税込価格)(本体価格 2,450円)
『到着(Ankomst)』
Heilo HCD 7235 contemporary/traditional
『到着(Ankomst)』
Arrivals(到着) Midnattsdrøm(真夏の夜の夢)
Regntung dag(雨の日) Umulius Brytningstid(過渡期)
Abelvær Polonese(ポロネーズ) Sukkersøtt(砂糖の甘さ)
Brudemarsj(花嫁の行進) Valse idé Ei vise(ある歌)
Vuggeslått(子守歌)
Kitchenpolka(キッチンポルカ)(Bonus track)
イェルムン・ラーシェン・トリオ
イェルムン・ラーシェン(ヴァイオリン)
アンドレーアス・ユートネム(ピアノ)
ソンドレ・マイスフィヨルド(ベース)
録音 2008年6月2日–6日 ファーゲルボルグ・スタジオ(オスロ)
ノルウェーのフィドル奏者、作曲家。イェルムン・ラーシェン Gjermund Larsen は、1981年、ヴェルダールのフィドル奏者一家に生まれました。ヴォスのオーレ・ブル・アカデミーとオスロのノルウェー国立音楽大学で学び、2000年に学生たちが創設したフィドルアンサンブル、大学の所在地に因んで命名された「マヨルシュトゥーエン」に参加しました。アンドレーアス・ユートネム Andreas Utnem のピアノ、ソンドレ・マイスフィヨルド Sondre Meisfjord のベース。『到着』は、彼がリーダーを務めるトリオのファーストアルバムです。
価格 2,750円(税込価格)(本体価格 2,500円)
『Double Door』
Prophone PCD 089 jazz
『Double Door』
Surroundings(Mathias Landæus)
Williamsburg Winter(Mathias Landæus)
Lost in Betlehem(Mathias Landæus)
Bright Side of Darkman(Karl-Martin Almqvist)
Spring Can Really Hang You Up the Most(Tommy Wolf/Fran Landesman)
Mr. Edwards(Karl-Martin Almqvist)
Mästerwerk I(Mathias Landæus)
Brief(Mathias Landæus) OD(Karl-Martin Almqvist)
Two Fellow Freaks(Karl-Martin Almqvist)
カール=マッティン・アルムクヴィスト(サクソフォーン)
マティアス・ランデウス(ピアノ)
録音 2005年12月15日–16日 SAMI(ストックホルム)
制作 マティアス・ランデウス、カール=マッティン・アルムクヴィスト
録音・ミクシング ヨーラン・ステーグボーン
スウェーデンのサクソフォーン・プレーヤー、カール=マッティン・アルムクヴィスト Karl-Martin Almqvist とピアニスト、マティアス・ランデウス Mathias Landæus のデュオ・アルバム。彼らの友人で音楽仲間のニルス・ランドグレーンが寄せた一文がブックレットに載っています。「まず第一に、ちょっとした告白をしておかなきゃいけない。私はデュオの献身的なファンだ。こればかりは仕方ない。ただただ好きなんだからね。デュオは、脆くて、すべてがむき出し。つかまることのできるのは一緒に演奏するパートナーだけ。だから私にとってデュオはおもしろい……」(ニルス・ランドグレーン)。アルムクヴィストとランデウスのオリジナル曲に、スタン・ゲッツも録音したトミー・ウルフ作曲の《Spring Can Really Hang You Up the Most》を加えたプログラム。音楽に歌わせるスタイルの演奏が聴き手をデュオの美しい世界へ誘います。
価格 2,365円(税込価格)(本体価格 2,150円)
『Reunion(再会)』
Prophone PCD 228 jazz
『Reunion(再会)』
Just Sometimes Vocation For Jan From Major to Minor
Soul Stretch Pearl Ocean and Sand Hello, Goodbye
Moving in Me Black Crow The Nearness of You
アンナ・ルンドクヴィスト(ヴォーカル)
ユーナス・アンドレ(ピアノ、エレクトリックピアノ)
ジャズ・ヴォーカリストのアンナ・ルンドクヴィスト Anna Lundqvist とピアニストのユーナス・アンドレ Jonas André は、スコーネ地方のスクルプ国民高等学校のジャズ・プログラムでクラスメートとして学びました。卒業後、アンナは、ジャズ・ヴォーカリストと作曲家として活動。「アンナ・ルンドクヴィスト・クインテット」のリリースしたアルバム第5作『MEWE』(PCD169)が、独立系音楽プロデューサーを中心に組織したストックホルムの「Manifestgalan(マニフェスト・ガラ)」の「2018年最優秀ジャズ」にアルバムとグループの部門でノミネートされるなど、活躍をつづけています。アンドレは、マルメ音楽大学に進み、ミュージシャン、プロデューサー、グラフィック・デザイナーとしてさまざまな音楽プロジェクトに関わってきました。エッダ・マグナソンのデビュー・アルバム(Caprice CAP 21812)では共同制作と録音も担当、彼の代表的アルバムとみなされています。
卒業から20年、ともにスウェーデンの音楽シーンでともに活躍するふたりが、高校時代の共演の再現を試みたアルバム『Reunion(再会)』。かつて思いつくままに展開させた魔法のような音楽が蘇るだろうか。プログラムは、このアルバムのために書いた新作を含むオリジナル曲と、ノーマ・ウィンストンの《Just Sometimes》、ホーギー・カーマイケルとネッド・ワシントンの《The Nearness of You》(邦題『あなたのそばに』)など、彼らが「隠れた宝石」とみなしているポップとジャズのスタンダード曲のミックスして組まれました。北欧メランコリーを漂わせながら、抒情的だったり、ほろ苦かったり、愛と強い欲望と人生と憧れの物語を語るアルバムです。
価格 2,365円(税込価格)(本体価格 2,150円)