ウェブサイトで過去に紹介した北欧と北欧以外のディスクからピックアップして掲載するページです。


『クジラの歌』
Grappa GRCD 4328 classical/jazz
シェティル・ビョルンスタ(1952–)
オラトリオ《クジラの歌(Hvalenes sang)》
アンネリ・ドレッケル(ヴォーカル)
スヴァンテ・ヘンリソン(チェロ)
シェティル・ビョルンスタ(ピアノ)
ビョルン・チャールズ・ドライエル(ギター)
ビョルン・シェルミール(ベース)
ルーネ・アルネセン(ドラム)
スヴェン・ペーション(サウンドデザイン)
ショーボドクーレ(海の小屋合唱団)
オラヴ・ネス(合唱編曲、指揮)
録音 2009年6月28日 ウーセベルグ文化ホール(トンスベルグ、ノルウェー)(ライヴ)
制作 シェティル・ビョルンスタ
録音 ヤン・エーリク・コングスハウグ
オスロ・フィヨルドの西に面し、かつて捕鯨基地の置かれていたヴェストフォル県では毎年、県を挙げての音楽祭、ヴェストフォル国際フェスティヴァルが開催されます。ノルウェー近代捕鯨の先駆者、スヴェン・フォイン Svend Foyn(1809–1894)の生誕200年にあたる2009年、フェスティヴァルは、ジャズピアニスト、作曲家のシェティル・ビョルンスタ Ketil Bjørnstad(1952–)に記念の作品を委嘱しました。
《クジラの歌》。ヴェストフォルを代表する詩人、アルフ・ラーシェン Alf Larsen(1885–1967)とオスムン・ブリニルセン Aasmund Brynhildsen(1917–1974)、哲学者で登山家のペーテル・ヴェッセル・サプフェ Peter Wessel Zapffe(1899–1990)の詩をテクストとする〈クジラの歌〉〈ある日ここで目覚めた〉〈おお孤独よ〉〈はるか遠い過去の夜〉〈流氷に跳びおりた〉など、17章から構成されるオラトリオです。クジラの神秘の世界と探求者フォインの現実の世界が詩的な枠組みのうちに交差し、「生けるものすべてが分かち合う苦悩、その友愛への大いなる賛歌」(P・W・サプフェ)が歌い上げられます。女性ヴォーカルのアンネリ・ドレッケル Anneli Drecker、オラヴ・ネス Olav Næss 指揮のショーボドクーレ Sjøbodkoret(海の小屋合唱団)。スウェーデンの作曲家でチェリストのスヴァンテ・ヘンリソン Svante Henryson(1963–)も参加しました。
スヴェン・ペーション Sven Persson がサウンドデザインを担当したライヴ録音が、レインボースタジオのヤン・エーリク・コングスハウグ Jan Erik Kongshaug の手でミクシング、マスタリングされています。
価格 2,655円(税込価格)(本体価格 2,450円)
『光(Lux)』
heilo HCD 7271 traditional/contemporary
『光(Lux)』
En(ひとつ)
Aften Psalme "Dagen viger og gaar bort"(夕べの賛美歌「一日が終わる」)
Nu solen går ned(今、太陽が沈む)
Nu Dagens Lys sig sniger hen(日の光が静かに消えていく)
Vel oplyste Læremester!(先生、教えてください!)
En liten vise "Om kvelden når det mørkner”
(小さな歌「闇の訪れる夕暮れになると」)
Ned i vester(西に太陽が沈む) Byssan byssan(子守歌)
ユンニ・ローヴリ(ヴォーカル) ホーコン・テリーン(ベース)
ランディ=メレーテ・ルーセット(グラス)
リヴ=ヨールン・ベルグセット(グラス)
録音 レインボー・スタジオ(オスロ)
制作 ユンニ・ローヴリ、ホーコン・テリーン、ランディ=メレーテ・ルーセット、リヴ=ヨルン・ベルグセット
録音エンジニア ヤン・エーリク・コングスハウグ、ペール・エスペン・ユーシュフィヨルド
ノルウェーでもっとも多彩な活動をするフォークシンガーのひとり、ユンニ・ローヴリ Unni Løvlid。ノールフィヨルドのホルニンダールに生まれ、伝統の歌唱法を学んだ後、ノルウェー国立音楽大学に進みさまざまな角度から民俗音楽を研究しました。世界各地のミュージシャンとジャンルを超えた活動をともにし、芸術音楽の分野では、ノルウェーの作曲家ヌールハイムの叙事的大作《夢の詩(Draumkvedet)》の録音(Simax PSC 1169)に参加しています。『Vita』(2005)(heilo HCD 7197)、『RUSK II』(2006)(heilo HCD 7199)、『儀式(Rite)』(2008)(Grappa GRCD 4223) -- 彼女がこれまでに発表してきたアルバムはそれぞれに独自のコンセプトをもち、その主題に沿った選曲が行われています。
2013年の新しいアルバム『光(Lux)』は「避けられないもの」が主題です。「夜のとばりが道に降り、秋が近づいてくる」あるいは「太陽は沈み、夕暮れのやすらぎが大地にひろがる」、そして究極は「死」……「灯を消し、わが扉を閉じる」。《小さな歌》は、ホルニンダールの民謡を作曲家のカタリヌス・エリング Catharinus Elling(1858–1942) が編曲した旋律に「闇の訪れる夕暮れになると……」の歌詞をつけた作品です。主な編曲はローヴリとベーシストのホーコン・テリーン Håkon Thelin が行い、作曲家のヨン・オイヴィン・ネス Jon Øivind Ness(1968–)も2曲の編曲に参加しています。録音セッションは、オスロのレインボースタジオで行われ、ECM のアルバムで知られるヤン・エーリク・コングスハウグ Jan Erik Kongshaug がペール・エスペン・ウシュフィヨルド Peer Espen Ursfjord と共同で録音とマスタリングにあたりました。ブックレットには、ノルウェー語の原詩と合わせて短い注釈がノルウェー語、英語、フランス語、ドイツ語で掲載されています。
価格 2,655円(税込価格)(本体価格 2,450円)
『歌(Songen)』
heilo HCD 7257 traditional
『歌(Songen)』
Vesle Kari Vår(かわいいカーリ)
Eg gjekk meg opp til Seterli Svarterabben
Blåmann, Blåmann, Bukken Min(ブローマン、ブローマン、ぼくの雄山羊)
Vesle Lerka(かわいい雲雀)
Eg ser deg utfor gluggen(窓の外にあなたの影が)
Astrid, mi Astrid(私のアストリ)
Fram dansar ein haugkall Bendik og Årolilja(ベンディクとオーロリリヤ)
Eg gjætte tulla(羊のトゥッラと15年)
Besta syng barneviser(歌うのは子どもの歌が一番)
: Killa bukk/Pisi og fuglen/Sporven sat på lydør
Pål på haugen(ポールは丘の上で)
Anne Knutsdotter(アンネ・クヌーツドッテル)
Ung Åslaug(若いオースラウグ)
Eg veit ei lita jente(かわいらしい少女を知っている)
ヒシュテン・ブローテン・ベルグ(ヴォーカル、口琴)
アーリル・アンデシェン(ベース)
スチャン・カシュテンセン(ペダルスティール、バンジョー、
アコーディオン、コーラス)
アンビョルグ・リーエン(ハリングフェレ、フィドル、
ニッケルハルパ、コーラス)
ビョルン・ウーレ・ラッシュ(リードオルガン、足音、コーラス)
ライヴ・ソルベルグ(マンドラ、トラーデル・アコーディオン、
ハルペレイク、ギター、口笛、口琴、コーラス)
録音 2010年春 コングスハーヴン・スタジオ(クリスチャンサン、ノルウェー)
制作 ライヴ・ソールベルグ
録音 ローアル・ロースベルグ
ヒシュテン・ブローテン・ベルグ Kirsten Bråten Berg(1950–) は、南ノルウェーのアーレンダール生まれ。セーテスダールのヴァッレで銀細工の工房を営みながらフォークシンガーとして活動し、1979年と1988年に発表したアルバムがスペルマン賞(ノルウェー・グラミー賞)を獲得しました。1990年、ECM をはじめとするレーベルの録音で知られる、ノルウェーを代表するベーシスト、アーリル・アンデシェン Arild Andersen(アリルド・アンデルセン)と出会い、1992年から彼のグループに参加して歌っています。大切にしていた雄山羊が姿を消してしまったと嘆く少年の歌《ブローマン、ブローマン、ぼくの雄山羊》、ノルウェーの女性歌手たちの優しい歌で世界に知られるようになった《私のアストリ》。『ノルウェー民俗舞曲集(Norske folkedansar)』(1961年、1985年)から17曲が歌われています。
価格 2,655円(税込価格)(本体価格 2,450円)
『ラフマニノフ』
Naxos 8.572458 classical
セルゲイ・ラフマニノフ(1873–1943)
ヴォカリーズ(Vocalise) Op.34 no.14(管弦楽のための)
交響曲第2番 ホ短調 Op.27
デトロイト交響楽団 レナード・スラトキン(指揮)
録音 2009年9月24日–27日 デトロイト交響楽団オーケストラ・ホール(デトロイト、ミシガン州)(ライヴ録音)
制作 ブラントン・オルスポー
録音エンジニア・編集 デイヴィッド・ラウ
ラフマニノフの《交響曲第2番》は、最初の交響曲の壊滅的な失敗を喫した初演から10年後の1907年までの間におおまかなスケッチが書かれ、その夏、オーケストレーションに着手。翌1908年の1月に完成し、1月26日、サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場で作曲者の指揮で初演されました。1909年1月、アメリカ初演。レナード・スラトキンの父フェリクス・スラトキン Felix Slatkin(1915–1963)の叔父にあたるモデスト・アルトシュラー Modest Altschuler(1873–1963)がニューヨークに創設したロシア交響楽団を指揮しました。「ラルゴ - アレグロ・モデラート」「アレグロ・モルト」「アダージョ」「アレグロ・ヴィヴァーチェ」。第3楽章「アダージョ」のメロディは、アメリカのシンガー、エリック・カーメン(カルメン) Eric Carmen が《Never Gonna Fall in Love Again)》(邦題《恋にノー・タッチ》)に流用したことでも知られます。
デトロイト交響楽団によるこのアルバムは、2008年–2009年のシーズンに音楽監督に就任したレナード・スラトキンLeonard Slatkin(1944–)との2009年9月のコンサートのライヴ録音で作られました。スラトキンにとってはセントルイス交響楽団を指揮した1978年の録音(Referenc Recordings/Vox)に次ぐアルバム。サウスダコタ合唱団の『生と愛を歌う聖歌集』(Pentatone PTC 5186530)など多くの録音を手がけ、10を超す数のグラミー賞を獲得したブラントン・オルスポー Blanton Alspaugh(1959–)の制作です。
価格 1,540円(税込価格)(本体価格 1,400円)
『イギリス歌曲シリーズ第20集』
Naxos 8.572426 classical
ジョージ・バタワース(1885–1916)
『シュロプシャーの若者』の6つの歌(Six Songs from A Shropshire Lad)
こよなく愛しい木、桜がいま(Loveliest of Trees, the Cherry now)
おれが21歳のとき(When I was one-and-twenty)
おれの目を覗きこまないでくれ(Look not in my eyes)
もう考えるな、若者、笑って、陽気にやれ
(Think no more, Lad, laugh, be jolly)
若者たちが何百と集まり(The Lads in their hundreds)
馬どもは耕しているか?(Is my team ploughing?)
サセックスの民謡(Folk Songs from Sussex)(第7曲–第11曲)
元気な若い船乗りが私を招く(A brisk young sailor courted me)
日曜日には17歳(Seventeen come Sunday)
露にぬれて彷徨う(Roving in the dew)
真実の恋人の別れ(The ture lover's farewell)
タリーのズボン(Tarry trousers)
「ブリードン・ヒル」と『シュロプシャーの若者』のその他の歌
(Bredon Hill and Other Songs from A Shropshire Lad)
ブリードン・ヒル(Bredon Hill)
おお、なんと晴れやかな空と平原(O fair enough are sky and plain)
若者が憧れにため息をつく時(When the lad for the longing sighs)
うつろな夏の丘で(On the idle hill of Summer)
おれの心は後悔の思いで一杯だ(With rue my heart is laden)
君のために飾りを作ろう(I will make you brooches)
あなたの口づけがこわい(I fear thy kisses)
死者のための祈り(Requiescat)
サセックスの民謡(Folk Songs from Sussex)(第1曲–第6曲)
むこうに美しい生き物が(Yonder stands a lovely creature)
鍛冶屋が私を誘った(A blacksmith courted me)
愛の種をまいて(Sowing the seeds of love)
弁護人はある日外出した(A lawyer he went out one day)
来たれ、もう一人の私(Come my own one)
かっこう(The cuckoo)
ロデリック・ウィリアムズ(バリトン)
イアン・バーンサイド(ピアノ)
録音 2010年1月11日–13日 ポトンホール(サフォーク州ウェッスルトン、イングランド)
制作 アンドルー・ウォルトン
録音 マイク・クレメンツ、デボラ・スパントン
ジョージ・バタワース George Butterworth(1885–1916)はロンドン生まれのヨークシャー育ち。オックスフォード大学に進み、弁護士の道から音楽家に転身し、その際だった才能により将来を期待されていながら、第1次世界大戦中の1916年8月5日、フランスのソンムで戦死しました。残された作品は少ないものの、A・E・ハウスマン A. E. Houseman(1859–1936)の63の詩からなる詩集『シュロプシャーの若者』(1896年出版)による歌曲やその他の歌はイギリスの歌手たちに歌い継がれ、管弦楽のための《2つのイギリス牧歌(Two English Idylls)》(1911)、《緑鮮やかな柳の堤(The Banks of Green Willow)》(1913)、《『シュロプシャーの若者』の6つの歌》の〈こよなく愛しい木、桜がいま〉の旋律によるラプソディ《シュロプシャーの若者(A Shropshire Lad)》(1912) は、たくさんの人に愛されています。
ロデリック・ウィリアムズ Roderick Williams がイアン・バーンサイド Iain Burnside と共演する歌曲集。『シュロプシャーの若者』による歌曲、友人シーシル・シャープ Cecil Sharp と一緒に集めてまわった民謡に基づく11曲の《サセックスの民謡》、R・L・スティーヴンソン Robert Louis Stevenseon の詩による《君のために飾りを作ろう》、シェリー Shelly による《あなたの口づけがこわい》、オスカー・ワイルド Oscar Wilde による《死者のための祈り》が歌われています。夏の静かな夕べ。ふたりのミュージシャンの音楽に耳を傾け、シュロプシャーの野に想いを馳せる。すばらしいひとときです。
価格 1,540円(税込価格)(本体価格 1,400円)

