ウェブサイトで過去に紹介した北欧と北欧以外のディスクからピックアップして掲載するページです。

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『クジラの歌』
Grappa GRCD 4328 classical/jazz

 
シェティル・ビョルンスタ(1952–)
 オラトリオ《クジラの歌(Hvalenes sang)》
  アンネリ・ドレッケル(ヴォーカル)
  スヴァンテ・ヘンリソン(チェロ)
  シェティル・ビョルンスタ(ピアノ)
  ビョルン・チャールズ・ドライエル(ギター)
  ビョルン・シェルミール(ベース)
  ルーネ・アルネセン(ドラム)
  スヴェン・ペーション(サウンドデザイン)
  ショーボドクーレ(海の小屋合唱団)
  オラヴ・ネス(合唱編曲、指揮)
 
録音 2009年6月28日 ウーセベルグ文化ホール(トンスベルグ、ノルウェー)(ライヴ)
制作 シェティル・ビョルンスタ
録音 ヤン・エーリク・コングスハウグ

 
オスロ・フィヨルドの西に面し、かつて捕鯨基地の置かれていたヴェストフォル県では毎年、県を挙げての音楽祭、ヴェストフォル国際フェスティヴァルが開催されます。ノルウェー近代捕鯨の先駆者、スヴェン・フォイン Svend Foyn(1809–1894)の生誕200年にあたる2009年、フェスティヴァルは、ジャズピアニスト、作曲家のシェティル・ビョルンスタ Ketil Bjørnstad(1952–)に記念の作品を委嘱しました。
 
《クジラの歌》。ヴェストフォルを代表する詩人、アルフ・ラーシェン Alf Larsen(1885–1967)とオスムン・ブリニルセン Aasmund Brynhildsen(1917–1974)、哲学者で登山家のペーテル・ヴェッセル・サプフェ Peter Wessel Zapffe(1899–1990)の詩をテクストとする〈クジラの歌〉〈ある日ここで目覚めた〉〈おお孤独よ〉〈はるか遠い過去の夜〉〈流氷に跳びおりた〉など、17章から構成されるオラトリオです。クジラの神秘の世界と探求者フォインの現実の世界が詩的な枠組みのうちに交差し、「生けるものすべてが分かち合う苦悩、その友愛への大いなる賛歌」(P・W・サプフェ)が歌い上げられます。女性ヴォーカルのアンネリ・ドレッケル Anneli Drecker、オラヴ・ネス Olav Næss 指揮のショーボドクーレ Sjøbodkoret(海の小屋合唱団)。スウェーデンの作曲家でチェリストのスヴァンテ・ヘンリソン Svante Henryson(1963–)も参加しました。
 
スヴェン・ペーション Sven Persson がサウンドデザインを担当したライヴ録音が、レインボースタジオのヤン・エーリク・コングスハウグ Jan Erik Kongshaug の手でミクシング、マスタリングされています。
 
価格 2,655円(税込価格)(本体価格 2,450円)

『光(Lux)』
heilo HCD 7271 traditional/contemporary

 
『光(Lux)』
 En(ひとつ)
 Aften Psalme "Dagen viger og gaar bort"(夕べの賛美歌「一日が終わる」)
 Nu solen går ned(今、太陽が沈む)
 Nu Dagens Lys sig sniger hen(日の光が静かに消えていく)
 Vel oplyste Læremester!(先生、教えてください!)
 En liten vise "Om kvelden når det mørkner”
 (小さな歌「闇の訪れる夕暮れになると」)
 Ned i vester(西に太陽が沈む) Byssan byssan(子守歌)
  ユンニ・ローヴリ(ヴォーカル) ホーコン・テリーン(ベース)
  ランディ=メレーテ・ルーセット(グラス)
  リヴ=ヨールン・ベルグセット(グラス)
 
録音 レインボー・スタジオ(オスロ)
制作 ユンニ・ローヴリ、ホーコン・テリーン、ランディ=メレーテ・ルーセット、リヴ=ヨルン・ベルグセット
録音エンジニア ヤン・エーリク・コングスハウグ、ペール・エスペン・ユーシュフィヨルド

 
ノルウェーでもっとも多彩な活動をするフォークシンガーのひとり、ユンニ・ローヴリ Unni Løvlid。ノールフィヨルドのホルニンダールに生まれ、伝統の歌唱法を学んだ後、ノルウェー国立音楽大学に進みさまざまな角度から民俗音楽を研究しました。世界各地のミュージシャンとジャンルを超えた活動をともにし、芸術音楽の分野では、ノルウェーの作曲家ヌールハイムの叙事的大作《夢の詩(Draumkvedet)》の録音(Simax PSC 1169)に参加しています。『Vita』(2005)(heilo HCD 7197)、『RUSK II』(2006)(heilo HCD 7199)、『儀式(Rite)』(2008)(Grappa GRCD 4223) -- 彼女がこれまでに発表してきたアルバムはそれぞれに独自のコンセプトをもち、その主題に沿った選曲が行われています。
 
2013年の新しいアルバム『光(Lux)』は「避けられないもの」が主題です。「夜のとばりが道に降り、秋が近づいてくる」あるいは「太陽は沈み、夕暮れのやすらぎが大地にひろがる」、そして究極は「死」……「灯を消し、わが扉を閉じる」。《小さな歌》は、ホルニンダールの民謡を作曲家のカタリヌス・エリング Catharinus Elling(1858–1942) が編曲した旋律に「闇の訪れる夕暮れになると……」の歌詞をつけた作品です。主な編曲はローヴリとベーシストのホーコン・テリーン Håkon Thelin が行い、作曲家のヨン・オイヴィン・ネス Jon Øivind Ness(1968–)も2曲の編曲に参加しています。録音セッションは、オスロのレインボースタジオで行われ、ECM のアルバムで知られるヤン・エーリク・コングスハウグ Jan Erik Kongshaug がペール・エスペン・ウシュフィヨルド Peer Espen Ursfjord と共同で録音とマスタリングにあたりました。ブックレットには、ノルウェー語の原詩と合わせて短い注釈がノルウェー語、英語、フランス語、ドイツ語で掲載されています。
 
価格 2,655円(税込価格)(本体価格 2,450円)

『歌(Songen)』
heilo HCD 7257 traditional

 
『歌(Songen)』
 Vesle Kari Vår(かわいいカーリ)
 Eg gjekk meg opp til Seterli Svarterabben
 Blåmann, Blåmann, Bukken Min(ブローマン、ブローマン、ぼくの雄山羊)
 Vesle Lerka(かわいい雲雀)
 Eg ser deg utfor gluggen(窓の外にあなたの影が)
 Astrid, mi Astrid(私のアストリ)
 Fram dansar ein haugkall Bendik og Årolilja(ベンディクとオーロリリヤ)
 Eg gjætte tulla(羊のトゥッラと15年)
 Besta syng barneviser(歌うのは子どもの歌が一番)
 : Killa bukk/Pisi og fuglen/Sporven sat på lydør
 Pål på haugen(ポールは丘の上で)
 Anne Knutsdotter(アンネ・クヌーツドッテル)
 Ung Åslaug(若いオースラウグ)
 Eg veit ei lita jente(かわいらしい少女を知っている)
  ヒシュテン・ブローテン・ベルグ(ヴォーカル、口琴)
  アーリル・アンデシェン(ベース)
  スチャン・カシュテンセン(ペダルスティール、バンジョー、
   アコーディオン、コーラス)
  アンビョルグ・リーエン(ハリングフェレ、フィドル、
   ニッケルハルパ、コーラス)
  ビョルン・ウーレ・ラッシュ(リードオルガン、足音、コーラス)
  ライヴ・ソルベルグ(マンドラ、トラーデル・アコーディオン、
   ハルペレイク、ギター、口笛、口琴、コーラス)
 
録音 2010年春 コングスハーヴン・スタジオ(クリスチャンサン、ノルウェー)
制作 ライヴ・ソールベルグ
録音 ローアル・ロースベルグ

 
ヒシュテン・ブローテン・ベルグ Kirsten Bråten Berg(1950–) は、南ノルウェーのアーレンダール生まれ。セーテスダールのヴァッレで銀細工の工房を営みながらフォークシンガーとして活動し、1979年と1988年に発表したアルバムがスペルマン賞(ノルウェー・グラミー賞)を獲得しました。1990年、ECM をはじめとするレーベルの録音で知られる、ノルウェーを代表するベーシスト、アーリル・アンデシェン Arild Andersen(アリルド・アンデルセン)と出会い、1992年から彼のグループに参加して歌っています。大切にしていた雄山羊が姿を消してしまったと嘆く少年の歌《ブローマン、ブローマン、ぼくの雄山羊》、ノルウェーの女性歌手たちの優しい歌で世界に知られるようになった《私のアストリ》。『ノルウェー民俗舞曲集(Norske folkedansar)』(1961年、1985年)から17曲が歌われています。
 
価格 2,655円(税込価格)(本体価格 2,450円)

『ラフマニノフ』
Naxos 8.572458 classical

 
セルゲイ・ラフマニノフ(1873–1943)
 ヴォカリーズ(Vocalise) Op.34 no.14(管弦楽のための)
 交響曲第2番 ホ短調 Op.27
  デトロイト交響楽団 レナード・スラトキン(指揮)
 
録音 2009年9月24日–27日 デトロイト交響楽団オーケストラ・ホール(デトロイト、ミシガン州)(ライヴ録音)
制作 ブラントン・オルスポー
録音エンジニア・編集 デイヴィッド・ラウ

 
ラフマニノフの《交響曲第2番》は、最初の交響曲の壊滅的な失敗を喫した初演から10年後の1907年までの間におおまかなスケッチが書かれ、その夏、オーケストレーションに着手。翌1908年の1月に完成し、1月26日、サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場で作曲者の指揮で初演されました。1909年1月、アメリカ初演。レナード・スラトキンの父フェリクス・スラトキン Felix Slatkin(1915–1963)の叔父にあたるモデスト・アルトシュラー Modest Altschuler(1873–1963)がニューヨークに創設したロシア交響楽団を指揮しました。「ラルゴ - アレグロ・モデラート」「アレグロ・モルト」「アダージョ」「アレグロ・ヴィヴァーチェ」。第3楽章「アダージョ」のメロディは、アメリカのシンガー、エリック・カーメン(カルメン) Eric Carmen が《Never Gonna Fall in Love Again)》(邦題《恋にノー・タッチ》)に流用したことでも知られます。
 
デトロイト交響楽団によるこのアルバムは、2008年–2009年のシーズンに音楽監督に就任したレナード・スラトキンLeonard Slatkin(1944–)との2009年9月のコンサートのライヴ録音で作られました。スラトキンにとってはセントルイス交響楽団を指揮した1978年の録音(Referenc Recordings/Vox)に次ぐアルバム。サウスダコタ合唱団の『生と愛を歌う聖歌集』(Pentatone PTC 5186530)など多くの録音を手がけ、10を超す数のグラミー賞を獲得したブラントン・オルスポー Blanton Alspaugh(1959–)の制作です。
 
価格 1,760円(税込価格)(本体価格 1,600円)

『イギリス歌曲シリーズ第20集』
Naxos 8.572426 classical 

 
ジョージ・バタワース(1885–1916)
 『シュロプシャーの若者』の6つの歌(Six Songs from A Shropshire Lad)  
  こよなく愛しい木、桜がいま(Loveliest of Trees, the Cherry now)
  おれが21歳のとき(When I was one-and-twenty)
  おれの目を覗きこまないでくれ(Look not in my eyes)
  もう考えるな、若者、笑って、陽気にやれ
  (Think no more, Lad, laugh, be jolly)
  若者たちが何百と集まり(The Lads in their hundreds)
  馬どもは耕しているか?(Is my team ploughing?)
 サセックスの民謡(Folk Songs from Sussex)(第7曲–第11曲)
  元気な若い船乗りが私を招く(A brisk young sailor courted me)
  日曜日には17歳(Seventeen come Sunday)
  露にぬれて彷徨う(Roving in the dew)
  真実の恋人の別れ(The ture lover's farewell)
  タリーのズボン(Tarry trousers)
 「ブリードン・ヒル」と『シュロプシャーの若者』のその他の歌
 (Bredon Hill and Other Songs from A Shropshire Lad)
  ブリードン・ヒル(Bredon Hill)
  おお、なんと晴れやかな空と平原(O fair enough are sky and plain)
  若者が憧れにため息をつく時(When the lad for the longing sighs)
  うつろな夏の丘で(On the idle hill of Summer)
  おれの心は後悔の思いで一杯だ(With rue my heart is laden)
  君のために飾りを作ろう(I will make you brooches)
  あなたの口づけがこわい(I fear thy kisses)
  死者のための祈り(Requiescat)
 サセックスの民謡(Folk Songs from Sussex)(第1曲–第6曲)
  むこうに美しい生き物が(Yonder stands a lovely creature)
  鍛冶屋が私を誘った(A blacksmith courted me)
  愛の種をまいて(Sowing the seeds of love)
  弁護人はある日外出した(A lawyer he went out one day)
  来たれ、もう一人の私(Come my own one)
  かっこう(The cuckoo)
  ロデリック・ウィリアムズ(バリトン)
  イアン・バーンサイド(ピアノ)
 
録音 2010年1月11日–13日 ポトンホール(サフォーク州ウェッスルトン、イングランド)
制作 アンドルー・ウォルトン
録音 マイク・クレメンツ、デボラ・スパントン

 
ジョージ・バタワース George Butterworth(1885–1916)はロンドン生まれのヨークシャー育ち。オックスフォード大学に進み、弁護士の道から音楽家に転身し、その際だった才能により将来を期待されていながら、第1次世界大戦中の1916年8月5日、フランスのソンムで戦死しました。残された作品は少ないものの、A・E・ハウスマン A. E. Houseman(1859–1936)の63の詩からなる詩集『シュロプシャーの若者』(1896年出版)による歌曲やその他の歌はイギリスの歌手たちに歌い継がれ、管弦楽のための《2つのイギリス牧歌(Two English Idylls)》(1911)、《緑鮮やかな柳の堤(The Banks of Green Willow)》(1913)、《『シュロプシャーの若者』の6つの歌》の〈こよなく愛しい木、桜がいま〉の旋律によるラプソディ《シュロプシャーの若者(A Shropshire Lad)》(1912) は、たくさんの人に愛されています。
 
ロデリック・ウィリアムズ Roderick Williams がイアン・バーンサイド Iain Burnside と共演する歌曲集。『シュロプシャーの若者』による歌曲、友人シーシル・シャープ Cecil Sharp と一緒に集めてまわった民謡に基づく11曲の《サセックスの民謡》、R・L・スティーヴンソン Robert Louis Stevenseon の詩による《君のために飾りを作ろう》、シェリー Shelly による《あなたの口づけがこわい》、オスカー・ワイルド Oscar Wilde による《死者のための祈り》が歌われています。夏の静かな夕べ。ふたりのミュージシャンの音楽に耳を傾け、シュロプシャーの野に想いを馳せる。すばらしいひとときです。
 
価格 1,760円(税込価格)(本体価格 1,600円)

『ヴァイオリンとギターによるシューベルト』
BIS SACD 2375 SACD hybrid (5.0 surround/stereo) classical

 
フランツ・シューベルト(1797–1828)(ヤコブ・ケッレルマン(1984–)編曲)
 アルペジョーネ・ソナタ イ短調 D.821(1824)
 ヴァイオリンソナタ イ長調 D.574(1817)
フランツ・シューベルト(1797–1828)(マッツ・ベリストレム(1961–)編曲)
 ヴァイオリンとピアノのためのソナティネ ニ長調 D.384(1816)
  デュオ KeMi
   ダニエル・ミグダール(ヴァイオリン)
   ヤコブ・ケッレルマン(ギター)
 
録音 2016年10月 ロースンダ教会(ソルナ、スウェーデン)
制作・録音 ハンス・キプファー

 
ストックホルム生まれ、スウェーデン、スペイン、オランダとドイツで学び、フランツ・ハラースのマスタークラスのディプロマも取得したヤコブ・ケッレルマン Jacob Kellermann(1984–)。ストックホルム、ザルブルク・モーツァルテウムのイゴール・オジム、バーゼル音楽大学のライナー・シュミットに学んだダニエル・ミグダール Daniel Migdal(1986–)。「デュオ KeMi」は、ソリスト、室内楽奏者として活動、コンテンポラリー・ミュージックに関心を寄せるプレーヤーふたりのギターとヴァイオリンのアンサンブルです。2006年に結成、スウェーデン国内で人気を集め、ドイツ、オランダ、チェコ、韓国などにツアーを行いました。
 
シューベルトのソナタとソナティネ。室内楽、歌曲といったピアノをともなうシューベルト作品は、ピアノ・パートをギターに編曲して演奏することがしばしば行われ、独特のくつろいだ雰囲気が楽しまれています。このアルバムの《アルペジョーネ・ソナタ》と《ヴァイオリンソナタ》は、ケッレルマンが編曲。《ソナティネ》は、バリトンのウッレ・ペーションと共演したシューベルトの《美しい水車屋の娘》(Caprice CAP 21575)の編曲などでも知られるギタリストのマッツ・ベリストレム Mats Bergström(1961–)による編曲版が演奏されます。
 
価格 2,915円(税込価格)(本体価格 2,650円)

『カール・ニルセン 交響曲全集 第1集』
Kontrapunkt 32157 classical

 
カール・ニルセン(1865–1931)
 交響曲第1番 ト短調 FS16 CNW25(Op.7)(1891–92)
 序曲《ヘリオス(Helios)》 FS32 CNW34(Op.17)(1903)
 歌劇《サウルとダヴィデ(Saul og David)》 FS25 CNW1(1898–1901) 組曲
  第2幕の前奏曲 第3幕の前奏曲 第4幕の前奏曲
  オーゼンセ交響楽団 エドヴァルド・セロフ(指揮)
 
制作・録音エンジニア ミケール・ペータセン

 
エドヴァルド・セロフ Edvard Serov(1937–2016)は、モスクワ生まれ。グネーシン音楽アカデミーとキエフ音楽院(現、ウクライナ国立チャイコフスキー記念音楽院)で学んだ後、レニングラード音楽院のムラヴィンスキーの指揮法クラスに入りました。1964年の卒業後、レニングラード・フィルハーモニック管弦楽団の指揮者、レニングラード室内管弦楽団とヴォルゴグラード・フィルハーモニック管弦楽団の首席指揮者を経て、1991年から1996年まで首席指揮者としてデンマークのオーゼンセ交響楽団を指揮しました。ロシアと欧米で活動し、2016年にサンクトペテルブルクで没しました。
 
オーゼンセ交響楽団は、デンマークの5つの地域オーケストラのひとつです。18世紀から19世紀の変わり目に生まれたアンサンブルをルーツに1946年に設立されました。1980年に第1回が開催された国際カール・ニルセン・コンペティションのオーケストラとしてデンマークの音楽文化の一翼を担っています。
 
セロフとオーゼンセ交響楽団によるカール・ニルセンの全交響曲に管弦楽曲を組み合わせたシリーズは、「デンマークの響き」のニルセン演奏として、デンマーク国立交響楽団とミケール・シュンヴァントの録音(Dacapo/Naxos)とともに高い評価と人気を保っています。
 
《交響曲第1番》は《交響的ラプソディ》と「作品1」の《小組曲》につづく作品です。1891年から2年半かけて作曲され、1894年3月14日にヨハン・スヴェンセンの指揮で初演されました。20代なかばの作曲家が完成させたこの交響曲は、それぞれに独創的なその後の作品の先駆けにふさわしい、「独創性」をもった音楽として驚きをもって迎えられ。当時もっとも影響力のあった批評家のチャーレス・ケアウルフは、この交響曲の性格を「ダイナマイトで遊ぶ子供」という言葉に要約しました。「交響曲」の慣例に倣って「ト短調」と記されていながら、「アレグロ・オルゴリオーゾ」「アンダンテ」「アレグロ・コモード. アンダンテ・ソステヌート」「終曲. アレグロ・コン・フオコ」の4つの楽章を通じて調性は常に変化し、「ハ長調」で曲を閉じます。
 
ニルセンは、この交響曲と歌劇《サウルとダヴィデ》によって独自のスタイルを確立した後、1903年、妻アネ・マリーエとともにアテネを訪れます。演奏会用の序曲《ヘリオス》は、投宿したホテルの部屋の窓から見たエーゲ海の夜明けから夕暮れに景色からインスピレーションを得て作曲されました。兜をかぶり、まばゆいばかりに輝く眼をした太陽神ヘリオスが二輪車を狩る姿を描く音楽。この曲にニルセンは「沈黙と間……喜びあふれる賛歌の響く中、陽が昇る……太陽は黄金色の道を進み……静かに海へ沈む」の題辞を添えています。この作品もその年の10月8日、スヴェンセンの指揮で初演されました。
 
歌劇《サウルとダヴィデ》は、『旧約聖書』の『サムエル記』に基づくアイナ・クリスチャンセンの台本に作曲された4幕の作品です。1896年に着想され、2年後の1898年に作曲が始められました。ニルセンは、ペリシテ人との戦いを目前にしたサウル王と羊飼いのダビデのふたりをめぐる物語を壮大な叙事詩から優しい抒情まで、幅広い気分のオペラに作曲。1902年11月28日に王立劇場で初めて上演され、聴衆から熱烈な歓迎を受けました。大胆なファンファーレに始まる〈第2幕の前奏曲〉、ダビデに嫉妬したサウルが彼を荒野に追いやる第3幕への〈前奏曲〉、サウルがダビデの親友ヨナタンとともに戦死する第4幕への〈前奏曲〉。ニルセン自身が管弦楽のために編んだ3曲の組曲は、コンサートのスタンダードの演目として演奏されています。
 
価格 2,750円(税込価格)(本体価格 2,500円)

『カール・ニルセン 交響曲全集 第2集』
Kontrapunkt 32171 classical

 
カール・ニルセン(1865–1931)
 交響曲第5番 FS97 CNW29(Op.50)(1920–22)
 ボヘミア=デンマーク民謡(Bøhmisk-Dansk Folketone) FS130 CNW40(1928)
 (弦楽オーケストラのためのパラフレーズ)
 交響的ラプソディ(Symfonisk Rhapsodie) FS7(1888)
  オーゼンセ交響楽団 エドヴァルト・セロフ(指揮)
 
制作・録音エンジニア ミケール・ペータセン

 
ニルセンの《交響曲第5番》は、ヘリエ・ローゼの劇『母』の音楽を作曲中だった1920年の秋に作曲が始められました。1921年の夏の間、作曲を続けていたカンタータ《フュンの春》を完成させるため中断。作曲を終えた第5番のスコアには1922年1月15日の日付が記されました。
 
この交響曲は2楽章の作品です。第1楽章「テンポ・ジュスト-アダージョ」と第2楽章「アレグロ-プレスト-アンダンテ・ウン・ポコ・トランクィッロ-アレグロ」。手稿譜の最後に鉛筆書きされた「暗い、休息する力-覚醒した力」のモットーは「第1楽章の2つの主要部分のコントラスト」と「2つの楽章間のコントラスト」を表したものとみなされています。ニルセンはさらに「闇と光の分裂」と「悪と善の戦い」を「表現したかったきわめて素朴なこと」と、親友に語ったと言われます。
 
この作品は1922年1月24日、オッドフェロー・パレスでニルセンが音楽協会のオーケストラが指揮して初演され、批評家たちがそれぞれに解釈した賛否両論が飛び交いました。ニルセンの支持者のひとり、師のヴィクト・ベンディクスは彼に宛てた手紙に「昨夜のコンサートでは『映画交響曲(Symphonie filmatique)』の不快な不協和音に激怒しながら、その場を立ち去った。この恥知らずの策略……」と書き「嫌悪していると知りつつも心を奪う君の音楽……」と続けています。2年後の1924年1月20日、シュネーヴォイクトが指揮したストックホルムのコンサートでは、第1楽章の不快な音に反対するかなりの数の聴衆が席を立ち、残った聴衆の一部も演奏を妨害しようと叱声を飛ばしたと、伝えられています。こうしたスキャンダラスな経緯もありながら、1927年7月にフランクフルト・アム・マインで開催された「ISCM(国際現代音楽協会)」のフェスティヴァルで演奏され、1927年12月にはアムステルダムのコンセルトヘボウでピエール・モントゥーが指揮するなど、国内外での演奏が続きました。
 
「人類、動物、そして植物のもつ根源的な力……全世界が火事や洪水や火山の噴火などによって破壊され、生きとし生けるものがすべて死に絶えたとしても、なお自然は、ふたたび新しい生命を育くみ、道を押し開き始める……」(カール・ニルセン)。
 
《ボヘミア=デンマーク民謡》は、1928年のチェコスロヴァキア共和国建国10周年を祝うコンサートのために作られた作品です。デンマーク放送交響楽団のエミール・ヘルムからチェコとデンマークの民謡による作品を依頼され、「弦楽オーケストラのためのパラフレーズ」として作曲されました。10月24日に完成、11月1日にヤロスラフ・クルプカの指揮で初演されました。
 
《交響的ラプソディ》は、ニルセンが《交響曲第1番》より3年前の1888年に「試み」として書き始めながら断念した「交響曲」の最初の「アレグロ」楽章です。1893年2月、ヴィクト・ベンディクスの指揮で初演されました。交響曲として展開する音楽としては軽量すぎるといったことから、《交響的ラプソディ》の曲名で定着しました。
 
価格 2,750円(税込価格)(本体価格 2,500円)

『カール・ニルセン 交響曲全集 第3集』
Kontrapunkt 32178 classical

 
カール・ニルセン(1865–1931)
 交響曲第2番 FS29 CNW26(Op.16)
 《四つの気質(De fire Temperamenter)》(1901–02)
 劇付随音楽《スネフリズ(Snefrid)》 FS17 CNW4(1893 rev.1899) 組曲
  前奏曲(Forspil)
  アンダンテ・クワジ・ソステヌート(Andante quasi sostenuto)
  後奏曲(Efterspil) スネフリズの眠り(Snefrids søvn)
  葬送音楽(Sørgemusik)
 劇付随音楽《アモルと詩人(Amor og Digteren)》 FS150 CNW23(1930) - 序曲
  オーゼンセ交響楽団 エドヴァルド・セロフ(指揮)
 
制作・録音エンジニア ペータ・ハンケ

 
《交響曲第2番》は、ニルセンがまだ王立管弦楽団のヴァイオリン奏者を務めていた1901年から1902年に書かれた作品です。夫人たちと訪れたシェランの旅籠で目にした「胆汁質」「粘液質」「憂鬱質」「多血質」という人間の4つの気質をコミカルに描いた絵から着想を得たと、作曲者自身が晩年プログラム・ノートに書いています。第1楽章〈アレグロ・コレリコ(怒りっぽい)〉第2楽章〈アレグロ・コモード・エ・フレンマティコ(鈍く、冷静沈着な〉第3楽章〈アンダンテ・マリンコリコ(憂鬱な)〉第4楽章〈アレグロ・サングイネオ(血の気の多い)〉と、音楽の内容を反映したタイトルをつけた4つの楽章による作品です。
 
ニルセンは、《サウルとダヴィデ》と《仮面舞踏会》の2つのオペラだけでなく、作曲活動を通じて劇場と関係をもちつづけました。1889年のアンドレーアス・ムンクの劇《ギスケ島の夕べ(En Aften paa Giske)》から、亡くなる半年前に作曲したグロントヴィの劇《復活祭劇》まで、20近い作品のプロジェクトと関わり、シベリウスと同様、このジャンルに充実した作品を残しました。
 
《スネフリズ(Snefrid)》は、ホルガー・ドラクマン Holger Drachmann のメロドラマのための作品です。ニルセンは、1893年の初めに作曲を依頼され、1ヶ月足らずで完成させました。しかし、予定されていた劇の上演が撤回されたため、翌1894年4月10日にニルセンの音楽だけがコペンハーゲンで初演されます。1899年、ニルセン自身が改訂を加え、17のナンバーから選んだ5曲がコンサートのための「組曲」に作られました。付随音楽の第4番(組曲の第2曲)「アンダンテ・クワジ・ソステヌート」は後に、《領主オーロフは馬を駆り》と《アモルと詩人》 に流用されました。
 
《アモルと詩人》は、ソフォス・ミカエリス Sophus Michaëlis がH・C・アンデルセンの『いたずらっ子(Den uartige dreng)』に基づいて書いた祝祭劇のための作品です。ニルセンは、1928年11月、H・C・アンデルセンの没後55年の1930年に行われるフェスティヴァルの音楽を打診されたものの、プログラム委員会と意見が合わず、1930年の2月になって急遽、作曲が始められました。〈序曲〉と2つの歌が書かれ、7月12日、ニルセンが王立管弦楽団を指揮してオーゼンセ劇場で初演を行いました。
 
価格 2,750円(税込価格)(本体価格 2,500円)

『カール・ニルセン 交響曲全集 第4集』
Kontrapunkt 32193 classical

 
カール・ニルセン(1865–1931)
 交響曲第4番 FS76 CNW28(Op.29)
 《消しがたきもの(Det uudslukkelige)》(1914–16)
 パンとシューリンクス(Pan og Syrinx) FS87 CNW38(Op.49)
 (1917–18)(管弦楽のための自然の情景)
 若き芸術家の棺のかたわらで(Ved en ung Kunstners Baare)
 (アンダンテ・ラメントーゾ(Andante Lamentoso) FS58 CNW36(1910)
 (弦楽オーケストラのための)
 サガの夢(Saga-Drøm) FS46 CNW35(Op.39)(1907–08)
  オーゼンセ交響楽団 エドヴァルド・セロフ(指揮)
 
制作・録音エンジニア ミケール・ペータセン

 
カール・ニルセンの《交響曲第4番》(不滅)は、1914年から1916年にかけて作曲された作品です。
 
1914年5月、妻アネ=マリーエに宛てた手紙で新作の構想について「生の衝動あるいは生の表現、そう私たちが理解していることを表現するつもりだ」と書き、「ひとつの流れとなる大きな楽章」にも言及しました。7月、第一次世界大戦が勃発。デンマークは中立を保ったものの、ヨーロッパ本土は戦場となりました。彼は「生の基本意志」の一表現として《第4番》に着手しました。作曲を進めていた1915年5月に書かれたユリウス・レントヘンへの手紙に「呼び合う鳥の声、動物と人間の悲しみと喜びの叫び、腹を空かせた不平のつぶやきと怒鳴り声、戦い、つがう。何であろうと基本の基本はすべて、ここにある」と、音楽のイメージが語られています。1916年1月14日、「アレグロ」「ポコ・アレグレット」「ポコ・アダージョ・クワジ・アンダンテ」「アレグロ」の「大きな一楽章」の交響曲が完成しました。「調性が最後に確定することは勇気的な必然であり、植物が成長しきったところで花を咲かせるのと同じほどの奇跡的な美しさがそこにある」(ロバート・シンプソン ”Carl Nielsen: Symphonist” (1979) Kahn & Averill, London)
 
2月1日、ニルセンが音楽協会のオーケストラを指揮してオッドフェロー・パレスで初演。この作品につけられた《消しがたきもの(Det uudslukkelige)》の副題についてニルセンは「生は不屈であり、消してしまうことはむずかしい……音楽が生であり、同様に消しがたい」と、当日のプログラムに書きました。 
 
《パンとシューリンクス》は、序曲《ヘリオス》から15年後、ニルセンがふたたびギリシャ神話を題材にして書いた作品です。ギリシャを背景にしながらもラヴェルの《ダフニスとクロエ》やドビュッシーの《ビリティスの歌》のスタイルとは異なり、生命力みなぎる森を音楽に描く「自然への賛歌」として作曲。管弦楽のための自然の情景(Naturscene for orkester)」と名づけました。1917年秋に着想、1918年2月11日のオッドフェロー・パレスでのコンサートで作曲者の指揮で初演されました。
 
《若き芸術家の棺のかたわらで》は、弦楽オーケストラのための小品です。画家オーロフ・ハートマンを追悼するために作曲。ハートマンが亡くなった1910年1月16日の翌日に鉛筆書きで草稿が書かれました。1月21日のハートマンの葬儀で演奏され、1931年10月9日、コペンハーゲン聖母教会で行われたニルセン自身の葬儀でも演奏されます。
 
《サガの夢》は、第2番と第3番の交響曲のあいだ、1908年の作品です。劇付随音楽《トーヴェ》を作曲中の1907年冬から1908年にかけて、『ニャールのサガ』からインスピレーションを得たアイデアを形にすることが進められました。4月1日に完成。4月6日に初演され、後に劇付随音楽《母》に使われました。
 
価格 2,750円(税込価格)(本体価格 2,500円)

『カール・ニルセン 交響曲全集 第5集』
Kontrapunkt 32203 classical

 
カール・ニルセン(1865–1931)
 交響曲第3番 FS60 CNW27(Op.27)
 《シンフォニア・エスパンシーヴァ(Sinfonia espansiva)》(1910–11)
 アンダンテ・トランクィロとスケルツォ(Andante tranquillo e Scherzo)
  CNW31(1887)
 歌劇《仮面舞踏会(Maskerade)》  FS39 CNW2(1904–06) 組曲
  序曲 第2幕の前奏曲 若い雄鶏たちの踊り(Hanedans)
  オーゼンセ交響楽団 エドヴァルド・セロフ(指揮)
  エヴァ・ヘス・タイセン(ソプラノ)
  ラース・トズベア・ベアテルセン(バリトン)
 
制作・録音エンジニア イェスパー・ヤーアンセン

 
ニルセンの第3番の交響曲《シンフォニア・エスパンシーヴァ(ひろがりの交響曲)》は、1910年の初めに着想され、4月13日に第1楽章が完成しました。6月に上演開始が予定される劇『ハウバートとシーネ』の音楽に集中するため中断、7月になって再開されました。気分の落ち込みのせいで筆は進まず、王立劇場の職務による困難な状況下、秋から翌1911年の冬にかけて全4楽章の作曲が終わりました。
 
「エネルギーの噴出する」第1楽章「アレグロ・エスパンシーヴォ」、ソプラノとバリトンがヴォカリーズで歌い、ニルセンの故郷、フュン島のゆるやかに起伏する田舎の気分を想わせる第2楽章「アンダンテ・パストラーレ」、「夢と覚醒の間で平衡を保つ気分」の第3楽章「アレグレット・ウン・ポコ」、「仕事と日常生活の健康的な喜びへの賛歌」の第4楽章「終曲. アレグロ」。1912年2月28日、作曲されたばかりの《ヴァイオリン協奏曲》と一緒にコペンハーゲンで初演され、彼の音楽の支持者ばかりか、彼の才能に懐疑的だった批評家たちも納得させる勝利を収めました。
 
《アンダンテ・トランクィロとスケルツォ》は、1887年、ティヴォリ公園で開催された大規模な収穫祭で演奏された作品です。この機会のためニルセンは、弦楽四重奏のために書いてあった2つの楽章を弦楽オーケストラ用に改作したと、推測されています。公開で演奏された彼の最初の曲とみなされている作品です。
 
歌劇《仮面舞踏会》は、ルズヴィ・ホルベア(ルードヴィグ・ホルベルグ) Ludvig Holberg(1684–1754)の戯曲『仮面舞踏会(Mascarade)』による3幕の作品です。ニルセンは、ホルベアの喜劇をオペラのするというアイデアを1890年代の初頭から抱いていて、1903年から1904年の正月ごろになって、やっと実現させることができました。ヴィルヘルム・アナセン Vilhelm Andesen が、ニルセン自身が下書きしたシナリオに基づいて台本を執筆、1904年4月に完成させました。ニルセンは、1905年から本格的に作曲に取り組み、10月、第3幕が完成しないまま王立劇場の査定に回され、11月に〈第2幕の前奏曲〉〈若い雄鶏たちの踊り〉など作品の一部がニルセンの指揮で演奏された後、12月に承認されました。1906年11月11日、初めての上演が王立劇場でニルセンの指揮で行われ、王立オペラのレパートリーとして定着しました。ニルセンのもっともインスピレーションにみちた音楽に挙げられる〈序曲〉、コペンハーゲンの穏やかな夕べの気分を醸す〈第2幕の前奏曲〉、ポロネーズの〈若い雄鶏たちの踊り〉を「組曲」にした作品もコンサートに欠かせないレパートリーとして演奏されています。
 
価格 2,750円(税込価格)(本体価格 2,500円)

『カール・ニルセン 交響曲全集 第6集』
Kontrapunkt 32210 classical

 
カール・ニルセン(1865–1931)
 交響曲第6番 FS116 CNW30
 《シンフォニア・センプリーチェ(Sinfonia semplice)》(1924–25)
 劇付随音楽《ヴィレモース(Willemoes)》 FS44 CNW8(1907–08)
  第3幕の前奏曲
 ラプソディック序曲
 《フェロー諸島への幻想の旅(En Fantasirejse till Færøerne)》 FS123 CNW39(1927)
 劇付随音楽《母(Moderen)》 FS94 CNW18(Op.41)(1920–21)
  第4場の前奏曲 メヌエット 第7場の前奏曲 行進曲
  オーゼンセ交響楽団 エドヴァルド・セロフ(指揮)
 
制作・録音エンジニア イェスパー・ヤーアンセン

 
1916年の《第4番》、1922年の《第5番》と2つの「偉大な」作品を発表したカール・ニルセンは、第一次世界大戦後の時代、交響曲作家として以前に増して高い評価を獲得しました。1924年の夏から彼は新しい交響曲の作曲にとりかかり、翌年の初めに長期の海外旅行のために中断した後、4月には第3楽章を書き上げました。夏の時期に再度中断し、途中、第1楽章だけの初演をはさみ、12月5日に全曲が完成。12月11日、ニルセンが王立管弦楽団を指揮してオッドフェロー・パレスで初演されました。
 
《交響曲第6番》は、《第5番》と同様の2管に多種の打楽器を含む編成で書かれながら、作曲者自身による《シンフォニア・センプリーチェ(簡素な交響曲)》の副題がつけられました。ニルセンのもっとも悲劇的で考えぬかれたドラマのひとつとみなされる、テンポ・ジュストの第1楽章。アレグレットの第2楽章は、ニルセン流の不安をかきたてるような〈ユモレスク〉。アダージョの第3楽章〈プロポスタ・セリア(真剣な提案)〉。テューバと打楽器が「扉をたたく死神」を象徴するとニルセンが友人に語った、アレグロの第4楽章〈主題と変奏〉。
 
《フェロー諸島への幻想の旅》は、《交響曲第6番》や《フルート協奏曲》の後、1927年の作品です。デンマーク領フェロー諸島の使節団がコペンハーゲンを訪れることになり、王立劇場で行われる祝典コンサートのための音楽がニルセンに委嘱されました。かつて修道士が発見した絶海の孤島。木は生えず、冬はつねに強風にさらされる……。フェロー諸島を訪れたことのなかったニルセンは、想像をめぐらながら、ひとりの旅人になった気分でフェローの自然と人々の姿を描写していく。「ラプソディック序曲」として完成。11月27日、初演が行われました。
 
劇付随音楽《ヴィレモース》の音楽は、ナポレオン戦争でイギリスとデンマークが戦った「シェラン岬の戦い」で戦死した海軍士官ペーター・ヴィレモースを題材にしたラウリツ・クリスチャン・ニルセンの劇のために作曲されました。ニルセン、エミリウス・バンガト、アクセル・シューラーの3人が分担。ニルセンは、〈第3幕の前奏曲〉と男声合唱で歌われる〈われらが祖国〉など4つの歌を書いています。
 
劇付随音楽《母》は、第一次世界大戦の終結にともないユラン半島南部がデンマーク復帰した記念の「ガラ」のための作品です。1920年3月にスケッチが始められ、1921年1月に完成。1921年1月30日からコペンハーゲンの王立劇場での公演が始まり、5月のオーゼンセを皮切りにコペンハーゲンでの再演を含めデンマーク各地での上演が続きました。このアルバムでは、2つの前奏曲など、管弦楽の曲が演奏されます。
 
価格 2,750円(税込価格)(本体価格 2,500円)

『ベッリーン父子の音楽』
Simax PSC 1331 early music/classical

 
ヨハン・ヘンリク・ベッリーン(1741–1807)
 6声のシンフォニア ハ長調
ヨハン・ダニエル・ベッリーン(1714–1787)
 5声のシンフォニア ニ長調(コルネットと弦楽のための)*
 8声のシンフォニア ニ長調
 ヴァイオリンと弦楽のための協奏曲 イ長調 **
 6声のシンフォニア ニ長調
  アレクサンドラ・オプサール(コルネット)*
  ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ(ヴァイオリン)**
  ノルウェー・バロック管弦楽団
 
録音 2013年1月24日–26日 リス教会(オスロ)
制作・録音 フランソワ・エケール

 
1700年代中期、ノルウェーの当時の首都トロンハイムの音楽シーンに大きな影響を与えたベッリーン父子の管弦楽作品が6曲、初めて録音で紹介されます。
 
ヨハン・ダニエル・ベッリーン Johan  Daniel Berlin(1714–1787)はプロイセンのメーメル(現、リトアニア、クライペダ)生まれ。ロシアのイェルガヴァ(現、ラトビア)で幼少期を過ごし、町の音楽家を務めていた父に音楽の手ほどきを受けました。16歳からはコペンハーゲンのアンドレーアス・ベアウ(ベルグ)下で学び、1737年、トロンハイムに渡り、市音楽家(stadsmusikant)として働き始めます。ニーダロス大聖堂とヴォル・フルー教会 Vor Frue Kirke のオルガニスト、音楽教師を務め、作曲、音楽理論の著述、チェンバロのペダルボード製作と、ヨハン・ダニエルは幅広く活動。発明の才能にも恵まれた彼は、1763年には町の消防団長に就き、翌年からは詩の水道事業の検査官も務めています。このアルバムでは、彼の作品が5曲演奏されています。コルネットのソロと弦楽のための《5声のシンフォニア》、クラリネット、フルートと弦楽のための《8声のシンフォニア》、変ロ管クラリネット、2つのフラウト・トラヴェルソのための《6声のシンフォニア》は、イタリアのシンフォニアに倣った「急–緩–急」の3楽章で書かれ、様式的にはバロック期から古典期への移行期に属する作品とみなされます。イ長調のヴァイオリン協奏曲もイタリア様式を踏襲しており、〈アレグロ〉〈アンダンテ〉〈アレグロ〉の3楽章から構成されています。
 
ヨハン・ダニエルの3人の息子はいずれも音楽の道に進み、そのうちもっとも成功したとされるのがヨハン・ヘンリク(ハインリヒ)Johan Henrich (Heinrich) Berlin(1741–1807)です。ヨハン・ヘンリクはトロンハイムで生まれ、父から音楽を教わりながら、父の所蔵する膨大な音楽理論書、手稿譜、楽器コレクションを自由に使い、みずからの音楽を深めていきました。17歳で病院教会(Hospitalskirken)のオルガニストになり、父の死後、後継者として大聖堂とヴォル・フルー教会のオルガニストに就任しました。チェンバロの演奏、オルガンの修理も手がけ、コンサート団体のトロンハイム音楽協会(Det Trondhjemske Musikalske Selskap)の創設に加わりました。ヨハン・ヘンリクは約60の曲を書いたと認められるものの、現存するのはごく一部といわれ、その一曲、〈アレグロ〉〈アンダンテ〉〈メヌエット〉の3楽章からなる《6声のシンフォニア》が、このアルバムで演奏されます。
 
ピリオド楽器アンサンブル、ノルウェー・バロック管弦楽団 Norsk Barokkorkester(NBO)は1988年に創設されました。ベルゲン国際フェスティヴァル、オスロ室内楽フェスティヴァル、国外ではフランクフルト、アンスバッハ、シュトゥットガルト、スレースヴィ=ホルステン(シュレスヴィヒ=ホルスタイン)、ブレーメンなど各地のフェスティヴァルとコンサートで演奏してきました。リーダーを務めるゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ Gottfried von der Goltz はドイツの指揮者、ヴァイオリニスト。ハノーファー、ニューヨークのジュリアード音楽院、フライブルクで学び、21歳で北ドイツ放送交響楽団に入団。バロック・ヴァイオリンに転向した後、フライブルク・バロック・オーケストラ(FBO)に加わりました。現在は、ソリスト、FBO と NBO のリーダーとして活動しながらフライブルク音楽アカデミーでバロックとモダン・ヴァイオリンを教えています。
 
このアルバムに収められた作品は、トロンハイムにあるノルウェー最古の学術図書館、ノルウェー科学技術大学(NTNU)のグンネルス図書館(ライブラリー)(Gunnerusbiblioteket)所蔵のオリジナル譜による演奏です。
 
価格 2,695円(税込価格)(本体価格 2,450円)

『ある考え(An Idea)』
Simax PSC 1369 contemporary/classical

 
セルゲイ・ルドネフ(1955–)
 古いライムの木(The Old Lime Tree)
マルカム・アーノルド(1921–2006)
 ギターのための幻想曲(Fantasy for Guitar) Op.107
アグスティン・バリオス・マンゴレ(1885–1944)
 大聖堂(La Cathedral)
アントニオ・ホセ(1902–1936)
 ギターのためのソナタ(Sonata Para Guitarra)
レオ・ブローウェル(1939–)
 ある考え - イーライのためのパッサカリア)
 (An Idea – Passacaglia for Eli)
  クリスティーナ・ヴォールリ(ギター)
 
[楽器 Guitar: Andrés D. Marvi/Strings: D’Addario EJ46]
 
録音 2018年10月8日–11日 ウートスタイン修道院(レンネソイ、ノルウェー)
制作・録音 ヨルン・ペーデシェン

 
ノルウェーのギタリスト、クリスティーナ・ヴォールリ Kristina Vårlid(1994–)がデビューアルバムをリリースします。『ある考え(An Idea)』。
 
プログラムの最初が、ロシアのセルゲイ・ルドネフ Sergey Rdnev(1955–)が、ノスタルジックなメロディを「変奏曲」のスタイルによるラプソディックな流れに作った《古いライムの木》。マルカム・アーノルド Malcolm Arnold(1921–2006)の《ギターのための幻想曲》は、ジュリアン・ブリームのために作曲された作品です。〈前奏曲(Prelude)〉〈スケルツォ(Scherzo)〉〈アリエッタ(Arietta)〉〈フゲッタ(Fughetta)〉〈アリエッタ(Arietta)〉〈マーチ(March)〉〈後奏曲(Postlude)〉。アーノルドとブリームがともに敬愛したジャンゴ・ラインハルトを思い、ジャズ風の効果も取り入れられています。
 
パラグアイのアグスティン・バリオス・マンゴレ Agustin Barrios Mangoré(1885–1944)は「旅するギタリスト」と呼ばれていました。〈憧憬の前奏曲(Preludio saudade)〉〈敬虔なアンダンテ(Andante religioso)〉〈荘重なアレグロ(Allegro solemne)〉の3曲から構成される《大聖堂》は、モンテビデオのサン・ホセ大聖堂を訪れた後に書かれた作品です。
 
アントニオ・ホセ・マルティネス・パラシオス Antonio José Martínez Palacios(1902–1936)は、スペインのブルゴス生まれ。初期の作品がラヴェルから賞賛されたといい、音楽教師、指揮者として活動するものの、親交のあった同世代の詩人ガルシア・ロルカと同じく、スペイン市民戦争の起きた1936年に処刑されました。「アントニオ・ホセ」の名で発表した、わずかの合唱曲と管弦楽曲が残され、〈アレグロ・モデラート〉〈メヌエット〉〈悲しみのパヴァーヌ(Pavana triste)〉〈終曲(Final)〉の4楽章の《ギターのためのソナタ》は、「ネオバロック」と「セザール・フランク風」の要素をもち、彼の代表作に挙げられています。
 
ヴォールリがアルバムのタイトルに採った《ある考え》は、キューバのレオ・ブローウェル Leo Brouwer(1939–)が書いた「不思議な魅力のある、気取らない小品」のひとつ。カナダのクラシカルギターの第一人者、イーライ・カスナーへの「友情のしるし」として作られました。過去100年のギター音楽から選んだ5つの作品。「音楽にはあらゆる可能性が秘められている。レパートリーにしている作品も創意をもって取り組むと新たな考えが見つかる。それをまた自分のものにする」。
 
「音楽」を伝えるプロダクションとエンジニアリングをヨルン・ペーデシェン Jørn Pedersen が担当。スタヴァンゲルに近いクロステロイ島にある、中世の僧院、ウートスタイン修道院で録音セッションが行われました。
 
[プロフィール]
 
クリスティーナ・ヴォールリ Kristina Vårlid(1994–)。ノルウェーのスタヴァンゲル生まれ。2017年アントワープ国際ギター・コンペティションの第1位を獲得したプレーヤー。2013年からスコットランド王立音楽院でアラン・ニーヴに、2014年からオランダ、フローニンゲンのプリンス・クラウス音楽院でサブリナ・ヴラスカリッチに学び、2017年にバチェラーの学位を取得。2017年秋から、ノルウェー国立音楽大学でエーリク・ステンスタヴォルとオット・トロネンの「アーティスト・ディプロマ」クラスに在学中。
 
価格 2,695円(税込価格)(本体価格 2,450円)

『ウジャマー(Ujamaa)』
2L 2L146SABD Pure Audio Blu-ray + SACD hybrid (5.1 surround/stereo) contemporary/classical

 
ヘンニング・ソンメッロ(1952–)
 ウジャマー(Ujamaa)
 (ヴォーカル、サクソフォーン、バスクラリネット、打楽器と管弦楽のための)*
 氷山(Iceberg)(2人の独唱者、混声合唱と管弦楽のための)**
  レーナ・ヴィッレマルク(「クルニング」、ヴォーカル)*
  ヨン・ポール・インデルベルグ(サクソフォーン)*
  リク・ド・ジェーテル(バスクラリネット)*
  エスペン・オールベルグ(打楽器)*
  アイル・インデルハウグ(ソプラノ)**
  フロリン・デミット(バリトン)**
  トロンハイム・ヴォーカルアンサンブル **
  トロンハイム交響楽団 インガル・ベルグビュー(指揮)
 
録音 2017年8月 オラヴホール(トロンハイム、ノルウェー)
制作・バランスエンジニアリング モッテン・リンドベルグ
録音 ビアトリス・ヨハンネセン
 
[DXD (24bit/352.8kHz) 録音]
[Blu-ray: 5.1 DTS-HD MA(24bit/192kHz), 7.1.4 Dolby Atoms(48kHz), 7.1.4 Auro-3D(96kHz), 2.0 LPCM(24bit/192kHz), mShuttle: MP3 + MQA, Region: ABC]
[SACD DSD(5.1 surround 2.8224 Mbit/s/ch, 2.0 stereo 2.8224 Mbit/s/ch)/CD 2.0 stereo(16 bit/44.1 kHz)/MQA CD]

 
ヘンニング・ソンメッロ Henning Sommerro(1952–)。ノルウェー、ヌールムーレのスルナダール生まれの音楽家。同郷の詩人ハンス・ヒルバクの詩に作曲した《春の息吹き(Vårsøg)》(春風の口笛に雪解けの水)で人気を博し、フォーク・ミュージシャン、歌手、作曲家として、ノルウェー音楽シーンのさまざまな「舞台」で活躍しています。代表作とされる《3つのグレゴリオの思考》と《パルティザン・レクイエム》、ヴォールフリュ教会の委嘱による《聖母マリアの生誕》(2L060SACD)、ニーダロス大聖堂合唱団のフランスツアーのための《ヨハネ》(2L072SACD『ニーダロス(Nidaros)』)などの作品を作曲してきました。彼が「導きの星」とするのは、予測できないことの起きる「オープンな空間」。「新しい要素が生まれ、古いものが広げられると、それまでの輪郭が消されて新しい姿が見えてくる」。2013年からトロンハイムのノルウェー工科自然科学大学(NTNU)の教授。作曲法、対位法、オルガン即興を教えています。
 
アルバム『ウジャマー』では、「カンタータ」として書かれた、ソンメッロの作品の中では規模の大きい2作が演奏されます。《ウジャマー》は、2008年のトロンハイム・ジャズフェスティヴァルの委嘱で作られた作品です。「同胞であること」「家族の愛」「仲間」を意味するスワヒリ語を曲名にとり、〈ヨーロッパ(Europa/Europe)〉 〈アフリカ(Afrika/Africa)〉〈アメリカ(Amerika/America)〉 〈アジア(Asia)〉〈オーストラリア(Australia)〉〈フィナーレ(Finale)〉の6つの部分から構成されています。テクストは、オスロ国際平和研究所を創設した社会学者で数学者のヨハン・ガルトゥング Johan Galtung(1930–)の『Art and Peace(芸術と平和)』と子息のアンドレーアスとの共著『A Flying Orange Tells Its Tale(空飛ぶオレンジが話すこと)』。このアルバムでは、オリジナルにいくつかの変更を加えた版で演奏されます。スウェーデンのトラッド・ミュージシャン、レーナ・ヴィッレマルク Lena Willemark(1960–)がヴォーカルと「クルニング(家畜を呼ぶ声)」。ジャズ・サクソフォーン奏者ヨン・ポール・インデルベルグ John Pål Inderberg(1950–)は、リー・コニッツやチェット・ベイカーとも共演したミュージシャン。トロンハイム交響楽団のバスクラリネット奏者、ベルギー出身のリク・ド・ジェーテル Rik de Geyter と、ジャズ・ミュージシャンでトロンハイム交響楽団でドラムを担当するエスペン・オールベルグ Espen Aalberg(1975–)が、それぞれソロを受け持っています。
 
《氷山》は、フラム号による北極探検で知られる科学者で国際政治家のフリチョフ・ナンセン Fritdtjof Nansen(1861–1930)と彼の最初の妻、エヴァ・サーシュ(ナンセン) Eva Sars (Nansen)(1858–1907)のストーリーによる、2人の独唱者、混声合唱と管弦楽のための作品です。〈太陽(The Sun)〉〈氷(The Ice)〉〈海(The Sea)〉〈戦い(The Battle)〉〈ビジョン(Vision)〉の5部で構成。『エッダ』の『巫女の予言(Voluspå)』に基づくソプラノの歌「Kom sol, kom sunnan(来たれ日輪、来たれ南より)」に始まり、曲名にとられた表現主義詩人クリストフェル・ウプダール Kristofer Uppdal(1878–1961)の詩、ウェールズの詩人ディラン・トマス Dylan Thomas(1914–1953)の詩が、ノルウェー語、英語、ロシア語で歌われます。ロシアの指揮者セルゲイ・インコフの委嘱で作曲され、2003年、トロムソ室内管弦楽団(現、アークティック・フィルハーモニック室内管弦楽団)により初演されました。
 
2曲の録音セッションは、2017年8月、トロンハイムのオラヴホールで行われました。ノルウェー軍西部音楽隊(ノルウェー海軍音楽隊)の首席指揮者を務めるインガル・ベルグビュー Ingar Bergby(1964–)が指揮。トロンハイム交響楽団、ヴォーカルアンサンブル、ソリストが 9.1 channel のマイク・セッティングを囲む(サラウンド)配置で「DXD (24bit/352.8kHz) 録音」されました。
 
価格 4,675円(税込価格)(本体価格 4,250円)
 

Pure Audio Blu-ray ディスクと SACD ハイブリッドディスクをセットにしたアルバムです。Pure Audio Blu–ray ディスクにはインデックスを除き映像は収録されていません。SACD ハイブリッドディスクはSACDブレーヤーとCDプレーヤーで再生できますが、Pure Audio Blu-ray ディスクはCDやDVDのプレーヤーでは再生できないので、Blu–ray プレーヤーもしくは Blu–ray 対応のPCをお使いください。

『Honk』
Alba ABCD 433 jazz

 
『Honk』
 The Dog(Masa Orpana) Tanya(Joe Liggins)*
 Rockin’ Shuffle(Masa Orpana)
 Midnight(Boudleaux Bryant/Chet Atlkins)**
 Clear Day(Masa Orpana)*** Blackwoods(Henry Glower)
 Hastings Street Bounce(Trad. arr. Pepper Adams)
 Churchill Strut(Masa Orpana)†
 Blue Jean Shuffle(Plas Johnson)††
 Soul Sister(Dexter Gordon)
  マサ・オルパナ(サクソフォーン)
  ヨンニ・セッパラ(ギター、ラップスティール **)
  ヴィッレ・ヴァッリラ(ベース)
  ユッポ・パーヴォラ(ドラム)
  サク・ヤルヴィネン(エレクトリックピアノ */†、オルガン ***/††)
 
録音 2017年8月、2018年1月 PMO(タンペレ、フィンランド)
制作 マサ・オルパナ
録音 ヨンニ・セッパラ

 
マサ・オルパナ Masa (Matti-Juhani) Orpana は、1973年、フィンランドのカンガサラ生まれ。テナーサックスをメインに、その他のサクソフォーン、クラリネット、フルート、ギターを演奏。ジャズ、リズム・アンド・ブルース、ルーツ・ミュージック、ロック、即興に関心を寄せ、「Groovey Eyes」などのバンドと自身の「Masa Orpana Honk」「Jazzmuseo」でプレーしてきました。『Honk』は、『Honky Tonk Man』(Alba ABACD 08)(2005)『Brothers』(ABCD 254)(2008)『Travelin’ Home』(ABCD 371)(2014)につづくリーダーアルバムの第4作。リズム・アンド・ブルースのジョー・リギンズが1946年に録音した《Tanya》、カントリー・アンド・ウェスタンのブードロー・ブライアントとチェット・アトキンズが作り、レッド・フォーリーの歌でヒットした《Midnight》、ヘンリー・グローヴァーの《Blackwoods》、ソウル・ジャズ・プレーヤーのプラス・ジョンソンの《Blue Jean Shuffle》、デクスター・ゴードンの《Soul Sister》といったアメリカの作品と彼のオリジナル曲によるプログラム。ヨンニ・セッパラ Jonni Seppälä のギター、ヴィッレ・ヴァッリラ Ville Vallila のベース、ユッポ・パーヴォラ Juppo Paavola のドラム、サク・ヤルヴィネン Saku Järvinen のキーボードで、アルバムのタイトルどおり、あえて洗練を離れ、懐かしい音楽を展開していきます。
 
価格 2,365円(税込価格)(本体価格 2,150円)

『あなたにお話しするなら(Jos minä puhuisin sinulle)』
Alba ABACD 15 jazz

 
『あなたにお話しするなら(Jos minä puhuisin sinulle)』
 Ol' kaunis kesäilta(なんと美しい夏の夕べ)(Trad.)
 Tähtien lumous(Stella by Starlight)(星影のステラ)(Victor Young)
 Kullan ylistys(恋人を讃えて)(Trad.)
 Aamulla varhain(朝早くに)(Trad.)
 Ei sanaakaan(Insensatez)(愚かな行為)(Antonio Carlos Jobim)
 Sinua, sinua rakastan(あなた、私が愛しているのはあなた)
 (Kaj Chydenius)
 Vain öisin('Round Midnight)(ラウンド・ミッドナイト)
 (Thelonious Monk/Cootie Williams)
 Jos minä puhuisin sinulle -sarja(組曲《あなたにお話しするなら》)
 (Mikko Hassinen)
  Minä kunnioittaisin sinua…(私はあなたを敬ってを…)
  Siksi kunnes kertoisit…(だから、あなたが言うまでは…)
  Sinä kulkisit ohitseni…(あなたは私とすれ違って…)
  女声合唱団 KYN
  カイヤ・ヴィータサロ(指揮)
  マヌエル・ドゥンケル(テナーサックス)
  ヴィッレ・ヘッララ(ベース)
  ミッコ・ハッシネン(パーカッション)
 
録音 2015年11月 Finnvox Studio
制作 ティモ・レヘトヴァーラ
録音 マッティ・フレードリクソン

 
ヘルシンキの商科大学(現、アールト大学商学部)の女声合唱団 KYN(キュン)は、1981年に創設されたアンサンブル。1989年からカイヤ・ヴィータサロ Kaija Viitasalo が芸術監督として合唱団を率い、バラード、フォークソング、ジャズといったジャンルがレパートリーのユニークな合唱団として知られます。フィンランド・ジャズの「ショーケース」として録音された『新しい始まり(Kynnyksellä)』(ABCD223)に次ぐアルバム『あなたにお話しするなら』。「夏の夕べ、かわいい娘っ子を見かけた。あの子が忘れられない……」。《なんと美しい夏の夕べ》はフィンランドの人たちの大好きな民謡。スタンダードナンバーの《星影のステラ》と《ラウンド・ミッドナイト》。民謡《恋人を讃えて》と、幅広いジャンルの作曲を手がけるカイ・チュデニウス Kaj Chydenius(1939–)の《あなた、私が愛しているのはあなた》も恋の歌。ドラマー、作曲家、アレンジャー、バンドリーダー、プロデューサーとして活躍、このアルバムのセッションにも参加しているミッコ・ハッシネン Mikko Hassinen(1971–)が作った組曲《あなたにお話しするなら》も歌われます。フィンランドを代表するビッグバンド UMO で演奏するマヌエル・ドゥンケル Manuel Dunkel(1971–)のテナーサックス、クリスチャン・スペリングやパレ・ダニエルソンたちに学んだヴィッレ・ヘッララ Ville Herrala(1979–)のベースが加わります。
 
価格 2,365円(税込価格)(本体価格 2,150円)

『妖しげなカンテレ(Outo Kantele)』
Alba NCD 57 Alba ABACD 15 jazz/contemporary/classical

 
ユッカ・リンコラ(1955–)
 組曲《呪文(Loitsut)》(2013)
 組曲《妖しげなカンテレ(Outo Kantele)》(2010)
  女声合唱団 KYN
  カイヤ・ヴィータサロ(指揮)
  パヌ・サヴォライネン(ヴィブラフォーン)
  ヨハンナ・ユホラ(ハーモニカ)
  キルモ・リンティネン(ピアノ)
 
録音 2017年4月1日、9月16日、2018年2月3日 Finnvox Studiot(ヘルシンキ)、2017年10月26日、2018年2月8日 Studio Freda
制作 ティモ・レヘトヴァーラ、ミルヤ・ミケラ
録音 マッティ・フレドリクソン

 
ヘルシンキの商科大学(現、アールト大学商学部)の女声合唱団 KYN(キュン)は、バラード、フォークソング、ジャズといったジャンルの音楽をレパートリーとするユニークな活動で知られます。『新しい始まり(Kynnyksellä)』(ABCD223)『あなたにお話しするなら(Jos minä puhuisin sinulle)』(ABACD15)に続く Alba レーベルへの新録音は、ユッカ・リンコラ Jukka Linkola(1955–)の「ルーツを共有する2つのストーリー」です。
 
リンコラは、ジャズ・ピアニスト、ジャズとクラシカルの作曲家としてフィンランドを代表する音楽家のひとり。KYN とリンコラのコラボレーションは1990年代から始まり、彼の音楽は合唱団の活動に欠かせないレパートリーになっています。2つの作品はいずれもリンコラ自身がテクストを書きました。
 
《呪文》は、フィンランドに古くから伝わる呪文とシャーマニズム的なルーネソングに、リンコラがミシガン州のスペリオル湖を訪れた際に出会った、自然への愛をユーモアたっぷりに歌ったアメリカ先住民の歌が重ねられています。〈石の呪文(Loitsu kiville)〉〈呪文の創造(Loitsu synty)〉〈オッツォの呪文(Loitsu Otsolle)〉〈空の熊(Karhu taivaalla)〉〈魚釣りの呪文(Kalastusloitsu)〉〈サウナの呪文(Kylvetysloitsu)〉〈幸運の呪文(Loitsu pelionnelle)〉〈手の呪文(Loitsu käsille)〉〈感謝の歌(Kiitoslaulu)〉。《妖しげなカンテレ》は、〈妖しげなカンテレ(Outu kantele)〉〈悪は善を知らない(Ei pahat hyvästä tiiä)〉〈おいで(Tule)〉〈歌って子供を寝かしつける(Laulan lasta nukkumahan)〉〈カッコウ(Käki)〉〈貧しい者の定め(Armottoman osa)〉〈踊りの歌(Tanssilaulu)〉の7曲。フィンランドの抒情詩集『カンテレタル』の詩をリンコラが自由にアレンジしたテクストが歌われます。
 
価格 2,365円(税込価格)(本体価格 2,150円)

『アレッポの園芸商(The Gardener of Aleppo)』
BIS SACD 2461 SACD hybrid (5.0 surround/stereo) contemporary/classical

 
ジョン・ピカード(1963–)
 アレッポの園芸商(The Gardener of Aleppo)(2016)
 (フルート、ヴィオラとハープのための)
 シオンの娘(Daughters of Zion)(2016)
 (メゾソプラノと室内アンサンブルのための)*
 雪に閉ざされ(Snowbound)(2010)
 (バスクラリネット、チェロとピアノのための)
 セレナータ・コンチェルタータ(Serenata Concertata)(1984)
 (ソロ・フルートと室内アンサンブルのための)
 3つの鶏の研究(Three Chicken Studies)(2008)
 (ソロ・オーボエのための)
 アフラニオのファゴトゥス(The Phagotus of Afranio)(1992)
 (ファゴットとピアノのためのカプリッチョ )
 幽霊列車(Ghost-Train)(2016)(室内アンサンブルのための)
  ナッシュ・アンサンブル
   フィリッパ・デイヴィス
   (フルート、ピッコロ、アルトフルート、バスフルート)
   ガレス・ハルス(オーボエ)
   リチャード・ホスフォード
   (クラリネット、E♭クラリネット、バスクラリネット)
   マーティン・ロバートソン
   (バスクラリネット、コントラバスクラリネット)
   アーシュラ・ルヴォー(ファゴット)
   クリス・ブラニック(打楽器)
   ルーシーウェイクフォード(ハープ)
   イアン・ブラウン(ピアノ)
   ベンジャミン・ナバロ(ヴァイオリン)
   スコット・ディキンソン(ヴィオラ)
   エイドリアン・ブレンデル(チェロ)
   グレアム・ミッチェル(コントラバス)
  マーティン・ブラビンズ(指揮)
  スーザン・ビクリー(メゾソプラノ)*
 
録音 2018年9月 オールセインツ教会(イーストフィンチリー、ロンドン)
制作・録音 サイモン・フォックス=ガール

 
イギリスの作曲家ジョン・ピカード John Pickard は、ウィリアム・マタイアスとルイ・アンドリーセンに学び、5曲の交響曲などの管弦楽作品と器楽・室内楽作品を主に手がけてきました。ピカードがさまざまな機会に書いた室内楽作品をナッシュ・アンサンブルが演奏したアルバム。オクタンドル・アンサンブルの委嘱で作曲された《アレッポの園芸商》が、アルバムのタイトルにとられました。「2016年8月22日、イギリスの『チャンネル4』が、アブー・アル=ワードの話を伝えた。『花の父』と訳される名の彼は、シリア内戦の大虐殺とシリア軍とロシア軍の爆撃が止むことのない5年間、反政府軍の支配する東アレッポの破壊された市街で最後に残されたガーデンセンターを息子のイブラヒムと営んでいた……」。「繊細さと脆さを備えたフルートとヴィオラとハープという楽器の組み合わせ」により「アブー・アル=ワードと戦火の中で彼が育てた花の弱さ」が表現されます。
 
《シオンの娘》も、戦いと暴力をテーマに作曲されました。ブリストル大学のピカードの同僚、カトリック神学部教授ガヴィン・ドコスタのテクストをメゾソプラノが歌い、ピッコロ、フルート、アルトフルート、クラリネット、ピアノ、打楽器、ヴァイオリン、チェロ、コントラバスのアンサンブルで演奏されます。大雪のために外出できなかった2009年のクリスマスから新年にかけて作曲された《雪に閉ざされ》は、「閉所恐怖症の感覚と見慣れた景色が深い雪でいつもとかけ離れて見える感じ」をバスクラリネット、チェロとピアノの「より暗い色」で探ったという作品です。
 
《セレナータ・コンチェルタータ(協奏セレナード)》は、ピカードがバンガー大学の学部を卒業する1984年夏に作曲した作品です。2つの〈カデンツァ〉、2つの〈アリア〉と〈スケルツォ-ノットゥルノ〉。ウェールズ・アーツカウンシルの資金援助を得た大学の現代音楽アンサンブルから依頼を受けた、初めての委嘱作品です。〈産卵(Laying)〉〈給餌(Feeding〉〈戦い(Fighting)〉の《3つの鶏の研究》は、ピカードがペットにしていた鶏の一日を描き、友人のオーボエ奏者への誕生日プレセントとされました。16世紀初期にフェラーラのアフラニオが発明したとされるバグパイプとチェンバーオルガンを足した楽器「ファゴトゥス」を曲名にした《アフラニオのファゴトゥス》は、「演奏者がそこかしこでトラブルに見舞われる」ファゴットとピアノのための「カプリッチョ」。《幽霊列車》は、グレゴリオ聖歌の『ディエス・イレ(怒りの日)』を使った「無窮動」。フランスの現代音楽グループ「アンサンブル・ヴァリアンス」の委嘱を受けて作曲されました。
 
価格 2,915円(税込価格)(本体価格 2,650円)

『コンコード・ソナタ』
BIS SACD2249 SACD hybrid (5.0 surround/stereo) classical

 
チャールズ・アイヴズ(1874–1954)
 ヴァイオリン・ソナタ第4番《キャンプ・ミーティングの子供の日
 (Children’s Day at the Camp Meeting)》(1911–16)
 ピアノソナタ第2番《マサチューセッツ州コンコード 1840年-1860年
 (Concord, Mass., 1840–1860)》(1911–19) *
  ヨーナス・アホネン(ピアノ)
  ペッカ・クーシスト(ヴァイオリン、ヴィオラ *)
  シャロン・ベザリー(フルート) *
 
録音 2016年6月–7月 セッロサリ(セッロホール)(エスポー、フィンランド)
制作・録音 イェンス・ブラウン

 
リゲティの音楽と歴史的ピアノを弾いたベートーヴェンが評価されたフィンランドのピアニスト、ヨーナス・アホネン Joonas Ahonen(1984–) のリゲティ《ピアノ協奏曲》(SACD2209)次ぐ BIS 第2作。「ローカル」と「ノスタルジック」の「アメリカ」を超え、広く世界で理解されるようになったアイヴズ Charles Ives の作品が2曲、演奏されます。《キャンプ・ミーティングの子供の日》の副題をもつヴァイオリン・ソナタ第4番は、彼の生まれたコネティカット州で19世紀後半に活発に行われていた夏のキャンプの記憶をインスピレーションに作曲されました。第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ラルゴ」。第3楽章「アレグロ」に《まもなくかなたのながれのそばで(Shall We Gather at the River)》の讃美歌の旋律が「音が消え去ったあとにも、聞き手の想像力をさらに飛翔させる」(奥田恵二『「アメリカ音楽」の誕生』河出書房新社 p.230)と思わせる形で引用されます。
 
『コンコード・ソナタ』として知られるピアノソナタ第2番《マサチューセッツ州コンコード、1840年-1860年》は、ニューイングランド気質の原点ともいえるコンコードに住んだ先人への共感を「音」として示した作品です。超絶主義の作家で哲学者の〈エマソン〉、小説家〈ホーソーン〉の「スケルツォ」、コンコード・ヴィレッジの象徴といわれる「オーチャード・ハウス」の〈オルコット家〉、ウォールデン・ポンドの森で試みた自給自足の日々を『ウォールデン 森の生活』にまとめた思想家〈ソロー〉。アイヴズが「ベートーヴェンのもっとも偉大なメッセージのある」とみなす、第5交響曲を開始する「4つの音」が引用され、4つの楽章を通して主題として使われています。
 
ヴァイオリン・ソナタのヴァイオリンと〈エマソン〉の「オプション」ヴィオラは、フィンランドのペッカ・クーシスト Pekka Kuusisto(1976–)が弾いています。彼は現在、ソリスト、室内楽奏者、指揮者としてフィンランドと世界を舞台に活躍。ACO Collective(オーストラリア室内管弦楽団)の芸術監督やミネソタ州のセントポール室内管弦楽団のアーティスティック・パートナーを務めています。
 
価格 2,915円(税込価格)(本体価格 2,650円)

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