ウェブサイトで過去に紹介した北欧と北欧以外のディスクからピックアップして掲載するページです。

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『アッテルベリ』
BIS CD 1504 classical

 
クット・アッテルベリ(1887–1974)
 チェロ協奏曲 Op.21(1917–22)
ヨハネス・ブラームス(1833–1897)(クット・アッテルベリ 編曲)
 弦楽六重奏曲第2番 ト長調 Op.36(弦楽オーケストラのための)
  トルルス・モルク(チェロ)
  ノルランドオペラ交響楽団 クリスチャン・ヤルヴィ(指揮)
 
録音 2004年6月 ノルランドオペラ・コンサートホール(ウーメオ、スウェーデン)
制作 リタ・ヘルマイヤー
録音 ブー・アンデシン、リタ・ヘルマイヤー

 
アッテルベリ Kurt Atterberg の《チェロ協奏曲》は、1917年ごろ、交響曲第5番と同時に作曲が始められ、1922年の秋に完成しました。「アンダンテ・カンタービレ - アレグロ」「アダージョ」「アレグロ」の3つの楽章が続けて演奏されます。全曲初演は1923年1月。アッテルベリがベルリン・フィルハーモニーを指揮、ハンス・ボッタームントがソロを弾きました。ボッタームントは「長大な」カデンツァも作曲し、そのことはアッテルベリを不愉快にさせただけでなく、「長すぎる」と一部から批評される理由にもなったといわれます。同年3月にノルショーピングで行われたスウェーデン初演では、チェリストでもあったアッテルベリがドイツで買った新しい楽器でソロを弾きました。トルルス・モルク Truls Mørk とクリスチャン・ヤルヴィ Kristjan Järvi 指揮ノルランドオペラ交響楽団による2004年6月のセッション録音です。
 
ブラームスの《弦楽六重奏曲第2番 ト長調》の弦楽オーケストラのための編曲は、アッテルベリが著作権協会国際連合(CISAC)の会長としての活動やオペラ《アラジン》の作曲などで多忙を極めていた時期、1939年に行われました。彼は、数年前、「メロディの衰退」や「スウェーデン音楽は、もはやスウェーデン的であることを許されないのか」といった見出しの記事を新聞に寄稿しており、ブラームスの音楽によって「古典的な伝統」を尊重する自身の考えを示そうとしたのではないか、と考えられています。ブラームスのこの作品は、彼が1860年代前期に作曲した一群の室内楽曲のひとつ。「アレグロ・ノン・トロッポ」「アレグロ・ノン・トロッポ」の〈スケルツォ〉、「ポコ・アダージョ」「ポコ・アレグロ」の4楽章のロマンティックな作品です。
 
価格 2,805円(税込価格)(本体価格 2,550円)

『ベールヴァルド  2つの交響曲』
Bluebell ABCD 037 classical

 
フランス・ベールヴァルド(1796–1868)
 交響曲第3番 ハ長調 《Sinfonie singulière
 (サンフォニー・サンギュリエール)(風変わりな交響曲)》(1845)
 交響曲第4番 変ホ長調(1845)
  ロンドン交響楽団
  シクステン・エールリング(指揮)
 
録音 1968年5月1日–2日 キングズウェイ・ホール(ロンドン、イングランド)
制作 ジェイムズ・マリンソン、フランク・ヘードマン
録音エンジニア ケネス・ウィルキンソン
マスタリング アンデシュ・ヘグレーヴ [Decca SXL6374]

 
「演奏のあてさえなく書き続けられた交響曲」。ベールヴァルドは交響曲を4曲残しました。1842年の交響曲第1番《セリューズ》の初演が、不十分な練習のせいで失敗に終わり、第2番以降の作品は作曲者の生前には演奏されませんでした。《サンギュリエール》と題された第3番は、当時のほかのどんな音楽とも似ておらず、その新鮮な発想から、彼の最高傑作とみなされている作品です。第4番は「アレグロ」「アダージョ」「スケルツォ」「終曲」の4楽章で書かれ、当初考えてられていた「Sinfonie naïve(素朴な交響曲)」の曲名は、後に撤回されました。ベールヴァルドの交響曲全4曲(BIS-795/796)を後にリリースするシクステン・エールリング Sixten Ehrling の最初の録音です。
 
価格 2,365円(税込価格)(本体価格 2,150円)

『ハンブルク交響曲』
Alba ABCD374 SACD hybrid (5.1 multichannel/stereo) classical

 
C・P・E・バッハ(1714–1788) 6つのシンフォニア Wq.182
 シンフォニア ト長調 Wq.182-1(H.657)
 シンフォニア 変ロ長調 Wq.182-2(H.658)
 シンフォニア ハ長調 Wq.182-3(H.659)
 シンフォニア イ長調 Wq.182-4(H.660)
 シンフォニア ロ短調 Wq.182-5(H.661)
 シンフォニア ホ長調 Wq.182-6(H.662)
  オストロボスニア室内管弦楽団 サカリ・オラモ(指揮)
  アンナ=マーリア・オラモ(チェンバロ)
 
録音 2013年8月28日–31日 スネルマン・ホール(コッコラ、フィンランド)
制作・録音 サイモン・フォックス=ガール

 
オストロボスニア室内管弦楽団 Keski-Pohjanmaan Kamariorkesteri は1972年、ユハ・カンガス Juha Kangas(1945–)により創設されました。1989年からプロ・オーケストラとしての活動を始め、1993年に「NOMUS(北欧音楽委員会)賞」を受賞。名実ともフィンランドと北欧を代表する弦楽オーケストラとして国際的に知られるようになりました。2013年、ユハ・カンガスが名誉指揮者に就任。フィンランドの指揮者、ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニック管弦楽団、BBC交響楽団、西海岸コッコラ・オペラ(West Coast Kokkola Opera)の首席指揮者のサカリ・オラモ Sakari Oramo(1965–)が後任に選ばれました。
 
オストロボスニア室内管弦楽団が新しい首席指揮者オラモとの最初の録音に取り上げたのは、C・P・E・バッハ Carl Philipp Emanuel Bach の《6つのシンフォニア》です。「いくら天才でも、その心から、いつも、これほど高度で大胆で機知にとんだ性格の音楽作品を生み出せるとはかぎらない」(「アルゲマイネ・ムジーカリッシェ・ツァイトゥング(1814年)」)。ゴットフリート・ファン・スヴィーテン男爵 Gottfried van Swieten(1733–1803)から「技巧的にむずかしく、洗練された様式の音楽」の要望とともに委嘱された弦楽オーケストラのための6曲は、1773年に出版され、『ハンブルク交響曲(Hamburger Sinfonien)』と呼ばれます。「予期せぬ和声、半音階、すばやいダイナミックスの変化、旋律間の鋭い対比、技巧の求められる器楽書法」。C・P・E・バッハの音楽と彼の時代の様式を踏まえながら現代楽器の美点を活かした演奏をする。ユハ・カンガスの育てたアンサンブルが、2010年12月にフィンランド政府から「フィンランド獅子勲章プロ・フィンランディア・メダル」を授与されたオラモとともに新しいスタートを切ったことを示す録音です。
 
価格 2,365円(税込価格)(本体価格 2,150円)

『あなたの行くところ』
Swedish Society Discofil SCD 1163 traditional/jazz/classical

 
『あなたの行くところ(Där du går)』
 Vara ingenting(Elisabet Hermodsson)(なんでもない)
 I hoppet sig min frälsta själ förnöjer(trad. arr. Anders Hagberg/
  Johannes Landgren)(わが魂は祝福され望みは満たされた)
 Sänd ditt ljus(trad. arr. Anders Hagberg/Johannes Landgren)
 (あなたの光を届けてください)
 Gidda(trad. arr. Anders Hagberg)(イッダ)
 Där du går(Elisabet Hermodsson)(あなたの行くところ)
 Du som(Anders Hagberg/Johannes Landgren)(あなたは)
 Ljus(Anders Hagberg/Johannes Landgren)(光)
 Härtdjur(Anders Hagberg)(心獣)
 Gammal fäbodpsalm(Oscar Lindberg)(夏の牧舎の古い賛美歌)
 Vara(Anders Hagberg/Johannes Landgren)
 Bjurum improvisus(Anders Hagberg/Johannes Landgren)
 (ビュールム即興)
 Ack min själ(trad. arr. Anders Hagberg/Johannes Landgren)
 (おお、わが魂)
 Jesu, meine Freude(Johann Crüger)(イエス、わが喜び)
 Du som gick före oss(Sven-Erik Bäck)
 (わたしたちの先を行ったあなた)
 Vara ingenting(Elisabet Hermodsson)
  アンデシュ・ハーグベリ(フルート、バス・フルート、
   コントラバス・フルート、ソプラノサックス、
   オッフェルダールスピーパ、Matusi flute)
  ユハンネス・ランドグレーン(オルガン、チェスト・オルガン、
   ビュールム・オルガン、ピアノ)
 
録音 2016年12月21日–22日 ヨーテボリ大学音楽演劇アカデミー、オーリーン・ホール(ヨーテボリ、スウェーデン)
制作 アンデシュ・ハーグベリ、ユハンネス・ランドグレーン
録音エンジニア・ミクシング・マスタリング ユハンネス・ルンドベリ

 
フルートとサクソフォーンのプレーヤー、アンデシュ・ハーグベリ Anders Hagberg(1958–)と、オルガニスト、ピアニストのユハンネス・ランドグレーン Johannes Landgren(1961–)。異なる音楽背景をもつスウェーデンの音楽家ふたりは、インプロヴィゼーションを表現の道具に使い、フリージャズのコラボレーションを楽しんできました。新しいアルバム『あなたの行くところ』では、スウェーデンの人々が伝えてきた賛美歌とコラール、グレゴリオ聖歌、バラードが素材に使われています。フルート、バス・フルート、コントラバス・フルート、ソプラノサックス、伝統の笛「オッフェルダールスピーパ(offerdalspipa)」、中国の笛子をヒントにした膜笛「Matusi flute」……フランス・ロマンティック・オルガン、チェスト・オルガン(ポジティフ・オルガン)、ミーントーン音律の17世紀「ビュールム・オルガン」、ピアノ……。「音楽が空間に息づく……」。アンデシュとユハンネスのふたりが、静けさと響きのコントラストが生む緊張を心に描きながら、その「時」にふさわしい楽器を選び、即興を展開していきます。
 
税込価格 2,365円(本体価格 2,150円)

『大麦が緑になり(Kornet har sin vila) 』
Proprius PRCD 9093 classical

 
『大麦が緑になり(Kornet har sin vila) - 新しく歌うスウェーデン賛美歌集』
 主の慈悲は深く(Det finns djup i Herrens godhet)
 主がおいでになるとき(När han kommer)
 天国へつづく道がある(Det finns en väg till himmelen)
 羊飼いたちの賛美の声は高く(Prisad högt av herdars skara)
 大麦が緑になり(Kornet har sin vila)
 神から授かったパンを分かつとき(När vi delar det bröd)
 神はわれらと同じ食卓に(Gud är en av oss vid detta bord)
 神の愛は岸辺のようにひろく(Guds kärlek är som stranden)
 「マリア」とユダは言った("Maria", as Judas)
 神よ、われらの地に息を吹き込んでくださると
 (Gud, när du andas ver vår jord)
 おおイエスよ、あなたの御名は慰めに(Si, Jesus är ett tröstrikt namn)
 悲しみと喜びは(Sorgen och glädjen)
 闇の庭園(En dunkel örtgården)
 わがキリスト者よ、用心して進め(Gå varsamt, min kristen)
 おお愛するイエスよ、どんな過ちをなさったのですか
 (O Jesu kär, vad har väl du förbrutit)
 一日だけ、一度に一瞬だけ(Blott en dag, ett ögonblick i sänder)
 わが魂よ、忘れる時が来た(Min själ, du måste nu glömma)
 おおキリストよ、なんじは光なり(O Kriste, du som ljuset är)
 わが救われし魂は希望のうちに満ち足り
 (I hoppet sig min frälsta själ förnöjer)
 あなたの大きな翼をひろげてください(Bred dina vida vingar)
 たくさんの炎が(Lågorna är många)
 おお偉大なる神よ(O, store Gud)
 天空のもと信仰をもち(I tro under himmelens skyar)
 あなたは両腕いっぱいに花を(Dinä händer är fula av blommor)
  ストックホルム大聖堂聖歌隊
  アドルフ・フレードリク音楽学校児童合唱団
  ユハンネス青年合唱団 器楽アンサンブル
  ベンクト・ベリ(オルガン、編曲)
  グスタフ・シェークヴィスト(指揮)
  アンデシュ・エビュー(指揮)

 
『スウェーデン教会賛美歌集(The Swedish Ecumenical Hymn Book)』に収められた新旧のコラール、賛美歌と宗教歌。ストックホルム大聖堂聖歌隊と少年合唱が、ベンクト・ベリ Bengt Berg が手がけたオルガン、ギター、フルートとベース共演の編曲で歌っています。LP 7853 でリリースされたアルバムのCD化です。
 
税込価格 2,365円(本体価格 2,150円)

『リンドブラード、ユーセフソン』
Proprius PRCD 9116 (Musica Sveciae MSCD 517) classical

 
アドルフ・フレードリク・リンドブラード(1801–1878)
 夢(Drömmarne)(合唱とピアノのための)
 冬の夕べのこと(Om Winterqväll)(独唱、合唱とピアノのための)
ヤコブ・アクセル・ユーセフソン(1818–1880)
 6つの4声の歌 Op.12  春の希望(Vårförhoppning)
  朝の散策(Morgonvandring)
  さすらい人の夜の歌(Vandrarens sång om natten)
  秋の歌(Höstvisa) 教会の夕べの鐘(Aftonringningen)
  別れ(Avsked)
  ミカエリ室内合唱団 グニッラ・ハルグレーン(ソプラノ)
  トマス・スンネゴード(テノール)
  ミーケル・サミュエルソン(バリトン)
  ベンクト・フォシュベリ(ピアノ)
  アンデシュ・エビュー(指揮)

 
リンドブラード Adolf Fresrik Lindblad は、ステーンハンマルがカンタータ《歌(Sången)》に引用した《夏の日(En sommardag)》を作曲した、「歌の国」スウェーデンを代表する作曲家。《夢》と《冬の夕べのこと》は、19世紀から現代まで、高い人気を持ち続けている作品です。ユーセフソン Jacob Axel Josephson は、ストックホルムとともにスウェーデンの音楽文化を支えるウプサラの音楽生活の中心的作曲家として活躍しました。
 
税込価格 2,585円(本体価格 2,350円)

『歌(Sången)』
BIS SACD 2359 SACD hybrid (5.0 surround/stereo) classical

 
ヴィルヘルム・ステーンハンマル(1871–1927)
 《ロメオとジュリエット(Romeo och Julia/Romeo and Juliet)》組曲
  (Op.45)(ヒルディング・ルーセンベリ 編(1944))(管弦楽のための)
 レヴェレンツァ(Reverenza)(1911-13)(管弦楽のための)
 2つの感傷的なロマンス(Två sentimentala romanser) Op.28(1910)
 (ヴァイオリンと管弦楽のための)*
 交響的カンタータ《歌(Sången)》 Op.44(1921)
 (独唱、合唱と管弦楽のための)**
  サラ・トルーベック(ヴァイオリン)*
  カルロッタ・ラーション(ソプラノ)**
  マッティーナ・ディーケ(アルト)**
  ラーシュ・クレーヴェマン(テノール)**
  フレードリク・セッテシュトレム(バリトン)**
  ノルショーピング音楽クラス **
  ヨーテボリ交響楽団ヴォーカルアンサンブル **
  ヨーテボリ交響楽団 ネーメ・ヤルヴィ(指揮)
 
録音 2018年2月、3月 ヨーテボリ・コンサートホール(ヨーテボリ、スウェーデン)
制作 ハンス・キプファー
録音 シュテファン・レー

 
ヴィルヘルム・ステーンハンマル Wilhelm Stenhammar(1871–1927)は、19世紀から20世紀の変わり目の時代、スウェーデンでもっとも重要な作曲家のひとりでした。ピアニスト、指揮者としても尊敬を集め、彼が作曲した2曲のピアノ協奏曲と交響曲、6曲の弦楽四重奏曲、歌曲、管弦楽をともなう大規模の合唱曲といった作品は、人々から広く愛されてきました。彼の作曲する音楽は、和声の独創性以上に旋律の個性が際立っていることから、ステーンハンマルは、しばしば「歌の作家」と呼ばれます。彼の「メロディ」は、細やかなニュアンスに満ち、このうえなく繊細な詩の朗読にも例えられてきました。
 
4人の独唱者、混声合唱、児童合唱と管弦楽」による交響的カンタータ(En symfonisk kantat)《歌》は、1921年、スウェーデン王立音楽アカデミーの設立150年記念のために作曲れた作品です。作曲家テューレ・ラングストレム Ture Rangström(1884–1947)が詩を作り、第1部「わが歌、祖国 - わが歌を生みし国よ!(Min sång, mitt land – du mina sångers land!)」と第2部「神殿が輝く。天空が鳴っている(Templet strålar. Rymder ljuda.)』から構成され、「歌の国スウェーデン」の最初の偉大な歌曲作家へのオマージュとしてリンドブラード Adolf Fredrik Lindblad(1801–1878)の歌曲《夏の日(En sommardag)》が「モチーフ」として引用されます。第2部の冒頭に置かれた〈間奏曲(Mellanspel)〉は、ステーンハンマルの温かい人間性の生んだ「モルト・アダージョ、ソレンネ」の音楽が美しく、単独の作品としても演奏されています。「ステーンハンマルのオーケストラ」と王立音楽アカデミーの会員でもあるネーメ・ヤルヴィによる新録音です。
 
このアルバムの曲はすべて、設立から間もない交響楽団の首席指揮者に就任するためステーンハンマルが、1907年、ヨーテボリに移ってからの作品です。演出家ペール・リンドベリがヨーテボリの劇場で上演した『ロメオとジュリエット』のための音楽(Op.45)は、ストリンドベリ、ヤルマル・ベリマン、タゴール、シェイクスピア、ゴッツィの劇のために書いた付随音楽の一作。作曲家ヒルディング・ルーセンベリ Hilding Rosenberg(1892–1985)がアレンジした、〈田園詩(Pastorale)〉〈クラント(Corrente)〉〈ガヴォット(Gavotte)〉〈ピーターの笛(Petters pipa)〉〈サラバンド(Sarabanda)〉の5曲の組曲版が演奏されます。
 
《レヴェレンツァ》(イタリア語「尊敬、敬意」)は、《セレナード》(Op.31)第1稿の第2楽章として作曲され、1919年の改訂の際に省略されました。ウィーン古典音楽の「スケルツォ」の伝統へのオマージュといわれる音楽です。《2つの感傷的なロマンス》は、抒情的な「イ長調」と情熱的な「へ短調」の2曲。1911年ヨーテボリ、ステーンハンマルと長年の友情で結ばれたヴァイオリニストのトゥール・アウリンが聴衆を前に演奏した最後のコンサートで初演されました。この録音のソリスト、サラ・トルーベック Sara Trobäck(1978–)は、ヨーテボリ交響楽団第一コンサートマスター。楽器は、G・B・ガダニーニ(パルマ 1753年)。2008年に王立音楽アカデミーの会員に選ばれました。
 
税込価格 2,915円(本体価格 2,650円)

『家はどこにある』
Ladybird 79556842 jazz

 
『家はどこにある(Where is home)』
 Anomie(Isabella Lundgren/Outtake from “A King from New York”, 1957)
 Penitential rite(Isabella Lundgren/Daniel Fredriksson)
 Sometimes I feel like a motherless child(Trad.)
 The love of which you’ll read(Carl Bagge/Isabella Lundgren)
 Not the opposite(Isabella Lundgren)
 Where is home(Carl Bagge/Isabella Lundgren)
 What you already are(Carl Bagge/Isabella Lundgren)
 Omnipotence(Carl Bagge/Isabella Lundgren)
 Conditioned(Carl Bagge/Isabella Lundgren)
 On Liberty(Isabella Lundgren)
 Fear and trembling(Isabella Lundgren/Marcus Sturewall/John Berglund)
  イサベラ・ルンドグレーン(ヴォーカル)
  カール・バッゲ(ピアノ)
  ニクラス・フェーンクヴィスト(ベース)
  ダニエル・フレードリクソン(ドラム)
 
録音 2015年 Kingside Studio(グネスタ、スウェーデン)

 
スウェーデン、ヴァルムランド生まれのシンガーソングライター、イサベラ・ルンドグレーン Isabella Lundgren(イザベラ・ラングレン)のアルバム第3作。2016年10月にリリースされたこのアルバムは、彼女が「チャーミングなシンガー」を脱し国際的な大きさのアーティストとしての姿を確立したと言われる作品です。「権力や力の集中、愛ではなく憎しみ、そうしたこの世界の人間の様相を語る試み」(イサベラ)。アメリカの政治や社会を風刺したチャップリンの映画『A King of New York(ニューヨークの王様)』のワンシーンを引用した《Anomie(アノミー)》(社会的規範や価値観の崩壊が引き起こす社会の不安定、人間の疎外感)に始まり、セッションに参加したミュージシャンとの共作による曲、そしてアフリカ系アメリカ人のスピリチュアル《Sometimes I feel like a motherless child(時には母のない子のように)》が歌われます。「私たちの生活を支配し操作する、目に見える、あるいは目に見えない権威に疑問を投げかけ、自由ということの考え方と人間性の希望を祝福できることを願い」。カール・バッゲ Carl Bagge、ニクラス・フェーンクヴィスト Niklas Fernqvist、ダニエル・フレードリクソン Daniel Fredriksson が共演、ジャズ、ポップ、シンガーソングライター音楽の要素を反映させた「即興」のアルバムです。
 
税込価格 2,365円(本体価格 2,150円)

『Kierkegaard’s Waltz(キアケゴーのワルツ)』
Prophone PCD 207 jazz

 
『Kierkegaard’s Waltz(キアケゴーのワルツ)』
 Kierkegaard’s Waltz(Petter Bergnader)
 Starman(Petter Bergnader) Lyttelä Paradise(Petter Bergnader)
 The Return of the Afghan Boy(Petter Bergnader)
 One for Miss G(Petter Bergnader) Laike(Petter Bergnader)
 My Simple Song(Petter Bergnader)
 Chickenized(Petter Bergnader)
 One Night at Fasching(Petter Bergnader)
  ペッテル・ベルガンデル・トリオ
   ペッテル・ベルガンデル(ピアノ)
   エーファ・クルーゼ(ベース)
   ロベルト・メフメット・シナン・イキズ(ドラム)
 
録音 2018年4月 ニレント・スタジオ(Nilento Studios)(コッレレード、スウェーデン)

 
スウェーデンのグループ「ペッテル・ベルガンデル・トリオ」は、2014年に結成。翌年、デビュー・アルバムの『The Grand Dance』をリリース。ベルガンデル Petter Bergander(1973–)が、王立ストックホルム音楽大学で学び、また、さまざまな音楽の現場で出会ったアフリカ系アメリカ音楽、アルゼンチン・タンゴ、ソウル、リズム&ブルース、ヒップホップといった多様な音楽を反映させた「コンテンポラリー・ジャズミュージック」が、好意的に迎えられ評価されました。
 
Prophone レーベルと契約してリリースする『Kierkegaard’s Waltz(キアケゴーのワルツ)』は、トリオのアルバム第2作です。エネルギッシュでメロディアスなジャズ。ベルガンデルは、ヨーロッパに逃れてきた若者の目に映る「ヒューマニティ」を考える《The Return of the Afghan Boy(アフガン少年の帰還)》など、政治的な意味合いをこめた曲も含め、混沌とした今の時代、自分自身や「愛するものたち」の存在に思いを巡らす9曲を作曲。19世紀デンマークの哲学者キアケゴー(キェルケゴール)に因むナンバーをアルバム・タイトルとしました。ベーシストのエーファ・クルーゼ Eva Kruse(1978–)はハンブルク生まれ。ヨーテボリでアンデシュ・ヨルミーンに教わり、ミヒャエル・ヴォルニとエリック・シェーファーと組んだ「エーファ・クルーゼ・トリオ」のほか、ニルス・ランドグレーンとのコラボレーションをはじめ、広範囲に活動しています。ロベルト・メフメット・シナン・イキズ Robert Mehmet Sinan Ikiz は、ベルガンデルがキーボード・プレーヤーとして参加する「ニルス・ランドグレーン・ファンク・ユニット」のドラマーです。イスタンブールで生まれ、4歳の時にストックホルムに移りました。ストックホルムとロサンジェルスの音楽大学で学び、ヤコブ・カールソン・トリオやマグヌス・リンドグレーンのプロジェクトにも参加しています。
 
税込価格 2,365円(本体価格 2,150円)

『Prism-a-Ning』
Losen Records LOS 230-2 jazz

 
『Prism-a-Ning』
 An Early Train South(Adam Parry-Davies/Patrick Case)
 Bringing Fusion(Adam Parry-Davies/Patrick Case)
 Controlling the Line(Adam Parry-Davies/Patrick Case)
 Goin' Off(Adam Parry-Davies/Patrick Case)
 Heading West(Prism-a-Ning)(Adam Parry-Davies/Patrick Case)
 Splitting the Beam(Adam Parry-Davies/Patrick Case)
 Feet Off the Seat(Adam Parry-Davies/Patrick Case)
 Hackney Downs(Adam Parry-Davies/Patrick Case)
 Gardens(Adam Parry-Davies/Patrick Case)
 Arrival(Adam Parry-Davies/Patrick Case)
[Secret trak] Furnace Track(Adam Parry-Davies/Patrick Case)
  According to the Sound(アコーディング・トゥ・ザ・サウンド)
   アダム・パリー=デイヴィス(ピアノ、ローズ、MIDI キーボード)
   パトリック・ケース(ギター、プログラミング)
  サイド・ミュージシャン
   ガリー・アレスブルック(トランペット、フリューゲルホルン)
   ジェームズ・モートン(アルトサックス)
   サム・ショタカ(テナーサックス)
   ジェームズ・カーター(テナーサックス)
   チャド・レフコウィッツ=ブラウン(テナーサックス)
   マイク・ロドリゲス(トランペット)
   ジェイク・ゴールドバス(ドラム)
   オトー・ハシュミ(エレクトリックベース)
   アダム・キング(ベース)   
 
録音 2018年9月–2019年7月 ロイヤル・バーミンガム音楽院(バーミンガム)、オペレーティング・シアター Operating Theatre(ブリストル、イングランド)、2019年8月 バンカー・スタジオ Bunkder Studios(ブルックリン、ニューヨーク)
制作 アダム・パリー=デイヴィス、パトリック・ケース
録音エンジニア パトリック・ケース(バーミンガム、ブリストル)、アレックス・コンロイ(ブルックリン)

 
イギリスの作曲家、ミュージシャンのアダム・パリー=デイヴィス Adam Parry-Davies とパトリック・ケース Patrick Case が結成したデュオ「According to the Sound(アコーディング・トゥ・ザ・サウンド)」。アルバム第1作は「過去と現在のニューヨークの音楽」をテーマに作られました。プロジェクトが始まったのは、2018年9月、バーミンガム。パトリックの即興とアダムが楽譜に書いた数曲を録音した後、パトリックのスタジオのあるブリストルに移動。オーケストレーション、ホーン・パートの書き直し、ピアノとローズの音楽の追加を行い、形が整ったところで、ニューヨークのスタジオでのセッションに臨みました。セッションに参加したミュージシャンは、Blue Note のサクソフォーン奏者、ジェームズ・カーター James Carter をはじめとするプレーヤーとラッパー。アダムとパトリックが作った11曲が、「良き時代」のジャズを振り返りながらファンクとフュージョンの要素を織りこみ、演奏されていきます。ミクシングとマスタリングはロンドンで行われました。イギリスの地図の上で三角形を描く3つの都市、バーミンガム、ブリストル、ロンドンを「プリズム」に見立て、このプリズムを通過した「ニューヨークの音楽」。アダムとパトリックにインスピレーションを与えた街、ニューヨークで育ったセロニアス・モンクの《Rhythm-a-Ning》をもじった『Prism-a-Ning』のアルバム・タイトルがつけられました。
 
税込価格 2,365円(本体価格 2,150円)

『ブー・リンデ』
BIS CD 621 classical

 
ブー・リンデ(1933–1970)
 交響曲第2番(シンフォニア) Op.23(1960–61)
 古いコラールについての考え(Pensieri sopra un cantico vecchio)(1967)
 ヴァイオリン協奏曲 Op.18(1957)*
  ウルフ・ヴァリーン(ヴァイオリン)*
  ノルショーピング交響楽団 広上淳一(指揮)
 
録音 1993年3月26日(交響曲)、1月22日–23日 リンショーピング・コンサートホール(リンショーピング、スウェーデン)
制作 ロバート・サフ
録音エンジニア インゴー・ペトリ

 
ブー・リンデ Bo Linde は、1933年1月1日、ストックホルムの北に位置するイェヴレで生まれました。一家の引っ越した先の階下にはピアノ店があり、子供のころ、暇な時間ができると決まってそこで過ごしたといいます。地元の音楽教師や交響楽団の指揮者は彼の才能に注目し、音楽の素地を身につけるさまざまな手助けをしました。15歳の時、リンデが前の年に提出したピアノ曲《6つの習作》の5曲が認められ、王立ストックホルム音楽大学に入学。ラーシュ=エーリク・ラーションの作曲クラスとオーロフ・ヴィーベリのピアノのクラスで学びました。ラーションのクラスの同級生にはヤン・カールステットやハンス・エークルンドたちがいました。20歳の時、奨学金を得てウィーンに留学。帰国後しばらくストックホルムで音楽教師として活動しました。
 
《ヴァイオリン協奏曲》は、1957年10月、ストックホルムで完成した作品です。翌年、スウェーデン放送交響楽団の北スウェーデン・ツアーの放送コンサートでユーセフ・グリュンファーブのソロ、ステーン・フリュクベリの指揮で初演され、グリュンファーブに作品が献呈されました。抒情な序奏からカデンツァを経て生き生きしたスケルツォに至る第1楽章。語気の強い主題に始まり、最初の楽章の序奏の気分に戻って終わる第2楽章。初演後、リンデのもっとも頻繁に演奏される作品になりました。ウルフ・ヴァリーン Ulf Wallin と広上淳一指揮ノルショーピング交響楽団によるこの録音は、この曲の初めての「完全」な形での演奏です。
 
リンデは、学生だった1951年に交響曲第1番《シンフォニア・ファンタジア(Sinfonia fantasia)》(Op.1)を完成させました。第2番の交響曲《シンフォニア(Sinfonia)》は、10年ほど経った1960年から1961年1月にかけて作曲され、9月17日、ステーン・フリュクベリ Sten Frykberg 指揮スウェーデン放送交響楽団によってストックホルムの王立音楽アカデミーで初演されました。ラルガメンテの〈序奏(Introduzione)〉、アレグロ・モルト、コン・イラ(怒りをこめて)の〈トッカータ(Toccata)〉、トランクィッロ、マ・フルエンテの〈カント(Canto)〉の3楽章の作品です。作品は地元イェヴレのライオンズクラブに献呈されました。
 
《古いコラールについての考え》は、イェヴレのオーケストラの1968年の新年コンサートのために書かれました。中世のコラール《エッサイの根より(一輪のバラが咲いた)(Es ist ein Ros entsprungen)》を「ゆったりしたワルツ」風の音楽に作った作品です。
 
リンデのこのアルバムは、客演指揮者を5年務めた広上淳一が、全員一致で選ばれてノルショーピング交響楽団の首席指揮者に就任した時代、『日本の管弦楽』(マルメ交響楽団)(BIS-490)、アッテルベリの《交響曲第6番》(BIS-553)、グリーグの《ピアノ協奏曲 イ短調(原典版)》(BIS-619)につづく BIS 録音です。
 
リンデは、故郷イェヴレに戻ったあと、《ブローニュ組曲》《弦楽三重奏曲》《三声のソナタ》《ペッツォ・コンチェルタンテ》といった作品を書き、1970年に没しました。
 
価格 2,805円(税込価格)(本体価格 2,550円)

『ベートーヴェン/ヒルボリ』
Pentatone PTC 5186718 SACD hybrid (Multichannel/stereo) classical/contemporary

 
ルートヴィヒ・ファン・ベートーヴェン(1770–1827)
 弦楽四重奏曲第3番 ニ長調 Op.18 no.3(1798-1800)
アンデシュ・ヒルボリ(1954–)
 コングスガード変奏曲(Kongsgaard Variations)(2006)
ルートヴィヒ・ファン・ベートーヴェン(1770–1827)
 弦楽四重奏曲第14番 嬰ハ短調 Op.131(1826)
  カルダー四重奏団
   ベンジャミン・ジェイコブソン(ヴァイオリン)
   アンドルー・バルブルック(ヴァイオリン)
   ジョナサン・モーシェル(ヴィオラ)
   エリック・バイアーズ(チェロ)
 
[楽器 Viola: Gasparo da Salo 1590 “ex-Adam”]
 
録音 2018年5月22日–25日 コルバーン音楽学校、ジパーホール(ロサンジェルス、カリフォルニア州)
制作 カレル・ブルッゲマン

 
カルダー四重奏団 Calder Quartet は、南カリフォルニア大学(USC)のソーントン音楽学校で結成、コルバーン音楽学校のロナルド・レナードに学び、ジュリアード音楽院で室内楽研究のアーティスト・ディプロマを取得しました。2011年から、ロサンジェルスのJ・ポール・ゲティ美術館、カリフォルニア州コスタメサのシーガストロム芸術センター、ロンドンのバービカン・センターと共同、新作の委嘱、演奏、録音、教育を進めています。2014年、エイヴァリ・フィッシャー・キャリアグラントを獲得しました。Pentatone レーベルとの専属契約による最初のアルバム。ベートーヴェンの2つの弦楽四重奏曲とヒルボリの《コングスゴード変奏曲》が演奏されます。
 
ベートーヴェンのニ長調の四重奏曲は、1798年から1800年にかけて作曲された、実質、最初の弦楽四重奏曲です。Op.18 の6曲のうち、もっとも穏やかで、「プレスト」の終楽章をのぞき、もっとも抒情性の一貫した作品とされています。嬰ハ短調の四重奏曲は、1825年から翌年の夏にかけて作られました。第1楽章「Adagio ma non troppo e molto espressivo」から第7楽章「Allegro」まで。変ロ長調(Op.130)とイ短調(Op.132)とともに、弦楽四重奏曲の古典的様式を完成させたベートーヴェンがさらに先をめざした傑作のひとつです。
 
アンデシュ・ヒルボリ Anders Hillborg は、1954年、ストックホルム生まれ。合唱と即興を経験した後、王立ストックホルム音楽大学でグンナル・ブクト、ラーシュ=エーリク・ロセル、アルネ・メルネス、ペール・リンドグレーンの下で対位法、作曲法、電子音楽を学び、フライアン・ファーニホウのクラスにも参加しました。管弦楽曲、協奏曲、室内楽曲、合唱曲を主に手がけ、混声合唱のための《muo:aa:yiy::oum》は各国のアンサンブルによって歌われています。
 
《コングスガード変奏曲》は、カリフォルニア州のワインの産地、ナパバレーのコングスガード(コングスゴード)家のジョン・コングスガード夫妻 John and Maggy Kongsgaard の委嘱で作曲されました。この弦楽四重奏曲は、ラベルにベートーヴェンのハ短調ピアノソナタ Op.111 の楽譜の一部を印刷した、ワイナリーを代表するワイン「アリエッタ(Arietta)」へのオマージュとして書かれ、ベートーヴェンの変奏技法とつながりがあるため、「アリエッタ四重奏曲(The Arietta String Quartet)」の副題でも呼ばれます。2006年11月17日、カリフォルニアのナパバレー歌劇場でプラジャーク四重奏団により初演され、ステーンハンマル四重奏団による録音(Phono Suecia PSCD 182)が、スウェーデン音楽情報センターの “con forza” の一枚としてリリースされました。
 
[追記]
アルバムのジャケット・デザインには、ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス Mikalojus Konstanthinas Čiurlionis(1875–1911)の描いた『Fugue』(1908)が使われています。《森の中で》《海》などの交響詩やピアノ曲で知られる彼は、リトアニアの世紀末を代表する画家のひとりとして作品を発表しました。
 
[追記]
 ナパバレーのジョン・コングスガードは、アンデシュ・ヒルボリのもうひとつの作品にも関わっています。ピアノ協奏曲第2番《The MAX Concerto》。この曲は、ピアニストのエマヌエル・アックスのためにサンフランシスコ交響楽団がコングスガードの支援を得てヒルボリに委嘱、2023年に作曲され、10月にサンフランシスコで初演されました。アックスのニックネーム “Manny Ax” をタイトルにした「とても美しい」(エマヌエル・アックス)この協奏曲は、ヒルボリの70歳の誕生日を記念してストックホルムで始められたコンサート・シリーズにも取り上げられ、2024年1月10日、エマヌエル・アックスのピアノ、ライアン・バンクロフトの指揮でヨーロッパ初演されました。ストックホルム・フィルハーモニックのウェブサイトにストックホルム・コンサートホールで行われた1月11日のコンサートのライヴ映像がアップされています。(2024.8.23)
 
価格 2,585円(税込価格)(本体価格 2,350円)

『コンコード・ソナタ』
Kontrapunkt 32046 classical

 
チャールズ・アイヴズ(1874–1954)
 ピアノソナタ第2番《マサチューセッツ州コンコード、1840年-1860年 
 (Concord, Mass., 1840–1860)》(1909–15)
  ペア・サロ(ピアノ)
  イェスパー・ヤーアンセン(ヴィオラ)
  トーケ・ロン・クリスチャンセン(フルート)
 
[楽器 Piano: Fazioli model F-278]
 
録音 1990年4月8日–9日 Focus Recording(コペンハーゲン )
制作・録音エンジニア イェスパー・ヤアアンセン

 
チャールズ・エドワード・アイヴズ Charles Edward Ives(1874–1954)は、生前、積極的に作曲を行なっていた時期でさえほとんど無視されていました。没後、彼の音楽の独創性が認められ、アーロン・コープランドとともにアメリカ音楽史上もっとも重要な作曲家とみなされるようになりました。
 
『コンコード・ソナタ』の名で知られるピアノソナタ第2番《マサチューセッツ州コンコード、1840年-1860年》は、もっともよく知られ、高い評価を得ているアイヴズの作品のひとつです。
 
マサチューセッツ州ミドルセックス郡のコンコード。1635年にイギリス人が入植し、1775年までに人口が1400に増大しました。1775年4月19日、コンコードにあるアメリカ植民地民兵部隊の武器庫をイギリス軍が接収しようとして戦いが始まり、この「レキシントン・コンコードの戦い」がアメリカ独立戦争の発端となりました。コンコードでは、1836年から1860年にかけて超絶主義運動の文学サークルが栄え、ラルフ・W・エマソン、ナサニエル・ホーソーン、ヘンリー・ソローたちが活動をつづけました。ニューイングランド気質を反映する彼らの作品は、アメリカ文学の大きな遺産とみなされています。
 
アイヴズのソナタ第2番は、このコンコードに住んだ先人への共感を「音」として示した作品です。作家で哲学者の〈エマソン(Emerson)〉、小説家〈ホーソーン(Hawthrone)〉の「スケルツォ」、コンコード・ヴィレッジの象徴といわれる「オーチャード・ハウス」の〈オルコット家(The Alcots)〉、ウォールデン・ポンドの森で自給自足を試み、その日々を『ウォールデン 森の生活』に著した思想家〈ソロー(Thoreau)〉。このソナタは、当初、最初の3つの楽章が管弦楽作品として構想されました。1911年から1915年にかけてピアノ曲として作曲し直され、その際、〈ソロー〉の楽章が追加されました。「ベートーヴェンのもっとも偉大なメッセージのある」とアイヴズがみなした、第5交響曲を開始する「4つの音」が全楽章を通して主題として使われています。この作品は、1920年に初めて出版され、なんども改訂と再作曲が繰り返されたあと、1947年に第2版が出されました。
 
ピアニストのペア・サロ Per Salo は、1962年、コペンハーゲン生まれ。王立デンマーク音楽アカデミーでオルガンを学び、1985年に卒業後、ローマでミルタ・ヘッレラにピアノ、ニューヨークのジュリアード音楽院でシーモア・リプキンにピアノ、ジョエル・サックスに室内楽を学びました。デンマークの音楽シーンに欠かせない音楽家として活躍。ヴァイオリンのクリスティーナ・オストランたちとの共演で知られます。
 
アイヴズのソナタは、1990年4月、コペンハーゲンの「フォーカス・レコーディング」で録音されました。初版と第2版には大きな差異があるため、イェール大学の所蔵するスケッチと手稿譜をニューヨークで研究したと、サロ自身が寄せたライナーノートに記しています。「ファツィオーリ」の「model F-278」による演奏。音域の広いテクスチュアと複雑な構造の音楽が進むうちにふと現れる静穏で簡素な姿が、鮮明な印書として残ります。
 
「暖かい夜には、たびたびボートに座ってフルートを吹いた。すると、魅せられたのだろう、スズキが間近を泳ぎ回り、森の残骸があばら骨のように散らばる湖底の上を月が渡って行った」(ヘンリー・ソロー『ウォールデン 森の生活』(第9章「湖」)。〈ソロー〉の終わり近くのフルートはトーケ・ロン・クリスチャセン Toke Lund Christiansen が、〈エマソン〉の3小節ばかりの「かすかに聞こえる」ヴィオラはイェスパー・ヤアアンセン Jesper Jørgensen が演奏しています。
 
価格 2,850円(税込価格)(本体価格 2,500円)

『ペンタゴン・テープ(Pentagon Tapes)』
Losen Records LOS 160-2 jazz

 
『ペンタゴン・テープ(Pentagon Tapes)』
 Morris(Dag S. Arnesen) Grynte(Dag S. Arnesen)
 Bonden i bryullupsgården(Trad.)
 Summer Morning Mist(Dag S. Arnesen)
 Yellow Feather(Dag S. Arnesen)
 What Is This Thing Called Love(Cole Porter)
 In Your Own Sweet Way(Dave Brubeck)
 Svendsen ordner alt(Dag S. Arnesen)
 Love Me Tender(Geroge R. Poulton)
 I Remember This(Dag S. Arnesen) Lille Måltrost(Dag S. Arnesen)
  ダーグ・アルネセン(ピアノ)
  オーレ・マリウス・サンベルグ(ベース)
  イーヴァル・トールモセーテル(ドラム)
 
録音 2016年9月 レクステン・コレクション・ビル、ペンタゴン・ルーム(ベルゲン、ノルウェー)
制作 モッテン・スカーゲ
録音 ダーグ・S・アルネセン

 
ベルゲンのジャズピアニスト、『ノルウェーの歌』の3枚のアルバムで国際的にも成功を収めたダーグ・アルネセン Dag Arnesen の新作。プログラムは、1970年代のなかごろ、彼がノルウェーのジャズシーンで認められるきっかけとなった「アメリカ・ルーツの音楽表現」に立ち戻って書いたオリジナル曲、コール・ポーターとデーヴ・ブルーベックのスタンダードナンバー、エルヴィス・プレスリーが歌った《ラヴ・ミー・テンダー》、『ノルウェーの歌』のころに書いた2つのバラード--《夏の朝霧》と《黄色い羽花》--そして、ノルウェー民謡の《婚礼農家の農夫》に基づく曲。オーレ・マリウス・サンベルグ Ole Marius Sandberg のベース、イーヴァル・トールモセーテル Ivar Thormodsæter のドラムという、前作『グリーグ、トヴァイトと私』(COCO008CD)のトリオによるセッションは、ベルゲンの美術館「レクストン・コレクション・ビルディング」の「ペンタゴン・ルーム」で行なわれました。「素晴らしい音響とスタインウェイ・グランドのある」と、アルネセン気に入りの場所での録音です。
 
価格 2,365円(税込価格)(本体価格 2,150円)

『What Now My Love?』
Prophone PCD 157 jazz

 
『What Now My Love?』
 Get Happy(Arlin/Koehler) What Now My Love(Bécaud/Cahn) 
 Second Time Around(Van Heusen/Cahn)
 I’ve Got a Heart Full of Rhythm(Armstrong/Gerlach)
 Do Be Mama(Lundin)
 Baby, Won’t You Please Come Home(Warfield/Williams)
 I Didn’t Know What Time It Was(Rodgers/Hart)
 Peel Me a Grape(Frishberg)
 Just Squeeze Me, But Please Don’t Tease Me(Ellington/Gaines)
 Tribute to Miss A(Lundin)
  カーリン・ルンディン(ヴォーカル)
  ユーハン・セッテルリンド(トランペット)
  マティアス・アルゴットソン(ピアノ、エレクトリックピアノ)
  マティアス・ヴェリーン(ベース)
  ダニエル・フレードリクソン(ドラムズ)
  ゲスト
   ディケン・ヘドレニウス(トロンボーン)
 
録音 2015年8月 OAL Studio(ソレントゥナ、スウェーデン)
制作 カーリン・ルンディン
録音エンジニア レッナールト・ストレーム

 
主要紙の批評が賛辞を呈してきたスウェーデンのヴォーカル、カーリン・ルンディン Carin Lundin の新しいアルバム。ジルベール・ベコーとサミー・カーンの1960年代のヒット曲《What Now My Love》をタイトルに、ハロルド・アーレン、ジミー・ヴァン・ヒューゼン、ルイ・アームストロング、チャールズ・ウォーフィールド、リチャード・ロジャーズ、デイヴ・フリッシュバーグ、デューク・エリントンの作曲したナンバーと彼女のオリジナル曲によるプログラムをみずからプロデュース。「こんどは何かしら、素敵なあなた」と、実生活に重ねるイメージでアルバムをまとめたといいます。編曲は、ピアニストのアルゴットソン Mathias Algotsson の担当です。
 
価格 2,365円(税込価格)(本体価格 2,150円)

『夜の音楽』
Dacapo 8.226138 contemporary/classical

 
アラン・グラウゴー・マセン(1984–)
 Nachtmusik(夜の音楽)(2018–19)
 (ヴァイオリン、ピアノと管弦楽のための)*
ペレ・グズモンセン=ホルムグレーン(1932–2016)
 ヴァイオリンと管弦楽のために(For violin og orkester)(2002 rev.2003)**
  クリスティーナ・オストラン(ヴァイオリン)
  ペア・サロ(ピアノ)
  デンマーク国立交響楽団
  ライアン・バンクロフト(指揮)* ニコラス・コロン(指揮)**
  
録音 2019年9月5日–6日(ライヴ)*、2017年8月7日–9日 デンマーク放送(DR)コンサートホール、コンサートホール(コペンハーゲン)
制作・編集・マスタリング ベアンハート・ギュトラー
録音エンジニア ミケル・ニュマン

 
若手のアラン・グラウゴー・マセンと、偶像視される存在のペレ・グズモンセン=ホルムグレーン、デンマークの作曲家ふたりの「コンチェルタンテ」な作品集。アラン・グラウゴー・マセン Allan Gravgaard Madsen(1984–)は、ニルス・ランスホルト、オーフス王立音楽アカデミーのシモン・ステーン=アナセンに学びました。グラウゴー・マセンの作品は「音のミクロ的世界、希薄なテクスチュア、限られた音楽素材」が特徴的で「どこまでも詩的な」といわれています。
 
デンマーク国立交響楽団の委嘱で作曲された、ヴァイオリン、ピアノと管弦楽のための二重協奏曲《Nachtmusik(夜の音楽)》は、そうした彼の音楽の特徴が明確に示された作品です。〈Nachtstück(夜の曲)〉〈Intermezzo(間奏曲)〉〈Wiegenlied(子守歌)〉の切れ目なく演奏される3曲により、「暗さと月明かりによるグレースケール」の変化が描写されます。クリスティーナ・オストラン Christina Åstrand とペア・サロ Per Salo のソロ、2018年ニコライ・マルコ指揮者コンペティションで第1位と聴衆賞に選ばれたライアン・バンクロフト Ryan Bancroft がデンマーク国立交響楽団を指揮して共演した世界初演のライヴによる録音です。
 ペレ・グズモンセン=ホルムグレーン Pelle Gudmundsen-Holmgreen の《ヴァイオリンと管弦楽のために》は、〈♩= 96〉〈♩= 63〉〈♩= 76〉〈♩=88〉〈♩= 58〉の5部に分かれた「協奏曲」。ヴァイオリンがさまざまな色彩、音風景、楽器の「ブロック」といったものに「遭遇」しながら旅するという趣向で書かれています。2002年11月21日、オストランのソロ、トマス・ダウスゴー指揮デンマーク国立交響楽団の演奏で初演されました。このアルバムには、2021年/2022年のシーズンからフィンランド放送交響楽団の首席指揮者を務めるニコラス・コロン Nicholas Collon がデンマーク国立交響楽団を指揮した録音が収録されています。
 
価格 2,365円(税込価格)(本体価格 2,150円)

『グズモンセン=ホルムグレーン 弦楽四重奏曲全集 第1集』
Dacapo 8.226217 contemporary/classical

 
ペレ・グズモンセン=ホルムグレーン(1932–2016)
 弦楽四重奏曲第5番《一段一段(Step by Step)》(1982–86 rev.2003)
 弦楽四重奏曲第1番(1959)
 弦楽四重奏曲第6番《別れ(Parting)》(1983)
 弦楽四重奏曲第3番《5つの小さい習作(Five Small Studies)》(1959)
 弦楽四重奏曲第4番(1967)
 弦楽四重奏曲第2番《易しい四重奏曲(Quartetto Facile)》(1959)
  ノルディック弦楽四重奏団
   ヘイズルーン・ペータセン(ヴァイオリン)
   マス・ハウステズ・ハンセン(ヴァイオリン)
   ダニエル・エークルンド(ヴィオラ)
   レーア・エミーリェ・ブランデール(チェロ)
 
録音 2017年9月8日–9日(第2番)、9月28日–29日(第1番・第3番)、10月7日(第4番)、11月13日(第6番)、2018年3月23日–24日(第5番) 王立デンマーク音楽アカデミー コンサートホール(コペンハーゲン)
制作 ティム・フレゼリクセン
録音 ラングヘイズル・ヨウンスドウッティル

 
ペレ・グズモンセン=ホルムグレーン Pelle Gudmundsen-Holmgreen(1932–2016)が生涯を通じて作曲した弦楽四重奏曲の全14曲を録音するプロジェクト。十二音技法も使われた単一楽章の第1番。主題素材が4つの楽章に使われる、伝統的様式で作曲された第2番《易しい四重奏曲》。ひとつの楽想を5つの瞬間的イメージに表現した、ヴェーベルンの《6つのバガテル》を思わせる第3番《5つの小さい習作》。ギリシャで耳にした蝉の鳴き声からインスピレーションを得たという、完全に静止し動きのない「大きな自然音」の第4番。「グリッドを一段ずつ体系化する」グズモンセン=ホルムグレーンの作曲の手法を副題にした第5番《一段一段》。サミュエル・ベケットとの繋がりが特に強いとされ、「荒地」の景色に始まる第6番《別れ》。ノルディック弦楽四重奏団は、フェロー諸島出身のヘイズルーン・ペータセン Heiðrun Petersen、デンマークのマス・ハウステズ・ハンセン Mads Haugsted Hansen とレーア・エミーリェ・ブランデール Lea Emilie Brøndal、スウェーデンのダニエル・エークルンド Daniel Eklund をメンバーに2013年に結成されたアンサンブルです。
 
価格 2,695円(税込価格)(本体価格 2,450円)

『クリスチャン・イーレ・ハドラン』
Simax PSC 1307 classical

 
フレデリク・ショパン(1810–1849)
 即興曲(Impromptu) 第1番 変イ長調 Op.29
 3つの新しいエチュード(Trois nouvelles études)(1939)
 即興曲(Impromptu) 第2番 嬰ヘ長調 Op.36
 即興曲(Impromptu) 第3番 変ト長調 Op.51
 ロンドー(Rondeau) 変ホ長調 Op.16(序奏とロンド)
ロベルト・シューマン(1810–1856)
 花の曲(Blumenstück) Op.19
 森の情景(Waldszenen) Op.82
  クリスチャン・イーレ・ハドラン(ピアノ)
 
録音 2009年9月4日–6日 ソフィエンベルグ教会(オスロ)
制作・編集 クシシュトフ・ドラーブ
録音エンジニア・マスタリング アルネ・アクセルベルグ

 
ノルウェー南西部の都市、スタヴァンゲルに生まれたクリスチャン・イーレ・ハドラン Christian Ihre Hadlan(1983–)のソロデビュー・アルバム。19世紀ロマンティシズムのふたり、ショパンとシューマンのピアノ曲を弾きました。
 
きわめて詩的な3つの即興曲、イグナツ・モーシェレスとフランソワ=ジョゼフ・フェティスが編纂したピアノ練習曲集のために委嘱を受けたとされる《3つの新しいエチュード》、1832年にパリで作曲し、生徒のカロリーネ・ハルトマンに献呈した序奏つきの《ロンドー》。シューマンは、《ミルテの花》の歌集とともに、妻となるクララ・ヴィークへの結婚の贈り物とした《花の曲》、そして、狩人、ひとりぼっちの花、不気味な場所、雲の陰になった谷間、宿屋、予言の鳥……森の幻想世界を内省の気分で描いた《森の情景》。森に別れを告げて終わる、一夜のコンサートのようなプログラムが組まれました。
 
ハドランは、11歳でローガラン音楽院に入学し、その後イジー・フリンカに教わってから、フリンカの弟子、オスロのアンスネスの下で学びました。ソロイストとしてノルウェー国内のオーケストラ、ロンドン交響楽団、バイエルン放送交響楽団に客演し、室内楽奏者としてトルルス・モルク、ラーシュ・アネシュ・トムテル、クレメンス・ハーゲン、クリスチャン・ポルテラ、ルネー・フレミングらと共演してきました。親友のヴァイオリニスト、ヘンニング・クラッゲルードと2006年に録音したシンディングのヴァイオリンとピアノのための作品集は、国際的にリリースされ、そのロマンティックな音楽が人気を呼びました。
 
オスロのソフィエンベルグに1877年に立てられた教会で行われた録音は、クシシュトフ・ドラーブ Krzysztof Drab が制作と編集を担当。アルネ・アクセルベルグ Arne Akselberg がエンジニアリングを務め、みずからロンドンのアビーロード・スタジオでマスタリングを行いました。力強く、美しいピアノの音です。
 
価格 2,750円(税込価格)(本体価格 2,500円)

『音の墓所(Tomba sonora)』
2L 2L 155SABD Pure Audio Blu-ray + SACD hybrid (5.0 surround/stereo) contemporary/classical

 
『音の墓所(Tomba sonora)』
クリスティン・ボルスタ(1981–)
 Echoes & Shadows(エコー&影)(2011)
 Stilla(静寂)(2011)
 TRY(2017)
 Mellom Skyene(雲と雲の間に)(2011)
 Tomba sonora(音の墓所)(2009)
  ステンメクラング
   クリスティン・ボルスタ(ヴォーカル)
   ユリー・クライヴェ(ヴォーカル)
   リンネア・スンフェール・ハウグ(ヴォーカル)
   カロリーネ・ダール・グッルベルグ(ヴォーカル)
   ガブリエーレ・ソーレンセン(ヴォーカル)
  エルレン・ハッベスタ(チェロ)
  ダグ・オイスタイン・ベルゲル(チェロ)
  ヴィルデ・アルメ(チェロ) カトリーネ・ペーデシェン(チェロ) 
 
録音 2018年8月 エマヌエル・ヴィーゲラン美術館マウソレウム(オスロ)
制作・バランスエンジニアリング モッテン・リンドベルグ
編集 クリスティン・ボルスタ、モッテン・リンドベルグ
 
[DXD(24bit/352.8kHz)録音]
[Disc 1: SACD hybrid (5.0 multichannel DSD/2.0 stereo DSD) RedBook PCM: MQA CD]
[Disc 2: Blu-ray: 5.0 DTS HDMA (24bit/192kHz), 7.0.4. Auro-3D (96kHz), 7.0.4. Dolby Atmos (48kHz), 2.0 LPCM  (24bit/192kHz), mShuttle: MQA + FLAC + MP3 Region: ABC worldwide]

 
オスロのスレムダールにあるエマヌエル・ヴィーゲラン美術館は、彫刻家グスタフの弟、エマヌエル Emanuel Vigeland(1876–1948)が彫刻と絵画の作品を展示するため1926年に建設されました。この施設には「Tomba Emmanuelle(エマルエル墓所)」と名付けられたマウソレウムがあり、オスロ観光の穴場のひとつとされています。この墓室は、低く狭い入り口の上に彼の遺灰を納めた壺が置かれ、『Vita(人生)』と題したフレスコ画の描かれた800平方メーターの壁が巨大な空間を形成しています。『Tomba sonora(音の墓所)』は、このマウソレウムのための音楽プロジェクトとして企画されました。プロジェクトの音楽は、多彩な活動をする作曲家クリスティン・ボルスタ Kristin Bolstad が、この部屋の残響時間を念頭に置き、固有の周波数特性とそれから派生する倍音を音楽要素としながら作詞、作曲した作品です。2人のヴォーカリストのための《Echoes & Shadows(エコー&影)》、3人の《Stilla(静寂)》と《Mellom Skyene(雲と雲の間に)》、5人で歌う《TRY》と4人のチェリストが加わる《Tomba sonora(音の墓所)》。ボルスタもメンバーのヴォーカルアンサンブル「ステンメクラング(Stemmeklang)」(声の響き)の歌手の配置は、マウソレウムの空間を「創作」に活かすため、それぞれの曲の音楽の流れと動きの全体の姿を考えながら決められていきました。2L のモッテン・リンドベルグ Morten Lindberg が、プロジェクトを楽しみながら制作と録音にあたっています。
 

 
[プロフィール]
クリスティン・ボルスタ Kristin Bolstad(1981–)は、ノルウェーのヴォス生まれ。民俗音楽とクラシカル・ミュージックをベースに、ジャズ、ポップ、ロック、ソウル、ファンクも経験し、オスロに住み、作曲家、ヴォーカリスト、即興音楽家として活動。2010年から2017年まで「新音楽作曲家グループ(Ny Musikkis Komponistgruppe)」に所属、特定の場所や空間で演奏する音楽を主に手がけ、内外の演奏家やアンサンブルとのコラボレーションによる作品を発表してきました。
 
価格 4,675円(税込価格)(本体価格 4,250円)
 

Pure Audio Blu-ray ディスクと SACD ハイブリッドディスクをセットにしたアルバムです。Pure Audio Blu–ray ディスクにはインデックスを除き映像は収録されていません。SACD ハイブリッドディスクはSACDブレーヤーとCDプレーヤーで再生できますが、Pure Audio Blu-ray ディスクはCDやDVDのプレーヤーでは再生できないので、Blu–ray プレーヤーもしくは Blu–ray 対応のPCをお使いください。

『小道と踏み段を通って(By Footpath and Stile)』
Resonus RES 10109 classical

 
ジェラルド・フィンジ(1901–1956)(クリスチャン・アレグザンダー 編曲 *)
 ロマンス(Romance) Op.11(弦楽四重奏のための)*
 小道と踏み段を通って(By Footpath and Stile) Op.2
 (バリトンと弦楽四重奏のための)
  訪ね歩き(Paying Calls)
  ピクニックのあった場所で(Where the picnic was)
  牡牛たち(The Oxen)
  ご主人さまと木の葉たち(The master and the leaves)
  教会墓地に育つものたちの声
  (Voices from things growing in a churchyard)
  一同退場(Exeunt omnes)
 前奏曲(Prelude)(弦楽四重奏のための)*
 間奏曲(Interlude) Op.21(オーボエと弦楽四重奏のための)
 エレジー(Elegy) Op.22(弦楽四重奏のための)*
 5つのバガテル(Five Bagatelles) Op.23
 (クラリネットと弦楽四重奏のための)*
  前奏曲(Prelude) ロマンス(Romance) キャロル(Carol)
  フォルラーナ(Forlana) フゲッタ(Fughetta)
  フィンジ四重奏団
   サラ・ウォルステンホルム(第1ヴァイオリン)
   ナタリー・クロウダ(第2ヴァイオリン)
   ルース・ギブソン(ヴィオラ)
   リディア・シェリー(チェロ)
  マーカス・ファーンズワース(バリトン)
  ルース・ボリスター(オーボエ)
  ロバート・プレーン(クラリネット)
 
録音 2012年2月5日–7日 オールセインツ教会(諸聖人教会)(イースト・フィンチリー、ロンドン)
制作・録音エンジニア アダム・ビンクス

 
フィンジ四重奏団 Finzi Quartet は、王立ノザーン音楽大学でクリストファー・ロウランドの下で結成され、2009年、第5回トロンハイム国際室内楽コンペティションで第2位、2010年の Royal Over-Seas League(ROSL)コンペティションの第1位に選ばれました。フィンジ四重奏団のデビュー録音。アンサンブル名の由来となったジェラルド・フィンジ Gerald Finzi の弦楽四重奏作品を演奏しています。
 
バリトンと弦楽四重奏のための歌曲集《小道と踏み段を通って》は、フィンジがトマス・ハーディの詩に作曲した50を超す歌曲の最初の作品です。後の作品ほどの洗練はみられないものの、出版されて間もないハーディの詩に対する若い作曲家の直感的反応から生まれた音楽が瑞々しく、フィンジの最初の「里程標」とみなされています。マーカス・ファーンズワース Marcus Farnsworth は、イギリスのバリトン歌手。2009年のウィグモアホール国際歌唱コンペティションで第1位を獲得、オペラとコンサートの歌手として活動しています。
 
オーボエと弦楽四重奏のための《間奏曲》は、「フィンジの成熟した表現形式がはっきりと示された最初の作品」(スティーヴン・バンフィールド)。ルース・ボリスター Ruth Bolister は、ロンドンの王立音楽アカデミーなどで学び、イギリス・ナショナル・オペラの首席奏者を務めています。
 
弦楽オーケストラのための《ロマンス》と《前奏曲》、ヴァイオリンとピアノのための《エレジー》、クラリネットとピアノのための《5つのバガテル》は、クリスチャン・アレグザンダーの編曲した弦楽四重奏版による演奏です。《バガテル》の編曲は、フィンジの生誕100年を記念して委嘱され、2001年7月14日、リッチフィールド大聖堂で行われたコンサートでデイヴィッド・キャンベルとエンデリオン弦楽四重奏団により初演されました。
 
フィンジ四重奏団とロバート・プレーンによる演奏は、この編曲の初めての録音です。プレーン Robert Plane は、ウェールズ BBC ナショナル管弦楽団、バーミンガム市交響楽団、ロイヤル・ノーザン・シンフォニアの首席クラリネット奏者。Naxos レーベルを中心に多くの録音を行い、フィンジのクラリネット協奏曲とローレンス・アシュモア編曲の《5つのバガテル》を演奏したアルバム(Naxos 8.553566)は「Classic CD Magazine」の「最優秀協奏曲録音」と BBC Radio 3 の「Buiding a Library」の一枚に選ばれました。
 
価格 2,365円(税込価格)(本体価格 2,150円)

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