March 2023

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『12の初演作品(12 Premieres)』
Alba ABCD 519 1-2 2CD’s contemporary/classical

 
[Disc 1]
セシーリア・ダムストレム(1988–)
 Epitaph(墓碑銘)(2018)
イラリ・ラークソ(1952–)
 Häivä(におい)(2017)
マティルダ・セッパラ(1993–)
 Inner(内部の)(ピアノとエレクトロニクスのための)
ペトリ・ニエミネン(1965–) 
 Aleppo2017(アレッポ2017)
ローペ・マエンパー(1990–)
 Kolloidi(コロイド)(2018)
パーヴォ・コルピヤーッコ(1977–)
 Last Night It Was Visited By Laura Palmer
 (昨夜、ローラ・パーマーが訪ねてきた)
[Disc 2]
ヤンネ・サルメンカンガス(1984–)
 Fractum(裂け目)
トゥオマス・トゥラリアゴ(1979–)
 Somber(薄暗い)(2017)
ミンナ・レイノネン(1977–)
 Rememoro(私は覚えている)(2018)
ヘンリ・ソッカ(1989–)
 Völjy(オイル)(2018)
ヤミ・キアント(1991–)
 Häviöjuhlat(喪失祝い)(2019)
ヨンネ・ヴァルトネン(1976–)
 14.4k Handshake(14.4k ハンドシェイク) 
  ヴィッレ・ハウタカンガス(ピアノ)
 
[楽器 Piano: Steinway D/Yamaha C3 Silent]
 
ライヴ・エレクトロニクス テロ・コスキ
ディジタル・ピアノサウンド ヨンネ・ヴァルトネン
録音 2021年7月24日–28日 タンペレホール、小ホール(タンペレ、フィンランド)
制作・録音エンジニア・編集・マスタリング マルック・ヴェイヨンスオ

 
『12の初演作品(12 Premieres)』は、フィンランドのピアニスト、ヴィッレ・ハウタカンガス Ville Hautakangas(1978–)によって企画されたプロジェクトです。彼が、フィンランド文化財団のピルカンマー行政区基金を受け、5分程度の演奏時間の曲を12人の作曲家に委嘱、寄せられた作品を2019年から2021年にかけて3回のコンサートで演奏しました。委嘱を受けた作曲家のほとんどはタンペレ応用科学大学(TAMK)や前身の学校で学んだということで繋がり、何人かはヨウニ・カイパイネンのクラスの学生だったという共通点をもっています。
 
12の作品は、広い音のレンジ、ダイナミックスの大きさ、ポリフォニー、クラスターにみられるような音の塊による表現の可能性など、ピアノの特徴を活かし、さまざまなスタイルで書かれています。セシーリア・ダムストレム Cecilia Damström の《Epitaph(墓碑銘)》は、彼女の師であり友人だったヨウニ・カイパイネン(1956–2015)を追悼した作品。イラリ・ラークソ Ilari Laakso の《Häivä(におい)》は、スペインの港町カディスの大聖堂前広場からインスピレーションを得て作曲されました。ピアノの「内部の音」をエレクトロニクスによって増幅、拡大して「マジックボックス」の中心を探ったマティルダ・セッパラ Matilda Seppälä の《Inner(内部の)》。ペトリ・ニエミネン Petri Nieminen が、戦争の苦痛と怒りに対して感情が昂ったまま書いた《Aleppo2017(アレッポ2017)》。ローペ・マエンパー Roope Mäenpää が「木と森の間の不思議な作用」に触発されたという《Kolloidi(コロイド)》。パーヴォ・コルピヤーッコ Paave Korpijaakko の《Last Night It Was Visited By Laura Palmer(昨夜、ローラ・パーマーが訪ねてきた)》は、デイヴィッド・リンチ監督の『ツイン・ピークス』の「夢想のロジック」がインスピレーションになった作品です。
 
ヤンネ・サルメンカンガス Janne Salmenkangas は、蜘蛛の巣から音楽の構造のアイデアを得て《Fractum(裂け目)》を作曲。トゥオマス・トゥラリアゴ Tuomas Turriago の「短調のややメランコリックな調性にラテンのリズムとジャズ感覚を織りこんだ」《Somber(薄暗い)》。ミンナ・レイノネンMinna Leinonen が《Rememoro(私は覚えている)》を作曲したのは、記憶喪失になった家族の回想録を書いている時だったといいます。ヘンリ・ソッカ Henri Sokka の「明るく楽しい」《Völjy(オイル)》。ヤミ・キアント Jami Kianto の「矛盾した表現」《Häviöjuhlat(喪失祝い)》。《14.4k Handshake(14.4k ハンドシェイク)》は、作曲者ヨンネ・ヴァルトネン Jonne Valtonen 自身が「ディジタル・ピアノサウンド」を手がけた作品です。
 
ヴィッレ・ハウタカンガス(1978–)は、ラプアのカウハヤルヴィ生まれ。ピルカンマー応用科学大学とハンス・アイスラー音楽大学ベルリンでマルッティ・ラウディオ、ラウリ・ヴァインマー、ゲオルク・サヴァに学び、リーサ・ポホヨラ、テッポ・コイヴィストたちにも師事しました。2002年からタンペレ・フィルハーモニック管弦楽団で演奏し、タンペレ音楽院とタンペレ応用科学大学に伴奏ピアニストとして勤めています。現代音楽アンサンブル「タンペレロー TampereRaw」に参加、フリーランスの写真家としても活動しています。
 
価格 4,400円(税込価格)(本体価格 4,000円)

『いとしい君の近くで(Armaan läheisyys)』
Alba NCD 61 classical

 
エーリク・フォルデル(1917–1981) アカペラ男声合唱作品集
 五月の歌(Majsång) 宣戦布告(Krigsförklaring)
 静かな神殿の歌が聞こえる(Jag hör som stilla tempelsång)
 日がな一日カッコウが歌っている(Göken galer dagen lang)
 エレンに寄せて(Till Ellen)*
 一編の詩(En visa) 炎が消え(Rökarna slokna)
 花咲くアーモンドの木のように(Som ett blommande mandelträd)
 夜(Natt)* 尽きない悩みのこと(Av ständig oro)
 いとしい君の近くで(Armaan läheisyys)
 フランスの恋の歌(Ranskalainen rakkauslaulu)
 そうさ俺の畑には六頭の雄牛がいた(Ja härkiä mull’ oli kuus’)
 夜想曲(Nocturn) 夏に別れを(Hyvästit kesälle)
 いなかの人へ(Till en lantman)**
 春といっても身を切るような寒風が吹いていた
 (Våren var mest en betande blåst) Op.35b no.2
 ロマンス(Romans) モデル(Modellen)
 別れについて(Erotessa)*** 愛の小説(Kärleksroman) Op.34 no.1
 回転木馬(Hästkarusell) Op.34 n.5 夕べに(Illalla) Op.34 no.8
 ブルース(Blues) ルイット・オーラ(Ruit Hora)***
  ラウル・ミエヘト マッティ・ヒョッキ(指揮)
  トゥオマス・カタヤラ(テノール・ソロ)*
  マッティ・トゥルネン(バス・ソロ)**
  アールネ・ペルコネン(バリトン・ソロ)***
 
録音 2020年2月1日–2日、2021年10月9日–10日、2022年10月29日–30日 リーヒマキ守備隊教会(Riihimäen varuskuntakirkko)(リーヒマキ、フィンランド)
制作 ラウラ・ヘイキンヘイモ
録音エンジニア マッティ・ヘイノネン

 
男声合唱団「ラウル・ミヘヒト Laulu Mielet」(歌う男たち)がマッティ・ヒョッキ Matti Hyokki の指揮でフィンランドの合唱音楽を録音で記録するシリーズ。エルッキ・メラルティンの男声合唱曲の全作品(NCD 60)につづき、エーリク・フォルデルの100曲を超える合唱作品から男声合唱のための25曲を歌ったアルバムが制作されました。
 
エーリク・フォルデル Erik Fordell(1917–1981)は、スウェーデン系フィンランドの作曲家です。ベンクト・カールソンとアーレ・メリカントに作曲、ユッシ・ヤラスにオーケストラ指揮、レオ・フンテクにオーケストレションを学びました。ヘルシンキの教会音楽学校を卒業後、1940年代、シベリウス・アカデミーで作曲の研究を続けました。フィンランド・モダニズムが主流になる1950年代に登場した世代に属しながら、急進的な作曲家たちの不寛容を嫌い、特定の流派に属さないスタイルで作曲。故郷のオストロボスニア地方のコッコラでミュージック・ショップの経営で生計を立て、指揮者とピアノ教師としての活動を行いながら、44曲の交響曲、ピアノのための5曲をはじめとする協奏曲、室内楽曲、ピアノ曲とオルガン曲、合唱曲と歌曲など、多くの作品を作りました。弦楽オーケストラのために1952年に書いた《民謡の調子で(I folkton)》が、オストロボスニア室内管弦楽団の録音(ABCD 380)など親しまれています。
 
この男声合唱アルバムでは、ウッレ・ヤーコブソンの詩に作曲した1948年の《五月の歌》から、ノーベル文学賞を受けたジョズエ・カルドゥッチが「ワイン」を詠った詩による1980年の《ルイット・オーラ》まで、スウェーデン語とフィンランド語のテクストに作曲された、初期から晩年までの作品が作曲年順に歌われます。
 
価格 2,365円(税込価格)(本体価格 2,150円)

『ネゼ=セガン+シベリウス』
ATMA Classique ACD 2 2454 classical 

 
ジャン・シベリウス(1865–1957)
 交響曲第3番 ハ長調 Op.52(1907)
 交響曲第4番 イ短調 Op.63(1911)
  モントリオール・メトロポリタン管弦楽団
  ヤニック・ネゼ=セガン(指揮)
 
録音 2021年6月(第3番)、2022年2月(第4番)

 
モントリオール・メトロポリタン管弦楽団とモントリオールで生まれ、2000年から芸術監督・首席指揮者を務めるヤニック・ネゼ=セガン Yannick Nézet-Séguin(1975–)によるシベリウス交響曲のシリーズ第2作。最初のアルバム(ACD2 2452)では、ロシア帝国支配下に作曲したロマンティックな作風をとどめる《第1番》、新しいアルバムでは《第3番》と《第4番》が取り上げられました。英雄的色彩のナショナル・ロマンティシズムに別れを告げ、「交響曲」の生まれたベートーヴェンたちの古典時代の様式と精神に立ち返ることで「真の交響曲とは何か」の問いに答えた《第3番》。ロマンティシズムとの決別を推し進め、内面の世界と北欧の自然の威容を表現した、現代フィンランドの作曲家カレヴィ・アホが「不毛で生命のない霊的風景を後に残す、耳ざわりな不協和音とともに衰弱していく」と語る幕切れの《第4番》。
 
価格 2,090円(税込価格)(本体価格 1,900円)

『ダウスゴー+ブルックナー』
BIS SACD 2534 SACD hybrid (5.0 surround/stereo) classical 

 
アントン・ブルックナー(1824–1896)
 交響曲第4番 変ホ長調 WAB 104《ロマンティック(Romantic )》(1878/80年第2稿 ノヴァーク版)
  ベルゲン・フィルハーモニック管弦楽団
  トマス・ダウスゴー(指揮)
 
録音 2020年1月20日–22日 グリーグホール(ベルゲン、ノルウェー)
制作・編集・ミクシング インゴー・ペトリ

 
価格 2,915円(税込価格)(本体価格 2,650円)

『ロシア四重奏曲』
BIS SACD 2588 SACD hybrid (5.0 surround/stereo) classical

 
ヨーゼフ・ハイドン(1732–1809)
 弦楽四重奏曲第37番 ロ短調 Hob.III:37
 弦楽四重奏曲第38番 変ホ長調《ジョーク》 Hob.III:38
 弦楽四重奏曲第39番 ハ長調《鳥》 Hob.III:39
  キアロスクーロ四重奏団
   アリーナ・イブラギモヴァ(ヴァイオリン)
   パブロ・エルナン=ベネディ(ヴァイオリン)
   エミリ・ホーンルンド(ヴィオラ)
   クレール・チリオン(チェロ)
 
[楽器 Violin: Anselmo Bellosio c.1780/Violin: Andrea Amati 1570/Viola: Willems, c.1700/Cello: Carlo Tononi 1720]
 
録音 2021年10月26日–29日 ユーディ・メニューイン音楽学校 メニューイン・ホール(サリー、イングランド)
制作 アンドルー・キーナー
録音エンジニア オスカー・トレス

 
キアロスクーロ四重奏団 Chiaroscuro Quartet のモーツァルトの『プロイセン王四重奏曲』(BIS SA-2558)につづく新作は、ハイドン・アルバムの第5作。ハイドンが1781年の夏と秋にかけて作った『ロシア五重奏曲』の名で呼ばれる Op.33 のセットの最初の3曲を演奏しています。ロシア大公パウルに献呈されたこの曲集の多くは、その年のクリスマスに大公夫人マリア・フョードロヴナのウィーンの居宅で演奏されました。
 
ハイドンとモーツァルトの関係は弦楽四重奏曲というジャンルでも切り離せなかったことが知られています。モーツァルトは、『ミラノ四重奏曲』と呼ばれる6曲(K.155–160)を書いた翌年の1773年に初めてハイドンを訪問、ハイドンの「Op.17」の6曲と「Op.20」の『太陽四重奏曲』に接しました。彼がこの後に作曲した『ウィーン四重奏曲』(K.168–173)には、それまでの作品にくらべ対位法が多用され、ハイドンの影響が明らかだと言われています。そして、10年近くこのジャンルを手がけていなかったモーツァルトは、ハイドンの「Op.33」の『ロシア四重奏曲』をきっかけに再び情熱にかられ、1782年から1785年にかけて、ト長調(K.387)からハ長調(K.465)までの6曲を作曲。ハイドンに献呈したことから『ハイドン四重奏曲』と呼ばれています。
 
キアロスクーロ四重奏団の『プロイセン王四重奏曲』と同じアンドルー・キーナー Andrew Keener(1954–)のプロダクションによるアルバムです。
 
価格 2,915円(税込価格)(本体価格 2,650円)

『テラル(Terral)』
BIS SACD 2639 SACD hybrid (5.0 surround/stereo) contemoprary/classical

 
セバスチャン・ファーゲルルンド(1972–)
 テラル(Terral)(フルート協奏曲)(2020–21)*
 Strings to the Bone(2014–15)(弦楽オーケストラのための)
 Chamber Symphony(室内交響曲)(2020–21)(管弦楽のための)
  タピオラ・シンフォニエッタ
  ヨン・ストゥールゴールズ(指揮)
  シャロン・ベザリー(フルート、アルトフルート)*
 
[楽器 Flute: Muramatsu 24 carat gold with B foot joint/Alto flute: Muramatsu]
 
録音 2022年3月14日–18日 タピオラホール(エスポー、フィンランド)
制作・編集・ミクシング マルティン・ナゴルニ
録音エンジニア クリスティアン・シュタルケ

 
フィンランドの作曲家セバスチャン・ファーゲルルンド Sebastian Fagerlund の室内楽と器楽の作品の『海洋(Oceano)』(BIS SA 2324)につづくアルバム。フルートと管弦楽のための《テラル》、弦楽オーケストラのための《Strings to the Bone》、管弦楽のための《室内交響曲》の3曲が演奏されます。
 
ファーゲルルンドは、2012年の「ヴァイオリン協奏曲」《光の中の暗黒》(BIS SA 2093)の後、すべての協奏曲に「音楽のイメージ」を映す曲名を与えるようになりました。シャロン・ベザリーから依頼された「フルート協奏曲」のタイトルには、作品の「音世界」の表すイメージから、ラテン語の “terra”(大地、陸地)から派生した、地中海岸で陸から吹く風を意味するスペイン語「テラル(terral)」の曲名がつけられました。アルトフルートによるゆったりしたフレーズの絵のような風情に始まる「レント、リベラメンテ・ウン・ポコ」、スケルツォ風の華麗な「プレスト、ヴェローチェ」、伝統のパッサカリア構造を背景にうかがわせながら、それまでの素材を結合して展開してゆく「エスパンシーヴォ、ソノーレ」の3楽章で書かれた作品です。
 
《Strings to the Bone》(骨の髄まで弦)は、表現豊かで密度の濃い弦楽のテクスチュアが脈動する作品です。オストロボスニア室内管弦楽団の委嘱作。2016年2月にコッコラで初演されました。
 
ファーゲルルンドのレパートリーで中心的な役割を担っている管弦楽の作品は、2009年の《パルティータ》(BIS SA 1707)をのぞき、内容を示唆する曲名がつけられていますが、《室内交響曲》は、作品の形式と素材の扱い方から、簡素なこの曲名が選ばれました。「カルモ、ミステロオーゾ」「エネルジーコ・エ・ブリランテ」「エスパンシーヴォ」の3楽章。タピオラ・シンフォニエッタとオタワの国立芸術センター管弦楽団の共同委嘱で作曲されました。
 
価格 2,915円(税込価格)(本体価格 2,650円)

『アルメニアのチェロ協奏曲』
BIS SACD 2648 SACD hybrid (5.0 surround/stereo) classical

 
アラム・ハチャトゥリヤン(1903–1978)
 チェロ協奏曲 ホ短調(1946)
アルノ・ババジャニヤン(1921–1983)
 チェロ協奏曲(1962)
ミシェル・ペトロシヤン(1973–)
 チェロ協奏曲《8.4》(2021)
  アレクサンドル・シャウシヤン(チェロ)
  アルメニア国立フィルハーモニック管弦楽団
  エドゥアルド・トプチヤン(指揮)
 
録音 2022年1月24日–27日、3月19日–20日(ペトロシヤン) アラム・ハチャトゥリヤン・ホール(エレヴァン、アルメニア)
制作・録音エンジニア マルセル・ババザデ

 
アルメニア三世代の作曲家のチェロ協奏曲。ジョージア(グルジア)でアルメニア一家に生まれたハチャトゥリヤン Aram Khachatrian の《チェロ協奏曲 ホ短調》は、第二次世界大戦後の1946年の作品です。アルメニアとジョージアの民俗的要素を巧みに使い。シンフォニックな規模で書かれています。「ノスタルジーと深い悲劇的感情にあふれ、到達点のないままいつまでも探求をつづける感覚を伝える」(アレクサンドル・シャウシヤン)。ソビエト連邦時代の1962年に作曲されロストロポーヴィチに捧げられたアルノ・ババジャニヤン Arno Babajanian の《チェロ協奏曲》は、緩急緩の3つの部分からなる単一楽章の作品です。異なる性格の3つの旋法パターンをベースにアルメニア民俗音楽と民話に根ざした明確なイントネーションで全体が貫かれています。
 
ミシェル・ペトロシヤン Michel Petrossian は、1973年、アルメニアの首都エレヴァンの生まれ。パリ国立高等音楽舞踊学校でチェロとギターを学び、2001年に卒業しました。文献学と古言語への興味から、パリ・カトリック大学の古代オリエント言語文明学校とソルボンヌ大学で古代ヘブライ語、古代ギリシャ語、古典アルメニア語などを学んでいます。《8.4》の曲名をつけた「チェロ協奏曲」は、『創世記』の8章4節の「第七の月の十七日に箱舟はアララト山の上に止まった」(新共同訳)をコンセプトにした作品です。アルメニア語で「大アララト山」(5,165m)の〈Massia〉と「小アララト山」(3,925m)の〈Sis〉の「緩急の2つの楽章が切れ目なく演奏され、「8.4」は、それぞれの演奏時間も表しています。第1楽章にはビザンツとアルメニアの典礼音楽が素材に使われ、アララト山の聖性が示されます。この作品は、シャウシヤン Alexander Chaushian とアルメニア国立フィルハーモニック管弦楽団と指揮者エドゥアルド・トプチヤン Eduard Topchjan に献呈されました。
 
価格 2,915円(税込価格)(本体価格 2,650円)

『スペクトラル・カンティクル』 Selection
BIS SACD 2655 SACD hybrid (5.0 surround/stereo) classical

 
武満徹(1930–1996)
 スペクトラル・カンティクル(Spectral Canticle)(1995)
 (ヴァイオリン、ギターと管弦楽のための)
 夢の縁(へり)へ(To the Edge of Dream)(1983)
 (ギターと管弦楽のための)
 虹へ向かって、パルマ(Vers, l’arc-en-ciel, Palma)(1984)
 (オーボエ・ダモーレ、ギターと管弦楽のための)
 Twill by Twilight(トゥイル・バイ・トワイライト)(1988)
 (管弦楽のための)
  ヤコブ・ケッレルマン(ギター)
  ヴィヴィアン・ハーグナー(ヴァイオリン)
  ジュリアーナ・コック(オーボエ・ダモーレ)
  BBCフィルハーモニック
  クリスチャン・カールセン(指揮)
 
録音 2022年3月7日–9日 メディアシティUK フィルハーモニック・スタジオ(サルフォード、イングランド)
制作 ロバート・サフ
録音エンジニア スティーヴン・リンカー

 
BIS Records はこれまでに、フランツ・ハラースが全作品を弾いた『すべては薄明のなかで(All in Twilight)』(BIS 1075)や、《すべては薄明のなかで》を収録したマッツ・ベリストレムの『SubString Bridge』(BIS 5019)など、BIS Records はこれまでに、武満徹のギター曲のアルバムをいくつかリリースしてきました。新しく制作されたアルバムでは、武満徹が作曲したギターのための協奏的作品が演奏されます。
 
《スペクトラル・カンティクル》は、1995年にシュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭で初演された、武満徹の作曲した最後の作品のひとつです。「作品のあるところからすると、《スペクトラル・カンティクル》は、ひとつの世紀と、来るべき世紀にその価値が挑戦を受けることの避けられない文化への悔やまれる、しかし皮肉っぽい告別の辞と考えないのは、むずかしい」(アーノルド・ホイっトール)。「Calm, mysteriously(穏やかに、謎めかして)」と冒頭に記された演奏者への指示が、この音楽の雰囲気を表しています
 
ギターと管弦楽のための《夢の縁(へり)へ》は、武満の後期のもっとも重要な作品のひとつとされます。1983年のリエージュ国際ギター・フェスティヴァルのために作曲され、シュルレアリスム画家あるいは幻想画家と言われるベルギーのポール・デルヴォー Paul Delvaux の作品から曲名がとられました。
 
1984年の《虹へ向かって、パルマ》も絵画からインスピレーションを受けた作品です。ジョアン・ミロ Joan Miró が1940年から1941年にかけてマジョルカのパルマで描いた『虹へ向かって(Vers l’arc-en-ciel)』。バーミンガム市交響楽団とフィーニー・トラストの委嘱で作曲された、《スペクトラル・カンティクル》と同様、「オーボエ・ダモーレとギター」という複数のソロ楽器とオーケストラの共演による作品です。
 
1988年の《Twill by Twilight(トゥイル・バイ・トワイライト)》は、管弦楽による「哀歌」として書かれ、「モートン・フェルドマンの追憶に(In Memory of Morton Feldman)」の副題をもっています。「綾織」の “twill” と「故人に思いを馳せる」『たそがれ』 “twilight” をかけた曲名。読売日本交響楽団の創立25周年記念のために委嘱されました。
 
スウェーデンのギタリスト、ヤコブ・ケッレルマン Jacob Kellermann(1984–)は、ロドリーゴとファリャの作品や新曲を弾いた『アランフエス協奏曲』(BIS SA 2485)や、ヴァイオリニストのダニエル・ミグダールと組んだ「デュオ KeMi」として録音した『ヴァイオリンとギターによるシューベルト』(BIS SA 2375)といったアルバムでチャーミングな、聴き手に寄り添う音楽を聴かせ、親しまれています。
 
BBCフィルハーモニックを指揮するクリスチャン・カールセン Christian Karlsen は、『アランフエス協奏曲』で共演したスウェーデンの指揮者です。カイヤ・サーリアホやシュトックハウゼンといった現代作曲家の作品の初演やコラボレーションと、若い世代をクラシカル音楽に親しませる試みに挑んでいることで知られます。
 
ヴィヴィアン・ハーグナー Vivian Hagner は、ミュンヘン生まれのヴァイオリニスト。ジュリアーナ・コック Juliana Koch は、ロンドン交響楽団の首席オーボエ奏者を務め、『モーツァルトの管楽器協奏曲』(LSO Live LSO 0855)で《協奏交響曲 変ホ長調》のオーボエを担当しました。
 
価格 2,915円(税込価格)(本体価格 2,650円)

『ガードナー+ニルセン』
Chandos CHSA 5511 SACD hybrid (Multichannel/stereo) classical

 
カール・ニルセン(1865–1931)
 ヴァイオリン協奏曲 FS61(Op.33)(1911)*
 交響曲第4番 FS76(Op.29) 《消しがたきもの(Det uudslukkelige)》(1914–16)
  ベルゲン・フィルハーモニック管弦楽団
  エドワード・ガードナー(指揮)
  ジェームズ・エーネス(ヴァイオリン)*
 
録音 2022年6月14日–17日 グリーグホール(ベルゲン、ノルウェー)

 
価格 2,970円(税込価格)(本体価格 2,700円)

『オダマキの花が二本(Two Columbines)』
Danacord DACOCD 959 classical

 
クララ・シューマン(1819–1896)
 6つの歌曲(Sechs Liedeer) Op.13
 (ハイネ、ガイベル、リュッケルトの詩)
  暗い夢のなかにいた(Ich stand in dunklen Träumen)
  彼らは愛しあっていた(Sie liebten sich beide)
  愛の魔法(Liebeszauber)
  月は静かに昇った(Der Mond kommt still gegangen)
  私はあなたの瞳に(Ich bah’ in deinem Auge)
  もの言わぬはすの花(Die stille Lotubslume)
 3つの詩(3 Gedichte) Op.12
 (フリードリヒ・リュッケルトの『愛の春(Liebesfrühling)』から)
  風雨の中を彼はやってきた(Er ist gekommen in Strum und Regen)
  美しいがために私を愛するのなら(Liebst du um Schönheit)
  なぜ他の人にたずねるのか(Warum willst du andre fragen?)
リリ・ブーランジェ(1893–1918)
 空のひろがり(Clairières dans le ciel)(フランシス・ジャムの詩)
  彼女は野原から谷へ下りていった
  (Elle était descendue au bas de la prairie)
  彼女はとてもおおらかだ(Elle est gravement gaie)
  時どき僕は悲しくなる(Parfois,je suis triste)
  ある詩人が言った(Une poète disait)
  僕のベッドの足元に(Au pied de mon lit)
  これが全部ただのくだらない夢で
  (Si tout ceci n'est qu'un pauvre rêve)
  言葉にしなくてもいいくらい愛し合おう(Nous nous aimerons tant)
  あなたは魂をこめて僕を見つめた
  (Vous m'avez regardé avec toute votre âme)
  去年咲いたライラックは(Les lilas qui avaient fleuri)
  オダマキの花が二本(Deux ancolies)
  どうして僕が苦しんだかというと(Par ce que j'ai souffert)
  彼女のもっていたメダルが僕の手元にある
  (Je garde une médaille d’elle)
  明日でちょうど一年だ(Demain fera un an)
  デュオ・ボルス&ビャアケー
   ニナ・ボルス・ロングレーン(ソプラノ)
   クリスティーナ・ビャアケー(ピアノ)
 
録音 2020年6月 デンマーク国立音楽アカデミー(オーゼンセ) 
制作・録音エンジニア ヴィゴ・マンゴ

 
ファニー・メンデルスゾーンの《一年》(DACOCD 957)をリリースしたクリスティーナ・ビャアケー Christina Bjørkøe とリリック・ソプラノのニナ・ボルス・ロングレーン Nina Bols Lundgren の「デュオ・ボルス&ビャアケー Duo Bols & Bjørkøe」が、結成から2022年で5年が経ちました。ふたりは、コペンハーゲンのホルメン教会で行われ、デンマーク放送からラジオ中継されたニルス・W・ゲーゼを祝うコンサートにソリストとして出演して初めて出会い、以後、デュオとしてコンサートやデンマーク国内のツアーを重ねました。クララ・シューマンとリリ・ブーランジェの歌曲を歌うアルバム『オダマキの花が二本』は、2020年にロスキレ音楽協会の提案で行われた女性作曲家作品のコンサートがきっかけで生まれました。このコンサートは、デンマーク放送が放送のために録音。その好評を受け、このセッション録音が行われました。
 
クララ・シューマン Clara Schuman の詩の嗜好は夫ロベルトと重なり、このアルバムで歌われる《6つの歌曲》と《3つの詩》もロベルトが好んだハインリヒ・ハイネ Heinrich Heine、エマヌエル・ガイベル Emanuel Geibel、フリードリヒ・リュッケルト Friedrich Rückert といった同時代の重要な詩人たちの詩に作曲されています。リリ・ブーランジェ Lili Boulanger も同時代の詩をテクストに選んでいます。フランシス・ジャム Francis Jammes の《空のひろがり》は、さまざまな感情を呼び起こす、花と鳥といった言葉をちりばめ、ノスタルジアと憧れの気分にひたった作品です。彼女の時代に好まれた「サロン」的雰囲気からは遠い、輝かしい、当時としては前衛の音楽が、この曲集の際立った魅力と言われています。
 
価格 2,640円(税込価格)(本体価格 2,400円)

『ダムゴー+プーランク』
Danacord DACOCD 960 classical

 
フランシス・プーランク(1899–1963) ピアノ作品集
 8つの夜想曲(8 Nocturnes)
  ハ長調(1929)
  イ長調〈少女たちの舞踏会(Bal de jeunes filles)〉(1933)
  へ長調〈マリーヌの鐘(Les cloches de Maline)〉(1934)
  ハ短調〈幽霊の舞踏会(Bal fantôme)〉(1934)
  ニ短調〈蛾(Phalènes)〉
  ト長調(1934)
  変ホ長調(1935)
  ト長調〈終曲にかえて(pour servir de Coda au Cycle)〉(1938)
 無窮動(Perpetuum Mibiles)(1918)
 憂鬱(Mélancholie)(1940)
 3つの間奏曲(Trois Inermezzi)
  ハ長調(1934) 変ニ長調(1934) 変イ長調(1943)
 3つの小品(Trois Pièces)
  田園詩(Pastorale)(1918–28) 賛歌(Hymne)(1928)
  トッカータ(Toccata)(1938)
  ヨン・ダムゴー(ピアノ)
 
[楽器 Piano: Steinway & Sond Model D]
 
録音 2022年10月 デンマーク国立音楽アカデミー(オーゼンセ) 
制作・録音エンジニア・マスタリング クラウス・ビューリト

 
デンマークのピアニスト、ヨン・ダムゴー John Damgaard(1941–)の『ベートーヴェン、ショパン、ブラームス』(DACOCD 910)につづくアルバム。ダムゴーは、学生のころ、プーランクの《六重奏曲》をナディア・ブーランジェの前で弾いたことがあったと言います。「程度の差はあれ、平凡な主題をどう扱ったものか、不安だったので助けを求めた。ブーランジェが言うには、プーランクには確固としたユーモアのセンスがあり、それを極端に真面目な顔で表現するものだから、一層のユーモアをもたらすことになる、と。だから、プーランクの音楽はそれと同じ姿勢で扱わないといけない。いつも真面目に」(ダムゴー)。
 
この新しい作品集では、ダムゴーがプーランクのもっとも美しい小品のひとつに挙げた1928年の〈田園詩〉、もうひとつの美しい小品、パリがドイツ軍に占領された3ヶ月後の1940年8月に書かれた《憂鬱》、1929年から1938年にかけて作曲された《8つの夜想曲》といった曲が演奏されます。
 
価格 2,640円(税込価格)(本体価格 2,400円)
 

高品質メディア(Sony DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-Rによるリリースです。

『マークス・レオソン』
dB Productions DBCD 208 classical

 
アストル・ピアソラ(1921–1992)(マークス・レオソン(1970–) 編曲)
 真夏の夜の夢(A Midsummer Night’s Dream)
  序曲(Overture) 旅(El viaje) センシュエル(Sensuel)
エリック・サティ(1866–1925)(マークス・レオソン(1970–) 編曲)
 3つのジムノペディ(3 Gymnopédies)
  ゆっくりと悲嘆に暮れ(Lent et douloureux)
  ゆっくりと厳粛に(Lent et grave)
 グノシエンヌ(Gnossiennes)
  第1番 第2番 第4番
伝承曲(マークス・レオソン(1970–) 編曲)
 移民の歌(Emigrant song)
ポール・ド・センヌヴィル(1933–)(オリヴィエ・トゥッサン 編曲)
 渚のアデリーヌ(Ballade pour Aleline)
エルネスト・ナザレー(1863–1934)(イェルケル・ユーハンソン 編曲)
 オデオン(Odéon)
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685–1750)(マークス・レオソン(1970–) 編曲)
 無伴奏チェロ組曲第2番 ニ短調 BWV 1008
  サランバンド(Saranade) メヌエット I–II(Menuet I–II)
  ジグ(Gigue)
アストル・ピアソラ(1921–1992)(マークス・レオソン(1970–) 編曲)
 天使のミロンガ(Milonga del Ángel)*
 エチュード第3番(《タンゴ・エチュード (Tango-Etudes)》から)*
 コンパードレ(伊達男)(Compadre)
アストル・ピアソラ(1921–1992)(エリック・サミュ 編曲)
 リベルタンゴ(Ribertango)
アストル・ピアソラ(1921–1992)(マークス・レオソン(1970–) 編曲)
 ブエノスアイレスの冬(Invierno Porteño)
 (《ブエノスアイレスの四季(Las cuatro estaciones porteñas》から)
  マークス・レオソン(マリンバ、ヴィブラフォーン *)
 
録音 2022年4月25日 Hochschulzentrum am Horn(ヴァイマル、ドイツ)

 
スウェーデンの打楽器奏者レオソンが「お気に入り曲」を演奏するアルバム。マークス・レオソン Markus Leoson(1970–)は、リンショーピング生まれ。15歳で王立ストックホルム音楽大学に入学を許可され、4年後に卒業しました。1990年に打楽器奏者として王立スウェーデン管弦楽団に入団、1993年からソロ・ティンパニ奏者を務めました。1996年から1997年のシーズン、スウェーデン放送のアーティスト・イン・レジデンスとしてコンサートとラジオ放送の録音を行い、その録音によるアルバム『マレッティアーナ(Malletiana)』(Caprice CAP 21743)も制作されました。現在、ドイツ、ヴァイマルの「Hochschulzentrum am Horn」で教授として教えています。
 
価格 2,585円(税込価格)(本体価格 2,350円)

『レ・シエクル+ドビュッシー』
Harmonia Mundi HMM 905369 classical[再リリース]

 
クロード・ドビュッシー(1862–1918)
 管弦楽組曲第1番(Premiere suite d’orchestre)(1882)
  祭(Fête) バレエ(Ballet) 夢(Rêve)
  行列とバッカナール(Cortège et Bacchanale)
 3つの交響的スケッチ《海(La mer)》
  レ・シエクル フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮)
 
録音 2012年2月2日 シテ・ド・ラ・ミュジーク(パリ)(組曲)、4月13日 聖チェチーリア音楽院(ローマ)(ともにライヴ録音)

 
2013年に Actes Sud レーベルからリリースされた「レ・シエクル」とロトのデビュっシー(ASM 10)が、新たにリマスタリングして再リリースされます。
 
《管弦楽組曲第1番》は、ドビュッシーがパリ音楽院の学生だった1882年に作曲を始めたとされる作品です。存在は知られていたものの、この曲の楽譜は長らく、紛失したものとされてきました。そして2008年、4手のピアノ版と管弦楽の手稿譜が発見され、話題になりました。しかし、ピアノ版は完全だったものの、管弦楽譜は不完全で、特に第3曲の〈夢〉はすっかり欠落していました。そのため「シテ・ド・ラ・ミュジーク」が作曲家フィリップ・マヌリ Philippe Manouri(1952–)に依頼、マヌリは存在する素材を使って作品を補筆完成させました。2012年2月2月、レ・シエクルにより世界初演。マスネ、サン=サーンス、ビゼーの音楽を想わせるフレージングがあり、後のドビュッシーの音楽に特徴的な夜の官能と神秘の響きも聞こえるという作品。この演奏は初演コンサートのライヴ録音です。
 
《海》は、1905年10月にシュヴィヤール指揮のコンセール・ラムルー管弦楽団によって初演されました。レ・シエクルは、当時のフランスの楽器を使い、演奏スタイルを遵守することで、ドビュッシーの「はるかな響き」を再現してみせます。ローマの聖チェチーリア音楽院で行われたコンサートの演奏です。
 
価格 3,300円(税込価格)(本体価格 3,000円)

『モーツァルト+ヴィトマン』
Myrios Classics MYR 031 classical/contemporary

 
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756–1791)
 クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581
イェルク・ヴィトマン(1973–)
 クラリネット五重奏曲
  イェルク・ヴィトマン(クラリネット)
  ハーゲン四重奏団
   ルーカス・ハーゲン(第1ヴァイオリン)
   ライナー・シュミット(第2ヴァイオリン)
   ヴェロニカ・ハーゲン(ヴィオラ)
   クレメンス・ハーゲン(チェロ)
 
録音 2019年2月23日–26日 ゼンデザール(ブレーメン、ドイツ)
制作・録音エンジニアリング・編集 シュテファン・カーエン

 
「ザルツブルクで私たちが共演したブラームスの五重奏曲が特別な経験だったため、ただ録音しておかねばならない、とにかくやるしかないと思った」(イェルク・ヴィトマン)というブラームスの《クラリネット五重奏曲》(Myrios Classics MYR 007)につづく、ヴィトマンとハーゲン四重奏団のコラボレーション。
 
ヴィトマン Jörg Widmann の《クラリネット五重奏曲》は、2009年にハーゲン四重奏団から依頼された作品です。作曲に着手して17小節まで書いたところで「音楽の歴史……突然、重荷に見えてきた」という理由から先に進めず、2017年になってやっと完成されました。「静寂」をベースにした長大な「アダージョ」の作品には、ブラームスとモーツァルトの五重奏曲の断片もモチーフと主題の素材として使われています。
 
マドリードの「Centro Nacional de Difusión Musical」、アムステルダムの「Muziekgebouw」、「Strijkkwartet Biennale Amsterdam(アムステルダム弦楽四重奏ビエンナーレ)」、スイスの「LuganoMusica」、カーネギーホール、「Cité de la Musique Paris(シテ・ド・ラ・ミュジーク・パリ)」、「Stiftung Mozarteum Salzburg,(ザルツブルク・モーツァルテウム財団)」、「Philharmonie Essen(フィルハルモニー・エッセン)」、ウィグモアホールの共同委嘱作。2018年1月27日、ヴィトマンとハーゲン四重奏団によりマドリードで初演されました。
 
ハーゲン四重奏団によるモーツァルトの五重奏曲は、これが3回目のCD録音です。最初がザビーネ・マイヤーと共演した1986年6月のロッケンハウス音楽祭のライヴ録音(Philips 434 032-2)、次が、その翌年、エドゥアルト・ブルンナーの共演によるスタジオ録音(DG 419 600-2)。ともにアネッテ・ビクが第2ヴァイオリンを弾いていたころの演奏です。第2ヴァイオリンがライナー・シュミットに替わってからは、2000年のザルツブルク・モーツァルト週間のステージを収録した映像(Medici Aarts/Euroaarts 2072318)をのぞき、今回が初めてです。
 
価格 2,970円(税込価格)(本体価格 2,700円)

『メルケル・メルケシュ』
Ondine ODE 1418-2 classical

 
H・メルケル・メルケシュ(1882–1961)
 ケルメス(La Kermesse)(1920)(ルーベンスの絵画による交響詩)
 交響詩《エレジー(Élégie)》 Op.15(1919)
 交響曲 ニ短調 Op.19(1925)
  イェヴレ交響楽団 ハイメ・マルティン(指揮)
 
録音 2022年6月13日–16日(交響曲)、12月17日–18日 イェヴレ・コンサートホール(イェヴレ、スウェーデン)

 
20世紀前期スウェーデン音楽アンソロジー「Musica Sveciae Modern Classics」で紹介された作曲家のひとり、メルケル・メルケシュの管弦楽作品集。
 
H・メルケル・メルケシュ H. Melcher Melchers(1882–1961)は、ストックホルム生まれ。1903年に音楽教師の資格を得てストックホルム音楽院を卒業、ユーハン・リンドグレーンの下で対位法と作曲法を学びつづけました。1905年にパリに旅行し、ピアノ教師として生計を立てながら、1908年から1912年までの間、パリ音楽院でジョルジュ・コサードの対位法のクラスで学びました。パリで知り合った音楽家たちと交流し、1916年に創設された芸術家協会「Lyre et Palette」で「音楽監督」を務めました。このグループには、マティス、ドラン、モディリアーニ、ピカソたち画家、アポリネールやサンドラールといった文学者、作曲家ではサティ、オネゲル、ミヨー、プーランクが参加していました。帰国後は、ストックホルム音楽院(王立ストックホルム音楽大学)で和声法を教え、ドイツ音楽の影響の強かった当時の音楽シーンの表舞台から離れたところで作品を作りました。1929年にストックホルムで開催された「国際現代音楽協会(ISCM)」のコンサートで演奏された《ヴァイオリン・ソナタ》(Phono Suecia PSCD 705)が代表作に挙げられています。
 
このディスクで演奏される、ルーベンスの『ケルメス、または村の婚礼(La kermesse ou Noce de village)』による《ケルメス》と母クリスティーヌを亡くした後に書いた《エレジー》の交響詩は、特にフランス音楽の影響の濃い作品。《交響曲 ニ短調》は、「アレグロ・モデラート」「アンダンテ・モルト・ソステヌー」「アレグロ・モルト・ブリランテ・エド・エネルジーコ」の3楽章の構成。1926年のストックホルム・コンサートホールの柿落としコンサート・シリーズで初演されました。イェヴレ交響楽団とハイメ・マルティンによる演奏は、マッツ・ロンディン指揮ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニック管弦楽団(PSCD 717)に次ぐ録音。《ケルメス》と《エレジー》は初録音の作品です。
 
価格 2,585円(税込価格)(本体価格 2,350円)

『グラジナ・バツェヴィチ』
Ondine ODE 1427-2 classical

 
グラジナ・バツェヴィチ(1909–1969)
 序曲(1943)
 ピアノ協奏曲(1949)
 2台のピアノと管弦楽のための協奏曲(1966)
 弦楽、トランペットと打楽器のための音楽(1958)
  フィンランド放送交響楽団
  ニコラス・コロン(指揮)
  ペーテル・ヤブロンスキ(ピアノ)
  エリーザベト・ブラウス(第2ピアノ)
 
録音 2022年4月(弦楽、トランペットと打楽器)、2022年12月 ヘルシンキ・ミュージックセンター(ヘルシンキ、フィンランド)

 
ポーランドの作曲家グラジナ・バツェヴィチ Grażyna Bacewicz(1909–1969)の管弦楽のための《序曲》と3曲の「協奏的」作品。伝統的な枠組みの中で彼女独自の語法によって書いたとされる音楽です。2018年のポーランドの独立回復100周年を記念する国際文化プログラムの一環として、アダム・ミツキエヴィチ協会と共同制作されたアルバム。
 
価格 2,585円(税込価格)(本体価格 2,350円)

『幼子イエスにそそぐ20のまなざし』
OUR Recordings 6.220677–78 2SACD’s hybrid (5.0 surround/stereo) classical

 
オリヴィエ・メシアン(1908–1992)
 幼子イエスにそそぐ20のまなざし(Vingt Regards sur l’Enfant-Jésus)(1944)
  クリストファー・ヒュルディ(ピアノ)
 
録音 2021年3月1日–18日 救世主教会(Vor Frelsers Kirke)(コペンハーゲン、デンマーク)
制作・録音エンジニア プレーベン・イーヴァン
ミクシング ・マスタリング メテ・ドゥーウ、プレーベン・イーヴァン [DXD(32bit/352.8kHz)録音]

 
デンマークのピアニスト、クリストファー・ヒュルディ Kristoffer Hyldig(1982–)は、王立デンマーク音楽アカデミーでニクラス・シヴェレーヴとトーヴェ・レンスコウに学び、2010年にアカデミーでデビュー・コンサートを行いました。ソリスト、室内楽奏者としてデンマークの音楽シーンで活動。王立デンマーク管弦楽団の《トゥーランガリラ交響曲》にピアニストとして参加して2009年の EU ピアノ・コンペティションで審査員特別賞に選ばれ、ヤコプ・ゲーゼ・グラント、レオニ・ソニング・スカラシップ、デンマーク音楽批評家アーティスト賞などを受賞しました。彼が参加した「アンサンブル・ノーアリュス Ensemble Nordlys」のメシアンの《時の終わりのための四重奏曲》(Danacord DACOCD 756)が高い評価を獲得、この作品と同じ楽器編成によるアンサンブル「コペンハーゲン・メシアン四重奏団 Messiaen Quartet Copenhagen」を結成してドビュッシーの《ベルガマスク組曲》《チェロソナタ》《ヴァイオリンソナタ》(DACOCD 842)を録音しました。
 
「止むことなく神に触れ、あらゆるものに触れる音楽」(オリヴィエ・メシアン)という《幼子イエスにそそぐ20のまなざし》は、〈父のまなざし(Regard du Père)〉から〈愛の教会のまなざし(Regard de l'Église d’amour)〉までの20曲で構成された「魔法にかけられたように興味をひく音楽世界」(クリストファー・ヒュルディ)の作品です。ヒュルディは、この音楽の「神秘」の感覚を表現するにあたり、この録音の編集を担当したメテ・ドゥーウ Mette Due から多くを学んだと言います。彼女は、ドラマトゥルクとして経験を積み、デンマーク国立舞台芸術学校で演技と歌を教えています。コペンハーゲン市内にあるバロック様式の救世主教会(Vor Frelsers Kirke)でのセッション録音です。
 
価格 3,740円(税込価格)(本体価格 3,400円)

『ラトビアの川の歌(Dziesmas par Latvijas upēm)』
Skani SKANI 146 classical

 
ライモンツ・パウルス(1936–)
 合唱曲集《ラトビアの川の歌(Dziesmas par Latvijas upēm》
  サラツァ川(Salaca) ガウヤ川(Gauja) リエルぺ川(Lielupe)
  オグレのシチリアーナ(Ogres siciliana) イルべ川(Irbe)
  ヴェンタ川(Venta) ダウガヴァ川(Daugava)
  アイヴィエクステ川(Aiviekste. Janu rits)
 川の詩(Upju lirika)(朗読とピアノ)*
  ユースクワイア「バルシス」
  インツ・テレロヴスキス(指揮)
  イネセ・ザンデレ(朗読)*
  ライモンツ・パウルス(ピアノ)*

 
『ラトビアの川の歌』は、ラトビアの3人の芸術家のコラボレーションで実現したアルバムです。ミュージカル、バレエ、映画、合唱曲、ジャズ、ポップソング作曲家として活躍、1988年から1993年まで文化省の大臣を務めたライモンツ・パウルス Raimonds Pauls(1936–)。児童文学の執筆と編集、出版の活動で知られる詩人のイネセ・ザンデレ Inese Zandere(1958–)。ラトビア音楽アカデミーで学び、イギリスとドイツのバロック音楽演奏のコースに参加、「バルシス(Balsis)」と「ティアデ(Tiade)」のユースクワイアを指揮するインツ・テレロヴスキス Ints Teterovskis(1972–)。アルバムは、サラツァ川、ガウヤ川、リエルぺ川、オグレ川が流れこむ〈オグレのシチリアーナ〉など、ラトビアの川をテーマにした8つのアカペラ合唱曲と、ザンデレがパウルスのピアノ伴奏で朗読する『川の詩』で構成されています。合唱曲を集成した『川の歌』という「特別な旅」が始まってからすでに10年が経過しました。「ザンデレが川を詩に書き、若い世代がラトビア合唱音楽に応えるかぎり、『バルシス』(ラトビア語で「声」)は、小さな川と大きな川として流れ、広大な海や湖へと注いでいく」。指揮者のテレロヴスキスは、このアルバムが作られた目的と意義をそう語っています。
 
価格 2,530円(税込価格)(本体価格 2,300円)

『生と死の踊り』
Skani SKANI 148 classical

 
ユリス・カルルソンス Juris Karlsons(1948–) 
 バレエ《シルマチのアントニヤ(Antonija # Silmači)》組曲(2020)
 エル・シド:生と死の踊り(El Cid. Dzīves un nāves dejas)(管弦楽のための)
 ヨセフの幻影(Jāzepa vīzijas)(管弦楽とバリトン・ソロのための)
  リエパーヤ交響楽団
  グンティス・クズマ(指揮)
  ダウマンツ・カルニンシュ(バリトン)
 
録音 2022年9月5日–8日 グレート・アンバー・コンサートホール(リエパーヤ、ラトビア)
制作・録音エンジニア ノルムンツ・スラヴァ

 
ユリス・カルルソンス Juris Karlsons(1948–)は、ラトビアの古い世代に属する作曲家です。様々なジャンルで多くのダイナミックな作品を作ってきました。1990年から2007年までヤーゼプス・ヴィートリス・ラトビア音楽アカデミーで教え、1989年から1993年にかけてラトビア作曲家連盟の会長を務めました。グンティス・クズマ Guntis Kuama(1983–)とリエパーヤ交響楽団のこのアルバムでは、初めてスタジオ録音されるカルルソンスの管弦楽作品が特集されています。
 
バレエ《シルマチのアントニヤ》は、20世紀初頭のラトビア、シルマチの農場を舞台とする、若い未亡人のオーナーのアントニヤ、彼女の娘、農夫長、仕立て屋たちの物語を題材にしたルードルフス・ブラウマニス(1863–1908)の戯曲による作品です。2017年に作曲され、翌年初演されました。このアルバムでは、2020年に作られた、9曲の「組曲」が演奏されます。
 
《エル・シド:生と死の踊り》は、リガで上演されたピエール・コルネイユの劇『ル・シッド(エル・シド)』とは別の伝説に基づく作品です。情熱、血の声、名誉、魂の高貴さ、誠実さを「トーン」に作曲されています。《ヨセフの幻影》は、1981年に上演されたトーマス・マンの劇『ヨセフとその兄弟』とは直接のつながりをもたない、回想と内省の「遠いエコー」として書かれました。過去か未来、あるいは両方の「幻影」。東方の砂漠にひとりでいる孤独という「ヨセフの現実」が、ラトビアの詩人で劇作家のライニスの作品に近い視点で描かれます。
 
価格 2,530円(税込価格)(本体価格 2,300円)

『神聖な愛』
Skani SKANI 150 classical

 
ルツィーヤ・ガルータ(1902–1977)
 Debess un jūra(空と海)(1926)
 Kaut spētu!(私にできさえすれば)
 Vakara blāzmā(夕映に)(1932)
 Meitēn, manu meitenīt(ああ、私の大切な女の子)(1933)
 Jel labāk nerunā(しゃべらないほうがいい)(1927)
 Šķiroties(別れ際)(1932)
 Ej, saulite, driz pie Dieva(さあ早く神のところへ行け、愛しの太陽よ)
 Kaukāza bērna dziesma svešumā(異国のコーカサスの子供の歌)(1932)
 Šūpuļa dziesma kalnu bernam(山の子供の子守歌)
 Džanemas dziesma(ジャネマの歌)(1928)
 Grūtā brīdī(困難な瞬間に)(1932)
 Aija dziesmina(子守歌)
 Rudens(秋)(1937)
 Lietiņš(小雨)(1939)
 Dzimtene pavasarī(生まれ故郷は春に)(1935)
 Pavasaris nāk(春はもうじき)
 Devēji(提供者)(1967)
 Mēness laiva(月の舟)(1940)
 Tu atkal te!(またやって来たね)(1933)
 Svētā mīla(神聖な愛)(1929)
  ユリヤ・ヴァシリエヴァ(ソプラノ)
  マーリス・スクヤ(ピアノ)

 
ルツィーヤ・ガルータ Lūcija Garūta(1902–1977)は音楽学者の間で、ラトビアのジェルメーヌ・タイユフェールとも呼ばれています。ガルータが学生になったばかりのころ、フランスで起きた新しいトレンドに興味をもち、海外で学ぶ夢をもっていたことが、いわゆる「フランス六人組」の作曲家とくらべられる理由だと言われています。彼女は、ラトビア音楽院を卒業後、パリで、アルフレッド・コルトーと、ドビュッシーの友人だったイシドール・フィリップにピアノ、作曲家で指揮者のポール・ル・フレムに管弦楽法を学び、二度目にフランスに渡った際にはエコールノルマル音楽院のポール・デュカスに作曲法を師事しました。
 
このガルータの歌曲アルバムのマーリス・スクヤ Māris Skuja は、ガルータにピアノを学びました。「ガルータの音楽を伝えるという使命は、精薄さに戦いを挑むことだ。現代の音楽は多様な効果に長けてはいるが、ややもすると実質に欠ける。対照的にガルータの音楽は、内容が豊かだ」(マーリス・スクヤ)。彼のステージ・パートナーのソプラノ歌手、ユリヤ・ヴァシリエヴァ Julija Vasiljeva が共演。比較的初期の1926年に書かれた《空と海》に始まり、ガルータが生涯にわたって作りつづけた「小世界」の作品が20曲、初めてのスタジオ録音を含むプログラムで歌われます。
 
価格 2,530円(税込価格)(本体価格 2,300円)

『Symmetria Pario: Creation』
Yarlung YR-84165 contemporary/classical

 
クラリス・アサド(1978–)
 Symmetries
メフメト・サンリコル(1974–)
 Seven Sufi Vignettes
馬渕侑子
 Evolution of the One
リッキー・ケジ(1981–)
 Arambhah
アダム・ナイト・ギルバート(1961–)
 Triptych at the Beginning of Time
セシーリア・ダムストレム(1988–)
 Cura
ハリソン・バートウィッスル(1934–2022)
 Oockooing Bird
ミッシー・マッツォーリ(1980–)
 Dissolve, O my Heart(ピアノ・ソロのための)
ハナ・ケンドール(1984–)
 Weroon Weroon(ヴァイオリン・ソロのための)
  ペッカ・クーシスト(ヴァイオリン)
  ヨーナス・アホネン(ピアノ)
 
録音 2022年8月5日–7日 Samueli Theater at Segerstrom Center for the Arta(コスタメサ、カリフォルニア州)
エグゼクティヴ・プロデューサー ラッセル・ウォード

 
フィンランドのヴァイオリニスト、ペッカ・クーシスト Pekka Kuusisto(1976–)と、彼も参加したアイヴズの『コンコード・ソナタ』(BIS SA-2249)のピアニスト、ヨーナス・アホネン Joonas Ahonen(1984–)の共演によるアルバム『Symmetria Pario: Creation』。音楽に表現される宇宙の起源、世界の異なる文化のさまざまな創造の物語によって「物事の始まり(beginnings of things)」を探ってみたという企画です。
 
「創造の物語」を語る9人の作曲家。ブラジルのクラリス・アサド Clarice Assad 、トルコのメフメト・サンリコル Mehmet Sanlikol、日本の馬渕侑子、インドのリッキー・ケジ Ricky Kej、アメリカのアダム・ナイト・ギルバート Adam Knight Gilbert とミッシー・マッツォーリ Missy Mazzoli、フィンランドのセシーリア・ダムストレム Cecilia Damström、イギリスのハリソン・バートウィッスル Harrison Birtwistle とハナ・ケンドール Hannah Kendall と、それぞれに文化的背景をもった音楽家たちです。9曲のうち6曲は、このアルバムのための「世界の創造の瞬間」をイメージした音楽として委嘱されました。
 
価格 2,750円(税込価格)(本体価格 2,500円)

『クリスチャン・スヴァルヴァール』
Ladybird 79556870 pop/classical

 
『クリスチャン・スヴァルヴァール』
 Anthem(Benny Andersson)*
 I Let the Music Speak(Benny Andersson)**
 I Wonder(Benny Andersson)**
 Money, Money, Money(Benny Andersson)**
 Stockholm by Night(Benny Andersson)
 Someone Else’s Story(Benny Andersson)*
 Chess(Benny Andersson)*
 Ett Herrans underverk(Benny Andersson)***
 Flickornas Rum(Benny Andersson)
 Intermezzo No.1(Benny Andersson)**
 Vilar glad, i din famn(Benny Andersson)
 You and I(Benny Andersson)*
  クリスチャン・スヴァルヴァール(ヴァイオリン)
  ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団
  アンデシュ・ベリルンド(指揮)
 
[ミュージカル『Chess(チェス)』から */ABBA のレパートリーから **/ミュージカル『Kristina från Duvemåla(ドゥヴェモーラのクリスティーナ)』から ***]
 
録音 2022年9月7日–8日 ヘンリー・ウッド・ホール(ロンドン、イングランド)
制作 ユーハン・ランドクヴィスト
録音エンジニア デーヴ・ローウェル

 
スウェーデンのヴァイオリニスト、クリスチャン・スヴァルヴァール Christian Svarfvar(1982–)は、王立ストックホルム音楽大学を卒業後、ニューヨークのジュリアード音楽院でロバート・マンに学びました。2005年に修了。ストックホルム・コンサートホールとヨーロッパ・コンサートホール機構の2008年の「Rising Star」に選ばれました。グリーグの3つのヴァイオリン・ソナタ(Sterling CDA 1684-2)で録音デビュー。ローランド・ペンティネンと共演した2016年の『夢のあとに』(BIS SA-2183)が、スウェーデンを代表する新聞「Dagens Nyheter」から「最優秀アルバム」に選ばれるなど、各国で高評価を獲得しました。ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団と共演したブルッフの《ヴァイオリン協奏曲第1番》とステーンハンマルの《2つの感傷的なロマンス》(Rubicon Classics RCD 1033)、J・S・バッハの曲をスウェーデンの作曲家ユーハン・ウッレーンが「再作曲」した『無限のバッハ』(RCD 1053)も注目され、話題を呼びました。
 
「The Symphonic Touch of Benny Andersson」のサブタイトルをつけた新作は、スウェーデンのスーパーグループ「ABBA」のメンバーのひとり、ベニー・アンデション Benny Andersson とのコラボレーション・アルバムです。世界を熱狂させた《Money, Money, Mone》などの ABBA のナンバー、ティム・ライスの台本に作曲した『Chess(チェス)』と ABBA のビョーン・ウルヴェウス Björn Ulvæus とコラボレートした『Kristina från Duvemåla(ドゥヴェモーラのクリスティーナ)』の2つのミュージカルから選んだナンバーの12曲。アンデシュ・ベリルンド Anders Berglund が編曲、フル編成のロンドン・フィルハーモニック管弦楽団を指揮して共演しています。
 
価格 2,365円(税込価格)(本体価格 2,150円)

『Medan natten sånkte sin Sammet』
Ladybird 79556872 jazz

 
『Medan natten sånkte sin Sammet – Jenny Almsenius sjunger Povel Ramel』
 Underbart är kort(素敵なことは短くて)
 Droppen från New Orleans(ニューオーリンズのしずく)
 Blås på det onda(悪いものにひと吹き)
 Fåglarna har fel(鳥は間違っている)
 Det bästa och det sämsta(最良と再悪)
 Varför är Louise så blyg?(なぜルイーセは恥ずかしがり屋なのか)
 Den sista jäntan(最後の少女)
 Följ mej bortåt vägen(道の向こう側をついておいで)
 Den allra bästa musiken(このうえない音楽は)
  イェンニ・アルムセニウス(ヴォーカル、ハーモニカ)
  ダニエル・ティリング(ピアノ、バッキングヴォーカル)
  ユーハン・ベンクトソン(ベース、バッキングヴォーカル)
  ファビアン・リース・リンドブラード(ドラム、
   バッキングヴォーカル、ヴォーカル *)
  ユーナス・クヌートソン(サクソフォーン)
  アンナ・ルービンステイン(ヴィオラ・ダモーレ)
  アンナ・カールソン(ヴィオラ・ダモーレ)
 
録音 2022年6月29日–30日、7月1日 スタジオ・ドゥービアス(Studio Dubious)(ストックホルム)
制作 イェンニ・アルムセニウス
録音エンジニア マックス=モンス・ヴィークマン、シモン・ビョルクルンド(弦楽)
ミクシング マックス=モンス・ヴィークマン
マスタリング クラース・ペーション

 
「歌の国」と呼ばれるスウェーデンでは、中世から現代までそれぞれの時代に、吟遊詩人やシンガーソングライターと呼ばれる音楽家たちが活躍して人々に親しまれました。『フレードマンの手紙』と『フレードマンの歌』で知られるカール・ミーケル・ベルマン Carl Michael Bellman(1740–1795)やエーヴェット・トーブ Evert Taube(1890–1976)といった人たちの歌は、今も、人々の生活の中で歌い継がれています。
 
ポーヴェル・ラメル Povel Ramel もそうした人気音楽家のひとりです。1922年にストックホルムで生まれ、2007年にリディンゲで没するまで、レビュー作家、作曲家、ピアニスト、シンガー、コメディアン、俳優として多彩に活動、気の利いた歌詞や悲痛な歌詞に遊び心をまじえた曲をつけ、親しまれました。
 
『Medan natten sånkte sin Sammet』(夜のビロードがおりている間に)と題したこのアルバムではシンガーソングライターのイェンニ・アルムセニウス Jenny Almsenius(1984–)が、ラメルの歌を9曲歌っています。《Underbart är kort(素晴らしいことは短い)》は、モニカ・セッテルルンド、コルネリス・ヴレスヴィーク、ヨハンナ・グリュスネル、ザ・リアル・グループたちに歌われ、《Den sista jäntan(最後の少女)》もセッテルルンドの愛唱歌のひとつでした。イェンニ・アルムセニウスはヨーテボリ生まれのヴァールベリ育ち。ポップ、ショー・ミュージック、ブルースをミックスした歌をスウェーデン語で歌い、2018年にコルネリス・ヴレスヴィーク協会が若いソングライターに贈るレコード賞の最初の受賞者に選ばれました。2023年4月12日のストックホルムのファっシングでのコンサートを皮切りに8月まで、このアルバムのリリース・ツアーが予定されています。
 
価格 2,365円(税込価格)(本体価格 2,150円)

『Inner View』
NXN Recordings NXN 2010 jazz

 
『Inner View』
 Biom I: Løvtrær Biom II: Barskog Biom III: Tundra Bidevind
 Bismaksprøve Bismaskvals Bibringeren Bi litt!
  アンデシュ・ロンネ・グロンセット(サクソフォーン)
  Multiverse(マルティヴァース)
   ヘイデン・パウエル(トランペット)
   エスペン・ベルグ(ピアノ)
   アウドゥン・エリングセン(ベース)
   アイナル・スケーヴィング(ドラム)
   デイヴィッド・スキナー(ホーナー・ピアネット、クラヴィネット)
 
録音 (不明)

 
ノルウェーのジャズ・シーンで注目されているアンデシュ・ロンネ・グロンセット Anders Lønne Grønseth(1979–)と、彼のバンド「Multiverse(マルティヴァース)」の『Outer View』(NXN 2009)につづくアルバム第4作。「Multiverse」は、ヘイデン・パウエル Hayden Powell のトランペット、エスペン・ベルグ Espen Berg のピアノ、アウドゥン・エリングセン Audun Ellingsenb のベース、アイナル・スケーヴィング Einar Skeving のドラムに、”electro-mechanical” の「ホーナー・ピアネット Hohner pianet」とクラヴィネットを弾くデイヴィッド・スキナー David Skinner を加えた “extended’ で演奏、作曲とインプロヴィゼーションを対比させながら「混沌」の世界を展開するという前作のスタイルを推し進めるアルバムとして作られました。
 
価格 2,695円(税込価格)(本体価格 2,450円)

『In the Spirit of Toots』
Prophone PCD 319 jazz 

 
『In the Spirit of Toots』
 Days of Wine and roses(Henry Mancini/Johnny Mercer)
 Waltz for Sonny(Toots Thielemans)
 Sultry Serenade(Duke Ellington)
 Midnight Cowboy(John Barry)
 Sophisticated Lady(Duke Ellington)
 Empoli(Filip Jers)
 Toots blues no.442(Filip Jers)
 For My Lady(Toots Thielemans) 
 Dansen på Sunnanö(Evert Taube)
 Lite grann från ovan(Lasse Dahlquist)
 Vem kan segla förutan vind(Traditional)
 Bluesette(Toots Thielemans)
 Hard to Say Goodbye(Toots Thielemans)
 Jätten Jorms sång(Toots Thielemans)
  フィーリプ・イェーシュ(ハーモニカ)
  カール・バッゲ・トリオ
   カール・バッゲ(ピアノ)
   マッティン・ホーペル(ベース)
   クリス・モントゴメリ(ドラム)
   
編曲 フィーリプ・イェーシュ、カール・バッゲ・トリオ 
録音 2022年12月13日 アトランティス・スタジオ(Atlantis Studio)(ストックホルム)
制作 フィーリプ・イェーシュ
録音エンジニア カッレ・グスタフソン
ミクシング ニクラス・リンドストレム

 
フィーリプ・イェーシュ Filip Jers(1986–)は、18歳の時、2005年にドイツのトッシンゲンで行わた国際ハーモニカ・フェスティヴァルに出場してワールド・チャンピオンに選ばれました。以来、録音セッションに参加したりハーモニカを教えたりと、フリーランスのミュージシャンとして活動、ヨーロッパとアメリカ、日本、カナダなど30カ国をツアーで訪れました。2011年、初のハーモニカ奏者として学んだ王立ストックホルム音楽大学のジャズ科修士課程を修了して修士号を取得しました。ジャズ、ブルース、フォークとトラッド、ポップ、クラシカルとさまざまなジャンルを行き来する作曲と即興をこよなく愛していると言い、ヤン・ルンドグレーン、ヤン・アッラン、ゲオルク・リーデルたちスウェーデンを代表するミュージシャンと共演を重ねてきました。
 
カール・バッゲ・トリオ Carl Bagge Trio と共演した『In the Spirit of Toots』は、「トゥーツの精神で」のタイトルの示すとおり、スウェーデンでも愛されたベルギーのハーモニカ奏者、トゥーツ・シールマンス Toots Thielemans(1922–2016)へのトリビュート・アルバムとして作られました。ヘンリー・マンシーニとジョニー・マーサーの《酒とバラの日々》、デューク・エリントン、ジョン・バリーの《真夜中のカウボーイ》、シンガー・ソングライターのエーヴェット・トーブの《Dansen på Sunnanö(スンナノのダンス)》、ラッセ・ダールクヴィストの《Lite grann från ovan(上からちょっとだけ)》、伝承曲《Vem kan segla förutan vind(風がなくて誰が船を出せるだろう)》、トゥーツ・シールマンスの《Jätten Jorms sång(イェッテン・ヨルムの歌)》など5曲にイェーシュの自作を加えたプログラムで演奏されます。
 
価格 2,365円(税込価格)(本体価格 2,150円)

『Tutti Off Duty』
Skani SKANI 143 jazz

 
『Tutti Off Duty』
 Apziņa (Awareness)(Kārlis Auziņš)
 Zug Nach Pankow(Matīss Čudars)
 Road To Nowhere(Kārlis Auziņš)
 Dribblin’(Matīss Čudars) Steppenwolf(Kārlis Auziņš)
 Otrais Septembris(Matīss Čudars)
 Serenāde(Matīss Čudars)
 Riņķa dancis (Circle Dance)(Matīss Čudars)
 Lament(Matīss Čudars) Tutty Duty(Matīss Čudars)
 Works(Matīss Čudars)
  アウズィンシュ・チュダルス・アルチュニアン・トリオ
   カールリス・アウズィンシュ(サクソフォーン、バスクラリネット)
   マティース・チュダルス(エレクトリック・ギター)
   イヴァルス・アルチュニアン(パーカッション)
 
録音 2020年8月31日–9月2日 Sounddivision(リガ、ラトビア)
制作 クリシュス・ヴェイスマニス

 
デンマーク・ジャズを学んだカールリス・アウズィンシュ Kārlis Auziņš、アムステルダムの音楽院で学んだマティース・チュダルス Matīss Čudars、パリでキャリアを積んだイヴァルス・アルチュニアン Ivars Arutyunyan。それぞれが熟達した国際的にも知られるジャズ・ミュージシャンによるトリオは、現代クラシカル音楽の作曲を学んだことを背景にした自由な即興を重要な要素に活動し、生エネルギー、エモーション、刺激的なアイデアとコンセプトに基づく、ジャンルレスの音世界の創造を追求しています。エレクトロニクスや特殊奏法を使いながらも人間の声との関係やメロディの要素を留めていることは、合唱音楽の長い伝統をもつラトビアの音楽家としての心のあり方の反映とみなされています。2018年のデビューアルバム『Baltic』でラトビア音楽録音産業賞「Zelta Mikrofons」の年間最優秀ジャズ・アルバム賞を受賞。2021年にはクリスツ・アウズニエクスの「サクソフォーン、エレクトリック・ギターと打楽器のため」の《心の大聖堂》(SKANI 091)に参加しました。『Tutti Off Duty』は、COVID–19 のパンデミックの期間に企画、録音された、フル・アルバムの第2作です。別々に創られた断片と曲が、リガのスタジオで作品に仕上げられました。
 
価格 2,530円(税込価格)(本体価格 2,300円)

『I Watch You Sleep』
Stunt Records STUCD 23012 jazz

 
『I Watch You Sleep』
 I Watch You Sleep(Claire Martin)
 Autumn in New York(Vernon Duke)
 It’s Only a Paper Moon(Harold Arlin/Yip Harburg/Billy Rose)
 For Ev’ry Man There’s a Woman –  It Was Written in The Stars
 (Harold Arlen/Leo Robin)
 Round About
 I’ll Always Leave the Door a Little Open(Richard Rodney Bennett/
  Johnny Mandel/Franklin Roosevelt Underwood)**
 I Wish I’d Met You(Richard Rodney Bennett/Johnny Mandel/
  Franklin Roosevelt Underwood)**
 Don’t Play Games with Love ** Goodbye for Now(P.O.D.)
 Early to Bed I Never Went Away(Richard Rodney Bennett)
 Let’s Go and Live in the Country(Richard Rodney Bennett)
 Not Exactly Paris(Nancy laMott)
 My Ship(Kurt Weill/Ira Gershwin)*
 I Wonder What Became of Me(Harold Arlin/Johnny Mercer)†
 It Was Written in the Stars(Harold Arlin/Johnny Mercer) †
  クレア・マーティン(ヴォーカル)
  ロブ・バロン(ピアノ) マット・スケルトン(ドラム)
  ジェレミー・ブラウン(ベース)
  ライアン・キグリー(フリューゲルホルン)
  ロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団
  スコット・ダン(指揮、ピアノ †)
 
編曲・オーケストレーション スコット・ダン、スコット・ダン&リチャード・ロドニー・ベネット *、ロブ・バロン&スコット・ダン **
録音 2022年8月24日–25日 ブラックヒース・コンサートホール(ロンドン、イングランド)

 
2018年の「ベスト・ヴォーカリスト賞」をはじめ「英国ジャズ賞(Brtiish Jazz Awards)を8回受賞したイギリスのジャズ・ヴォーカリスト、クレア・マーティン Claire Martin の Stunt Records 第3作。イギリスの作曲家、ミュージシャンのリチャード・ロドニー・ベネット Richad Rodney Bennett(1936–2012)へのトリビュート・アルバムとして作られ、2012年からハリウッド・ボウル管弦楽団のアソシエイト・コンダクターを務め、ピアニストでもあるアメリカのスコット・ダン Scott Dunn が、ロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団を指揮して共演しています。
 
価格 2,585円(税込価格)(本体価格 2,350円)

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