December 2024
『ドイツ・レクイエム』
Chandos CHSA 5271 SACD hybrid (Multichannel/stereo) classical
ヨハネス・ブラームス(1833–1897)
ドイツ・レクイエム(Ein deutsches Requiem) Op.45
(ソプラノ、バリトン、混声合唱と管弦楽のための)
ヨハンナ・ヴァルロート(ソプラノ)
ブライアン・マリガン(バリトン)
エドヴァルド・グリーグ合唱団
ベルゲン・フィルハーモニック合唱団
コレギウム・ムジクム合唱団
ホーコン・マッティ・スクレーデ(合唱指揮)
ベルゲン・フィルハーモニック管弦楽団
エドワード・ガードナー(指揮)
録音 2024年3月20日–22日 グリーグホール(ベルゲン、ノルウェー)
ベルゲン・フィルハーモニック管弦楽団は、2024年3月21日と22日のグリーグホールのコンサートでベートーヴェンの《ヴァイオリン協奏曲》(イザベル・ファウストのソロ)とブラームスの《ドイツ・レクイエム》をエドワード・ガードナーの指揮で演奏しました。この機会にセッション録音された《ドイツ・レクイエム》が Chandos Records からリリースされます。グリーグの作品集(CHSA 5232)を録音したエドヴァルド・グリーグ合唱団をはじめとするベルゲンの合唱団の共演です。
ソプラノのヨハンナ・ヴァルロート Johanna Wallroth(1993–)は、スウェーデン生まれ。王立スウェーデン歌劇場のバレエ・クラスと児童合唱グループで学びました。2016年からウィーン国立音楽大学に留学、卒業しました。オペラ・デビューは、2013年。ストックホルムのウルリクスダール宮廷劇場で上演された《フィガロの結婚》でバルバリーナ役を歌いました。ウィーンでは《オルフェオとエウリディーチェ》のエウリディーチェ、《コシ・ファン・トゥッテ》のデスピーナ、《ヘンゼルとグレーテル》のグレーテルを歌っています。2023年から2025年の BBC Next Generation Artists のひとりに選ばれました。
ブライアン・マリガン Brian Mulligan は、ニューヨーク州エンディコットで生まれました。ジュリアード音楽院とイェール大学で学び、アスペン音楽際、ウルフ・トラップ・オペラ、ラヴィニア音楽際スティーンズ・インスティチュートに参加しました。ジュリアードの学生だった2003年にメトロポリタン歌劇場でシュトラウスの《影のない女》の番人のひとりでプロ・デビュー。ウィーン国立歌劇場、サンフランシスコ歌劇場、チューリヒ歌劇場と出演が続いています。
価格 2,750円(税込価格)(本体価格 2,500円)
『シンディング ピアノ三重奏曲』
cpo 555 375-2 2CD’s classical
クリスチャン・シンディング(1856–1941)
[Disc 1]
ピアノ三重奏曲 ニ長調 Op.23(c1893)
ピアノ三重奏曲 イ短調 Op.64a(pub.1902)
[Disc 2]
ピアノ三重奏曲 ハ長調 Op.87(pub.1908)
6つの小品 (6 Stücke) Op.66(pub.1903)(チェロとピアノのための)
前奏曲(Praeludium) 葬送アンダンテ(Andante funebre)
間奏曲(Intermezzo) 即興曲(Impromptu)
ロマンツェ(Romanze) リトルネッロ(Ritornell)
ハイペリオン・トリオ
ハーゲン・シュヴァルツロック(ピアノ)
オリヴァー・キップ(ヴァイオリン)
カタリーナ・トレー(チェロ)
録音 2020年8月28日–30日、2023年5月13日–14日(ニ長調、イ短調)、2022年4月30日–5月1日(ハ長調)、2023年11月15日–16日(小品) ドイツ放送室内楽ホール(Deutschlandfunk Kammermusiksaal)(ケルン、ドイツ)
『交響曲全集』(Capriccio C 5540)につづき、シンディング Christian Sinding の室内楽録音がリリースされます。優美、表現的、技巧的、鮮やかな楽器書法が特徴的な、美しい「ニ長調」「イ短調」「ハ長調」の《ピアノ三重奏曲》。極めてロマンティックなチェロとピアノのための《6つの小品》は、初録音の作品です。ハイペリオン・トリオ Hyperion Trio は1999年創設のドイツのグループ。ハーゲン・シュヴァルツロック Hagen Schwarzrock のピアノ、オリヴァー・キップ Oliver Kipp のヴァイオリン、カタリーナ・トレー katharina Troe のチェロ。
価格 3,850円(税込価格)(本体価格 3,500円)
『O Listen!』
OUR Recordings 8.226924 contemporary/classical
ウロシュ・クレーク(1922–2008)
3つの秋の歌(Three Autumn Songs)(1991)
O Listen Some deep song Come away
Vörabije(時計がカチカチ)(1997)
Salmo XLII(Desiderium exulis)(詩編42番)(亡命者の望み)(1991)
Samotno ugibanje(孤独の思索)(1987 rev.1998)
Vester, Camenae (わたしはあなたたちのもの、ムーサよ)(1994)
エルセ・マリーエ・ペーゼ(1924–2016)
Korsatser(合唱の楽章)(1951–55 rev.2000)
(ヨン・ホイビュー(1939–) 編曲(2009 rev.2024))
I drømme(夢の中で) Den hvide nat(白夜)
Midsommervise(夏至の歌)
Völo-spa hoc est(これが巫女の予言だ)(1956)
マリア(Maria)(1980)*
Venerari(崇拝される) Amare(愛する) Mirari (驚く)
Pati(苦しむ) Contristari(嘆く) Desidare(つよく願う)
Judicare(審判する) Scire(知る) Orare(祈る)
Sanctificare(浄化する) Vivere(生きる)
デンマーク国立ヴォーカルアンサンブル
マルティナ・バティッチ(指揮)
ヤコプ・スルベア(バス・バリトン)*
アナ・ミルマン(ソプラノ)*
エルセ・マリーエ・ペーゼ(電子音楽)*
録音 2024年4月15日–19日 デンマーク放送(DR)コンサートホール 第2スタジオ(コペンハーゲン)
制作 マイケル・エメリ
録音エンジニア・ミクシング・編集 ミケル・ニューマン
2023年8月、「デンマーク国立ヴォーカルアンサンブル」の首席指揮者にマルティナ・バティッチ Martina Batič(1978–)が就任しました。彼女はスロベニア生まれ。首都リュブリャナとドイツのミュンヘンで教育を受け、スウェーデンのエーリク・エリクソンに学びました。2006年、若い合唱指揮者の「エーリク・エリクソン・コンペティション」で優勝。スロベニア国立オペラ合唱団からキャリアをスタートさせます。スロベニア・フィルハーモニック合唱団を経て、2018年にラジオ・フランスの合唱団の音楽監督に任命されました。
デンマーク国立ヴォーカルアンサンブルとの首席指揮者としての最初のアルバムは、スロベニアの作曲家ウロシュ・クレーク Uroš Krek と、デンマークのエルセ・マリーエ・ペーゼ Else Marie Pade の作品によるプログラムです。
ウロシュ・クレークの音楽について同じスロベニアの作曲家パヴェル・ミヘルチッチは、絶え間ない再生の賜物、と書きました。古典主義者、新古典主義者、ポスト=ロマンティスト、一匹狼、音楽のヒューマニスト、手綱をつけられたペガサスなどさまざまなレッテルを貼られながらも、クレーク自身は、外界と内面から湧き出るインスピレーションによる音楽を重視した作曲を行なったといいます。
1991年の十日間戦争(スロベニア独立戦争)の暴力への回答《3つの秋の歌》。19世紀のスロベニア民謡、アメリカに渡る移民の歌を編曲した《Vörabije(時計がカチカチ)》。「亡命者の望み」の副題をもつ《詩編42番》(第4節「昼も夜も、わたしの糧は涙ばかり」第6節「なぜうなだれるのか、わたしの魂よ」第8節「あなたの注ぐ激流のとどろきにこたえて」第12節「神を待ち望め」)。ヨジェ・ウドヴィッチの詩による《Samotno ugibanje(孤独の思索)》。歌詞が曲の形を規定する、擬声語に似た《Vester, Camenae(わたしはあなたたちのもの、ムーサよ)》。
エルセ・マリーエ・ペーゼは、デンマークの電子音楽分野のパイオニアとして知られ、21世紀になって彼女の音楽が再評価されてきました。《Korsatser(合唱の楽章)》は、独唱とピアノの作品が原曲です。ハンス・ハートヴィ・セードーフ、フルダ・リュトケン、カイ・ホフマンの詩よる3曲を作曲家ホイビュー John Høybye が合唱曲に編曲。このアルバムのため2024年に再編曲を行いました。《Völo-spa hoc est(これが巫女の予言だ)》は、ペーゼの数少ない純粋に声楽のための作品のひとつです。北欧神話の「ラグナロク」をアイスランド語からラテン語に訳した66のスタンザが歌われます。
《マリア》は、ソプラノ、バス・バリトン、「語る」合唱、7つのトロンボーンにエレクトロにクスを組み合わせたエレクトロ=アコースティック作品です。「使徒信条」による11の楽章で構成され、聖母マリアの喜びと苦悩を通じて、第二次世界大戦のトラウマを癒すことが意図されています。アンサンブルのメンバー、ヤコプ・スルベア Jakob Soelberg とアナ・ミルマン Anna Miilmann がソロ、ペーゼが1972年に作ったテープが使われています。
価格 2,475円(税込価格)(本体価格 2,250円)
『クリスマス(Juletide)』
Pro Musica PPC 9085 traditional/early music
『クリスマス(Juletide) - 17世紀ノルウェーの詩によるクリスマスの歌』
Engelbretsdatters Julesang(エンゲルブレツダッテルのクリスマスの歌)
Oluff Linds Nyttårsgave(オルフ・リンの新年の贈り物)
Samuel Bruuns Juleode(サムエル・ブルーンのクリスマス頌歌)
Petter Dass Juleevangelie I(ペッテル・ダスのクリスマスのゴスペル I)
Petter Dass Juleevangelie II(ペッテル・ダスのクリスマスのゴスペル II)
Iver Brinchs Julevise(イーヴェル・ブリンクのクリスマスの歌)
Offvids Trekongerssang(オフヴィの三博士の歌)
Brunsmands Julenattsang(ブルンスマンのクリスマスイブの歌)
Samuel Bugges Vinterrim(サムエル・ブッゲの冬の押韻詩)
Ingeborg Gryttens Juledikt(インゲボルグ・グリュッテンのクリスマスの詩)
バロック・ボレアル
カトリーネ・ボートネル=ビュー(歌、アンティークベル)
オイオン・グローヴェン・ミューレン(歌、アンティークベル)
ヴェーガル・ヴォルダール(ハリングフェレ、フィドル、ヴィオラ、歌)
ウルリク・ガストン・ラーシェン(リュート、歌)
録音 2024年6月16日–18日、8月6日 リスレヴァン(エヴイェ、アウスト=アグデル、ノルウェー)
制作・編集・ミクシング・マスタリング ロルフ・リスレヴァン
「バロック・ボレアル Barokk Boreal」は、ノルウェーの民俗音楽と中世の音楽のグループ。トラッドミュージシャンのオイオン・グローヴェン・ミューレン Øyonn Groven Myhren、カトリーネ・ボートネル=ビュー Catherine Bother-By、トリオ・メディイーヴァルの『クリスマス』(2L 180SABD)に参加したフィドル・プレーヤーのヴェーガル・ヴォルダール Vegar Vårdal、そして、リュート奏者のウルリク・ガストン・ラーシェン Ulrik Gaston Larsen のアンサンブルです。『ペッテル・ダスの歌によるモーセの十戒』(PPC 9081)に次ぐアルバムでは、忘れられ、過去の人となった17世紀ノルウェーの詩人の作ったクリスマスの歌に光が当てられます。冬、天使たち、星、クリスマスイブ、月明かり、馬小屋、飼い葉桶、太陽の下での魚釣り、地の平和……。イーヴェル・ブリンクやインゲボルグ・グリュッテンといった当時知られていた詩人たちは、記憶にあったいろいろなメロディに沿って歌詞を作り、それが詩を手にする人にも伝わることを想定していたといわれます。このプロジェクトのためバロック・ボレアルは、17世紀に書かれたフォークの演奏スタイルの文献をあたり、詩人たちの詩を「小さな子供が楽しく歌える」作品に作りました。古楽のヴェテラン、ロルフ・リスレヴァン Rolf Lislevand のプロデュースです。
価格 2,750円(税込価格)(本体価格 2,500円)
『Who We Are』
Simax PSC 1401 jazz/classical
『Who We Are』
マリウス・ネセット(1968–)
Who We Are Part 1 - Beginning Who We Are Part 2 - Legacy
Who We Are Part 3 - Uncertainty Who We Are Part 4 - Evolution
Waterfall Jig
Introduction to Prague’s Ballet Prague’s Ballet
Road to Polaris Part 1
Chaconne Part 1 Chaconne Part 2 Chaconne Part 3
マリウス・ネセット(テナーサックス、ソプラノサックス)
ライフ・オーヴェ・アンスネス(ピアノ)
ルイーザ・タック(チェロ)
イングリ・ネセット(フルート)
録音 2023年12月 レインボースタジオ(Rainbow Studio)(オスロ、ノルウェー)
制作・ミクシング・マスタリング ヨルン・ペーデシェン
録音エンジニア マッティン・アブラハムセン
『Who We Are』は、国際的な舞台で活躍するノルウェーのアーティストふたり、ピアニストのライフ・オーヴェ・アンスネス(レイフ・オヴェ・アンスネス) Leif Ove Andsnes とサクソフォーン・プレーヤーで作曲家のマリウス・ネセット Marius Neset のコラボレーションによる初めてのスタジオ録音によるアルバムです。ふたりは、クラシカルとジャズという異なるジャンルで活動しモデルとする表現語法スタイルも違いながらも、音楽に対する感覚とアプローチには似たところがあります。このアルバムでふたりは、語り口の類似点と共通して目ざすことを探り、追い求めていきました。
プログラムの曲はすべてネセットの作品です。《Who We Are》は、「Beginning」(最初)「Legacy」(レガシー)「Uncertainty」(不確実なこと)「Evolution」(進化)の4つの部分からなり、ノルウェーが COVID-19 のロックダウンに入る直前に「Legacy」から作曲が始められました。「われわれという人間が作られるのに役立ったあらゆること、レガシー」。「これが私たちだ」の曲名はここから生まれました。サクソフォーン・ソロの数カ所のインプロビゼーション以外、すべて記譜による作品です。
マリウスの妹、スタヴァンゲル交響楽団の首席フルート奏者だったイングリ・ソフテラン・ネセット Ingrid Søfteland Neset が2017年にコペンハーゲンで行ったデビューコンサートのために作曲された《Road to Polaris Part 1》。長三度と短三度の間を行き来するシンプルな三和音による、2023年秋に作曲の《Chaconne》。もっとも最近書かれた、三連符を際立たせるリズミカルな《Waterfall Jig》(滝のジグ)。この3曲は、この録音が初めてのリリースです。《Introduction to Prague’s Ballet》と「モーツァルトの《レクイエム》からハーモニーのインスピレーションを得た」《Prague’s Ballet》は、ネセット・クインテットの『Circle of Chimes』(ACT 9038-2)に含まれていた曲です。
アルバムの曲は「カルテット」と「デュオ」で演奏され、オスロ・フィルハーモニック首席チェロ奏者のルイーザ・タック Louisa Tuck とイングリ・ネセットが加わります。録音セッションの行われた「レインボースタジオ」は、数々のジャズ録音に使われてきた有名なスタジオです。
価格 2,750円(税込価格)(本体価格 2,500円)
『Unravel Tradition(伝統を解きほぐす)』
Simax PSC 1402 classical
エヴァ・ホルム・フースネス(1983–)
歌曲集《Indian Love Songs(インドの愛の歌)》
(メゾソプラノと弦楽四重奏のための)*
Indian Love Song(インドの愛の歌)
In the Bazaar of Hyderabad(ハイデラバードの市場で)
Song of a dream(夢の歌)
ジョン・アイアランド(1879–1962)
Earth’s Call (A Sylvan Rhapsody)(大地の呼び声(森のラプソディ))**
アルフ・フールム(1882–1972)
白夜(Blonde nætter)(メゾソプラノと弦楽四重奏のための)*
オットリーノ・レスピーギ(1879–1936)
日没(Il Tramonto)*
ミッシー・マッツォーリ(1980–)
Angela’s Confessional(アンジェラの告白)(《The Listeners》から)**
クルト・ヴァイル(1900–1950)
I’m a stranger here myself(わたし、何も知らなくて)**
エイトル・ヴィラ=ロボス(1887–1959)
ジャンゴ(Xangô)**
トーネ・クンメルヴォル(メゾソプラノ)
ヴェルターヴォ四重奏団 *
オイヴォル・ヴォッレ(ヴァイオリン)
アナベル・ミアー(ヴァイオリン)
ベーリト・カルダス(ヴィオラ) ビョルグ・ルイス(チェロ)
クヌート・エーリク・イェンセン(ピアノ)**
録音 2022年11月、2023年9月、2024年5月 ノルウェー国立オペラ・バレエ劇場(オスロ歌劇場)(オスロ)
録音エンジニア・マスタリング ヨルン・ペーデシェン
『Unravel Tradition(伝統を解きほぐす)』は、ノルウェーのメゾソプラノ歌手、トーネ・クンメルヴォルのデビュー・アルバムです。彼女のレパートリーのさまざまな面を紹介し、そのなかには彼女のために書かれた世界初録音の曲も含まれています。
トーネ・クンメルヴォル Tone Kummervold は、オスロで生まれ、トロンハイムのノルウェー工科自然科学大学(NTNU)とエリサベト・ノルベルグ=シュルスの教えるスタヴァンゲル大学で学びました。2009年にノルウェー国立オペラにデビュー、《ルサルカ》の第3のニンフ役を歌いました。翌年《エフゲニー・オネーギン》のオルガ役でさらに才能を示し、2012年/2013年のシーズンから国立オペラのソリスト・アンサンブルに加わりました。《カルメン》《チェネレントラ》などのタイトルロール、《仮面舞踏会》のウルリカ、《カルメル派修道女の対話》の副修道院長マザー・マリー、カイヤ・サーリアホの《遥かな愛》の巡礼の旅人といった幅広い役を歌っています。2022年には、ミッシー・マッツォーリ Missy Mazzoli がフィラデルフィア・オペラとシカゴ・リリック・オペラの委嘱で作曲した《The Listeners(聞こえる人たち)》のアメリカ初演に先立つ世界初演がオスロで行われ、クンメルヴォルがアンジェラ役を歌いました。プラハ国立歌劇場で上演されたエルヴィン・シュルホフのオペラ《炎》の「死」も観客を魅了したといわれます。ヘンデル《メサイア》やヴェルディの《レクイエム》などのコンサート作品も彼女の重要なレパートリーです。
デビューアルバムのプログラムで最初に歌われる歌曲集《Indian Love Songs(インドの愛の歌)》は、ノルウェーの作曲家エヴァ・ホルム・フースネス Eva Holm Foosnæs が、クンメルヴォルのこのアルバムのために書いた作品です。インドの詩人で社会活動家のサロージニー・ナーイドゥー Sarojini Nardu(1879–1949)の「色彩ゆたかで、詩そのものが歌」という詩が美しい歌曲に作られています。
「A Sylvan Rhapsod(森のラプソディ)」の副題をもつジョン・アイアランド John Ireland の《Earth’s Cal(大地の呼び声)》。レスピーギ Ottorino Respighi の《日没》もフースネスの曲と同じくヴェルターヴォ四重奏団の共演で歌われます。ノルウェーのアルフ・フールム Alf Hurum がヴィルヘルム・クラーグの詩に作曲した《白夜》。美術館のヴィーナス像が恋をして歌うクルト・ヴァイルの《I’m a stranger here myself(わたし、何も知らなくて)》。ヴィラ=ロボス Heitor Villa-Lobos の《ジャンゴ(Xangô)》は、奴隷としてブラジルに連れてこられた黒人たちの火と稲妻の神への賛歌。マッツォーリの《The Listeners》のアリア〈Angela’s Confessional(アンジェラの告白〉〉は、台本を書いたロイス・ヴァヴレク Royce Vavrek と彼女がクンメルヴォルの声を念頭に置いて書いたという歌です。
価格 2,750円(税込価格)(本体価格 2,500円)
『風を追う(Jag etter vind)』
Simax PSC 1411 2CD’s classical
シェティル・ビョルンスタ(1952–)
[Disc 1]
風を追う(Jag etter vind)
Alt er tomhet(すべては空しい)
Forkynneren vil granske livet(わたしは顧みて知恵を見極めようとした)
Visdom og dårskap(知恵と愚行)
Alt har sin tid(何事にも時があり)
Tid og evighet(時と永遠)
Urett og dårskap(不正と愚行)
Det er bedre å være to enn én(ひとりよりもふたりが良い)
Livet er omskiftelig(貧しくても利口な少年の方が)
Vær ikke for snar med munnen(夢を見るのは悩みごとが多いから)
Rikdom kan bli ulykke(銀を愛する者は銀に飽くことなく)
Hør nå hva jeg har funnet!(見よ、わたしの見たことはこうだ)
Hva er visdom(名声は香油にまさる)
Klokt måtehold(この空しい人生の日々に)
Hvem kan finne sammenheng(存在したことは、はるかに遠く)
Mennesket kan ikke fatte Guds verk(何事にもふさわしい時があるものだ)
Alle får samme skjebne(太陽の下に起こるすべてのことの中で)
Den fattiges visdom blir foraktet(知恵は力にまさるというが)
Ordtak om visdom og dårskap(落とし穴を掘る者は自らそこに落ち)
Dåren bruker mange ord(賢者の口の言葉は恵み)
Du vet ikke hva som vil lykkes(あなたのパンを水に浮かべて流すがよい)
Gled deg!(光は快く)
Tenk på din skaper(お前の創造主に心を留めよ)
Alt har sin tid(何事にも時があり)
「風を追う」プロジェクト合唱団
ノーシュトラン音楽クラブ合唱団
GAEA
アマーリ・グラーニ(ソロ)
オスロ大聖堂少年合唱団
三位一体教会少女合唱団
ブリンヤル・オンソレン(バリトン)
ニルス・オークラン(ヴァイオリン、ハリングフェレ)
ハンネ・レクダール(ファゴット)
エレン・ブレッケン(コントラバス)
ヘルゲ・アンドレーアス・ノルバッケン(打楽器)
スヴェン・ペーション(サウンドデザイン)
トーレ・ブロクス(指揮)
[Disc 2]
風を追う(Jag etter vind)(スケッチ)(ピアノによる)
シェティル・ビョルンスタ(ピアノ) [楽器 Piano: C. Bechstein]
録音(Disc 1) 2024年2月10日 オスロ大聖堂(オスロ)(ライヴ録音)
録音エンジニア(Disc 1) アルフ・クリスチャン・ヴィドステーン
録音(Disc 2) 2023年8月 プロペラスタジオ(Propeller Studio)(オスロ)(ライヴ録音)
録音エンジニア(Disc 2) マイク・ハータング
制作 シェティル・ビョルンスタ
マスタリング モルガン・ニコライセン
ジャズピアニストで作曲家のシェティル・ビョルンスタ Ketil Bjørnstad は、《Messe for en såret jord(傷ついた地球のミサ)》がオスロのフログネル教会で1992年に世界初演されたことが、作曲家としての新しい段階の始まりだったと振り返ります。その後、文筆家としての背景を活かした、オラトリオ《クジラの歌》(Grappa GRCD 4328)やポール・ヴァレリーの詩による《海辺の歌》(Simax PSC 1398)といった作品の委嘱を受け、いずれも高く評価されてきました。
新作の『風を追う』は、『旧約聖書』の「エルサレムの王、ダビデの子、コレヘトの言葉」と始まる『コレヘトの言葉(伝道の書)』による作品です。2019年に夫人カタリーナ・ヤコブセンから彼女の「ノーシュトラン音楽クラブ合唱団」の作品を求められたことをきっかけにプロジェクトがスタート。2020年3月12日に始まった COVID-19 のロックダウンの期間、『コレヘトの言葉』の「実存」の局面を重視した編集作業をヤコブセンが行いました。「親密さ、警告、慰め、記念碑的」をミックスした歌詞はビョルンスタにインスピレーションを与え、作曲が進められていきました。
2024年2月10日、オスロ大聖堂。「風を追う」プロジェクト合唱団、女声ヴォーカルアンサンブル「GAEA」、大聖堂と三位一体教会の少年と少女合唱団など、8歳から80歳までの歌い手たちが祭壇を埋め、初演が行われました。バリトン歌手ブリンヤル・オンソレン Brynjar Onsølen とベテランのフィドル弾きニルス・オークラン Nils Økland をはじめとする器楽奏者が参加、「さまざまなところで戦争の行われている世界」を思いながら作品が演奏されました。
このアルバムは《クジラの歌》のスヴェン・ペーション Sven Persson がサウンドデザインを担当した初演のライヴ録音によって作られました。ビョルンスタが歌手とプレーヤーのリハーサルのために録音した「スケッチ」を[Disc 2]に収録。ノルウェー語歌詞と英訳がブックレットに掲載されています(作品と各章のタイトルは「新共同訳」による)。
価格 5,500円(税込価格)(本体価格 5,000円)
『シンディング交響曲全集』
Capriccio C 5540 2CD’s classical
クリスチャン・シンディング(1856–1941)
[Disc 1]
交響曲第1番 ニ短調 Op.21(1887/1892)
交響曲第2番 ニ長調 Op.83(1907)
[Disc 2]
交響曲第3番 ヘ長調 Op.121(1919)
交響曲第4番 Op.129《冬と春(Vinter og Vår)》(1936)
(大管弦楽のためのラプソディ)
ノルショーピング交響楽団
カール=ハインツ・シュテフェンス(指揮)
録音 2023年6月12日–15日(disc 1)、6月17日–21日(disc 2) ルイ・ド・イェール・コンサートホール(ノルショーピング、スウェーデン)
クリスチャン・シンディング Christian Sinding は、1856年、ノルウェーのコングスベルグで生まれました。2年後、一家はリレハンメルに転居、1860年に父が亡くなると母は5人の子供たちを連れてクリスチャニア(現オスロ)に移りました。16歳の時、クリスチャンはピアノ工房で働きはじめ、1874年にライプツィヒの音楽院に留学しました。1882年からミュンヘンで学び、1886年にライプツィヒに戻りました。この時期の終わり近く、彼の作曲した《ピアノ五重奏曲 ホ短調》が、アドルフ・ブロツキー四重奏団とフェルッチョ・ブゾーニによって演奏されました。
シンディングは、《春のさざめき(Frühlingsrauschen)》をはじめとするピアノの小品や《古風な様式のソナタ(Sonate i gammel stil)》などのヴァイオリンとピアノの曲でもっぱら知られ、管弦楽の作品では《ヴァイオリン協奏曲第1番 イ長調》と《ピアノ協奏曲 変ニ長調》がコンサートで取り上げられています。交響曲は4曲が作曲されました。「後期ロマンティシズム」のスタイルということもあり、ヨハン・スヴェンセンの2曲やヨハン・ハルヴォシェンの3曲の「ナショナル・ロマンティシズム」の交響曲にくらべると、LP 録音(Philips/NKF)がリリースされた《第1番》をのぞき、あまり顧みられないできました。
スウェーデンのノルショーピング交響楽団とドイツのカール=ハインツ・シュテフェンス Karl-Heinz Steffens によるアルバムは、ノルウェー放送管弦楽団とアリ・ラシライネン(Finlandia)と、ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニーとトマス・ダウスゴー/北ドイツ放送交響楽団とダヴィッド・ポルライン(cpo)につづく全曲録音です。
価格 3,575円(税込価格)(本体価格 3,250円)
『ジェロンティアスの夢』
Ondine ODE 1451-2D 2CD’s classical
エドワード・エルガー(1857–1934)
ジェロンティアスの夢(The Dream of Gerontius) Op.38(1899–1900)
クリスティン・ライス(メゾソプラノ、天使)
ジョン・フィンドン(テノール、ジェロンティアス、ジェロンティアスの魂)
ロデリック・ウィリアムズ(バリトン、司祭、苦しみの天使)
ヘルシンキ・ミュージックセンター合唱団
ヘルシンキ室内合唱団 ニルス・シュヴェケンティーク(合唱指揮)
ケンブリッジ大学交響合唱団 デイヴィッド・ヤング(合唱指揮)
ドミナンテ セッポ・ムルト(合唱指揮)
ケンブリッジ・クレア・カレッジ合唱団同窓生
グレアム・ロス(合唱指揮)
フィンランド放送交響楽団 ニコラス・コロン(指揮)
録音 2024年4月5日 ヘルシンキ・ミュージックセンター(ヘルシンキ、フィンランド)(ライヴ録音)
フィンランド放送交響楽団と首席指揮者ニコラス・コロン Nicholas Collon の新作。2024年4月5日にヘルシンキ・ミュージックセンターで演奏されたエルガーの《ジェロンティアスの夢》のライヴ録音です。
《ジェロンティアスの夢》は、エルガーが1899年から1900年にかけてジョン・ヘンリー・ニューマン John Henry Newman(1801–1890)の詩に作曲した声楽と管弦楽のための作品です。敬虔な男の魂が死の床を離れ、神の審判を受け、煉獄に至る道程が語られる作品は、1900年のバーミンガム音楽際のために作曲されました。10月3日、ハンス・リヒターの指揮で初演されたものの、準備不足や声楽陣の質に問題があり、批評家たちの一定の評価とは別に、聴衆の支持を得ることができなかったといわれます。その後、ドイツで二度上演されて作品の真価が明らかになり、ニューマンのカトリック神学の詩と相性の良くない英国国教会でも演奏されるようになりました。
フィンランド放送交響楽団のこの公演は、クリスティン・ライス Christine Rice、ジョン・フィンドン John Findon、ロデリック・ウィリアムズ Roderick Williams の3人と、オルガニストでもある指揮者のコロンがオルガン学者を務めていた「ケンブリッジ・クレア・カレッジ」の合唱団の同窓生をイギリスから招いて行われました。
価格 3,575円(税込価格)(本体価格 3,250円)
『Super Blonde』
SteepleChase G 1964 Vinyl LP jazz
『Super Blonde』
[Side A]
Willie the Weeper(Traditional) Smile(Charlie Chaplin)
Golden Earrings(Victor Young) African Flower(Duke Ellington)
[Side B]
Song of a Tree(Kirk Knuffke)
No Moon at All(Redd Evans/David Mann)
Super Blonde(Sun Ra) Heaven(David Byrne/Jerry Harrison)
カーク・クナフキ(コルネット)
ジェイ・アンダーソン(ベース)
トミー・アンデション(ベース)
アダム・ヌスバウム(ドラム)
録音 2023年11月
『Super Blonde』(SCCD 31964)から《Ever Living Root》《I Surrender Dear》《Nature Boy》《Suddenly It’s Spring》の4曲をのぞいた Vinyl LP リリース。
価格 4,785円(税込価格)(本体価格 4,350円)
『Lost in the Shadows』
SteepleChase SCCD 31968 jazz
『Lost in the Shadows』
Hat Trick(Andrew Rathbun) Pinocchio(Wayne Shorter)
Ascent(Andrew Rathbun) Background Music(Warne Marsh)
Distant Mirror(Andrew Rathbun) Hopscotch(Joe Chambers)
Strumsong(Andrew Rathbun) I Love Music(Emil Boyd)
Lost in the Shadows(Andrew Rathbun) Association(Nate Radley)
アンドルー・ラスバン(テナー・サクソフォーン、ソプラノ・サクソフォーン)
ネイト・ラドリー(ギター) ジェイ・アンダーソン(ベース)
ビリー・ドラモンド(ドラム)
録音 2023年12月
アンドルー・ラスバン Andrew Rathbun は、カナダのトロント生まれ。サクソフォーン・プレーヤー、作曲家、バンドリーダーとして彼の世代のもっとも創造的で完成されたひとりに挙げられています。彼のテナーサックスとソプラノサックスのプレイは、リリシズムの深さ、信頼できるスウィング、確実な知性が評価されてきました。2018年と2022年に「Downbeat Critics Poll」で “Rising Star” に選ばれました。ボストンのニューイングランド音楽院でジョージ・ガーゾン、ジミー・ジュフリー、ジョージ・ラッセルに学び、修士号を取得。2012年からカラマズーの西ミシガン大学でサクソフォーンとジャズ研究の教授を務めています。『Lost in the Shadows』は、SteepleChase レーベルへの彼の10作目のリーダーアルバムです。ジェイ・アンダーソン Jay Anderson のベース、ビリー・ドラモンド Billy Drummond のドラムによるトリオを基本に、8つのトラックにネイト・ラドリー Nate Radley のギターが加わります。
価格 2,420円(税込価格)(本体価格 2,200円)
『Mythology』
SteepleChase SCCD 31971 jazz
『Mythology』
Coming of Age(Steve Johns) Sapphire(Steve Johns)
This Is the Thing(John Hart) Make Me Rainbows(John Williams)
Our Time(Joris Teepe) Bluesday the 13th(Greg Murphy)
Compared to What(Gene McDaniels)
In My Humble Opinion(Joris Teepe) Friday the 16th(Steve Johns)
Rivers Edge(Steve Johns) Mythology(Steve Johns)
スティーヴ・ジョンズ(ドラム)
モンテ・クロフト(ヴィブラフォーン、ハーモニカ、ヴォーカル)
ジョン・ハート(ギター) グレグ・マーフィ(ピアノ)
ヨリス・ティープ(ベース)
録音 2024年2月
スティーヴ・ジョンズ Steve Johns は、1960年、マサチューセッツ州ボストンで生まれました。1977年からアラン・ドーソンに教わり、1979年から1982年までニューイングランド音楽院で学びました。在学中の1982年にノートルダム大学ジャズフェスティヴァルで優秀ドラマー賞を獲得。同年、ニューヨークに移りました。ジョン・ヒックス、ラリー・コリエル、ベニー・カーターたちと共演。カウント・ベーシー・オーケストラの全米ツアー、ギル・エヴァンズ・オーケストラとガンサー・シュラーの指揮するミンガス・エピタフ・オーケストラのヨーロッパ・ツアーに参加しました。
『Mythology』は、ジョンズの初めてのリーダー・アルバムです。このアルバムでは彼の作曲家としての才能も示されます。アルバム最初に演奏される《Coming of Age》は、彼が参加したロン・マクルーアの『Just Sayin’』(SCCD 31959)のプログラムに含まれていた曲です。モンテ・クロフト Monte Croft のヴィブラフォーン、ハーモニカ、ジョン・ハート John Hart のギター、グレグ・マーフィ Greg Murphy のピアノ、オランダ出身でニューヨークを拠点に活動するヨリス・ティープ(ヨリス・テーペ) Joris Teepe がベースで加わっています。4曲目に演奏される《Make Me Rainbows》は、ジョン・ウィリアムズが「ジョニー・ウィリアムズ」の名で活動していたころ音楽を担当した1967年の映画『Fitzwilly』(邦題『ニューヨーク泥棒結社』)の一曲です。
価格 2,420円(税込価格)(本体価格 2,200円)
『Echoes』
Dacapo 8.224740 jazz
『Echoes』
ラース・ムラー(1966–)
Salt(2019) Brazilian Aria(2019)
Echoes of India(2019) Folk Song No1(2006 rev.2019)
ラース・ムラー(テナー・サクソフォーン、指揮)
パレ・ミケルボー(トランペット)
NDR ビッグバンド
録音 2019年8月24日 オーフス・コンサートホール(オーフス、デンマーク)(ライヴ録音)
追加録音 2020年11月16日–18日、12月7日、2022年11月10日–11日(指揮:トルステン・マース) NDR 第1スタジオ(ハンブルク)
制作 アクセル・デュール(NDR)、ミヒャエル・ドライアー(NDR)、ラース・ムラー
録音エンジニア DR(デンマーク放送)
ポストプロダクション(NDR):
制作 クリスティアン・クルクセン
録音エンジニア マヌエル・グロウチェフスキ、スヴェン・コールヴァーゲ
テナーサックス奏者のラース・ムラー Lars Møller は、今日、プレーヤーと作曲家としてスカンディナヴィアのジャズシーンを代表するひとりです。ベーシストのトマス・オーヴェセン、ピアニストのヤコプ・クリストファセン、ドラマーのオーレ・タイルと組んだカルテットで1994年から録音活動を行い、ジョン・アバクロンビー、ニルス・ヘニング・ウアステズ・ペーザセン、ジミー・コッブ、ビリー・ハート、トマス・クラウセン、イェスパー・ロンゴーたちのアルバムでサイドマンとしてプレーしてきました。
『Echoes』は、スカンディナヴィアの内省的ジャズ、たくましいアメリカ・ジャズ、感情に訴えるインド様式を巧みに融合させた彼の作品のショーケースとして作られました。2019年8月にオーフス・コンサートホールでハンブルク放送の「NDR ビッグバンド」(ハンブルク放送ジャズ・オーケストラ)にトランペッターのパレ・ミケルボー Palle Mikkelborg を加えて行われたコンサートのライヴ録音を中心にハンブルクのスタジオでの録音を追加して構成。大きく広がった内的世界と強烈なリズムをあわせもった音世界が展開されていきます。
ムラーとミケルボー、フローリアン・ヴェーバー Florian Weber のピアノとマルシオ・ドクター Marcio Doctor のパーカションのソロをフィーチャーした《Salt》。ブラジル民謡をアダプトした《Brazilian Aria》。《Echoes of India》は〈Hommage〉〈Transition〉〈Passage〉の3部に分かれ、ミケルボー、ヴェーバー、ドラムのモーテン・ロン Morten Lund のソロを加えて演奏。ムラーのもっともよく知られた作品、デンマーク民謡による〈Folk Song No1〉のテナーサックス・ソロをガーボル・ボラ Gabor Bolla が担当しています。
価格 2,530円(税込価格)(税抜価格 2,300円)
『Thanks for lending me the music』
Caprice CAP 21939 contemporary/classical/traditional
『Thanks for lending me the music』
伝承曲(フィールド録音による)
Što si me majko rodila / Why, mother, did you give birth to me?
Nit’ ja spavam, nit’ ja drijemam / I can't sleep, I can't take a nap
Kolo /Round dance (1)
Sastale se i Spreča i Jala / The rivers Spreča and Jala meet each other
Šargija playing
Kolo /Round dance (2)
Alaj sam se rakije natuko / I drank a lot of schnapps
Kladilo se momče i djevojče / A boy and a maiden were betting
Oj, dobro nam jutro osvanulo / Hey, lovely morning is here!
Bosno moja / My Bosnia
Polyphonic male song, older rural tradition
Ej, ljubim žene / Hey, I love women!
Curin prozor kraj prozora moga / The girl’s window is next to my window
Pjevaj pobro i pomalo troši / Sing my brother, and don’t spend a lot of money!
Mene majka jednu ima / My mother has only one daughter
Lolina me milovala ruka / My darling’s hand caressed me
Sve bi na me dozvolila ti si / You let me do everything
Violino moji teški jade / Violin, my serious pain
Teško kenjcu s konj’ma putujući / It is difficult for a donkey to travel with horses
A song about the hero Miloš Zekić
Teraj mala volove sa brega / Maiden, take the bulls off the hill
Pjevaj seko nemoj da te molim / Sing my sister, don’t let me beg you!
Kad mladi vojnik na straži stoji / When a young soldier is on guard
Sarajka devojka majci plakala / A maiden from Sarajevo cried to her mother
Kad baraba zapjeva u Sali / When a merrymaker starts to sign in the hall
Ja u vojsku, hoćeš i ti brate / I’m in the army, will you join too, my brother?
Pivo age pile na Novome / Masters drink beer in Novi
Ružo moja kalemljena / My grafted rose
Kad ja pođoh u mejhanu / When I went to the pub
Rodi majko još jednu ko mene / Mother, give birth to another daughter like me
Kad sarhoši iz mejhane pođu / When the drunkards leave the pub
Lolina me zanimala šala / I wondered how my darling was making jokes
Ezan / Adhan *
フォルケ・ラーベ(1935–2017)
Så att denna sång inte dör(So That This Song Shall Not Die)
(この歌が死なないために)(1997–98)(管弦楽のための)**
ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニック管弦楽団 **
アラン・ギルバート(指揮)**
録音 1963年3月10日 クティ(ボスニア)、3月11日 サラエボ(ボスニア)*、1999年10月28日 ストックホルム・コンサートホール(ストックホルム)(ライヴ録音)**
録音エンジニア フォルケ・ラーベ(フィールド録音)、スウェーデン放送 **
マスタリング トゥールビョーン・イーヴァション
フォルケ・ラーベ Folke Rabe(1935–2017)は、王立ストックホルム音楽大学でブルムダールやリードホルムたちに作曲を学びました。トロンボーン・ソロのための《Basta》、金管五重奏曲《Escalations》、ビートルズの《エリナー・リグビー》を引用したトロンボーン協奏曲《All the Lonely People…》、混声と男声のための合唱曲《Rondes》などが代表作に挙げられています。管弦楽のための《Så att denna sång inte dör》は、彼がボスニアの民謡の伝統からインスピレーションを得て作曲。1999年10月27日と28日に初演された作品です。このアルバムには、その初演のライヴ録音と、彼が1963年にボスニアのクティ村で行った民謡のフィールド録音が合わせて収録されています。
価格 2,695円(税込価格)(税抜価格 2,450円)
『Novel - A Musical Library Vol.1: Contemporary Classical』
The Gothenburg Combo COMBOCD 007 contemporary/classical
イェンニ・ヘトネ(1977–)
Sweet Thursday(楽しい木曜日)(John Steinbeck: Sweet Thursday)
ソフィア・イェーンベリ(1983–)
Grapefruit(グレープフルーツ)(Yoko Ono: Grapefruit)
トマス・リリエホルム(1944–)
28 years in 5 minutes(28年を5分で)(Daniel Defoe: Robinson Crusoe)
スヴェン=ダーヴィド・サンドストレム(1942–2019)
Drink the warmth from my hand(私の手から温もりを飲んで)
(Edith Södergran: Dagen Svalnar)
エーリク・ペーテシュ
Zero Point (no. 6)(起点 (第6番))
(Kristian Lundberg: Jag rör mig mot en nollpunkt där allt är du)
マックス・シェック(1951–)
Fragment 30(断片30)(Herakleitos: On nature)
アンナ=レーナ・ラウリン(1962–)
Rivendell(リヴェンデル(裂け谷))(J.R.R. Tolkien: Lord of the Rings)
アンネ・パユネン(1968–)
Back to Play(戯曲にもどる)(Gertrude Stein: Geography and Plays)
ヘンリク・ストリンドベリ(1954–)
The Favorite Game(気に入りのゲーム)
(Leonard Cohen: The Favorite Game)
アンナ・エーリクソン(1963–)
The Paper Palace(ペーパー・パレス(Paul Auster: Oracle Night)
ヨーテボリ・コンボ
ダーヴィド・ハンソン(ギター、プリペアドギター)
トマス・ハンジ(ギター、プリペアドギター)
「本は、どんな音で響くだろう」。ダーヴィド・ハンソン David Hansson とトマス・ハンジ Thomas Hansy のギター・デュオ「ヨーテボリ・コンボ(The Gothenburg Combo)」は、ずっと、この疑問を抱き、文学作品を音体験に翻訳することを考えていました。『Novel - A Musical Library』のプロジェクトは、その答えとして始められ、スウェーデンを代表する作曲家34人から34の新作が寄せられました。
このプロジェクトは、「コンテンポラリー・クラシカル」「ジャズ」「フォーク/ワールドミュージック」「ポップ」の4部に分かれ、第1巻ではコンテンポラリー・クラシカルの音楽シーンの作曲家に焦点が当てられています。イェンニ・ヘトネ Jenny Hettne、ソフィア・イェーンベリSofia Jernberg、トマス・リリエホルム Thomas Liljeholm、スヴェン=ダーヴィド・サンドストレム Sven-Erik Sandström、エーリク・ペーテシュ Erik Peters、マックス・シェック Max Käck、アンナ=レーナ・ラウリン Anna-Lena Laurin、アンネ・パユネン Anne Pajunen、ヘンリク・ストリンドベリ Hensik Strindberg、アンナ・エーリクソン Anna Eriksson。スタインベックの『楽しい木曜日』、オノ・ヨーコの『グレープフルーツ』、ダニエル・デフォーの『ロビンソン・クルーソー』、エーディト・セーデルグランの『Dagen Svalnar』(日は涼しくなり)、クリスチャン・ルンドベリの『Jag rör mig mot en nollpunkt där allt är du』(すべてがあなたという起点に向かっていく)、ヘラクレイトスの『自然について』、J・R・R・トールキンの『指輪物語』、ガートルード・スタインの『地理と戯曲抄』、レナード・コーエンの『気に入りのゲーム』、ポール・オースターの『オラクル・ナイト』と、バラエティ豊かな文学作品が選ばれました。
価格 2,695円(税込価格)(税抜価格 2,450円)
『Novel - A Musical Library Vol.2: Jazz』
The Gothenburg Combo COMBOCD 008 jazz
ゲオルク・リーデル(1934–)
Tango for One-legged’s(片足のためのタンゴ)
(Sture Dahlström: Tango för enbenta)
イェオリ・”ヨッイェ”・ヴァデニウス(1945–)
Guitar Combo(ギター・コンボ)(Malcolm Gladwell: Blink)
ニルス・ベリ
The Ravens(カラス)(Tomas Bannerhed: Korparna)
ダーヴィド・スタッケネス(1974–)
In Rebus Veritas(真実について)(Luigi Serafini: Codex Seraphinianus)
ローケ・リスベリ
Beloved(ビラヴド)(Toni Morrison: Beloved)
アン=ソフィ・セーデルクヴィスト(1956–)
Theo Decker’s Journey(シオ・デッカーの旅)
(Donna Tartt: The Goldfinch)
リーナ・ニューベリ(1970–)
The Small Things(小さきもの)
(Arundhati Roy: The God of Small Things)
ニーナ・ドエネイ(1962–)
L’écume des Jours(うたかたの日々)(Boris Vian: L’écume des Jours)
ヨーテボリ・コンボ
ダーヴィド・ハンソン(ギター、プリペアドギター)
トマス・ハンジ(ギター、プリペアドギター)
ミクシング、マスタリング オーケ・リントン
ダーヴィド・ハンソン David Hansson とトマス・ハンジ Thomas Hansy のギター・デュオ「ヨーテボリ・コンボ(The Gothenburg Combo)」の文学作品を音体験に翻訳するプロジェクト『Novel - A Musical Library』の第2巻。ゲオルク・リーデル Georg Riedel、イェオリ・”ヨッイェ”・ヴァデニウス Georg "Jojje" Wadenius、ニルス・ベリ Nils Berg、ダーヴィド・スタクネス David Stacknäs、ローケ・リースベリ Loke Risberg、アン=ソフィ・セーデルクヴィスト Ann-Sofi Söderqvist、リーナ・ニューベリ Lina Nyberg、ニーナ・ドエネイ Nina deHeney。ジャズとインプロヴィゼーション・シーンの作曲家たちです。彼らが選んだ文学作品は、ステューレ・ダールストレムの『片足のためのタンゴ』、マルコム・グラッドウェルの『まばたき(第1感)』、トゥーマス・バンネルヘードの『カラス』、ルイジ・セラフィーニの『セラフィーニ写本(コデックス・セラフィニアヌス)』、トニ・モリソンの『ビラヴド』、アルンダティ・ロイの『小さきものたちの神』、ボリス・ヴランの『うたかたの日々』。
価格 2,695円(税込価格)(税抜価格 2,450円)
『マリオ・タレンギ』
Danacord DACOCD 984 CDR classical
マリオ・タレンギ(1870–1938) 2台のピアノのための作品集
セレナータ(Serenata) ヘ短調 Op.13
ロベルト・シューマンのメヌエット Op.99 主題による2台のピアノのための変奏曲
(Variations pour deux pianos sur le thème du Minuet Op.99 de Robert Schumann) Op.40(1905–06)
古風な様式を模した前奏曲とフーガ
(Preludio e Fuga ad imitazione dello stille antico) Op.48
F・ショパンの前奏曲20番による2台のピアノのための変奏曲
(Variazioni per due pianos sul Preludio xx di F. Chopin) Op.68(c.1917)
神秘のビジョン(Visione mistica)(1920)
演奏会ガヴォット(Gavota da concerto) Op.72
2つの小品(Due miniature) Op.95
夢想(Reverie) 蝶々の戯れ(Giuochi de farfalle)
アレグロ・フェストーソ(Allegro festoso) Op.105(1931)
アルトゥール・ピサロ(ピアノ)
リナルド・ツォーク(ピアノ)
[楽器 Pianos: Steinway Model B, 1925/Bechstein Model B, 1924]
録音 2024年3月29日–31日 Piano Rectoration Ltd.(トワイフォード、バッキンガムシャー、イングランド)
録音エンジニア マイケル・ポンダー
イタリアの作曲家でピアニストのマリオ・タレンギ Mario Tarenghi は、ピアノ音楽が盛んだったロンバルディアのロマンティック音楽の伝統を継ぐひとり。1870年にベルガモで生まれ、ベルガモとミラノの音楽院で学びました。ミラノではオペラ《ラ・ワリー》を作曲したアルフレード・カタラーニのクラスにも参加しています。メロディのはっきりした「サロンの小品」を主に手がけ、その多くが手稿譜のまま残されました。
2台のピアノのための作品。タレンギのもっともよく知られている曲のひとつ《セレナータ》。《色とりどりの小品》から主題をとった《シューマンのメヌエットの主題による変奏曲》。「音楽教師」タレンギの一面を伺わせる「アカデミック」な《前奏曲とフーガ》。〈前奏曲 ハ短調〉に基づく《ショパンの前奏曲20番による変奏曲》。哀歌の気分をもったアダージョ・モッソの《神秘のビジョン》。アレグレットの《演奏会ガヴォット》。サン=サーンスを思わせる〈夢想〉とワーグナー風スケルツォ〈蝶々の戯れ〉の《2つの小品》。タレンギが教えていたミラノ音楽院の設立40年を記念する《アレグロ・フェストーソ》。世界初録音の作品を含むロマンティックな音楽です。
アルトゥール・ピサロ Artur Pizarro(1968–)は、リスボンで生まれ、セケイラ・コスタに学んだポルトガルのピアニスト。リナルド・ツォーク Rinaldo Zhok は、イタリアのトリエステ生まれ。クララ・レヌッツァ、セルジオ・ペルティカローリ、ステファノ・フィウッツィたちに学びました。
価格 2,530円(税込価格)(税抜価格 2,300円)
高品質メディア(Sony DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-Rによるリリースです。プレーヤー/トランスポートの機種によってはCD-Rの読み取り、再生ができないことがあります。再生対応のメディアを機器の取扱説明書でご確認ください。
『ショパン変奏曲』
Danacord DACOCD 984 classical
セルゲイ・ラフマニノフ(1873–1943)
ショパンの主題による変奏曲 Op.22(1902–03)
フェデリコ・モンポウ(1893–1987)
ショパンの主題による変奏曲
フェルッチョ・ブゾーニ(1866–1924)
ショパンの前奏曲による10の変奏曲 BV 213a
オレク・マルシェフ(ピアノ)
[楽器 Piano: Steinway Model D]
録音 2024年8月 ミラノ・カルチャーセンター(ミラノ、イタリア)
制作 タチアナ・アレクセーエワ
録音エンジニア クラウス・ビューリト
編集 モーテン・モーウンセン
マルシェフによるプロコフィエフの最初のアルバム(DACOCD 391)がリリースされた時、「Gramophone」誌は「録音で聴ける(第1ソナタ)のもっとも信頼できる、情熱のこもった演奏のひとつ」と評し、シリーズの「戦争ソナタ」三部作を、リヒテルやベリマンたちの主要な録音を引き合いに出し、”Classic CD Choice” に選びました。オレク・マルシェフ Oleg Marshev は、アゼルバイジャンのバクーに生まれ、グネーシン音楽大学でヴァレンティーナ・アリストワ、モスクワ音楽院でミハイル・ヴォスクレセンスキーに学びました。ヴォスクレセンスキーの師だったレフ・オボーリンを継ぐ、ロシア・ピアニズムの第5世代のひとりです。1991年からイタリアに住みコンサートと録音の活動を続けています。
ラヴェルの「ソロ・ピアノ曲全集」(DACOCD 903/DACOCD 904/DACOCD 905)に次ぐアルバムでは、ショパンの「前奏曲」を主題にした変奏曲を3曲、演奏しています。ラフマニノフが、ナターリャ・サーチナと結婚してまもないころ《前奏曲 ハ短調》(Op.28 No.20)を主題に作曲し、《前奏曲集》(Op.23)と同じコンサートで初演した《ショパンの主題による変奏曲》。モンポウの曲は、ショパンの《前奏曲 イ長調》(Op.28 No.7)による作品です。友人ガスパール・カサドの提案でチェロとピアノの変奏曲として書き始めながら、数曲で中断。後にピアノのための「12の変奏曲」として完成させました。ブゾーニの《ショパンの前奏曲による10の変奏曲》は、ラフマニノフと同じ《前奏曲 ハ短調》を主題にした作品です。
マルシェフは、比較的めずらしいレパートリーの作品を彼らしい深い洞察とピアニズムで演奏しています。
価格 2,530円(税込価格)(税抜価格 2,300円)
『オレグ・シェベタ=ドラガン』
Orchid Classics ORC 100358 classical
フェルッチョ・ブゾーニ(1866–1924)
小協奏曲(Concertino) Op.48 BV 276(1918)
(クラリネットと管弦楽のための)
ジャン・フランセ(1912–1997)
主題と変奏(Tema con variazioni)(1974 orch.1978)
(クラリネットと管弦楽のための)
ダリウス・ミヨー(1892–1974)
スカラムーシュ(Scaramouche) Op.165d(1937)
(クラリネットと管弦楽のための)
カール・ニルセン(1865–1931)
クラリネット協奏曲 FS129(Op.57)(1928)
オレグ・シェベタ=ドラガン(クラリネット)
オーゼンセ交響楽団 アンナ・スクリレヴァ(指揮)
録音 2023年8月28日–9月1日 オーゼンセ・コンサートホール(オーゼンセ、デンマーク)
2022年春、カール・ニルセン国際コンペティションのクラリネット部門で第1位に選ばれたシェベタ=ドラガンのデビュー・アルバム。オレグ・シェベタ=ドラガン Oleg Shebeta-Dragan は、ウクライナ国立音楽院(National Music Academy of Ukraine)でロマン・ヴォウーク、リューベック音楽大学でライナー・ヴェーレに学び、現在、リューベック音楽大学のイェンス・トーベンの下で研究をつづけています。カール・ニルセンのコンペティションではオーゼンセ交響楽団賞と Junior Jury Prize も合わせて受賞しました。
価格 2,200円(税込価格)(本体価格 2,000円)
『Touches』
Querstand VKJK 2402 contemporary/classical
ジョン・タヴナー(1944–2013)
聖なるもの(Svyati)(1995)(混声合唱とチェロのための)
ヴォルフラム・ブッヘンベルク(1962–)
輝ける父の栄光(Splendor paterne glorie) CV 7.296(2015)
(混声合唱とヴァイオリンための)
クヌート・ニューステット(1915–2014)
スターバト・マーテル(Stabat Mater)(悲しみの聖母) Op.111(1986)
(混声合唱とチェロのための)
ペーテリス・ヴァスクス(1946–)
平原の風景(Plainscapes)(2002)
(混声合唱、ヴァイオリンとチェロのための)
ザクセン・ヴォーカルアンサンブル マティアス・ユング(指揮)
アレクサンドラ・スム(ヴァイオリン)
イサン・エンダース(チェロ)
録音 2021年2月26日–27日、6月26日–27日 聖アンナ教会(ドレスデン、ドイツ)
ザクセン・ヴォーカルアンサンブルとマティアス・ユングの新作アルバム。20世紀に作曲された混声合唱とソロ弦楽器の共演する作品が4曲演奏されます。
「ザクセン・ヴォーカルアンサンブル Sächsisches Vokalensemble」は、1996年、マティアス・ユングによってドレスデンに設立されました。ハインリヒ・シュッツとJ・S・バッハを結ぶ時代の音楽、ドレスデン宮廷音楽コレクションの音楽、そして、現代の音楽を主なレパートリーに活動しています。マティアス・ユング Matthias Jung(1964–)は、マグデブルク生まれ。フランツ・リスト・ヴァイマル音楽大学で合唱と管弦楽の指揮を学び、在学中にヴォーカルコンソート・ヴァイマルを創設しました。テルツ少年合唱団とドレスデン聖十字架合唱団と契約、1996年にザクセン・ヴォーカルアンサンブルを設立しました。世界初演を含む現代の作品を積極的に取り上げることで知られます。
ジョン・タヴナー John Tavener の《聖なるもの(Svyati)》は、1995年の作品です。この年の早い時期に作曲が始められました。スケッチをしている時、親友で出版者のジェーン・ウィリアムズの父ジョンの死を知り、彼女と亡き父の思い出に捧げる曲として作曲が進められました。スラヴ教会の典礼文がテクスト。チェロのソロがキリストのイコンの役割を担い、西洋の感覚とは異なる東方正教会の聖歌歌唱にならって演奏されます。
ヴォルフラム・ブッヘンベルク Wolfram Buchenberg は、主にヴォーカル作品を手がけている作曲家です。クヌート・ニューステット Knut Nystedt が1986年に作曲した《スターバト・マーテル》は、ブッヘンベルクの曲のヴァイオリンと同じく、「人間」を表す合唱と「神」を象徴する独奏チェロが対話。アルバムタイトルの「touches(ふれあい)」を実現させます。ニューステットのもっとも美しい作品のひとつです。
ペーテリス・ヴァスクス Pēteris Vasks の《平原の風景》は、ラトビアの風景の美しさからインスピレーションを得て書かれた作品のひとつです。地平線が見え、空を見上げると星が見える、ラトビアの田舎の平原。ヴォカリーズで歌われる3つの部分が短い間奏で結ばれ、ひたすら全音階による瞑想的な弱音の音楽がつづいた後、しだいに高揚し、「自然のめざめ」を示すクライマックスに至ります。ギドン・クレーメルの委嘱作。シグヴァルズ・クリャヴァ指揮ラトビア放送合唱団の録音(ODE 1194-2)がリリースされています。
チェリストのイサン・エンダース Isang Enders(1988–)はフランクフルト生まれ。ミヒャエル・ザンデルリングに手ほどきを受け、グスタフ・リヴィニウスやトルルス・モルクたち、とりわけ、彼が教わったリン・ハレルから多くを学んだといいます。20歳の時にドレスデン・シュターツカペレに任命され、4年間務めました。アレクサンドラ・スム Alexandra Soumm(1989–)は、モスクワ生まれのフランスのヴァイオリニスト。ウィーン市立音楽芸術大学でボリス・クシュニールに学び、2010年–2012年の BBC Radio 3 Next Generation Artists のひとりに選ばれています。
エストニアのチェリスト、アッラル・カーシクがエストニア国立男声合唱団やラトビア国立合唱団と共演した『時を超える光(Timeless Light)』(BIS-CD 1887)とともに比較的めずらしいレパートリーのアルバムです。
価格 2,090円(税込価格)(本体価格 1,900円)
『1035』
Trptk TTX 0009 jazz
『1035』
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685–1750)
フルート・ソナタ ホ長調 BWV 1035 - 第1楽章 アダージョ・マ・ノン・タント
クリスチャウン・マルティンソン(1986–)
Friður bræður(平和の兄弟たち)
Efsemdarleikur(ゲーム・オブ・スローンズ)
Impromptu Op.2 No.1(即興曲)
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685–1750)
フルート・ソナタ ホ長調 BWV 1035 - 第2楽章 アレグロ
クリスチャウン・マルティンソン(1986–)
Hringur 328(指輪328)
Impromptu Op.2 No.2(即興曲)
Impromptu Op.2 No.3(即興曲)
Á uppleð(道すがら)
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685–1750)
フルート・ソナタ ホ長調 BWV 1035 - 第3楽章 シチリアーノ
クリスチャウン・マルティンソン(1986–)
Impromptu Op.2 No.4(即興曲)
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685–1750)
フルート・ソナタ ホ長調 BWV 1035 - 第4楽章 アレグロ・アッサイ
クリスチャウン・マルティンソン(1986–)
Impromptu Op.2 No.5(即興曲)
Faðmlag(抱擁)
Bless Less
クリスチャウン・マルティンソン(キーボード)
録音 2024年5月 西教会(Westerkerk)(エンクホイゼン、オランダ)
アイスランドのピアニストで作曲家、マルチインストルタリストのクリスチャウン・マルティンソン Kristján Martinsson(1986–)は、オランダのアムステルダムを拠点に活動。ベーシストのパット・クリーヴァーとドラマーのアンドリス・ブイキスと組んだ「K Trío」を通じて作曲家とジャズ・ピアニストとして国際的に知られます。2021年からはソロの作品も手がけるようになりました。
新しいアルバムは、クリスチャウンが心から大切にしているというJ・S・バッハの《フルート・ソナタ ホ長調 BWV 1035》を中心に「過去と現在」のつながりを探る目的で作られました。バッハ作品主題目録の番号「1035」がタイトルに選ばれています。このプロジェクトには新しい軽量アコースティック「ウナ・コルダ」ピアノが使われ、現代の感覚で解釈するバッハの曲、クリスチャウンの書いたオリジナル曲、バッハの曲からインスピレーションを得たインプロビゼーションという構成をとり、バロック時代のソナタに「新しい生命」が吹き込まれていきます。さらに MIDI 機能を使ってキーボードからアナログ・シンセサイザー2台を操作。アコースティック・ピアノの「有機的」な温もりとシンセサイザーの生むテクスチュアの統合による「音の可能性」が追求されます。中世に建てられ、音の特性が素晴らしいというエンクホイゼンの「西教会」で録音セッションが行われました。
価格 2,530円(税込価格)(本体価格 2,300円)
『Hope(希望)』
Losen Records LOS 299-2 jazz
『Hope(希望)』
Hope(Ingi Bjarni Skúlason) Uplift(Ingi Bjarni Skúlason)
Chant(Ingi Bjarni Skúlason) Eftir allt(Ingi Bjarni Skúlason)
Hægur dans(Ingi Bjarni Skúlason)
April Dreams(Ingi Bjarni Skúlason)
Continuation(Ingi Bjarni Skúlason)
Desember(Ingi Bjarni Skúlason) Escaped(Ingi Bjarni Skúlason)
インギ・ビャルニ・スクーラソン(ピアノ)
ヒルマル・イェンソン(ギター) アンデシュ・ヨルミン(ベース)
マグヌース・トリグヴァソン・エリーアセン(ドラム)
録音 2023年9月 スタジオ・エピデミーン(Studio Epidemin)(ヨーテボリ、スウェーデン)
制作 インギ・ビャルニ・スクーラソン
録音エンジニア・ミクシング ユハンネス・ルンドベリ
マスタリング イーヴァル・ラグナルソン(レイキャヴィーク)
アイスランドのピアニストで作曲家、インギ・ビャルニ・スクーラソン Ingi Bjarni Skúlason(1987–)は、2019年に Losen Records の最初のアルバム『Tenging(つながり)』(LOS 222-2)をリリースしました。そのセッションには彼が作曲とピアノを学んでいて出会った若いプレーヤーを中心に4人が参加、彼のオリジナル曲を演奏しました。フォークのようなナンバーから、ビル・エヴァンズを思わせるワルツまで、熱い心を秘めた北欧の抒情が、新鮮な印象を与えました。
新作の『Hope(希望)』も第1作と同じスタジオで録音されました。セッションに集まったのはベテランと言われるミュージシャンたち。スウェーデンを代表するベーシストのひとり、アンデシュ・ヨルミン Anders Jormin(1957–)。バークリー音楽大学で学び、ティム・バーンをはじめとするアメリカのプレーヤーやアルヴェ・ヘンリクセンたちと共演してきたアイスランドのギタリスト、ヒルマル・イェンソン Hilmar Jensson(1966–)。レイキャヴィークの音楽学校「FÍH」とノルウェー工科自然科学大学(NTNU)で学び、アイスランドの音楽シーンを中心に活動しているドラマーのマグヌース・トリグヴァソン・エリーアセン Magnús Trygvason Eliassen(1985–)は、若いプレーヤーです。
アンデシュのベースのイントロが美しい《Hope》。「希望」につながるテーマ《Uplift》(昂揚)。言葉がなくても歌えるリリカルな《Chant》(チャント)。アイスランド北部のホウラルに滞在していた2021年の夏、コミュニティの教会で書いた《Eftir allt》(すべてのあとに)。マグヌースのドラム・ビートをイメージした《Hægur dans》(スローなダンス)。小品の即興を基にした「夢見心地のブルース」《April Dreams》(四月の夢)。優しいフォークミュージックを表現的な即興で味付けした《Continuation》(継続)。「十二月(December)」、さまざまな状況を受け入れる思いをこめる一年の終わり《Desember》。ある朝、つよい創作意欲にかられ、「私のうちから外に出たがっていた」音楽を書きつけた《Escaped》(自由になった)。
このアルバムの7曲は、インギ・ビャルニの母が亡くなった2021年に書かれました。彼女は詩作を愛し、未発表の詩をソーシャルメディアで発信していたといいます。「人生はいつも、優しいワルツなのかしら、はっきりした道があり、めんどうなことの待ち受けていない……」。『Hope』は、インギ・ビャルニから母への追悼ともみなされるアルバムです。
価格 2,365円(税込価格)(税抜価格 2,150円)
『Palmer Edition II: Trio』
ACT Music ACT 8000-2 jazz
『Palmer Edition II: Trio』
Le Calme au Château(Lars Danielsson)
Cattusella(Lars Danielsson) Morgonpsalm(Lars Danielsson)
Playing with the Groove(Lars Danielsson)
La Chanson d’Hélène(Philippe Sarde) L’époque(Lars Danielsson)
Gold in Them Hills(Ron Sexsmith)
Improvisado(Lars Danielsson/John Parricelli/Verneri Pohjola)
Mood Indigo(Duke Ellington/Barney Bigard/Irving Mills)
Étude Bleue(Lars Danielsson) Lacour(John Parricelli)
Peu d’Amour(Verneri Pohjola)
ラーシュ・ダニエルソン(ベース)
ヴェルネリ・ポホヨラ(トランペット)
ジョン・パリチェッリ(ギター)
録音 2024年5月30日–6月2日 シャトー・パルメ(Château Palmer)(マルゴー=カントナック、フランス)
制作 アンドレーアス・ブランディス
録音エンジニア アルヌー・ウペール
ミクシング ブー・サヴィーク
マスタリング クラウス・ショイアマン、ブー・サヴィーク
ボルドー左岸の伝説的ワイナリーのひとつ、シャトー・パルメ Château Palmer と ACT Music のコラボレーション。ミヒャエル・ヴォルニ(マイケル・ウォルニー)とヨアヒム・キューンの『Duo』(ACT 9633-2)につづく第2作として、スウェーデンのベーシスト、ラーシュ・ダニエルソン Lars Danielsson(1958–)、フィンランドのトランペッター、ヴェルネリ・ポホヨラ Varneri Pohjola(1977–)、イギリスのギタリスト、ジョン・パリチェッリ John Parricelli(1959–)による『Trio』がリリースされます。
音楽は、シャトーの独特の空気を捉え、録音場所の静けさと美しさ、空間の三人の親密さを反映。ベースとギターの木の香り、トランペットのヴァルブの感触、窓からさしこむ初夏の陽光と、いつもとは違う場所からインスピレーションを得た音楽は、熟成ワインにも例えられます。ダニエルソンの《Le Calme au Château》(シャトーの静けさ)《Morgonpsalm》(朝の賛歌)、ポホヨラの《Peu d’Amour》(かわいい恋)、映画『すぎ去りし日…(Les chose de la vie)』のフィリップ・サルドの曲から《La Chanson d’Hélène》(エレーヌの歌)、シンガーソングライターのロン・セクスミスの《Gold in Them Hills》。ダニエルソン、パリチェッリ、ポホヨラの三人の《Improvisado》(即興)。至福の時と言えそうです。
価格 2,915円(税込価格)(税抜価格 2,650円)
『Palestrina Revealed(明らかになったパレストリーナ)』
Harmonia Mundi HMM 905375 early music
ジョヴァンニ・ピエルルイージ・ダ・パレストリーナ(c.1525–1594)
第2旋法のマニフィカト(Magnificat II toni)(5声)
ウィリアム・バード(1543–1623)
Emendemus in melius(よりよき生活のうちに)(5声)
ジョヴァンニ・ピエルルイージ・ダ・パレストリーナ(c.1525–1594)
Missa Emendemus in melius(ミサ「よりよき生活のうちに」)(4声)
ロバート・ホワイト(c.1538–1574)
Ad te levavi oculos meos(目を上げて、わたしはあなたを仰ぎます)(6声)
ジョヴァンニ・ピエルルイージ・ダ・パレストリーナ(c.1525–1594)
Ad te levavi oculos meos(目を上げて、わたしはあなたを仰ぎます)(12声)
ウィリアム・マンディ(c.1529–1591)
Memor esto verbi tui(あなたの僕(しもべ)への御言葉を思い起こしてください)(6声)
ジョヴァンニ・ピエルルイージ・ダ・パレストリーナ(c.1525–1594)
Memor esto verbi tui(あなたの僕(しもべ)への御言葉を思い起こしてください)(5声)
Missa Memor esto verbi tui(ミサ「あなたの僕(しもべ)への御言葉を思い起こしてください」)(5声)
ケンブリッジ・クレア・カレッジ合唱団
グレアム・ロス(指揮)
録音 2023年7月 ロンドン
後期ルネサンス期の作曲家パレストリーナ Giovanni Pierluigi da Palestrina は、1525年2月から1526年2月の間に、ローマから遠くない、当時教皇領だったパレストリーナの町で生まれました。その生誕500年を祝い、ケンブリッジ・クレア・カレッジ合唱団 Choir of Clare College, Cambridge とグレアム・ロス Graham Ross が、パレストリーナの世界初録音の作品によるアルバムを作りました。『氷の国』(HMM 905330)をはじめとするユニークなコンセプトの録音で知られる彼らは、このアルバムのプログラムでもちょっとした工夫を凝らしています。
『ルカによる福音書』の「マリアの賛歌」による、輝かしい5声の《第2旋法のマニフィカト》。〈Kyeir〉〈Gloria〉〈Credo〉〈Sanctus & Benedictus〉〈Agnus Dei〉の《ミサ「よりよき生活のうちに」》。『詩篇123番』による《目を上げて、わたしはあなたを仰ぎます》。『詩篇119番』の《あなたの僕(しもべ)への御言葉を思い起こしてください》と、それに基づく《ミサ》。パレストリーナのこれらの作品とともに、ウィリアム・バード William Byrd、ロバート・ホワイト Robert White、ウィリアム・マンディ(ムンディ)William Mundy という、パレストリーナと同時代のイギリスの作曲家たちが彼の作品と同じテクストに作曲した曲が合わせて歌われます。
価格 3,300円(税込価格)(本体価格 3,000円)
『Perhaps Thus the End』
Dacapo 8.224763 contemporary/classical
ルネ・グレロプ(1981– )
弦楽四重奏曲第2番 Op.19《Perhaps Thus the End》(2017)
クラリネット五重奏曲 OP.16《Still Learning Towards This Machine》(2015)*
ディオティマ四重奏団
ユン=ペン・チャオ(第1ヴァイオリン)
コンスタンス・ロンザッティ(第2ヴァイオリン)
フランク・シュヴァリエ(ヴィオラ)
ピエール・モルレ(チェロ)
ヨーナス・フレーロン(クラリネット)*
録音 2019年9月16日–18日 SWR「ハンス・ロスバウト・スタジオ」(ベーデンバーデン、ドイツ)
コンピューター・デザイン(クラリネット五重奏曲) IRCAM ポンピドゥー・センター・スタジオ
コンピューター・デザイナー(クラリネット五重奏曲) トマス・ゲプファー、ルネ・グレロプ
制作 ギュンター・ヴォッレルスハイム
録音エンジニア ノルベルト・フォッセン
マスタリング アストリート・グロスマン=フダッシュ
ルネ・グレロプ Rune Glerup は、現代デンマークでもっともユニークな作曲家のひとりです。ニルス・ロシング=スコウ、ベント・サーアンセン、ハンス・ペーター・ストゥベ・テウレビェアウ、ヴァルター・ツィメルマンに作曲を学び、IRCAM で研究しました。2014年にリリースした「ポートレート」『dust encapsulated 』(dacapo 8.226578)の作品に彼のスタイルが明確に示されています。新しいアルバムではディオティマ四重奏団のために作曲された2曲が演奏されます。
《Perhaps Thus the End》の副題をつけられた《弦楽四重奏曲第2番》は、西ドイツ放送(WDR)が、ディオティマ四重奏団のため、デンマーク・アーツカウンシルの助成を得て委嘱した作品です。7つの楽章で構成され、グレロプが傾倒するサミュエル・ベケットの精神を反映したタイトルが付けられました。〈Perhaps Thus the End〉〈Now to Press on Regardless〉〈From Deep Within〉〈The Dark of Night and Day〉〈The Then Fleeing Dark of Night〉〈The Strokes an Cries as Before〉〈The End, Again and Again〉。「公園の散歩からバールームの空想へと、人生の無限ループの馬鹿げた美しさ」をとらえたという音楽です。2017年10月、グラーツの「Musikprotokoll」でディオティマ四重奏団が初演し、作品は彼らに献呈されました。
《クラリネット五重奏曲》は、グレロプが自身の音楽を作り上げる道程で出会った音楽への挨拶の「ラビリンス」あるいは温故知新とでもいう作品として作られました。1950年代から60年代の革新的音楽の誕生へのオマージュとして断片を引用したピエール・ブーレーズの《ピアノソナタ第2番》をはじめ、ベートーヴェン、ストラヴィンスキー、ヘルムート・ラッヘンマン、《クラリネット五重奏曲》を書いたモーツァルトとブラームス。《Still Learning Towards This Machine》の副題は、チャールズ・ブコウスキーの詩の一節を基につけられました。〈Precipitato〉〈Tranquillo〉〈Prestissimo sfrenato〉の3楽章。IRCAMの委嘱で作曲され、2015年3月14日、ディオティマ四重奏団とアラン・ビヤールがオルレアンで初演しました。
ディオティマ四重奏団 Quatuor Diotima は、1996年、パリ国立高等音楽舞踊学校の卒業生によって結成されました。このアルバムが録音された2019年のメンバーは、ユン=ペン・チャオ Yun-Peng Zhao とコンスタンス・ロンザッティ Constance Ronzetti のヴァイオリン、フランク・シュヴァリエ Franck Chvalier のヴィオラ、ピエール・モルレ Pierre Morlet のチェロ。Penttone や Naîve などのレーベルに幅広く録音しています。
ヨーナス・フレーロン Jonas Frølund(1996–)は、デンマークのクラリネット奏者です。リー・モーガン、パルカル・モラゲスに学び、デンマーク室内管弦楽団の首席クラリネット奏者を務め、ソリストと室内楽奏者として活動しています。カール・ニルセンからシモン・ステーン=アナセンの曲を集めた『Solo Alone and More』(OUR Recordings 6.220681)を2023年にリリースしています。
コペンハーゲン大学ソニング・ファンドとデンマーク著作権協会(KOdA)の助成。WDR ライセンスによるリリースです。
価格 2,530円(税込価格)(本体価格 2,300円)
『Silence Is Music too』
OUR Recordings 8.226925 contemporary/classical
アクセル・ボーロプ=ヤーアンセン(1924–2012)
Intrada Op.149(1993–94)(打楽器ソロのための)
Trio Op.134(1988–90)(クラリネット、チェロとピアノのための)
Riconstruzioni Op.71(1973–74)(木管五重奏のための)
Malinconia Op.68(1972–74)(弦楽四重奏のための)
Discichon Op.67(1974)(ヴァイオリンとピアノのための)*
Rapsod Op.114 no.3(1994–96)(ヴィオラ・ソロのための)
“mikrorganismer” Op.20b(1956)(弦楽四重奏のための短いスケッチ)
エスビェア・アンサンブル
クリスチャン・マーティネス(打楽器)
ロン・チェン=シオン(クラリネット)
パウ・コルディナ(チェロ)
ケアスティン・ティーレ(フルート)
ニクラス・カルソイ・モウリトセン(ホルン)
ダヴィド・ダニエル・ディヌ(オーボエ)
アンッティ・サロヴァーラ(ファゴット)
ジョエル・バルドレ(ヴァイオリン)
ベルナアト・プラト・サバテル(ヴァイオリン)
ミシェル・カミーユ(ヴィオラ)
ティム・クロフォード(ヴァイオリン)*
クリストファー・ヒュルディ(ピアノ)
録音 2024年5月7日–8日、24日、27日–28日、6月1日 マナーハウス「エンドロプホルム」(Manor House ENDRUPHOLM)(ブラミング、デンマーク)、2024年7月3日 クリスチャン教会(Chirstianskirken)(コペンハーゲン)
制作・編集・ミクシング・マスタリング メテ・ドゥーウ
アクセル・ボーロプ=ヤーアンセン Axel Borup-Jørgensen は、ユラン半島北部で生まれました。デンマーク人の両親とともにスウェーデンに渡り、青年期にデンマークに戻り、コペンハーゲンの王立デンマーク音楽アカデミーでピアノと器楽法を学び、独学で作曲を身につけました。ダルムシュタット夏季現代音楽講習会にデンマーク作曲家として初めて参加。アヴァンギャルド音楽からインスピレーションを受けながら、独自のスタイルを生涯にわたって追いつづけました。静寂、「自然」のような抽象性、北欧的リリシズム、表現主義の無調、細部まで書きこみながら簡潔で強固といった個性的な作品をオーケストラとアンサンブルの曲を中心に多くの作品を発表しました。《夏の組曲》《秋の音楽》、オルガンと打楽器のための《冬の音楽》といった曲が代表作に挙げられています。
『沈黙も音楽である』をタイトルにとったエスビェア・アンサンブル Esbjerg Ensemble のアルバムは、ボーロプ=ヤーアンセンの生誕100年を記念して制作されました。彼が異なる時期に書いた室内楽の作品集です。「ジャンクヤード(廃品置き場)」に積み上げられたものを「洗練」した打楽器ソロの《イントラーダ》。「孤独の描画(Ensomhedens Billede)」のワーキングタイトルで作曲された「クラリネット、チェロとピアノ」の《トリオ》。トーンと構造を探索した木管五重奏のための《Riconstruzioni》(再建、復元)。ベートーヴェンの《弦楽四重奏曲第6番》の終楽章やシベリウスのチェロとピアノの曲が知られる「マリンコニア(憂鬱)」の曲名で書かれた弦楽四重奏曲。「エレジー」の気分のヴァイオリンとピアノによる《Discichon》(二行連句)。リルケの『ドゥイノの悲歌』の「生命の樹々よ…」を楽譜に引用したヴィオラ・ソロの《ラプソディ》。「有機的」な前奏曲の性質をもつ短い13の部分による《“mikrorganismer”》(微生物)。
価格 2,475円(税込価格)(本体価格 2,250円)
『Angele Dei(神の天使)』
Skani SKANI 163 contemporary/classical
ペーテリス・ヴァスクス(1946–)
Angele Dei(神の天使)(2021)
クリスツ・アウズニエクス(1992–)
Sensus(2020)
ルタ・パイデレ(1977–)
マニフィカト(Magnificat)(2022)
アンドリス・ジェニーティス(1978–)
Om, Lux Aeterna(2012) Lūgšana(祈り)(2023)
サンタ・ラトニエチェ(1977–)
Nakts gaisma(夜の光)(2021)
ペーテリス・ヴァスクス(1946–)
Actus Caritatis(2022)
マールティンシュ・ヴィリュムス(1974–)
Karaļa Līra bērnu liktenis(リア王の子供たちの運命)(2007/2021)
ラトビア放送合唱団
カスパルス・プトニンシュ(指揮)
シグヴァルズ・クリャヴァ(指揮)
録音 2023年5月14日、5月27日、9月21日–22日、2024年3月4日 聖ヨハネ教会(リガ、ラトビア)
制作・編集・ミクシング ・マスタリング アグネセ・ストレイチャ
ラトビア放送合唱団の Skani レーベルのアルバム第3作。現代ラトビアの作曲家の作品によるプログラムが組まれ、ラトビア合唱音楽の2023年の「タイムスタンプ(時刻印)」とでもいうアルバムに作られています。これらの作品は、主に宗教的なテクストが使われ、重層化した微分音、スペクトル音楽にならった語法、ポリフォニックなテクスチュア、音響とリズムの公式の探求など、それぞれの作曲家に特徴的なスタイルで作曲されています。
もっとも国際的に知られるペーテリス・ヴァスクス Pēteris Vasks は、2曲が歌われます。カンタベリーのレジナルドが書いたとされるテクストによる《神の天使》と『マタイによる福音書』(22章37節–39節)に基づくカトリックの祈り「おお主なる神よ……」による《Actus Caritatis》(慈悲の行い)。クリスツ・アウズニエクス Krists Auznieks が『ローマの信徒への手紙』(12章2節)の「あなたがたはこの世に倣ってはなりません……」に作曲した《Sensus》は、ラトビア・グランド音楽賞にノミネートされました。24声部で書かれた作品です。ルタ・パイデレ Ruta Paidere の《マニフィカト》では、『ルカによる福音書』の「マリアの賛歌」が「古風でありながら現代的な」サウンドで歌われます。
アンドリス・ジェニーティス Andris Dzenītis は、ラテン語の「Lux aetern」と仏教とヴェーダのマントラに共通する「永遠の光」をひとつにした《Om, Lux Aeterna》と、『主の祈り』に作曲した《祈り》。サンタ・ラトニエチェ Santa Ratniece のシメオンの賛歌「主よ、今こそあなたは(Nunc Dimittis)」を使った《夜の光》。マールティンシュ・ヴィリュムス Mārtiņš Viļums の《リア王の子供たちの運命》は、アイルランドのサーガ『The Cauldron of Poesy(詩の大釜)』の『The Children of Lir(リア王の子供たち)』の英訳とドルイドの呪文をテクストにした、神秘の力をもつ、古風なバラード風の作品です。
価格 2,530円(税込価格)(本体価格 2,300円)
『シューマン、シベリウス』
SWR Music SWR 19151CD classical
ロベルト・シューマン(1810–1856)
交響曲第4番 ニ短調 Op.120(改訂稿)
南西ドイツ放送交響楽団 エリアフ・インバル(指揮)
ジャン・シベリウス(1865–1957)
交響曲第1番 ホ短調 Op.39(1899 rev.1900)
シュトゥットガルト放送交響楽団 エリアフ・インバル(指揮)
録音 1971年4月21日 ハンス・ロスバウト・スタジオ(バーデン=バーデン)(ライヴ録音)(シューマン)、2012年7月12日、13日 リーダーハレ、ベートーヴェンザール(シュトゥットガルト、ドイツ)(ライヴ録音)(シベリウス)
価格 2,475円(税込価格)(本体価格 2,250円)
『セレナータ』
Harmonia Mundi HMM 905396 2CD’s classical
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756–1791)
[Disc 1]
行進曲 ニ長調 K.335/320a no.1(1779)
セレナーデ第9番 ニ長調 K.320《ポストホルン(Posthorn)》(1779)
行進曲 ニ長調 K.335/320a no.2(1779)
セレナーデ第13番 ト長調 K.525
《アイネ・クライネ・ナハトムジーク(Eine kleine Nachtmusik)》(1787)
[Disc 2]
行進曲 ニ長調 K.249(1776)
セレナーデ第7番 ニ長調 K250/248b
《ハフナー・セレナーデ(Haffner Serenade)》 (1776)
ミュンヘン室内管弦楽団 エンリコ・オノフリ(指揮)
イザベル・ファウスト(ヴァイオリン)(K.250)
マシュー・サドラー(ポストホルン)(K.320)
録音 2023年7月、2024年4月、8月 バイエルン音楽スタジオ(ミュンヘン、ドイツ)
ミュンヘン室内管弦楽団とエンリコ・オノフリの「セレナータ」。
ミュンヘン室内管弦楽団 Münchener Kammerorchester(MKO)は、1950年にクリストフ・シュテップが創設したアンサンブルです。モーツァルトやハイドンの作品をいくつか Archiv Produktion レーベルに録音していました。1956年の初めから40年間、ハンス・シュタットルマイアが首席指揮者を務めた後、クリストフ・ポッペン、アレクサンダー・リープライヒ、クレメンス・シュルトが首席指揮者・芸術監督を引き継ぎました。イェルク・ヴィトマン、オノフリ、バス・ヴィーガースの3人がアソシエート・コンダクターとして指揮する体制を続け、2022/2023年のシーズンからオノフリが MKO を首席指揮者として率いています。
エンリコ・オノフリ Enrico Onofri(1967–)は、ラヴェンナ生まれ。バロック・ヴァイオリンのプレーヤーとしてジョルディ・サヴァール、リナルド・アレサンドリーニ、アーノンクールたちのアンサンブルに参加しました。1987年からは、彼が創設メンバーのイル・ジャルディーノ・アルモニコのコンサートマスターを務め、2002年からは、ベルリン古楽アカデミーやウィーン室内管弦楽団を中心に指揮者としても活動しています。
ヴァイオリン・ソロが共演する「ヴァイオリン協奏曲」スタイルの《ハフナー・セレナーデ》と弦楽合奏のための《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》は、モーツァルトのまぎれもない傑作。第6楽章のふたつめのトリオにポストホルン(郵便馬車の角笛)が用いられる《ポストホルン》も人気のある作品です。
《ハフナー・セレナーデ》のヴァイオリン・ソロはイザベル・ファウスト Isabelle Faust。カデンツァは、オノフリの手がけたものとルイージ・ボルギ Luigi Borghi(fl.1772–1794)の『ヴァイオリンのための64のカデンツァあるいはソロ』(Pub.c.1790)の作品を弾いています。
ポストホルンのマシュー・サドラー Matthew Sadler(1981–)は、ロンドン生まれ。ウィーンとミュンヘンでトランペットを学び、ベルリン・フィルハーモニー・カラヤン・アカデミーで教育を受けました。マーラー室内管弦楽団とアンサンブル・シュヴェルプンクト(Ensemble Schwerpunkt)のメンバーです。
価格 4,125円(税込価格)(本体価格 3,750円)
『Logn(凪)』
Odradek ODRCD 453 contemporary/classical
インギビョルグ・アシマ(1973–)
スノッリ・ヒャルタルソンの詩(Poems by Snorri Hjartarson)
(ソプラノ、ピアノとバス・クラリネットのための)
夏の夜(Summarnótt)(2009) 憩い(Hvild)(2011)
牧場の春(Lindin í mónum)(2010)
ゲルズル・クリストニーの詩(Poems by Gerður Kristný)(2019)
(ソプラノ、ピアノとチェロのための)
凪(Logn)
静寂(Værð)
ソルヴィ・B・シーグルズソンの詩(Poems by Sölvi B. Sigurðsson)(2017)
あなたの涙が水だったら(Ef tár þín væru vatn)
(ソプラノ、ピアノとアルト・フルートのための)
ソネット(Sonnetta)(ソプラノ、ピアノとフルートのための)
鳥(Fuglarnir)(ソプラノ、ピアノとアルト・フルートのための)
クリスティーン・ヨウンスドウッティルの詩
(Poems by Kristín Jónsdóttir)(ソプラノ、ピアノとトロンボーンのための)
門のところで(Við hliðið)(2010)
夜に寄せて(Til næturinnar)(2021)
夜の旅(Næturferð)(2022)
アシマ・アンサンブル
マルガリェト・フラブンスドウッティル(ソプラノ)
フロン・スラウインスドウッティル(ピアノ)
アウルマン・ヘルガソン(バス・クラリネット)
オウロフ・シーグルスヴェインストウッティル(チェロ)
ビョルグ・ヴリャウンスドウッティル(フルート、アルト・フルート)
録音 2022年夏 ヴィージスタザ教会(Viðistaðakirkja)(ハフナルフィヨルズル、アイスランド)
録音エンジニア・編集・ミクシング・マスタリング ハトルドウル・ヴィーキングソン
インギビョルグ・アシマ Ingibjörg Azima(1973–)(フルネーム インギビョルグ・アシマ・グヴズレイグスドウッティル Ingibjörg Azima Guðlaugsdóttir)は、アイスランドの作曲家、トロンボーン奏者。画家のグヴズレイグル・ヨウン・ビャルナソンと看護師のシグルーン・フルド・ソルグリームスドウッティルの子に生まれました。ヨーテボリ大学舞台芸術・音楽学校でトロンボーンを学び1999年に卒業。王立デンマーク音楽アカデミーの大学院で一年間のコースを修了した後、2007年から2008年までウプサラ大学の合唱指揮コースで学びました。スウェーデンとアイスランドを拠点にトロンボーン奏者、音楽教師、合唱指揮者、バンドの指揮者、作曲家として活動しています。アイスランドの詩からインスピレーションを得た作品を主に手がけ、詩的な響きとアイスランド固有のトーンを現代の感覚でアレンジした作品と編曲をさまざまなアンサンブルやグループのために作ってきました。民謡を思わせる素朴で美しいスタイルが彼女の音楽の特徴とされています。
『Logn(凪)』と題したアルバムでは、スノッリ・ヒャルタルソン Snorri Hjartarson(1922–1986)、ゲルズル・クリストニー Gerður Kristný(1970–)、ソルヴィ・B・シーグルズソン Sölvi B. Sigurðsson(1978–)、クリスティーン・ヨウンスドウッティル Kristín Jónsdóttir(1963–)の詩をテクストにした作品が演奏されます。
ソプラノのマルガリェト・フラブンスドウッティル Margrét Hrafnsdóttir は、レイキャヴィークで生まれ、レイキャヴィーク音楽大学でジークリンデ・カーマン、シュトゥットガルト音楽大学でフランシスコ・アライサたちに学びました。アンサンブルの他のメンバーは、レイキャヴィーク音楽大学とフライブルク音楽大学で学んだフロン・スラウインスドウッティル Hrönn Þráinsdóttir のピアノ、アークレイリのノザーン・シンフォニアの首席クラリネット奏者のアウルマン・ヘルガソン Ármann Helgason、オウロフ・シーグルスヴェインストウッティル Ólöf Sigursveinsdóttir のチェロ、ノルウェー国立音楽大学で学んだビョルグ・ヴリャウンスドウッティル Björg Brjánsdóttir のフルート。ハフナルフィヨルズルの教会でセッション録音されました。
価格 2,530円(税込価格)(本体価格 2,300円)