February 2025

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『メンデルスゾーン』
Ondine ODE 1459-2 classical

 
フェリクス・メンデルスゾーン(1809–1847) 宗教合唱曲
 詩編100番「全地よ、手に向かって喜びの叫びをあげよ
 (Psalm 100 “Jauchzet dem Herrn, alle Welt”)」 WoO 28 MWV B 45
 ドイツ典礼(Die Deuesche Ligurgie) MWV B 57
  キリエ(Kyrie)  WoO 24
  いと高きにある神に栄光あれ(グローリア)
  (Ehre sei Gott in der Höhe) WoO 26
  聖なるかな(サンクトゥス)(Heilig) WoO 27
 6つのアンセム(6 Anthems) Op.79
  われらの心を喜ばしめよ(Let our hearts be joyful) MWV B 54
  喜べ、もろびと(Rejoice, O ye people) MWV B 42
  われらの避難所なりし主よ(Thou, Lord, hast been our refuge) MWV B 44
  主よ、われらの罪によりて(Lord, on our offences) MWV B 50
  われらの罪のために(For our offences) MWV B 52
  すべての称賛をこえて(Above all praise) MWV B 55
 3つの詩編(3 Psalms) Op.78
  詩編2番 MWV B 41
  栄光は父と子と聖霊に(Gloria Patri) MWV B 41
  詩編43番 MWV B 46
  栄光は父と子と聖霊に(Gloria Patri) MWV B 49  
  詩編22番 MWV B 51
 主よ、我らを哀れみたまえ(Lord, have mercy upon us) WoO 12 MWV B 27
  ラトビア放送合唱団
  シグヴァルズ・クリャヴァ(指揮)
 
録音 2024年3月7日–8日、4月2日、4日 聖ヨハネ教会(リガ、ラトビア)

 
ラトビア放送合唱団 Latvija Radio koris は、1940年、テオドロス・カルニンシュにより創設されたプロの室内合唱団です。1992年からシグヴァルズ・クリャヴァ  Sigvards Kļava(1962–)がカスパルス・プトニンシュとともに音楽監督・首席指揮者を務めています。ジブオクレ・マルティナイティーテの作品集(ODE 1447-2)に次ぐアルバムは、メンデルスゾーンがアカペラ混声合唱のために書いた宗教合唱曲集です。
 
マルティン・ルターのドイツ語訳による《詩編100番「全地よ、手に向かって喜びの叫びをあげよ」》は、1844年、ベルリン大聖堂の聖歌隊のために作曲されたと考えられ、作曲者死後の1855年に出版されました。プロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム四世の依頼により大聖堂の聖歌隊のために書かれた《ドイツ典礼》は、「キリエ」「グローリア」「サンクトゥス」をプロテスタントの礼拝で歌うための作品です。1846年に作曲され、1997年に完全な形で出版されました。《6つのアンセム》は、「降臨節(Advent)」「降誕祭(Weinacht)」といった祝祭日のための賛美歌が教会歴に沿って並べられています。
 
《3つの詩編》は、詩編2番「なにゆえ、国々は騒ぎ立ち」(Psalm 2 “Warum toben die Heiden”)、詩編43番「神よ、あなたの裁きを望みます」(Psalm 43 “Richte nich, Gott und führe meine Sache”)、詩編22番「わたしの神よ、なぜわたしをお見捨てになるのか」(Psalm 22 “Mein Got, warum hast du mich verlassen”)の3曲による大曲です。詩編と詩編の間で「栄光は父と子と聖霊に(グリーリア・パトリ)」が歌われ、詩編43番の後の「栄光は父と子と聖霊に」は「ドイツ典礼」の頌歌として書かれた曲です(世界初録音)。
 
プログラムの最後、メンデルスゾーンが24歳の1833年に作曲した「夕べの祝福(Zum Abendsegen)」のモテット《主よ、我らを哀れみたまえ》が歌われます。
 
価格 2,530円(税込価格)(本体価格 2,300円)

『A Good Day』
Storyville 101 4362 jazz

 
『A Good Day』
 Bargemon(Jacob Christoffersen)
 A Good Day(Jacob Christoffersen)
 Hva’ gør vi nu, lille du?(Gasolin)
 Country(Jacob Christoffersen)
 Long Trail Dexter(Jacob Christoffersen)
 Land of Lydia(Jacob Christoffersen)
 Lost in Rio(Jacob Christoffersen)
 Excuse My Blues(Jacob Christoffersen)
 Break of Dawn(Jacob Christoffersen)
 Playground(Jacob Christoffersen)
 Pardon Mu Friends(Jacob Christoffersen)
 Armando’s Blues(Jacob Christoffersen)
 Danny Boy(Traditional Irish)
  ヤコプ・クリストファセン(ピアノ)
  トマス・フォネスベク(ベース)
  ラスムス・シールベリ(ドラム)
 
録音 2023年10月18日–19日 The Village Recording(コペンハーゲン)

 
デンマークのジャズピアニスト、ヤコプ・クリストファセン Jacob Christoffersen の最新アルバム『A Good Day』
は、デンマークのトマス・フォネスベク Thomas Fonnesbæk とスウェーデンのラスムス・シールベリ Rasmus Kihlberg というベテランとのセッションで録音されました。それぞれに技術と独自のセンスをそなえた3人がひとつになり、彼らのキャリアの里程標とみなされるアルバムが完成しました。
 
多様な音楽の旅とデンマーク音楽シーンに大きく貢献してきたことで知られるクリストファセンがプログラムに選んだのは11曲。9曲のオリジナル曲、デンマークのロックバンド「Gasolin(ガソリン)」の《Hva’ gør vi nu, lille du?》(さてどうしたもんかね、坊や)とアイルランド民謡の《ダニー・ボーイ》。内省的なバラードから、エネルギッシュなファンク味のトラックとソウルフルなブラジルのリズムまで、さまざまな気分を横断し多岐にわたってミックスしたプログラムです。
 
録音セッションは、コペンハーゲンのスタジオ「ヴィレッジ・レコーディング」で行われました。クリストファセンたちは、スタジオ録音の正確さとライヴ演奏の無理のない自然さのバランスを保つことが意識したといいます。
 
価格 2,530円(税込価格)(本体価格 2,300円)

『Interpretations The Norway Sessions』
Storyville 101 4363/601 4363 Vinyl LP jazz

 
『Interpretations The Norway Sessions』
 Interpretations Morgonsång Kristallkorall
 The Golden Ratio Vacker Open Window Wind
 Sound of the Waves Birds The Art of Thinking
 All Will Be Fine, Mother Monk’ish Dancesteps
 Breathing
  カーステン・デール・ゴールデンレシオ・トリオ
   カーステン・デール(ピアノ)
   ダニエル・フランク(ベース)
   ヤコプ・ホイアー(ドラム)
 
録音 2023年1月7日 Musikloftet(オスロ)、2024年3月12日 Thor Neby Studio(オスロ)

 
デンマークのピアニストで作曲家のカーステン・デール Carsten Dahl の新作は、スウェーデンのベーシスト、ダニエル・フランク Daniel Franck とデンマークのドラマー、ヤコプ・ホイアー Jakob Høyer との「ゴールデンレシオ Golden Ratio」(黄金比)トリオによるアルバムです。デール作曲の2曲、フランクの1曲、3人全員で作った10曲が、オスロにあるキャラクターの異なる2箇所のスタジオで録音されました。温もりと、メロディを正確に伝える雰囲気をもった「Musikloftet」(ミュージックロフト)のセッション。もっと生々しい、攻撃的な鋭さのある「Thor Neby Studio」(トール・ネビュー・スタジオ)のセッション。初期のバップ・スタイルから、ビル・エヴァンズとキース・ジャレットを思わせる、よりニュアンスゆたかで洗練された「声」をもったスタイルへと、デールの成熟したアプローチがはっきりと示されています。彼のメロディとリズムの扱いには、ジャズの伝統に深く根ざしながら、バッハからラフマニノフまで、ヨーロッパのクラシカル音楽から広範にインスピレーションを得たことが感じられます。
 
価格(CD) 2,530円(税込価格)(本体価格 2,300円)
価格(Vinyl LP) 4,730円(税込価格)(本体価格 4,300円)

『In Rome』
Storyville 101 8538/601 8538 Vinyl LP jazz

 
『In Rome』
 Call It Love Orphant in Rome Molto Ancore (per Luca Flores)
 Blue Waltz Satie’s Mood * Il Giardino di Anne Perspectives *
 Come Rose Dai Muri Song for an August Evening Periph
 Siren’s Lounge * [* CD のみ]
  トマス・フォネスベク(ベース)
  エンリコ・ピエラヌンツィ(ピアノ)
  ロザリオ・ジュリアーニ(サクソフォーン)
  ロベルト・ガット(ドラム)
  ヴァンレンティーナ・ラナッリ(ヴォーカル)
 
録音 2023年9月6日–7日 ローマ(イタリア)

 
デンマークのベーシスト、トマス・フォネスベク Thomas Fonnesbæk の新作。ピアニストのエンリコ・ピエラヌンツィ Enrico Pieranunzi、サクソフォーン・プレーヤーのロザリオ・ジュリアーニ Rosario Giuliani、ドラマーの ロベルト・ガット Roberto Gatto、歌手のヴァンレンティーナ・ラナッリ Valentina Ranalli という、イタリアの名高いジャズ・ミュージシャンと組んだローマでの録音です。
 
フォネスベクは、ヨーロッパのジャズシーンでもっとも重要で、特有のスタイルのベーシストのひとりとみなされ、彼のテクニックと「北欧の音」と引き締まった音のソロを弾く能力は、デンマークのニルス=ヘニング・アーステズ・ペーザセン、ボー・スティーフ、イェスパー・ロンゴー、オランダのハイン・ヴァン・デ・ゲインやスウェーデンの名だたるベーシストたちの系譜にあるといわれます。
 
チェット・ベイカー、マーク・ジョンソン、ポール・モチアン、エンニオ・モリコーネとのコラボレーションで知られるピエラヌンツィ。ヨーロッパのジャズ・サークルで名の通ったロベルト・ガット。優美で感受性ゆたかなアプローチが特徴のジュリアーニ。ピエラヌンツィの9曲と、フォネスベクとガットが1曲ずつ作った作品が演奏されます。
 
価格(CD) 2,530円(税込価格)(本体価格 2,300円)
価格(Vinyl LP) 4,730円(税込価格)(本体価格 4,300円)

『Jazz Club Montmartre CPH 1988』
Storyville 103 8541 2CD’s/601 8541 Vinyl LP jazz

 
『Jazz Club Montmartre CPH 1988』
[Disc 1]
 13th She Did It Again My Funny Valentine * In a Sentimental Mood
 Mr. K. J. One for Us *
[Disc 2]
 Turnaround * It’s a Dance * Autumn Leaves * La Champagne *
 Giant Steps * Someday My Prince Will Come * [* CD のみ]
  ミシェル・ペトルチアーニ(ピアノ)
  ゲーリー・ピーコック(ベース)
  ロイ・ヘインズ(ドラム)
 
録音 1988年7月3日 モンマルトル(Montmartre)「コペンハーゲン・ジャズフェスティヴァル」(コペンハーゲン)(ライヴ録音)

 
フランスのジャズピアニスト、ミシェル・ペトルチアーニ Michel Petrucciani は、26歳だった1988年、コペンハーゲンの「モンマルトル(Montmartre)」で行われたフェスティヴァルにベーシストのゲーリー・ピーコック Gary Peacock とドラマーのロイ・ヘインズ Roy Haynes と組んだトリオで出演しました。Storyville Records がリリースするアルバムには、未発表だった7月3日のコンサートのライヴ録音が収録されています。
 
1988年の短期ヨーロッパ・ツアーのために結成されたトリオは、前年の秋に行ったスタジオ・セッションでペトルチアーニの6曲のオリジナル曲を「優美さと自発性のある感覚」で録音しており、彼のユニークな抒情の宇宙と、ビル・エヴァンズ、キース・ジャレット、ポール・ブレイというモダンジャズのアイコンへの「オマージュ」が、そのまま、このコンサートに反映しています。特別に編曲された《Someday My Prince Will Come》《Turnaround》といった古典的ナンバー。爆発的なエネルギーのある《She Did It Again》から内省的な美しさの《Autumn Leaves》まで。キャリアのピークにあったピーコックとヘインズとの「ケミストリー」によって、ペトルチアーニのヴィルトゥオーゾ・プレーが、切迫感、喜び、生きるためのたゆまない情熱の感覚を示しているといわれます。 
 
価格(CD) 3,850円(税込価格)(本体価格 3,500円)
価格(Vinyl LP) 4,730円(税込価格)(本体価格 4,300円)

『Liaisons II: All Things Bright and Beautiful』
Avie AV 2694 classical

 
ティモ・アンドレス(1985–)
 Nice is Different Than Good
 (”I know Things Nor” from《Into the Woods》)
マーク・ベネット
 Everybody Says Don’t(from《Anyone Can Whistle》)
スティーヴン・ハフ(1961–)
 Pretty Lady: gymnopédie(”Pretty Lady” from《Pacific Overtures》
ジョン・バティステ(1986–)
 The Gun Song/The Ballad of Booth(from《Assassins》)
テッド・ハーン(1982–)
 Another National Anthem(from《Assassins》)
コンラッド・タオ(1994–)
 Move On(from《Sunday in the Park with George》)*
クリストファー・セローネ(1984–)
 Kiss Me after the Song
 (from《Sweeney Todd: The Demon Barber of Fleet Street》)
マルク・シュブリング(1968–)
 Rhapsody in Red(”Goodbye for Now” from《Reds》)
メレディス・モンク(1942–)
 Dialogue(”Poems” from《Pacific Overtures》)
パオラ・プレスティーニ(1975–)
 Always(”I Wish I Could Forget You” from《Passion》)
ジェフ・ビール(1963–)
 Not a Day Goes By(from《Merrily We Roll Along》)
マックス・リクター(1966–)
 Anyone Can Whistle(from《Anyone Can Whistle》)
ケヴィン・プッツ(1972–)
 Being Alive(from《Company》)
アンソニー・デ・メア
 All Things Bright and Beautiful(after the song intended forFollies》)
  アンソニー・デ・メア(ピアノ)
  コンラッド・タオ(ピアノ)*
 
録音 2023年5月25日–26日、8月21日–22日 Oktaven Audio(マウントバーノン、ニューヨーク州)
レコーディング・プロデューサー ジュディス・シャーマン
リエゾン・プロデューサー レイチェル・コルバート
録音エンジニア チャールズ・ミュラー、ライアン・ストリーバー
マスタリング ジーン・ヴェロニス、ジュディス・シャーマン

 
アメリカのコンサートピアニスト、アンソニー・デ・メア(デ・マール、デ・マーレ) Anthony de Mare からミュジカル作家スティーヴン・ソンドハイム Stephen Sondheim(1930–2021)に捧げる「オマージュ」プロジェクト「Re-Imagining Sondheim from the Piano(ピアノによるソンドハイム再構築)」。スティーヴ・ライヒ、ウィントン・マーサリス、マーク=アントニー・ターネッジ、トマス・ニューマンたち、7カ国の作曲家36人がそれぞれに「ミスター・ソンドハイムと会話」して作った曲による最初のアルバム「Liaisons - Re-Imagining Sondheim from the Piano」が、2015年に ECM New Series からリリース(ECM 4811780/2470-73)され、「啓示…デ・メアの演奏は全体にわたって素晴らしく、感情ゆたかな内省と外に向かう華やかさがうまく組み合わされている」(「San Francisco Chronicle」)といった評価を受けました。
 
ミュージカル《A Little Night Music》でマダム・アームフェルトの歌う〈Liaisons〉をタイトルにとったプロジェクトの第2作『Liaisons II: All Things Bright and Beautiful』は、ソンドハイムの生誕95周年に合わせて制作されました。ティモ・アンドレス Timo Andres からケヴィン・プッツ Kevin Putts まで13人が、カリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)の Center for the Art of Performance 、アイオワ大学の Hancher Auditorium、南オレゴン大学の Center of the Arts といった団体と個人の委嘱を受けて作った曲と、《Follies》に使われる予定で書かれた〈All Things Bright and Beautiful〉を基にしたデ・メア自身の曲によるプログラム。「ブロードウェイ・ミュージカルを洗練されたものにした」とデ・メアが語るソンドハイムの生涯とミュージカル・シアターの抜きん出た存在の不滅のレガシーを記念する気持ちをこめて作られました。コンラッド・タオ Conrad Tao の《Move On》は、デ・メアと作曲者のデュオによる演奏です。
 
価格 2,530円(税込価格)(本体価格 2,300円)

『Out of Reach』
Prophone PCD 371/PLP 371 Vinyl LP  jazz

 
『Out of Reach』
 At the End of the Tunnel(Emmalisa Hallander)
 I’ll String along with You(Harry Warren/Al Dubin)
 Month of May(Emmalisa Hallander)
 Umbrella Drinks and Reaches(Emmalisa Hallander)
 Before You(Emmalisa Hallander)
 And So It Begins(Emmalisa Hallander)
 Rain in July(Emmalisa Hallander)
 Seesaw(Emmalisa Hallander)
 A Singer’s Dilemma(Emmalisa Hallander)
 Street of Dreams(Victor Young/Sam M. Lewis)
  エンマリーサ・ハッランデル(ヴォーカル)
  フィーリプ・エーケストゥッベ(ピアノ)
  ニクラス・フェーンクヴィスト(ベース)
  ヘンリク・イェーデルベリ(ドラム)
  ダニエル・ミーグダール(第1ヴァイオリン)
  ヨンナ・シモンソン(第2ヴァイオリン)
  リーカ・レポ(ヴィオラ)
  アマーリエ・スタルヘイム(チェロ)
  ゲスト:
  ペーテル・アスプルンド(トランペット)
  ペール・テキサス・ユーハンソン(サクソフォーン)
 
録音データ(後報)

 
エンマリーサ・ハッランデル Emmalissa Hallander は、スウェーデンが世に出したジャズ・ヴォーカルのもっとも新しい「スター」といわれます。ストックホルムのクラブ「ファシング Fasching」で彼女が中心のコンサートを行い、トランペットのペーテル・アスプルンドのツアーに帯同、ストックホルム・ジャズオーケストラと共演、「ファシング・ヴェンネル」や王立音楽アカデミー(KMA)などのスカラシップを受け、スウェーデンのジャズシーンで名声を手に入れました。2023年にデビューアルバム『Have a Look Inside』(Varva Records)をリリース。リスナーとメディアから称賛されました。
 
新作の『Out of Reach』(手の届かないところ)も最初のアルバムと同じく、彼女のオリジナル曲を中心にしたプログラムが組まれ、20世紀なかごろの「古き良き」ヴォーカルジャズのスタイルと気分で歌われます。 共演のバンドは、アマンダ・ギンスブーリの『Tur att jag kan skratta』(Ladybird 79556881)のフィーリプ・エーケストゥッベ Philip Ekestubbe のピアノ、イサベラ・ルンドグレーンの『Out of the Bell Jar』(Ladybird 79556854)のニクラス・フェーンクヴィスト Niklas Fernqvist のベース、アントン・ドロムベリの『Stars』(Prophone PCD 366)のヘンリク・イェーデルベリ Henrik Jäderberg のドラムというトップクラスのメンバーで構成。ロマンティックなムードのトラックではダニエル・ミーグダール Daniel Migdal たちの弦楽四重奏が共演、いくつかの歌にはペーテル・アスプルンド Peter Asplund のトランペット、ペール・テキサス・ユーハンソン Per Texas Johansson のサックスがゲスト参加しています。
 
価格(CD) 2,365円(税込価格)(本体価格 2,150円)
価格(Vinyl LP) 3,740円(税込価格)(本体価格 3,400円)

『バツェヴィチ、ルトスワフスキ、シマノフスキ』
Linn CKD 758 classical

 
グラジナ・バツェヴィチ(1909–1969)
 管弦楽のための序曲(1943)
ヴィトルト・ルトスワフスキ(1913–1994)
 交響曲第3番(1973–83)
カロル・シマノフスキ(1882–1937)(イアン・ファリントン(1977–) 編曲)
 《ロジェ王(Król Roger)》による交響的幻想曲
  ロイヤル・スコットランド・ナショナル管弦楽団
  トマス・スナゴー(指揮)
 
録音 2024年2月17日、6月8日 グラスゴー・ロイヤル・コンサートホール(スコットランド)(ライヴ録音)

 
音楽監督トマス・スナゴーとロイヤル・スコットランド・ナショナル管弦楽団(RSNO)による20世紀ポーランドを代表する3人の作曲家のプログラム。
 
ポーランドがナチス・ドイツと共産党による支配という想像を絶する政治的混乱を経験した時代、シマノフスキ、バツェヴィチ、ルトスワフスキは、それぞれ独自の「言語」によってポーランド音楽のアイデンティティを再形成したと言われます。バツェヴィチが、初期のネオクラシカルなスタイルから複雑で大胆、色彩的な作風に移り、ナチス占領下の1943年に作曲した反抗的な《序曲》。後期ロマンティシズムに地中海とポーランドの魅力をブレンドしたシマノフスキのオペラ《ロジェ王》をイアン・ファリントン Iain Farrngton が編曲した《交響的幻想曲》。民俗音楽の伝統と現代の技法を取り入れてポーランド音楽のロマンティシズムの限界を超えた、ポーランドの自由を力強く象徴するともみなされるルトスワフスキの《交響曲第3番》。
 
トマス・スナゴー Thomas Søndergård は、1969年、ユランのホルステブロー生まれ。王立デンマーク音楽アカデミーでゲアト・モーテンセンの打楽器クラスで学び、1989年から1992年までヨーロッパ連合(EU)のユース・オーケストラで演奏しました。1992年から王立デンマーク管弦楽団のソロ・ティンパニ奏者。マーラー室内管弦楽団、ドイツ・カンマーフィルハーモニー、ヨーロッパ室内管弦楽団にも参加しました。指揮は、アレクサンドル・ポリアニチコ、イヴ・アベル、グレアム・ボンドに学び、2005年、ポウル・ルーザスのオペラ《カフカの審判》(Dacapo 8.226042-43)の世界初演を指揮して王立デンマーク歌劇場にデビューしました。ノルウェー放送管弦楽団とBBCウェールズ・ナショナル管弦楽団の首席指揮者を務め、2012年/2013年のシーズンに RSNO の首席指揮者に就任しました。
 
価格 2,860円(税込価格)(本体価格 2,600円)

『チェロ協奏曲』
OUR Recordings 8.226926 classical

 
ドミートリー・カバレフスキー(1904–1987)
 チェロ協奏曲第2番 ハ短調 Op.77
ロベルト・シューマン(1810–1856)
 チェロ協奏曲 イ短調 Op.129
  テーオドル・リングスタード(チェロ)
  コペンハーゲン・フィル
  エヴァ・オッリカイネン(指揮)
 
[楽器 Cello: Testore, RDAM]
 
録音 2021年4月8日–9日 王立デンマーク音楽アカデミー コンサートホール(コペンハーゲン)
制作・バランスエンジニア・ミクシング・マスタリング ダーニエル・デーヴィズセン
編集 ダーニエル・デーヴィズセン、テーオドル・リングスタード

 
コペンハーゲン・フィルの首席チェロ奏者、テーオドル・リュングスタードのソリストとしてのデビュー・アルバム。カバレフスキーの《チェロ協奏曲第2番 ハ短調》とシューマンの《チェロ協奏曲 イ短調》というプログラムです。「2つの協奏曲は、様式的にかけ離れているように見えるが、内省的、やや反抗的で挑戦的な精神という点で結ばれている。連続する3つの楽章、カデンツァの省略、短調と長調による全体の展開と、似た形式で作られている。だが、ずっと興味深いのは、作品の個性と心理面に強い繋がりがあると思えることだ」(リングスタード)
 
テーオドル・リングスタード Theodor Lyngstad は、1993年、ノルウェーのトロンハイム生まれ。王立デンマーク音楽アカデミー(RDAM)でモーテン・ソイテンとラーシュ・アンデシュ・トムテル、マンハッタン音楽学校でデイヴィッド・ジーバーに学びました。RDAM 在学中の2015年にレーオニ・ソニング・タレント賞を受賞、2017年にアカデミーのソリスト・コンペティションでヘアマン・D・コペルの《チェロ協奏曲》をクリスチャン・ヤルヴィ指揮RDAM交響楽団と共演して優勝しました。2019年からコペンハーゲン・フィルの首席チェロ奏者を務め、Augustius Foundation 貸与の「J. B. Vuillaume, 1871」チェロで演奏しています。
 
指揮者のエヴァ・オッリカイネン Eva Ollikainen(1982–)は、エスポーで生まれ、シベリウス・アカデミーでヨルマ・パヌラとレイフ・セーゲルスタムに学びました。2021年から芸術監督・首席指揮者を務めるアイスランド交響楽団と録音したアンナ・ソルヴァルスドウッティルの《ARCHORA》《AIÖN》(Sono Luminus DSL 92268)が、「New York Times」の2023年最優秀クラシカル音楽アルバムと「Boston Globe」の「10 Best Classical Albums of the Year」に選ばれました。
 
価格 2,475円(税込価格)(本体価格 2,250円)

『ランゴー 交響曲・管弦楽作品集 初期録音集 1957年–1981年』
Danacord DACOCD 976 2CDR’s for price of 1 classical

 
ルーズ・ランゴー(1893-1952)
[Disc 1]
 交響曲第4番《落葉(Løvfald)》 BVN 124(1916 rev.1920)(1楽章の)
  デンマーク国立交響楽団 ジョン・フランセン(指揮)
 [録音 1981年4月2日 デンマーク放送(DR)スタジオ(コペンハーゲン)]
 交響曲第6番《天を裂いて(Det Himmelrivende)》 BVN 165
 (1919–20 rev.1928–30)
  デンマーク国立交響楽団 マーテリウス・ロンクヴィスト(指揮)
 [録音 1961年5月20日 デンマーク放送(DR)スタジオ(コペンハーゲン)]
 交響曲第16番 《太陽の氾濫(Syndflod af Sol)》 BVN 417(1950–51)
  デンマーク国立交響楽団 フランセスコ・クリストフォリ(指揮)
 [録音 1966年3月16日 デンマーク放送(DR)
  コンサートホール(コペンハーゲン)(初演ライヴ)]
[Disc 2]
 頌歌(エドヴァルド・グリーグの死にあたり)
 (Drapa(Ved Edvard Griegs Død)) BVN 20(1907 rev.1909–13)
  デンマーク国立交響楽団 ラウニ・グランデール(指揮)
 [録音 1957年5月5日 デンマーク放送(DR)スタジオ(コペンハーゲン)]
 ヴィズビェア頌歌(Hvidbjerg-Drapa) BVN 343(1948)
 (混声合唱、オルガンと管弦楽のための)
  デンマーク国立交響楽団 エアンスト・ヒュー=クヌセン(指揮)
 [録音 1958年6月10日 デンマーク放送(DR)スタジオ(コペンハーゲン)]
 ヴァイオリン協奏曲 BVN 289(1943–44)(1楽章の)
  カイ・ラウアセン(ヴァイオリン)
  オーゼンセ交響楽団 アクセル・ヴェレユス(指揮)
 [録音 1968年2月8日 デンマーク放送(DR)スタジオ]
 《詩人の夢》への音楽(Misik til “En Digters Drøm”) BVN 181
 (1923–1925 Nyversion 1926)
 (ユーリウス・マウヌセン(1882–1940)の10景の劇)
  オルボー交響楽団 アルフ・ショーエン(指揮)
 [録音 1969年10月21日 デンマーク放送(DR)スタジオ]
 禁令(Interdikt) BVN 335(1947–48)(オルガンと管弦楽のための)
  グレーテ・クローウ(オルガン)
  オルボー交響楽団 アルフ・ショーエン(指揮)
 [録音 1970年4月17日 デンマーク放送(DR)スタジオ]  
 天球の音楽(Stærernes Musik)  BVN 128(1916–18)
 (ソプラノ、混声合唱、管弦楽とバンダのための)
  マグレーデ・ダニエルセン(ソプラノ) デンマーク国立交響楽団
  デンマーク国立放送合唱団 ジョン・フランセン(指揮)
 [録音 1971年1月21日 デンマーク放送(DR)スタジオ(コペンハーゲン)]

 
コペンハーゲンから離れたリーベ大聖堂のオルガニストを長年務めたルーズ・ランゴー Rued Langgaard(1893-1952)は、デンマーク音楽のアウトサイダーとみなされ、20世紀が終わろうかというころまで、軽視されていました。再評価のきっかけとなったのは、ベント・ヴィンホルト・ニルセン Bendt Viinholt Nielsen の編纂した作品カタログ『作曲家ルーズ・ランゴー(Rued Langgaard Kompositioner)』(1991)(オーゼンセ大学出版(Odense Universitetsforlag))が出版されたことと、Danacord Records がアルトゥール・ルービンスタイン・フィルハーモニック管弦楽団と指揮者イリヤ・ストゥーペルを起用して交響曲全16曲を録音(DACOCD 404/405/406/407/408/409/410)したことと考えられています。
 
その一方、デンマーク放送(DR)も、彼らの尽力には及ばないものの、比較的早いころからランゴーの作品をラジオ放送していました。Danacord のこのアルバムには、1957年から1981年のデンマーク放送録音が収録されています。ジョン・フランセン John Frandsen(1918–1996)、王立劇場指揮者のマーテリウス・ロンクヴィスト Martellius Lundquist(1904–1967)、ユラン歌劇場と王立劇場指揮者のフランセスコ・クリストフォリ Francesco Cristofoli(1932–2004)、ラウニ・グランデール Launy Grøndahl(1886–1960)、エアンスト・ヒュー=クヌセン Ernst Hye-Knudsen、アクセル・ヴェレユス Aksel Wellejus(1924–2015)、ノルウェーのアルフ・ショーエン Alf Sjøen(1914–1999)。ヴァイオリニストのカイ・ラウアセン Kai Laursen(1924–1996)。
 
オルガニストのグレーテ・クローウ Grethe Krogh(1928–2018)がオルボー交響楽団と共演した《禁令》は「リーベ大聖堂のクリストファ一世の墓地で(Ved Christoffer den 1.’s Grav i Ribe Domkirke)」の副題がつけられている作品です。
 
《交響曲第4番》(DACOCD 560)など2曲以外は初めてリリースされる録音。別演奏のある曲は、最終の録音が収録されました。
 
 
価格 2,530円(税込価格)(本体価格 2,300円)
 

再生対応のメディアを機器の取扱説明書でご確認ください。高品質メディア(Sony DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-Rによるリリースです。プレーヤー/トランスポートの機種によってはCD-Rの読み取り、再生ができないことがあります。再生対応のメディアを機器の取扱説明書でご確認ください。

『ダニエル・グリムウッド』
Danacord DACOCD 986 classical

 
ロベルト・シューマン(1810–1856)
 謝肉祭(Carnaval) Op.9(1834–35)
 アラベスク(Arabeske)  ハ長調 Op.18(1839)
クララ・シューマン(1819–1896)
 夜想曲(Notturno) Op.6 no.2(《音楽の夜会(Soirées musicales)》から)
フランツ・リスト(1811–1886)
 ピアノソナタ ロ短調 S.178(1842–53)
 慰め(Consolation)第3番 変ニ長調 S.172 no.3
  ダニエル・グリムウッド(ピアノ)
 
[楽器 Piano: Erard, London, 1856]
 
録音 
制作
録音エンジニア

 
ユラン半島の根っこにあり、かつてデンマーク王国に属していたシュレースヴィヒ=ホルシュタイン(スレースヴィ=ホルステーン)は、第二次シュレースヴィヒ=ホルシュタイン戦争の後、1866年にドイツに割譲されました。この州の都市フーズムでは毎夏「フーズム城音楽際」が開催され、ピアノ音楽のさまざまな魅力、とりわけヴィルトゥオーゾ性に目を向けたプログラムと演奏者が人気を集めています。ダニエル・グリムウッドは、2023年夏に行われた第34回の音楽祭(DACOCD 979)に招待されオープニング・コンサートで演奏したピアニストです。
 
グリムウッド Daniel Grimwood(1976–)は、イングランドのケント生まれ。19世紀の作品を主なレパートリーにウィグモアホールをはじめ各国のホールで演奏し、ヨーク大学で19世紀の演奏スタイルと慣習に特化した研究員を務めています。録音活動も行い、アドルフ・フォン・ヘンゼルトの『練習曲(全曲)』(Edition Peters)は、「The Gramopjone」のエディターズ・チョイスに選ばれました。
 
シューマン夫妻とリストのこのアルバムを彼は、ヨーク大学の所有する「1856年エラール・ロンドン」のコンサート・グランドで演奏しました。この楽器は、弦を上から打つモダンピアノと異なる、下から打つメカニズムで作られ、複雑な倍音の響きなど独特の音色がプレーヤーの美学に一致すると、代えがたい魅力を生み出すと言われます。この楽器をナイジェル・スケイフ Nigel Scaife がリストア。エイダン・ディレイシー=シムズ Aidan Delacey-Simms による「バッハ/リーマン調律」です。
 
価格 2,530円(税込価格)(本体価格 2,300円)

『エッセンス・トリオ』
LAWO Classics LWC 1343 classical

 
ルートヴィヒ・ファン・ベートーヴェン(1770–1827)
 弦楽三重奏曲第3番 ト長調 Op.9 no.1(1797–98)
 弦楽三重奏曲第4番 ニ長調 Op.9 no.2(1797–98)
 弦楽三重奏曲第5番 ハ短調 Op.9 no.3(1797–98)
  SSENS Trio(エッセンス・トリオ)
   ソルヴェ・シーゲルラン(ヴァイオリン)
   ヘンニンゲ・ランドース(ヴィオラ)
   エレン・マルグレーテ・フレショー(チェロ)
 
録音 2024年 ソフィエンベルグ教会(オスロ)
制作 ヴェーガル・ランドース
録音 トマス・ヴォルデン [DXD(24bit/352.8kHz)録音]

 
「SSENS Trio(エッセンス・トリオ)」は、2014年、ソルヴェ・シーゲルラン Sølve Sigerland、エレン・マルグレーテ・フレショー Ellen Margrete Flesjø、ヘンニンゲ・ランドース Henninge Landaas の3人がオスロで結成した弦楽三重奏団です。『リチェルカーレ』(LWC 1238)に次ぐ LAWO Classics 第4作は、2017年の《第1番 変ホ長調》(Op.3)と《セレナード ニ長調》(弦楽三重奏曲第2番)(Op.8)につづくベートーヴェンの「弦楽三重奏曲 Op.9」。彼の弦楽三重奏の作品はこの5曲がすべてです。
 
前のアルバムは「エッセンス・トリオのこの演奏は格別にすばらしい。音色の美しさ、ニュアンスたっぷりのダイナミクス、フレージングの微妙さへ気配り、そしてリズムの高揚感と、すっかり心を奪われる」(「Fanfare magazine」)の評を獲得。2018年の「ICMA (Inernational Classical Music Awards)」にノミネートされ、「Supersonic Award」を受賞しました。
 
弦楽三重奏曲 Op.9 は、1797年から1798年にかけて作曲された作品です。1799年にウィーンで出版され、ベートーヴェンのパトロンだったヨハン・ゲオルク・フォン・ブロウネ=カミュ伯爵に献呈されました。《第3番 ト長調》《第4番 ニ長調 》《第5番 ハ短調》。いずれも4つの楽章の作品です。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲ほどには演奏されないものの、彼の作曲家としての成長過程の重要な里程標とされ、作曲者自身も初期のもっとも成功した作品とみなしていたと言われます。
 
価格 2,530円(税込価格)(本体価格 2,300円)

『絶望の光(A Desperate Light)』
LAWO Classics LWC 1359 contemporary/classical

 
ギスレ・クヴェルンドク(1967–)
 3枚の絵画(Three Pictures)(2013 orch.2021)*
  ラファイエット通り(Rue Lafayette)
  サン=クルーの夜(Night in Saint-Cloud)
  モンテカルロのルーレットテーブルで
  (At the Roulette Tale in Monte Carlo)
 『八十日間世界一周』による交響組曲
 (Symphonic Suite from “Around the World in 80 Days”)(2010)**
  ロンドン:フィリアス・フォッグが世界一周の旅をスタート
  (London: “Phileas Fogg starts his journey around the world”)
  パリ:ヴィオレッタの誘惑(Paris: “Violetta’s seduction”)
  ローマ:トスカの死(Rome: “Tosca’s death”)
  スエズ:サロメの踊り(Suez: “Salome’s dance”)
  北京:フィリアス・フォッグは勇ましい態度でトゥーランドットの鉤爪を逃れる)
  (Beijing: “Phileas Fogg heroically escapes the claws of Turandot”)†
  太平洋のロマンス(Romance in The Pacific Ocean)
  フィナーレ:フィリアス・フォッグのロンドンへの勝利の帰還
  (Finale: “Phileas Fogg’s victorious return to London”)
 絶望の光(A Desperate Light)(2021)**
   トロンハイム交響楽団
   オーゲ・リカール・マイエル(指揮)*
   ペーテル・シルヴァイ(指揮)**
   ルース・ポター(ハープ・ソロ)†
 
録音 2023年6月12日–15日 オラヴホール(トロンハイム、ノルウェー)
制作・編集 ヴェーガル・ランドース
録音エンジニア・マスタリング トマス・ヴォルデン
 
[DXD(24bit/352.8kHz)録音]

 
オスロ・カンマーアカデミーのアルバム『シルクロード』(LWC 1271)の作曲家のひとり、ギスレ・クヴェルンドク Gisle Kverndokk の作品集。深い情緒性、洗練されたオーケストレーション、光と闇を探り感情を呼び起こす管弦楽作品が3曲、トロンハイム交響楽団により演奏されます。
 
《3枚の絵画》は、エドヴァルド・ムンクの「ラファイエット通り」「サン=クルーの夜」「モンテカルロのルーレットテーブルで」の3枚からインスピレーションを得た作品です。2013年にティーネ・ティング・ヘルセットがムンク美術館で開催した室内楽フェスティヴァルのためにクヴェルンドクが作曲した「トランペット、ヴァイオリンとピアノ」の三重奏曲をオーケストラ曲にした作品です。
 
《『八十日間世界一周』による交響組曲》は、オスロ・フィヨルドのビョルヴィーカに建築されたオスロ・オペラハウスの2008年の柿落としの委嘱作として作曲され、2016年にオーストリアのリンツ州立劇場の委嘱で「ミュージカル」に改作された『八十日間世界一周』を基にした作品です。ヴェネツィアから中国まで「10楽章の組曲」の《シルクロード(The Silk Road)》と似た構成がとられ、〈ロンドン:フィリアス・フォッグが世界一周の旅をスタート〉に始まり〈フィナーレ:フィリアス・フォッグのロンドンへの勝利の帰還〉に終わる7曲の作品にまとめられています。
 
《絶望の光(A Desperate Light)》は、COVID-19 パンデミックのロックダウン期間中に作曲されました。曲名にとった「絶望の光」を含むパブロ・ネルーダの詩の二行からスタート。レナード・バーンスタインの交響曲《不安の時代》をインスピレーションに、彼の《ウェストサイド物語》の〈マンボ〉と〈ランブル〉の素材も引用されます。
 
《3枚の絵画》をオーゲ・リカール・マイエル Aage Richard Meyer(1994–)、他の2曲をペーテル・シルヴァイ Peter Szilvay(1971–)が、指揮しました。トロンハイムのオラヴホールでのセッション録音です。
 
価格 2,530円(税込価格)(本体価格 2,300円)

『The Silent Voice』
Skani SKANI 166 contemporary/classical

 
リンダ・レイマネ(1989–) 
 Crystal(クリスタル)(2023)
ヤーニス・ペトラシュケヴィチス(1978–)
 沈黙の声(Klusā balss/The Silent Voice)(2023)
マリアンナ・リーク(1992–)
 CLIMB THE LIGHT(光をのぼれ)(2024)
ヘレナ・トゥルヴェ(1972–)
 Humming in My Bones(肌で感じるブーンという音)(2024)
ライモンダ・ジューカイテ(1991–)
 悲しみ(Sielvartas)(2023/24)
リホ・エスコ・マイメツ(1988–)
 walk on stones(石の上を歩く)(2024)
リーティス・マジュリス(1961–)
 Entrope(2023)
  ロバート・フライツ(ピアノ)
 
録音 2024年 GORS コンサートホール(レーゼクネ、ラトビア)
録音・ミクシング ・マスタリング ノルムンツ・シュネー

 
『The Silent Voice(沈黙の声)』と題したアルバムは、バルト三国のモダニストとポスト・モダニストの音楽の多様な姿を広い視野で把握することをめざして作られました。ラトビアのリンダ・レイマネ Linda Leimane とヤーニス・ペトラシュケヴィチス Jānis Petraškevičs、エストニアのマリアンナ・リーク Marianna Liik、ヘレナ・トゥルヴェ Helena Tulve とリホ・エスコ・マイメツ Riho Esko Maimets、リトアニアのライモンダ・ジューカイテ Raimonda Žiūkaitė とリーティス・マジュリス Rytis Mažulis。母国で学び、フランスの IRCAM やドイツのダルムシュタットなどで研究をつづけた作曲家たちです。アメリカのピアニスト、フィンランド在住のロバート・フライツ Robert Fleitz は、ジュリアード音楽学校の学生のころとラトビア音楽アカデミーで彼らと出会い、その多彩な音楽を知らせる目的でこのアルバムの制作を実現させたと言います。
 
価格 2,530円(税込価格)(本体価格 2,300円)

『Les yeux clos(閉じた眼)ー 武満徹&メシアンのソロ・ピアノ音楽』
Stradivarius STR 373042 classical

 
武満徹(1930–1996)
 閉じた眼(Les yeux clos)(1979)
オリヴィエ・メシアン(1908–1992)
 4つのリズム・エチュード(Quatre Études de rythme)(1949–50)
  火の島 I(Île de feu I 火の島 II(Île de feu II)
武満徹(1930–1996)
 雨の樹素描(Rain Tree Sketch)(1982)
オリヴィエ・メシアン(1908–1992)
 ロンドー(Rondeau)(1943)
武満徹(1930–1996)
 フォー・アウェイ(For Away)(1973)
オリヴィエ・メシアン(1908–1992)
 幼子イエスに注ぐ20の眼差し(Vingt Regards sur l’Enfant-Jésus)(1944)
  降誕祭(Noël)
  幼子イエスの接吻(Le baiser de l’Enfant-Jésus)
武満徹(1930–1996)
 リタニ(Litany)(1990)
オリヴィエ・メシアン(1908–1992)
 幼子イエスに注ぐ20の眼差し(Vingt Regards sur l’Enfant-Jésus)(1944)
  全能の言葉(La parole toute puissante)
  聖母の初聖体(Première communion de la Vierge)
武満徹(1930–1996)
 雨の樹素描 II - オリヴィエ・メシアンの追憶に(Rain Tree Sketch II, In Memoriam Olivier Messiaen)(1992)
  サンナ・ヴァールニ(ピアノ)
 
録音 2024年3月25日–26日、4月22日 フィンランド
制作・録音エンジニア・編集・マスタリング ヘイッキ・サヴォライネン

 
サンナ・ヴァールニ Sanna Vaarni。エスポーの音楽学校でカタリナ・ヌンミ=クイスマに教わったあとシベリウス・アカデミーに進み、エーロ・ヘイノネンのピアノ、ラルフ・ゴトーニの室内楽、グスタヴ・ユープシェーバカの歌曲のクラスで学びました。その後、ヴィフリ・ファウンデーションの支援を受け、1997年から1999年までパリのコンスタンティン・ボギノの下で学びました。エスポー音楽学校でピアノのシニア・レクチャラーとピアノ科長として教え、海外でマスタークラスを開催。ソリスト、室内楽奏者、歌曲のピアニストとして活動しています。
 
2022年11月、マリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコ、ニーノ・ロータ、ジャチント・シェルシ、ジャン・フランチェスコ・マリピエロ、ルイージ・ダッラピッコラの曲を弾いた『llustrazioni – 20th Century Italian Piano Music』(STR 37214)をヘイッキ・サヴォライネン Heikki Savolainen のプロデュースで録音。洗練されたプログラムと高度の音楽の質で注目されました。武満徹とメシアンのソロ・ピアノ曲による『Les yeux clos(閉じた眼)』もサヴォライネンとのコラボレーションで制作され、ふたりの作曲家に共通する「抒情」を探り、示していきます。
 
価格 2,255円(税込価格)(本体価格 2,050円)

『われらがイエスの四肢(Membra Jesu Nostri)』
Proprius PRCD 2095 early music

 
ディートリク・ブクステフーデ Dietrich Buxtehude(c1637-1707)
 カンタータ「われらがイエスの四肢(Membra Jesu Nostri)」 BuxWV.75
  足について:見よ、良い知らせを伝え(Ad pedes: Ecce super montes)
  膝について:抱いて運ばれ、膝の上であやされる
  (Ad genus: Ad ubera portabimini)
  手について:あなたの胸にあるこの傷はどうしたのか
  (Ad manus: Quid sunt plagae istae)
  脇腹について:恋人よ、美しい人よ さあ、立って出ておいで
  (Ad latus: Surge amica mea)
  胸について:生まれたばかりの乳飲み子のように
  (Ad pectus: Sicut modo geniti infantes)
  心について:あなたはわたしの心をときめかす
  (Ad cor: Vulnerasti cor meum)
  顔について:あなたの僕(しもべ)に御頭の光を注ぎ
  (Ad faciem: Illustra faciem tuam)
  ヨーテボリ・バロック
  マグヌス・シェルソン(指揮)
 
録音 2019年4月29日–5月3日 オーシュタード教会(ファルケンベリ、スウェーデン)
制作・編集・ミクシング・マスタリング インゴー・ペトリ(Take5 Music Production)
録音エンジニア トゥルビョーン・サミュエルソン

 
ディートリク(ディートリヒ)・ブクステフーデ Dietrich Buxtehude(c1637-1707)は、クリスチャン四世の宮廷に仕えたモーウンス・ペーザスン(c.1858–1623)につづく、デンマーク生え抜きの際立った音楽家でした。バロック期の作曲家でオルガニストだった彼のスタイルは、J・S・バッハやヘンデルに大きな影響を与え、17世紀でもっとも重要な作曲家のひとりとみなされています。彼はオルガンやチェンバロなど鍵盤楽器曲や室内楽曲とともに声楽曲も多く手がけました。
 
カンタータ「われらがイエスの四肢」は、『聖書』の『ナホム書』による〈足について:見よ、良い知らせを伝え〉から『詩編31番』による〈顔について:あなたの僕に御頭の光を注ぎ〉まで、「協奏曲-アリア」スタイルの7つのカンタータの連作として作られています。1680年に作曲され、スウェーデン宮廷の楽士長グスタフ・デューベン Gustaf Düben(c.1628–1690)に献呈されました。ブクステフーデの代表作のひとつに評価され、トン・コープマンやルネ・ヤーコプスをはじめとする名だたる音楽家により演奏され、録音されてきました。
 
ルーマンの《スウェーデン・ミサ曲》(Nilento NILCD 2103)を録音したヨーテボリ・バロック Göteborg Baroque とマグヌス・シェルソン Magnus Kjellson による演奏は、2019年にファルケンベリ市のオーシュタード教会 Årstads kyrka でセッション録音され、アルバム・リリースが待たれていました。シェルソンとヨーテボリ・バロックの音楽家たちは、ブクステフーデの心の奥底に触れる、作品に深く寄り添った表現を実現し、聴き手が音楽家と同じ空間にいると感じさせるライヴ感を表しています。
 
Caprice Records などの録音を手がけてきたベテランのトゥルビョーン・サミュエルソン Torbjörn Samuelson によるエンジニアリング。BIS Records の録音で知られる Take5 Music Production のインゴー・ペトリ Ingo Petry が制作を担当しました。
 
価格 2,365円(税込価格)(本体価格 2,150円)

『Inner Flight Music』
Stunt Records STUCD 25062/STULP 25061 Vinyl LP jazz

 
『Inner Flight Music』
 Awakening(Tobias Wiklund)
 Sssh(Tobias Wiklund)
 Earth & Dust(Tobias Wiklund)
 Time and the Forthcoming of Space(Tobias Wiklund)
 Don’t Speak the Name of Truth(Tobias Wiklund)
 Subway Smiles(Tobias Wiklund)*
 Solens strålar ger mitt hjärta vingar(Tobias Wiklund)
 Inner Flight Music(Tobias Wiklund)
 Atomic Stringency(Tobias Wiklund)
 Up We Go(Tobias Wiklund)
 Child of Eternal Suns(Tobias Wiklund)**
  トビアス・ヴィークルンド(トランペット、コルネット)
  ユーン・フェルト(ドラム)
  ハンナ・パウルスベルグ(サクソフォーン)
  ニルス・ベリ(バス・クラリネット、テナー・サクソフォーン、フルート)
  カンサン・セッテルベリ(ベース)
  ユーハン・グラーデン(ピアノ)
  ユーナス・リンデボリ(コルネット)*/**
  スウェーデン・ウィンドオーケストラ */**
  アントン・ホルマー(指揮)*
  アレクサンデル・ハンソン(指揮)**
 
録音 2023年1月、3月、2024年9月

 
スウェーデンのジャズ・ミュージシャン、トビアス・ヴィークルンド Tobias Wiklund(1986)の『Silver Needle』(STUCD 21082)につづくリーダーアルバム第3作。「ジャズと即興の世界を通じて聴き手を魂の深化を求める旅へと誘う、幻想的な音楽の冒険」。《Awakening》(めざめ)《Sssh》(シー)《Earth & Dust》(土と埃)《Solens strålar ger mitt hjärta vingar》(日の光が心に翼をくれる)など11曲すべてヴィークルンドが作曲しました。《Subway Smiles》(地下鉄が微笑む)と《Child of Eternal Suns》(永遠なる太陽の子)にはユーナス・リンデボリ Jonas Lindeborg のコルネットとスウェーデン・ウィンドオーケストラ Blåsarsymfonikerna が加わります。
 
価格(CD) 2,585円(税込価格)(本体価格 2,200円)
価格(Vinyl LP) 2,585円(税込価格)(本体価格 3,750円)
 

Vinyl LP は収録曲目や曲順が異なることがあります。

『multiMORF』
LAWO Classics LWC 1345 contemporary/classical

 
クヌート・ヴォーゲ(1961–)
 multiMORF V(2020)
 (トロンボーン、エコー・クワルテットとエレクトロニクスのための)
 multiMORF VI(2020)
 (トランペット、4人の金管楽器奏者とエレクトロニクスのための)
 multiMORF VII(2021)(金管五重奏とエレクトロニクスのための)
  ニーノシュク金管五重奏団
   エルレン・オーゴール=ニルセン(トランペット)
   ヨルゲン・アルネセン(トランペット)
   マリーエ・ソールム・グラン(ホルン)
   インゲビョルグ・ブリューケット(トロンボーン)
   ベルゲル・イーヴェル・ファルデル(テューバ)
  トーロルフ・テューエスタ(エレクトロニクス)
 
録音 2022年9月5日–8日 ソフィエンベルグ教会(オスロ)
制作・編集 ヴェーガル・ランドース
録音エンジニア・マスタリング トマス・ヴォルデン [DXD(24bit/352.8kHz)録音]

 
ベルゲン在住のクヌート・ヴォーゲ Kunt Vaage は、ベルゲン国際フェスティヴァルやオスロのウルティマ音楽際のほか、バルセロナ、プラハ、ストックホルム、レイキャヴィークなどの音楽際でも取り上げられてきました。即興音楽を含む多彩なスタイルで活動をつづけ、2023年ノーベル文学賞を受けたヨン・フォッセの戯曲による1幕のオペラ《だれか、来る》(Aurora ACD 5043)が代表作のひとつに挙げられています。
 
金管楽器、エレクトロニクスとライト・デザインによる《multiMORF V》《multiMORF VI》《multiMORF VII》は、「multiMORF」シリーズ(2007–13)をサウンドデザイナーのトーロルフ・テューエスタと共同で発展させた作品です。このシリーズは、パブロ・ネルーダの『Libro de las Preguntas(質問の書)』にある「私が死に、そのことを知らなければ、その時刻を誰に尋ねればいいのか」「蜂に追われた盲人はどこに住めばいいのか」「黄色という色がなくなったら、何でパンを作るのか」といった素朴な質問からスタート。それをベースにイメージをさまざまに膨らませて「サウンド」が作られていきました。
 
トーロルフ・テューエスタ Thorolf Thuestad は、ユトレヒト芸術学校、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校、グリーグ・アカデミーで学び、現代音楽アンサンブル「BIT20」に属しながら、作曲家、サウンドデザイナー、キネティック・スカルプターとして活動を行なっています。
 
ニーノシュク金管五重奏団 NyNorsk Messingkvintett は、2016年以来、49の作品の初演を手がけ、2021年にノルウェー作曲家協会の最優秀演奏者賞に選ばれました。エルレン・オーゴール=ニルセン Eerlend Aagaard-Nilsen とヨルゲン・アルネセン Jørgen Arnesen のトランペット、マリーエ・ソールム・グラン Marie Solum Gran のホルン、インゲビョルグ・ブリューケット Ingebjørg Bruket のトロンボーン、ベルゲル・イーヴェル・ファルデル Berger Iver Færder のテューバ。セシーリエ・オーレの《Hototogisu!(ホトトギス!)》(LWC 1398)も、このアンサンブルによって初演されました。
 
価格 2,530円(税込価格)(本体価格 2,300円)

『ヘルマン・ヴォークト』
LAWO Classics LWC 1346 classical

 
ヘルマン・ヴォークト(1976–)
 チェロ協奏曲(2014 rev.2022)*
 ピアノ協奏曲(2017–21)**
  アウドゥン・サンヴィーク(チェロ)*
  スヴァイング・ビェラン(ピアノ)**
  ノルウェー放送管弦楽団
  アンナ=マリア・ヘルシング(指揮)
 
録音 2023年4月24日–28日 ノルウェー放送(NRK)大スタジオ(コンサートホール)(オスロ)
制作・編集 ヴェーガル・ランドース
録音エンジニア・マスタリング トマス・ヴォルデン [DXD(24bit/352.8kHz)録音]

 
ノルウェーの作曲家ヘルマン・ヴォークトのチェロとピアノの協奏曲。
 
ヘルマン・ヴォークト Herman Vogt は、1976年にドランメンで生まれ、ノルウェー国立音楽大学でラッセ・トーレセン、オラヴ・アントン・トンメセン、ヘンリク・ヘルステニウス、ビョルン・クルーセに作曲を学びました。ハーグ王立音楽院のマルテイン・パディングとルイ・アンドリーセンの下で研究をつづけ、サルヴァトーレ・シャリーノたちのマスタークラスとセッションにも参加してきました。管弦楽曲、器楽曲、室内楽曲を中心に作曲、ノルウェー放送管弦楽団のほか、オスロ・シンフォニエッタ、「BIT20」、オスロ・フィルハーモニックなどが彼の作品を演奏しています。
 
《チェロ協奏曲》は、アウドゥン・サンヴィークが委嘱した作品です。〈ファンタジア〉〈カンツォーナ〉〈ソナタ〉の3楽章で書かれた、豊かな表現と深い抒情をもつ、感情の振幅の大きい作品です。2022年に改訂版が作られ、サンヴィークとノルウェー放送管弦楽団が初演しました。サンヴィーク Audun Sandvik(1979–)は、スヴァイング・ビェランと共演したラフマニノフとショスタコーヴィチの《チェロソナタ》(LWC 1131)、ギンゲ・アンヴィークたちの作品をノルウェー放送管弦楽団と共演した『嘆きの跡』(LWC 1234)といったアルバムが、 LAWO Classics からリリースされています。
 
《ピアノ協奏曲》は、モーツァルトのピアノ協奏曲をモデルに、打楽器奏者2人を加えて新たなスタイルを探った作品です。「ラルゴ-アレグロ・コン・モート」「アダージョ・セリーノ、センプレ・トランクィッロ」「ヴィヴァーチェ-アダージョ・ラルガメンテ-ヴィヴァーチェ」の3楽章には、ピアノのヴィルトゥオーゾ的パッセージも織りこまれています。ソリストのスヴァイング・ビェラン Sveining Bjelland(1970–)は、彼の世代を代表するピアニストのひとり。ザルツブルクのモーツァルテウムでハンス・レイグラーフに学び、1999年にノルウェー・コンサート協会の「最優秀ヤング・ミュージシャン」に選ばれました。スカルラッティとメンデルスゾーンのソナタのアルバムがスペルマン賞(ノルウェー・グラミー賞)にノミネートされ、ノルウェー放送管弦楽団と共演したショパンとシューマンの協奏曲(LWC 1149)も注目されました。
 
アンナ=マリア・ヘルシング Anna-Maria Helsing(1971–)は、フィンランド系スウェーデンの指揮者です。シベリウス・アカデミーでレイフ・セーゲルスタム、アッツォ・アルミラ、ヨルマ・パヌラに学び、オウル交響楽団とBBCコンサート・オーケストラの首席指揮者を務めました。2025年から2028年のシーズンにヴァーサ市管弦楽団の首席指揮者に就任することが決まっています。
 
価格 2,530円(税込価格)(本体価格 2,300円)

『Adventuring the Intangible』
LAWO Classics LWC 1347 contemporary/classical

 
ラッセ・トーレセン(1949–)
 チェロと管弦楽のための交響的協奏曲 Op.38
 《Viaggio attraverso tre valli(3つの谷をめぐる旅)》*
  La prima Valle. Ricercare(第1の谷.リチェルカーレ)
  La secunda Valle. Serenata e Fuga(第2の谷.セレナータとフーガ)
  La terza Valle. Finale(第3の谷.フィナーレ)
 Ωn: Det værende(Ωn: 存在について) Op. 63(管弦楽と合唱のための)(2019)**
  オスロ・フィルハーモニック管弦楽団
  Ensemble 96(アンサンブル96)
  アマーリエ・スタールハイム(チェロ)*
  インガル・ベルグビュー(指揮)*
  オスロ・フィルハーモニック合唱団 **
  ペーテル・シルヴァイ(指揮)**
 
制作・編集 ヴェーガル・ランドース
録音エンジニア・マスタリング トマス・ヴォルデン  [DXD(24bit/352.8kHz)録音]

 
ラッセ・トーレセン Lasse Thoresen は、20世紀から21世紀のノルウェー音楽を代表する作曲家のひとりです。スカンディナヴィアをはじめ各国の民俗音楽を現代の手法で芸術音楽に作ることで知られ、ピアノ三重奏曲《Bird of the Heart(心の鳥)》、室内アンサンブルとシンセサイザーのための《AbUno》、ペルシャの祈りの書による混声合唱曲《From the Sweet-scented Streams of Eternity(甘く香る永遠の流れから)》など、多彩なスタイルの作品が演奏され、録音されています。
 
チェロと管弦楽のための交響的協奏曲《Viaggio attraverso tre valli(3つの谷をめぐる旅)》は、オスロ・フィルハーモニック、ラジオ・フランスの「フェスティヴァル・プレザンス(Festival Presences)」の委嘱による作品です。2008年にトルルス・モルクのチェロ、ユッカ=ペッカ・サラステの指揮で初演されました。「管弦楽と合唱のための交響曲」《Ωn: Det værende(Ωn: 存在について)》も、2019年/2020年に100回目のシーズンを迎えるオスロ・フィルハーモニックの委嘱で作曲されました。
 
価格 2,530円(税込価格)(本体価格 2,300円)

『Rhythmische Musik(リズミカルな音楽)』
LAWO Classics LWC 1348 contemporary/classical

 
ヘルゲ・イーベルグ(1954–)
 Auf dem Meeresboden(海の底に)
  Ein Hummerleben(ロブスターの生活)
  Flucht des untreuen Hummers(不誠実なロブスターの逃避)
  ハンス・クリスチャン・ブレイン(クラリネット)
  ベンディク・ホフセット(サクソフォーン)
  テリエ・トンネセン(ヴァイオリン)
  アウドゥン・アンドレ・サンヴィーク(チェロ)
  マリウス・フラトビュー(コントラバス)
  ヘルゲ・イーベルグ(ピアノ) ヨアキム・ノルディン(打楽器)
  ペール・オッドヴァル・ヨハンセン(ドラム)
  クリスチャンサン交響楽団 ロルフ・グプタ(指揮)
 Small Feet Dancing (with Intermezzo)(ちいさな足の踊り(間奏曲つき))
  Lotus Dance part I(蓮のダンス パートI)
  Green grass again next year? (Adieux)(翌年も青草が?(お別れ))
  Lotus Dance part II(蓮のダンス パートII)
  ニルス・アンデシュ・モッテンセン(ピアノ)
  クリスチャンサン交響楽団 ロルフ・グプタ(指揮)
 Palazzo(建造物)(2020)(2台のピアノのための5つの小品)
  Forza (palazzo)
  Luogo di casa (musica povera)
  La Giostra (gioia e terrore)
  Caccia a cavallo (palazzo)
  Ritorno (musica povera)
  ニルス・アンデシュ・モッテンセン(ピアノ)
  吉田紗苗(ピアノ)
  ペール・オッドヴァル・ヨハンセン(ドラム)
 Petites danses du moment
  Improvisation I
  Improvisation II
  Improvisation III
  ヘルゲ・イーベルグ(ピアノ)
 
制作・編集 ヴェーガル・ランドース
録音エンジニア・マスタリング トマス・ヴォルデン  [DXD(24bit/352.8kHz)録音]

 
ヘルゲ・イーベルグ Helge Iberg は、真に独創的な声をもった芸術家としてノルウェーの文化を支えています。現代音楽シーンとジャズ・シーンを自在に行き来し、ピアノやヴァイオリンの協奏曲、管弦楽曲と室内楽曲、歌曲とオペラなどを作曲。ピアニストとしては、ジャズ・ミュージシャンの自発性を保ちながら、作曲家として形式と表現を重んじるスタイルで活動しています。ノルウェー作曲家協会がCDを制作した、マーラー《大地の歌》に使われたのと同じ唐詩による《生命の惑星の歌》(Aurora ACD 5093)が近年の代表作のひとつです。『Rhythmische Musik』と題したもっとも新しい「ポートレート」アルバムでは、ロルフ・グプタ Rolf Gupta 指揮クリスチャンサン交響楽団による《Auf dem Meeresboden(海の底に)》、ピアニストのニルス・アンデシュ・モッテンセン Nils Anders Mortensen の加わった《Small Feet Dancing (with Intermezzo)(ちいさな足の踊り(間奏曲つき))》、自身がピアノ・ソロを弾く《Petites danses du moment》など、イーベルグのユーモラスの見られる作品が演奏されます。2台のピアノで演奏する《Palazzo(建造物)》でモッテンセンと共演する吉田紗苗はオスロ在住のピアニスト。『わたしの微分音ピアノ』(LWC 1273)をはじめとする録音とコンサートを通じて広い地平線を求める活動をつづけています。
 
価格 2,530円(税込価格)(本体価格 2,300円)

『モーツァルト 弦楽四重奏曲』
LAWO Classics LWC 1349 classical

 
W・A・モーツァルト(1756–1791)
 ディヴェルティメント ニ長調 K.136/125a
 ディヴェルティメント 変ロ長調 K.137/125b
 ディヴェルティメント へ長調 K.138/125c
 弦楽四重奏曲第20番 ニ長調 K.499《ホフマイスター(Hoffmeister)》
  エンゲゴール四重奏団
   アルヴィド・エンゲゴール(ヴァイオリン)
   サラ・チェン(ヴァイオリン)
   ジュリエット・ジョプリング(ヴィオラ)
   ヤン・クレメンス・カールセン(チェロ) 
 
録音 2022年2月8日–10日 ソフィエンベルグ教会(オスロ)
制作・編集 ヴェーガル・ランドース
録音エンジニア・マスタリング トマス・ヴォルデン  [DXD(24bit/352.8kHz)録音]

 
オスロを拠点に活動するエンゲゴール四重奏団 Engegårdskvartetten の『プルシャ王四重奏曲』(LWC 1123)『ハイドン四重奏曲』(LWC 1167, LWC 1219)につづくモーツァルト第4作。『ハイドン・セット』の2枚は、悲劇さえ感じさせるモーツァルト黄金期の創造性の豊かさを、決して強引になることなく表現するスタイルの演奏が好意的に評されました。第4作アルバムでは4曲が演奏されます。ザルツブルクで作曲された、チャーミングな「ニ長調」「変ロ長調」「へ長調」の《ディヴェルティメント》。《ホフマイスター》のニックネームのつけられたニ長調の四重奏曲は、「ハイドン四重奏曲」(1782–85)と「プルシャ王四重奏曲」(1789–90)の間に作曲された、ポリフォニックな書法も見られる作品です。
 
価格 2,530円(税込価格)(本体価格 2,300円)

『H2O Trilogy』
LAWO Classics LWC 1398 contemporary/classical

 
セシーリエ・オーレ(1954–)
 H2O Trilogy(H2O 三部作)(2020)(弦楽四重奏のための)*
  Part I - WaterWorks(水の作ったもの)
  Part II - Glacier Song(氷河の歌)
  Part III - Morning Mist(朝霧)
 Hototogisu! - a cuckoo Cries(ホトトギス! カッコウが鳴く)(2022)
 (金管五重奏のための)**
  エンゲゴール四重奏団 *
   アルヴィド・エンゲゴール(ヴァイオリン)
   ラウラ・クストディオ・サバス(ヴァイオリン)
   ジュリエット・ジョプリング(ヴィオラ)
   ヤン・クレメンス・カールセン(チェロ) 
  ニーノシュク金管五重奏団 **
   エルレン・オーゴール=ニルセン(トランペット)
   ヨルゲン・アルネセン(トランペット)
   マリーエ・ソールム・グラン(ホルン)
   インゲビョルグ・ブリューケット(トロンボーン)
   ベルゲル・イーヴェル・ファルデル(テューバ)
 
録音 2023年8月14日–18日 ソフィエンベルグ教会(オスロ)
制作・編集 ヴェーガル・ランドース
録音エンジニア・マスタリング トマス・ヴォルデン [DXD(24bit/352.8kHz)録音]

 
セシーリエ・オーレ Cecilie Ore は、オスロ生まれ。ノルウェー国立音楽大学でピアノ、ユトレヒト大学のソノロジー研究所とアムステルダムのスヴェーリンク音楽院(アムステルダム音楽院)で作曲を学びました。1980年代にエレクトロ=アコースティック作品で国際的に注目され、その後、弦楽四重奏やシンフォニエッタの音楽を手がけるようになりました。『Codex Temporis(コデックス・テンポリス)』(Aurora ACD 4989)をはじめとする作品が、ノルウェー作曲家協会のレーベルに録音されています。アルネ・ヌールハイム作曲家賞とリンデマン賞の受賞者です。
 
《H2O Trilogy》は、「水、氷、蒸気」の三態をとる「水の分子」を音楽に描いた作品です。「WaterWorks(水の作ったもの)」は、滝や狭隘なフィヨルドといった劇的な自然のひろがるハルダンゲル地方とノルウェー西海岸、「Glacier Song(氷河の歌)」は、ノルウェー西部のヨステダール氷河、「Morning Mist(朝霧)」は、ノルウェーの広大な海岸線と、3つの「Part」がそれぞれ、ノルウェーの自然への「オマージュ」。初演者のエンゲゴール四重奏団による録音です。
 
ニーノシュク金管五重奏団 NyNorsk Messingkvintett の演奏する《Hototogisu(ホトトギス)》は、江戸時代中期の俳人、白井鳥酔(しらい・ちょうすい)(1701(元禄14年)–1769(明和6年))の辞世の句「濃きうすき 雲を待ち得て ほとゝぎす」からインスピレーションを得て作曲されました。
 
価格 2,530円(税込価格)(本体価格 2,300円)

『UBIQUE』
Sono Luminus DSL 92280 contemporary

 
アンナ・ソルヴァルスドウッティル(1977–)
 UBIQUE Part I - Part XI
  クレア・チェイス(フルート、バスフルート、コントラバスフルート)
  コリー・スマイズ(ピアノ)
  カティンカ・クライン(チェロ)
  セス・パーカー・ウッズ(チェロ)
 
録音 2023年10月19日 「The Porches」 Studio 9(ノースアダムズ、マサチューセッツ州)

 
アイスランドの作曲家アンナ・ソルヴァルスドウッティル Anna Þorvaldsdóttir(1977–)は、ユニークで明確な音世界をもち、国際的に注目されています。アイスランド交響楽団が2つの管弦楽曲を演奏した『ARCHORA/AIÖN』(DSL 922268)につづくアルバムでは「いたるところに、どこにでも存在する」を意味するラテン語タイトルの作品が演奏されます。「『UBIQUE』は、謎めいたリリシズムと独特の雰囲気をもった歪みの境界に存在する…『いたるところに同時に存在する』という考えがインスピレーションとなった」。フルート、ピアノと2つのチェロが、エレクトロニクスで生成したドローン(持続低音)をともなう作品です。
 
価格 2,365円(税込価格)(本体価格 2,150円)

『Aequora』
Sono Luminous DSL 92282 contemporary

  
マリーア・フルド・マルカン・シグフースドウッティル(1980–)
 Aequora(原曲:ピアノとエレクトロニクスのため(2015))
ダニーエル・ビャルナソン(1980–)
 First Escape(原曲:ソロ・ヴァイオリンのため(2018))
パウトル・ラグナル・パウルソン(1977) 
 Notre Dame(原曲:ハープとヴァイオリンのため(2021))
  La Tour Nord
  La Tour Sud
アンナ・ソルヴァルスドウッティル(1977–)
 Reminiscence(原曲:ソロ・ピアノのため(2017))
マリーア・フルド・マルカン・シグフースドウッティル(1980–)
 Re/fractions(2023/24)(ヴァイオリンとピアノのための)
  ミステリー・ソナタ
   ザカリー・カレッティン(ヴァイオリン)
   ミナ・ガイッチ(ピアノ)
 
録音 2023年8月6日–9日、2024年2月26日–29日 Sono Luminus Studios(ボイス、ヴァージニア州)
制作・編集 ダン・マーセルイオ
録音エンジニア・ミクシング・マスタリング ダニエル・ショアーズ

 
ヴァイオリニストのザカリー・カレッティン Zachary Carrettin とピアニストのミナ・ガイッチ Mina Gajić は、それぞれソリストとして活動し、ノンクラシカルをはじめとする多様なレパートリーとスタイルの音楽をとりあげる際に「ミステリー・ソナタ(Mystery Sonata)」のデュオ名を使ってきました。ミステリー・ソナタの名で録音する最初のアルバム『Aequora』は、現代アイスランドの作品集です。マリーア・フルド・マルカン・シグフースドウッティル María Huld Markan Sigfúsdóttir、ダニーエル・ビャルナソン Daníel Bjarnason、パウトル・ラグナル・パウルソン Páll Ragnar Pálsson、そしてアンナ・ソルヴァルスドウッティル Anna Þorvaldsdóttir の作品。ミステリー・ソナタのためのオリジナル(マリーア・フルド・マルカンの《Re/fractions》)と編曲のそれぞれに「固有のミステリー」を探っていきます。
 
価格 2,365円(税込価格)(本体価格 2,150円)

『Music in Crisis』
Caprice CAP 22073 2 Vinyl LP’s electro-acoustics

 
『Music in Crisis』
ロバータ・セテルズ(1929–2014)
[Disc 1]
 Landscape with 3 Tape-Recorders and…
 Scenario
 Isolation! Meinhof in Memoriam
 P1 - Information?
[Disc 2]
 P4
 Landskap
 Ménagerie
 Sequences

 
ロバータ・セテルズ Roberta Settels(1929–2014)は、アメリカの作曲家でインダストリアル・デザイナーでした。ジュリアード音楽院で作曲を学び、1970年代から1980年代にストックホルムのEMS(Elektronmusikstudion)で電子音楽を作曲しました。ピエール・ブーレーズと特にヤニス・クセナキスの下で作曲の研究を続けるためパリの IRCAM に応募。自身の住むパリにスタジオを作り、このアルバムに収録されている作品のいくつかをここで作曲しました。
 
最初のディスクに収録された《Isolation》もその一作。ドイツ赤軍を共同で創設し、数多くの銀行強盗や爆弾テロ事件を起こして逮捕され、裁判中の1976年に獄死したウルリケ・マインホフを追悼するこの曲は、レコード・リリースする予定だった Caprice レーベルが、作品の極左過激的テーマを嫌い、撤回。そのため ”Music in Crisis” と名付けた彼女のプラーベート・レーベルからリリースされました。このアルバムの作品はすべて、彼女所有のアナログ録音によるオリジナル・テープを使い、作品の特徴を正しく保持することに努め、リマスタリングが行われました。
 
価格 6,160円(税込価格)(本体価格 5,600円)

『エルフリーダ・アンドレー』
cpo 555 589-2 classical

 
エルフリーダ・アンドレー(1841–1929)
 フリチョフ組曲(Fritiof Suite)(1909)
  前奏曲(Förspel)
  インゲボリの嘆き(Ingeborgs klagen)
  リング王の頌歌(Rings drapa)
  フリチョフの熱愛(Fritiofs svärmeri)
  フリチョフの船旅(Fritiofs färd på havet)
 交響曲第1番 ハ長調(1868)
  ノルショーピング交響楽団
  ヘルマン・ボイマー(指揮)
 
録音 2022年8月29日–9月1日 ルイ・ド・イェール・コンサートホール(ノルショーピング、スウェーデン)

 
エルフリーダ・アンドレー Elfrida Andrée は、1841年、ゴトランドのヴィスビューで生まれました。王立スウェーデン音楽アカデミー(現、王立ストックホルム音楽大学)でルードヴィーグ・ノルマンに作曲を学び、デンマークのニルス・W・ゲーゼに短期間、器楽法を教わりました。1867年、7人の男性オルガニストを相手にオーディションを勝ち抜け、ヨーテボリ大聖堂のオルガニストに就任。1929年に没するまでヨーテボリにとどまりました。室内楽曲のほかスウェーデンの女性作曲家として初めて管弦楽曲を手がけ、オーケストラの指揮にも才能を発揮したと言われます。音楽家として活動するかたわら、急進的リベラリズムで知られるヨーテボリの女性運動に参加したこともよく知られています。1879年、王立スウェーデン音楽アカデミーの会員に選ばれました。
 
《交響曲第1番 ハ長調》は1868年の作品です。「アレグロ」、「アレグロ・コン・スピリト」の〈間奏曲(Intermezzo)〉、「アンダンテ」、「アレグロ・モルト」の〈終曲(Finale)〉の4楽章。1869年1月24日、ストックホルムのクングスガータンにある Mindre Teatern(Smaller Theatre)で初演され、アンドレー自身の低い評価とは別に、聴衆と批評家からは好意的に受け止められました。交響曲は、1879年にイ短調の第2番(Sterling CDS 1016-2)を作曲しています。
 
《フリチョフ組曲》は、ストックホルムの新しい歌劇場の1898年の柿落としに上演される作品のコンペティション応募作として作曲された歌劇《フリチョフのサガ(Fritiofs saga)》に基づく管弦楽曲です。セルマ・ラーゲルレーヴ Selma Lagerlöf がエサイアス・テグネール Esaias Tegnér(1782–1846)の叙事詩を基に執筆した台本に作曲した作品です。コンペティションでは破れたものの、1909年、全3幕の音楽から選んだ5曲の「組曲」を作り、彼女自身が指揮して初演しました。
 
価格 2,860円(税込価格)(本体価格 2,600円)

『ニッケルハルパ(La Nyckelharpa)』
Ocora C 561177 traditional

 
『ニッケルハルパ(La Nyckelharpa)』
 Polska etter Jämt Pelle(イェムト・ペレによるポルスカ)
 Maria Nyckelpiga(てんとう虫マリア)
 En fot i graven(片足を墓に)
 Brudmarsch av Skellet(シェレットの結婚行進曲)
 Kalesh’n(無蓋馬車)
 Alex’ Julpolska(アレックスのクリスマスポルスカ)
 Flygvalsen(飛行ワルツ)
 Polska etter Alfred Nilsson(アルフレード・ニルソンによるポルスカ)
 Kadrilj(カドリーユ)
 Andante funèbre/Björnlåten(葬送アンダンテ/熊の歌)
 Polska etter Karl Linblad(カール・リンブラードによるポルスカ)
 Jag ska läre dig(わたしが教えよう)
 Trollfägel’n(トロルの鳥)
 Marsch etter Troskari Mats(トゥーシュカリ・マッツによる行進曲)
 Polska frå Haverö(ハーヴェローのポルスカ)
 Polska etter Alfred Nilsson(アルフレード・ニルソンによるポルスカ)
 Polska etter Alfred Nilsson(アルフレード・ニルソンによるポルスカ)
 Skogarbetare visan(森林官のバラード)
 Marsch frå Överklinten(オーヴェルクリンテンの行進曲)
 Polska etter Emil Carlstedt(エミール・カールステットによるポルスカ)
 Björnposka(熊のポルスカ)
 Visa frå Härjedalen(ヘリエダーレンのバラード)
  ダニエル・ペッテション(ニッケルハルパ、コントラバスハルパ)
  シェシュティ・ストービ(歌)
  マリア・ヨンソン(ヴァイオリン、カントン・ダモーレ)
  オーロフ・ミスイェルド(ヴィオラ)
 
録音 2003年1月 ラジオ・フランス

 
ラジオ・フランス Radio France が制作したワールドミュージック・シリーズの再リリース。ノルウェーの「ランゲライク」(C 561145)と「歌とハリングフェレ」(C 561157)につづく一枚は、スウェーデンの「ニッケルハルパ」。名手のダニエル・ペッテション Daniel Pettersson が、メロディ弦と共鳴弦とドローン弦をそなえた一般的なニッケルハルパと共鳴弦をもたないコントラバスハルパを弾き、シェシュティ・ストービ Kersti Ståbi の歌、マリア・ヨンソン Maria Jonson のヴァイオリンとカントン・ダモーレ、オーロフ・ミスイェルド Olof Misgeld のヴィオラと共演した2003年録音のアルバムです。
 
価格 2,860円(税込価格)(本体価格 2,600円)

『J. P. E. ハートマン ピアノ作品集 第6集』
Danacord DACOCD 978 classical

 
J. P. E. ハートマン(1805–1900)
 2つのロンドー・ブリヤン(Deux Rondeaux Brilliants) Op.6/HartW 64(1829)
  第1曲 イ長調「アレグロ・グラツィオーソ」
  第2曲 変ホ長調「アレグロ・ヴィーヴォ」
 6つの歌曲形式の小品(Sechs Tonstücke in Liederform) Op.37/HartW 76(1842)
  第1曲 変ホ長調「アレグロ・アジタート・グラツィオーソ-ソステヌート」
  第2曲 へ長調「モデラート・コン・パッショーネ」
  第3曲 ハ短調「アレグロ・モルト、アッサイ」
  第4曲 変ロ長調「アレグロ・モデラート・ヴィゴローゾ」
  第5曲 イ短調「アレグレット(アレグレット・クワジ・アンダンティーノ)」
  第6曲 交唱(Wechselgesang) 嬰ハ短調「アレグロ・アッサイ・アジタート」
 2つ思いつき(To Indfald) 変イ長調・へ短調 HartW 77(1844)
 行進曲(Marsch)へ長調(?)
 ハウサー広場の思い出 1844年(Minder fra hauserplads, 1844) へ長調
  HartW 46b(1865)
 アルバムのページ第1番(Stambogsblad No.1) へ短調 HartW 121(1878)
 アルバムのページ第2番(Stambogsblad No.2) ト長調 HartW 122(1879)
 アルバムの中に(I en Stambog!) ニ短調 HartW 126(1885)
 アルバムのページ(Stambogsblad) イ短調 HartW 102(1862)
 ピアノソナタ イ短調 Op.80/HartW 119(1876–83)
 ピアノの小品(Klaverstykke) 変ロ長調 HartW 67(1837)
 ピアノの小品(Klaverstykke) ハ短調 HartW 92(1849)
 ゆっくりしたメヌエット(Langsom Menuet) ハ短調 HartW 91(1849)
 ハートマンのための主題と14の変奏
 (Thema med 14 Variationer for Hartmann) ハ長調 HartW 123(1881)
 ヨハン・ペーター・ハートマンのためのピアノの小品
 (Stykker for Johan Peter Hartmann) ハ長調 HarW 124(1881)
 クララとエマのための即興ワルツ
 (Imprompt-Vals til Clara og Emma) へ長調 HartW 112(1862)
 夕べの気分(Aftenstemning)ロ長調 HartW 113(1869)
  トマス・トロンイェム(ピアノ)
 
[楽器 Piano: Hornung & Møller, 1862]
 
録音 2024年春 ホルステブロ音楽学校コンサートホール(ホルステブロ、デンマーク)
録音・マスタリング クラウス・ビューリト
編集 トマス・トロンイェム

 
J. P. E. ハートマン J. P. E. Hartmann は、ニルス・W・ゲーゼとともに18世紀前期の「デンマーク文化の黄金時代」の音楽を彩った、デンマークでもっとも偉大な作曲家のひとりです。彼は、主にオペラとジングシュピール、バレエ、劇付随音楽、メロドラマ、交響曲、演奏会序曲の作曲を手がけ、「私はピアニストではない」と言いながらもピアノのための貴重な作品を残しました。1990年代、コペンハーゲンの王立図書館が彼の全作品の調査と出版のプログラムをスタートさせ、未出版の作品に光が当てられるようになりました。トマス・トロンイェム Thomas Trondjem によるシリーズはそれをきっかけに始まり、この第6集で全曲の録音が完結します。
 
このアルバムでもっとも重要な《ピアノソナタ イ短調》は、「Prissonaten(賞ソナタ)」と呼ばれる《ピアノソナタ ニ短調》から2ヶ月が経たない時期に作曲が始められ、生誕80年の1885年に出版されるまで、紆余曲折を経て完成されました。「アレグレット・パストラーレ」の第3楽章をはじめ、デンマーク・ロマンティシズムのもっとも美しいページが特徴的な作品です。《6つの歌曲形式の小品》はドイツの出版社の依頼で書いた作品。このプログラムには、8歳になる孫ヨハン・ペーターのための《主題と14の変奏》と《ピアノの小品》、娘のクララ・ヴィンディングとエマ・ヴェーゼルのための《即興ワルツ》といった個人的な内容の小品が含まれています。《夕べの気分》は、1869年から1895年まで、4つの異なる出版譜があり、トロンイェムは作曲者の署名入り手稿譜(ロ長調)で演奏しています。
 
価格 2,530円(税込価格)(本体価格 2,300円)
 
第1集(DACOCD 874)
第2集(DACOCD 877)
第3集(DACOCD 907)
第4集(DACOCD 950)
第5集(DACOCD 968)

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